一 約四三〇項のこの総覧は、戦前刊行の「村上文庫」にもとづく『明治文学書目』及び岡野他家夫『明治文学研究文献総覧』などの先行諸文献をふまえつつ、むしろそれ以後を心がけ、大正、昭和期に力点をおいたものである。ただし、昭和期は昭和二〇年までに限った。
二 採録の中軸に「叢書」を据え、円本の類の「文学全集」、明治期にとくに多い「合著集」の類は、適宜按配した。小出版社の企画はつとめて採録するようにした。「個人全集」や昭和期に多い研究関係の「講座」の類はここでは取扱わなかった。
三 通して眺めればおのずと文学史、出版史、文壇史の三者が浮かびあがるよう採録に留意した。
四 全体の配列は、最初に掲げた書物の刊行年月日の編年体を原則とした。できる限り初版本奥付けに拠ったが、普及本が多いこと故、増刷本奥付けの初版年月日を用いたものもある。
五 判型その他書物の形式に関する記述は、原則として最初に掲げた書物に従った。ただし頁数は最終ノンブルを記入した。
七 短編集、評論集などの場合は、可能な限り収録作品を明示した。ただし入手しやすい円本の類は必要なもののみにとどめた。
八 刊行されていることは確かだが、原本の未確認のものは★、刊行についてあいまいな部分を含み、調査の手がかりがつかめなかったものは☆で示した。
(紅野敏郎)