ジャパンナレッジ
日本国勢図会は、矢野恒太*が創刊した統計データブックです。矢野恒太は、保険医を経て留学後、農商務省に入り保険業法の制定に尽力した人物で、内閣統計局から依嘱を受けて官製初の生命表を作成するなど、統計に深い造詣がありました。退官後の 1902年(明治35年)に生命保険会社を設立する一方、1920年(大正9年)の第1回国勢調査にも協力しています。
1927年(昭和2年)に刊行した本書の初版で、矢野恒太は「編者がもし教育家であって、幾人かの青年を預かったなら、本書に書いたことだけは何科の生徒にでも教えたいと思うことである。本書は講堂のない青年塾の一部である」と記しています。矢野恒太は客観的なデータが社会を知る上で重要と考え、その普及に努めました。以来、矢野恒太の理念を引き継ぎ、改良を加えながら版を重ねて現在に至っています。本書が、今後も読者の皆様が社会を考察されるための一助となれば幸いです。
刊行にあたり、ご協力いただいた皆様方に深く感謝の意を表します。
*矢野恒太(やのつねた) 慶応1.12.2~昭和26.9.23(1866.1.18~1951.9.23)
第一生命保険の創立者。保険のみならず統計、公衆衛生、社会教育など各方面に功績があった。