「もったいない」や「エコ」などの概念が流布すると、単にムダを減らすというだけでなく、意外なメリットが浮かび上がってきた。たとえば、食材を「使い切る」ことは、健康面でも合理的なのだ。野菜の皮や種・ヘタなど、これまで捨てられていた部分にこそ、重要な栄養が詰まっている。それらの「切れはし」を煮込んで作るのが「ベジブロス」。「ベジ」は野菜の「ベジタブル」、「ブロス(broth)」とは「だし汁」の意味である。
人気を牽引しているのは、「ホールフード」の第一人者としてテレビでも紹介された、料理研究家タカコ・ナカムラ氏(ホールフードとは、環境など食材を取り巻くあらゆることを、包括的に捉えるという概念だ)。その著書『野菜の栄養100%いただきます! ベジブロスをはじめよう。』(角川マガジンズ)によれば、ベジブロスは水1.3リットルに対し、切れ端は両手1杯分が目安である。料理酒小さじ1杯も加える。弱火で30分じっくり煮てから、漉(こ)すだけで完成となる。
皮やヘタがすぐにたまるわけではないので、ある程度の量になるまで冷蔵庫に保存しておくのがいいだろう。また、セロリなどの香味野菜の軸は風味をよくするそうだ。