本データベースは、日本近代文学館編『日本近代文学大事典』全6巻(講談社、1977年11月〜78年3月)、および同編『日本近代文学大事典』机上版全1巻(講談社、1984年10月)を収録し、一部項目の増補改訂と新規項目を補うものである。
元版となる最初の6巻版の構成は、第1~3巻が近代以降の小説、評論、戯曲、詩、短歌、俳句のほか、文学と関連の深い各界に活躍した人々をめぐる人名事典であった。
つづく第4巻は日本の近代における重要な文学上の事象、流派、団体、論争、用語ならびに外国文学との影響関係等の事項を収め、第5巻は小説、評論、戯曲、詩、短歌、俳句等の文芸雑誌を中心に、総合雑誌および思想、美術、娯楽等の諸雑誌、文芸に関係の深い新聞を項目とする新聞・雑誌の事典である。最後の第6巻には総索引を付したほか、近代文学に関連するさまざまな叢書・文学全集・合著集の総覧、発売禁止主要書目の解題などが収められていた。
6年後に刊行された机上版は、元版の1~3巻の人名事典を独立させて増補したものである。6巻版以降の現代文学の状況やその間に活躍した「主要作家、作品などについては、小説、評論、戯曲、詩、短歌、俳句等各部門ごとに新たな項を設け」たほか、略年表やコラム等を付けて補充していた。以後、40年近く、増補できないまま今日にいたったのである。
今回の増補改訂では、紙の事典からデジタルの事典へと媒体が大きく変わる。このため人名については机上版をもとにしつつ、元版の第4巻、第5巻も含めてすべて電子化し、データベースに収録した(ただし机上版でつけられた略年表やコラム等はすでに一定以上の期間が経過しているため省略した)。第6巻については、本事典が全文検索も可能なデータベースでもあるため、総索引を省いた。それ以外の総覧や解題などのデータについては、次回以降において補充することを目指す。
紙の事典と異なるデジタルの事典では、定期的な更新が可能になる。そこで今回の公開を第1次更新とし、以後、毎年3月に更新を行う。第2次更新は2023年3月を予定している。今回、増補改訂された項目数は289項目。その項目数を増やし、公開情報を順次拡大していくことを計画している。
なお、増補改訂にあたっては、次の編集方針で臨んだ。
机上版以後も活躍した人物については、順次、選択して本文を補充する。第1次公開にあたっては、142項目を補った。該当項目のページではまず机上版の元の本文を掲げ、その後に新たな増補本文を読めるように配置した。今後、更新の際に新たな増補項目を増やして行く。また没年等については、すべての人名について分かる範囲で補充し、全集類などの参考文献も補った。
机上版の記事では記載が不十分、あるいは修正箇所が多い項目もあった。とりわけ人名については項目によって加筆や修正だけでは足りないため、書き換えることとした。第1次公開でこれに該当したのは53項目である。このような場合、該当項目のページではまず書き換えた新規の本文を掲げ、次いで元の本文も読めるように配置した。
机上版以降に登場して活躍した文学者や、この当時、立項されていなかった人名については、新規項目として補充することとした。ただし、その数も膨大になるため、第1次公開にあたっては78項目が新たに加わった。今後も順次、1年おきの更新で補充を重ねていく。また人名だけでなく、新聞・雑誌については10項目を、事項についても6項目を新たに追加した。こちらも更新の度に補充していく。
6巻版の最終配本には、刊行過程で見つけられた正誤表が挿入されていた。これについては点検の上、反映している。また、明らかな誤植、誤記は確認の上、反映した。それ以外にも、刊行後、6巻版や机上版の本文について誤りや修正の必要が指摘されてきた。とりわけ、これまで編集委員会で把握しているのは、主に以下の文献である。
このうち執筆内容に関わって確認が十分できなかった場合、また編集委員会の判断が未了の場合は、今後の修正を期して第1次公開データに反映されていないものもあることをお断りしておく。今後、更新の都度、継続的に修正を行っていく。
これ以外に、まとまって修正等の指摘がなされた文献があれば、公益財団法人日本近代文学館事務局までご教示をお願いしたい。