女性皇族が当主となる宮家。現行の皇室典範は、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」(第12条)と規定しているが、皇室典範を改正し、女性宮家を創設すれば、女性皇族は結婚後も皇族にとどまることができる。2013年(平成25)5月の時点で、皇族21人(天皇は除く)のうち未婚の女性皇族は8人で、このうち6人が成人に達しており、婚姻で次々と皇籍を離れると、将来の皇室活動に支障をきたすおそれがある。こうした皇族数の減少に歯止めをかけるため、2011年11月、宮内庁長官である羽毛田信吾(はけたしんご)(1942― )が女性宮家創設を検討課題とする考えを表明した。2012年10月には、民主党政権が女性宮家を創設すべきであるとする「論点整理」をまとめ、有識者やパブリックコメント(意見公募)で国民の意見を広く聞いたうえで、2013年通常国会に皇室典範改正案の提出を目ざした。論点整理では、女性皇族が結婚後に(1)女性宮家を創設し夫・子供にも皇族の身分を与える、(2)女性宮家を創設し夫・子供には皇族の身分を与えない、(3)女性宮家を創設せず、皇籍を離れた後、国家公務員として公的立場で皇室活動を支える、の案を示した。なお、どの案も、天皇の子や孫にあたる内親王に限った措置で、曽孫(そうそん)以降の女王は対象外とした。これに対し、国民から寄せられた声の多くは、女性宮家に反対する意見が占めた。同年12月に政権交代があり、女性宮家創設に反対の立場の自由民主党の安倍晋三が内閣総理大臣についたため、皇室典範改正案の提出は見送られた。
現行の皇室典範は皇位継承を男系男子に限っている。なお女性天皇は歴史上8人(重祚(ちょうそ)のため10代)いたが、いずれも男性天皇の子孫(男系天皇)で、女性天皇・女性皇族の子孫である女系天皇は過去にいない。女性宮家への反対論は、この女系天皇の誕生に道を開く可能性がある点を根拠としている。
[編集部]
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