ジャパンナレッジは約1500冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書」サービスです。
➞ジャパンナレッジについて詳しく見る
  1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 科学・医学
  6. >
  7. 医療・身体
  8. >
  9. 医療制度
  10. >
  11. 応召義務

ジャパンナレッジで閲覧できる『応召義務』の辞書・事典・叢書別サンプルページ

日本大百科全書(ニッポニカ)

日本大百科全書(ニッポニカ)
応召義務
おうしょうぎむ

診療に従事する医師は、診察や治療を求められた場合には、正当な理由なく拒否してはならないとする義務。医師法第19条に規定されている。
[前田幸宏]2019年11月20日

概要

厚生省医務局長通知によると、「何が正当な事由であるかは、それぞれの具体的な場合において社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべきである」とされている。正当な事由のある場合とは、「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」とされている。休日夜間診療診療所や当番医制などの体制が敷かれている場合には、当番外であっても、「症状が重篤である等直ちに必要な応急の措置を施さねば患者の生命、身体に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、医師は診療に応ずる義務がある」とされている。応召義務違反の罰則は規定されていない。しかし、医師法に基づく行政処分は可能と考えられている。医師法第7条の「医師としての品位を損するような行為のあったとき」にあたるため、「義務違反を反覆するが如き場合において同条の規定により医師免許の取消又は停止を命ずる場合もありうる」とされている。民事責任については、応召義務が患者保護の側面をもつ規定と考えられることを踏まえ、診療拒否によって患者に損害が生じた場合に、医師に過失があったと推定し、民事上の賠償責任を認めるという趣旨の判決がみられる。
[前田幸宏]2019年11月20日

課題(医師の働き方改革と応召義務)

医師法に応召義務が規定された当時(1948)と異なり、現在の医療提供体制は、医療計画のもと、医療施設間の機能の分担および業務の連携が進められており、医師の専門分化も進んでいる。厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」によると、「応召義務については、医師が国に対して負担する公法上の義務であり、医師個人の民刑事法上の責任や医療機関と医師の労働契約等に法的に直接的な影響を及ぼすものではなく、医療機関としては労働基準法等の関係法令を遵守した上で医師等が適切に業務遂行できるよう必要な体制・環境整備を行う必要がある」とされている。「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究」(2018年度厚生労働科学研究)では、応召の義務の整理だけでなく、医療機関・医師が診療しないことが正当化される考え方などについて整理されている。厚生労働省は2019年(令和1)7月の社会保障審議会医療部会で、この報告書を受けた今後の対応として、現代における医療提供体制の在り方や医師の勤務環境等の観点も考慮しつつ、医師法上の応召義務の考え方等について解釈通知を発出する方針を示した。2019年10月末時点では通知はまだ発出されておらず、今後に期待される。
[前田幸宏]2019年11月20日

ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。
すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
パソコン・タブレット・スマホからご利用できます。
応召義務の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 5
検索コンテンツ
1. 応召義務
日本大百科全書
認めるという趣旨の判決がみられる。前田幸宏2019年11月20日課題(医師の働き方改革と応召義務)医師法に応召義務が規定された当時(1948)と異なり、現在の医 ...
2. 医師の働き方改革/応召義務[医学]
現代用語の基礎知識 2019
挙げ、勤務医を雇用する個々の医療機関での対応を求めた。 一方、医師には診療を拒むことができない応召義務がある。医師法19条は「診療に従事する医師は、診察治療の求 ...
「応召義務」の情報だけではなく、「応召義務」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る

応召義務と同じ医療制度カテゴリの記事
診療報酬(日本大百科全書(ニッポニカ))
診療所や病院または薬局が行った医療サービスに対する報酬。公的医療保険のもとでは、病院、診療所、薬局などの保険医療機関が保険診療(診療、検査、投薬など)を行った場合に、その対価として保険者から医療機関に支払われる法定の報酬をいう。この診療報酬は一般に
応召義務(日本大百科全書(ニッポニカ))
診療に従事する医師は、診察や治療を求められた場合には、正当な理由なく拒否してはならないとする義務。医師法第19条に規定されている。2019年11月20日概要厚生省医務局長通知によると、「何が正当な事由であるかは、それぞれの具体的な場合において
次世代医療基盤法(日本大百科全書(ニッポニカ))
個人の権利利益の保護に配慮しつつ、匿名加工された医療情報を安心して円滑に利活用することが可能な仕組みを整備するための法律。正式名称「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(平成29年法律第28号)。2017年(平成29)5月公布
医療制度と同じカテゴリの記事をもっと見る


「応召義務」は医療に関連のある記事です。
その他の医療に関連する記事
血圧(世界大百科事典・日本大百科全書)
血圧とは血液が血管壁に及ぼす側圧のことである。血液は心臓のポンプ作用によって心臓から送り出され,動脈系から毛細血管に至り,静脈系を経て心臓に還流するが,血圧はこの血管の部位によって異なる。しかし一般に血圧といえば,体循環系における動脈の血圧を指す
ディスレクシア(日本大百科全書・イミダス)
知的機能の発達の遅れや視覚障害がないにもかかわらず、読むことに著しい困難を抱える症状。読むことだけでなく書くことにも困難を伴うことが多く、発達性読み書き障害ともいわれる。発達障害のうち学習障害の中心的な症状である。ディスレクシアのある人は
うつ病(日本大百科全書・岩波 生物学辞典・イミダス)
気分がひどく落ち込む、何事にも興味をもてなくなる、といった精神症状のために、精神的に強い苦痛を感じたり日常の生活に支障が現れたりしている状態をいう。分類・疫学うつ病は、以前は遺伝や体質による内因が関与している内因性うつ病と
小児期・思春期・若者のうつ病(日本大百科全書)
年少・若年者が抑うつ的になる症状。小児うつ病をはじめとして、この年代でも薬物療法の対象になる精神疾患があることが知られている。しかも、小児期や思春期のうつ病は、本人が自分の気持ちをうまく表現できなかったり、いらいら感やいわゆる
サイトカイン・ストーム(イミダス)
免疫の暴走と訳される。サイトカインとは、cyto(細胞)とkine(動作)からなる造語で、細胞から放出されさまざまな細胞間に相互作用をもたらすたんぱく質因子の総称である。サイトカインは標的の細胞に働きかけて、免疫、炎症、生体防御などの面で重要な役割を
医療に関連する記事をもっと見る


ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額600万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のインターネット辞書・事典・叢書サイト」です。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る