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  10. 鹿島槍ヶ岳
日本歴史地名大系

日本歴史地名大系
鹿島槍ヶ岳
かしまやりがだけ

後立山連峰のほぼ中央、立山町・宇奈月うなづき町・長野県大町市の境界にそびえ、角閃石〓岩や輝石安山岩からなる。標高二八八九・七メートル。南槍・北槍の両峰が並び立ち、両峰間のつり尾根も美しい双耳峰で、しかも多くの岩場を有する。山名は鹿島(現大町市)の里の槍の意であるが、この呼称は明治以後で、古くは背競せくらべ岳とも、また雪形にちなみつるヶ岳・しし岳ともよばれたという。越中側の古名は後立山であった。元禄一三年(一七〇〇)の奥山御境目見通絵図(県立図書館蔵)に後立山の名でみえ、以後ほとんどすべての新川郡絵図の類に重要な山体として後立山の名で記載されているが、やがて山脈全体の総称ともなっていく。ウシロタテヤマは音読してゴリュウザンともよばれたが、別の山と誤解され、五龍ごりゆう岳の山名も生じた。そのような混乱のなかで後立山はどの山をさすのか種々論議されたが、木暮理太郎の「後立山は鹿島槍ケ岳に非ざる乎」の卓論によって決着をみた。江戸時代、加賀藩奥山廻役の検分地点になっていたが、元禄一〇年の浮田家の奥山廻記録(富山市郷土博物館蔵)に「後立山、此山ニ罷り越し難く候故、峯通り御境目を見渡し、罷申候」とあるように、あまりにも険阻で近づきがたく、確実な登頂記録を欠く。天保一四年(一八四三)佐伯有次郎は後立山谷(東谷)を詰めたが、険しくて引返したと記される(「下奥山御境目廻御用方扣写手帳」県立図書館蔵)。弘化二年(一八四五)には伊藤刑部が後立山は険難至極の難所で、盗伐の賊も立入りにくい場所であることを理由に巡視コースから外すことを陳情し許可されている(「後立山等廻り方相止ミ一件」同館蔵)。鹿島槍ヶ岳とその北の五龍岳の間には大きな山稜の断裂があって、これを八峰はちみねキレット(キレットは切れっ所の意)といい、難所として知られた。現在はキレットを越えた地点にキレット小屋が建つ。

鹿島槍ヶ岳・五龍岳からはつるぎ岳が真正面に見え壮観である。鹿島槍ヶ岳からの棒小屋ぼうごや沢と劔岳からの劔沢とが同一地点で黒部川に落込み、十字じゆうじ峡を形づくっている。立山頂上から見ると夏期太陽は鹿島槍ヶ岳付近から昇るので、立山頂上の神職は御影みかげヶ岳ともよんで敬意を表していたという。夕日のとき立山の影が後立山に伸びる光景を昭和一〇年(一九三五)川田順は「立山が後立山に影うつす夕日のときの大き静かさ」の歌を残した。富山平野から望見できる地点はわずかしかないが、入善にゆうぜん町付近から黒部の前山の奥に、五龍・鹿島槍両峰が並んで見える。また高岡市石瀬いしぜ付近からは劔岳の大窓おおまどのはざまに尖頭をのぞかせる。鹿島槍の南に布引ぬのびき(山)があり、標高二六八三メートル。鹿島槍ヶ岳から西、黒部側へ張出した尾根の突起を牛首うしくび山といい、標高二五五三メートル。鹿島槍ヶ岳の長野県側直下、大川沢おおかわざわ源頭のくぼんだ地形の所をカクネ里といい、平家落人伝説をもつ。信州の古絵図には鹿島川の上流に鹿島明神の鳥居を描いたものがあり、当山とのかかわりは興味深い。

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検索コンテンツ
1. 鹿島槍ヶ岳
日本大百科全書
長野・富山県境にあって北アルプスの北部をなす後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の山。長野県大町市街の北西部にある双耳峰。標高2889メートル。山頂は槍状に突出 ...
2. 鹿島槍ヶ岳
世界大百科事典
長野県と富山県の県境部にある山。山頂部には南と北に二つの尖峰が並び立ち,最高部は南峰頂上で,標高2889m。飛驒山脈の北東部,後立山連峰のほぼ中央に位置し,北は ...
