ジャパンナレッジ
日本国勢図会を創刊した矢野恒太*は、1927年(昭和2年)の初版の序章で「本書は講堂のない青年塾の一部であり、本書に記載している内容を教育者は若い人に教えて欲しい」と創刊の趣旨を記しています。
矢野恒太は内閣統計局から依頼を受けて、官製初の生命表を作成するなど統計に深い造詣があり、社会を知るための基礎と考えていました。また、第一回の国勢調査にも尽力しています。
現在、政府機関等でEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案)を推進しています。合理的な根拠や事実に基づいて、情報・統計等のデータを活用した政策の推進は、矢野恒太が約一世紀年前にすでに提唱していた考え方と相通ずるものがあります。
公益財団法人矢野恒太記念会は、2023年3月に設立満70年の節目を迎えました。日本国勢図会も今年で81版と版を重ね、96年にわたり刊行を続けています。本書が、今後も読者の皆様が社会を考察されるための一助となれば幸いです。
刊行にあたり、ご協力いただいた皆様方に深く感謝の意を表し ます。
*矢野恒太(やのつねた) 慶応1.12.2~昭和26.9.23(1866.1.18~1951.9.23)
第一生命保険の創立者。保険のみならず統計、公衆衛生、社会教育など各方面に功績があった。