3. かしまやりがだけ【鹿島槍ヶ岳】富山県:総論/後立山連峰
日本歴史地名大系
難所として知られた。現在はキレットを越えた地点にキレット小屋が建つ。鹿島槍ヶ岳・五龍岳からは劔岳が真正面に見え壮観である。鹿島槍ヶ岳からの棒小屋沢と劔岳からの劔 ...
4. あかざわだけ・すばりだけ【赤沢岳・スバリ岳】富山県:総論/後立山連峰
日本歴史地名大系
立山町と長野県大町市の境界をなしている。越中の古絵図はおおむねこれら個々の峰を記載せず、後立山(鹿島槍ヶ岳)の峰続きの起伏程度に扱っている。ただし江戸時代末期の ...
5. 後立山連峰
世界大百科事典
名称は富山県側からみて立山のうしろにあることによる。最高峰の白馬岳(2932m)から南へ,五竜岳,鹿島槍ヶ岳を経て針ノ木岳までを指すことが多いが,朝日岳を北限と ...
6. うなづきまち【宇奈月町】富山県:下新川郡
日本歴史地名大系
面積:三四一・二〇平方キロ 県最東部の山寄りの地に位置し、東は鑓ヶ岳から鹿島槍ヶ岳などの稜線で長野県と接し、北は朝日町・入善町・黒部市と接する。朝日町との境界線 ...
7. かたかいさんがさん【片貝三ヵ山】富山県:魚津市
日本歴史地名大系
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8. 黒部川
世界大百科事典
入する。ダムより下流は立山側より西岸から内蔵ノ助谷,別山谷,劔沢が合流する。ここで後立山の鹿島槍ヶ岳から流れる棒小屋沢と十字峡の景勝地をつくった後,〈下ノ廊下〉 ...
9. 黒部峡谷
世界大百科事典
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10. くろべきょうこく【黒部峡谷】富山県:総論
日本歴史地名大系
さらに境川・常願寺川・神通川の上流部を含むこともあった。上奥山と下奥山に分れ、境界は一応後立山(鹿島槍ヶ岳)とされていた。黒部川の川越えが困難であったため、立山 ...
11. 五龍岳
日本大百科全書
大部分斑岩(はんがん)からなり、北は唐松(からまつ)岳、南は八峰(はちみね)キレットを経て鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)へと続く。山頂の南東側には、鹿島川の上流 ...
12. 五竜岳
世界大百科事典
長野・富山県境,飛驒山脈(北アルプス)北東部にある山。後立山連峰の中央部,鹿島槍ヶ岳と大黒岳の間に位置する。標高2814m。山頂部は山脈の南北方向に対して直角に ...
13. ごりゅうだけ【五龍岳】富山県:総論/後立山連峰
日本歴史地名大系
構成しているので割菱ノ頭とよばれたが、武田信玄の家紋四つ割菱に似ていることから御菱とも称したという。また鹿島槍ヶ岳の越中側の呼称である後立山を音読してゴリュウと ...
14. しもにいかわぐん【下新川郡】富山県
日本歴史地名大系
市と接する。さらに白馬岳から鑓ヶ岳・鹿島槍ヶ岳までは長野県北安曇郡白馬村・大町市と接する。鹿島槍ヶ岳から南は中新川郡立山町であり、同町と下新川郡は鹿島槍ヶ岳・牛 ...
15. 立山[町]
世界大百科事典
)。町域の大半は常願寺川中・上流域と黒部川上流域にあたる飛驒山脈の山岳地域で,立山,劔岳,鹿島槍ヶ岳など3000m級の高山がそびえる。北西部の常願寺川東岸の開析 ...
16. 登山画像
日本大百科全書
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17. 富山(県)画像
日本大百科全書
黒部峡谷によって、立山を主峰とする立山連峰と、富山・長野県境にそびえる白馬(しろうま)岳、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)などからなる後立山連峰(うしろたてやまれ ...
18. 日本アルプス画像
日本大百科全書
薬師岳(2926メートル)などを中心とする立山連峰と、白馬岳(しろうまだけ)(2932メートル)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)(2889メートル)を中心とする ...
19. 飛驒山脈
世界大百科事典
,雪倉山(2611m),白馬岳(2932m),唐松岳(2696m),五竜岳(2814m),鹿島槍ヶ岳(2889m),爺ヶ岳(じいがたけ)(2670m)などが含ま ...
20. 【総論】富山県
日本歴史地名大系
続く。広義の後立山連峰は三俣蓮華岳で立山連峰と分岐し、野口五郎岳・蓮華岳から針ノ木峠を経て鹿島槍ヶ岳・白馬岳へと連なり、北端は日本海に及んで新潟県西頸城郡青海町 ...
21. 【総論】長野県
日本歴史地名大系
たがる飛騨山脈(北アルプス)は、最も雄大な山脈であって、北から白馬岳(二九三三メートル)・鹿島槍ヶ岳(二八九〇メートル)・針ノ木岳(二九二一メートル)・野口五郎 ...
「鹿島槍ヶ岳」の情報だけではなく、「鹿島槍ヶ岳」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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富士山(日本大百科全書(ニッポニカ))
山梨・静岡両県にまたがる、玄武岩を主とする成層・円錐火山。かつての富士火山帯の主峰であるが、全国最高の標高(3776メートル)と美しい容姿のために、古来、日本の象徴として仰がれ、親しまれ、海外にもよく知られる活火山。その傾斜は山頂部で32~35度
槍ヶ岳(改訂新版・世界大百科事典)
飛驒山脈南部,長野県松本市,大町市,岐阜県高山市の境界に位置する山。標高3180mは日本第4位の高さである。山頂付近は槍の穂先のように鋭い尖峰を呈し大槍と呼ばれ,その北西斜面には小槍,孫槍,曾孫槍などの尖峰が付随する。山頂からは東鎌尾根,西鎌尾根,槍・穂高稜線,北鎌尾根の
御嶽山(日本大百科全書(ニッポニカ))
長野・岐阜県境にそびえる複式の成層火山。木曽御嶽ともいう。中央火口丘の剣ヶ峰(けんがみね)が最高峰で標高3067メートル。外輪山(摩利支天山、継母岳)、寄生火山(継子岳、三笠山)、噴火口跡(一ノ池~五ノ池)などが南北に連なり、これらを総称して御嶽山とよぶ。頂上周辺の一ノ池
おお‐やま[おほ‥] 【大山】(日本国語大辞典)
(1)大きな山。また、山の美称。*万葉集〔8C後〕一二・三一五三「み雪ふる越の大山(おほやま)行きすぎていづれの日にか我が里を見む〈作者未詳〉」
しら‐やま 【白山】(日本国語大辞典)
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ソメイヨシノ(日本大百科全書・日本国語大辞典)
バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。オオシマザクラとエドヒガンの雑種で、明治初年に東京・染井(現在の豊島(としま)区巣鴨(すがも)付近)の植木屋から売り出されたサクラである。初めはヨシノザクラとよんでいたが、奈良県吉野山のヤマザクラと混同されやすいので
鹿島槍ヶ岳(日本歴史地名大系)
後立山連峰のほぼ中央、立山町・宇奈月(うなづき)町・長野県大町市の境界にそびえ、角閃石岩や輝石安山岩からなる。標高二八八九・七メートル。南槍・北槍の両峰が並び立ち、両峰間の吊(つり)尾根も美しい双耳峰で、しかも多くの岩場を有する
五龍岳(日本歴史地名大系)
後立山連峰のほぼ中央部、宇奈月(うなづき)町と長野県大町市との境界にそびえ立つ雄峻な岩山。標高二八一四・一メートル。五竜とも記される。割菱状の岩壁が山体の東面を構成しているので割菱(わりびし)ノ頭(あたま)とよばれたが
白馬岳(日本歴史地名大系)
後立山連峰の北部にそびえる。標高二九三二・二メートル。山頂は朝日(あさひ)町と長野県白馬(はくば)村の境界をなすが、その山体は新潟県西頸城(にしくびき)郡にもまたがり、越中・越後・信濃の三国境の山という。信州側の古絵図に両替(りようがえ)岳とあるのは
天城山(日本歴史地名大系)
伊豆半島中央の東部を占める火山。万三郎(まんざぶろう)岳(一四〇五・六メートル)を主峰とする連山で、古くは狩野(かの)山と称したとされるが、天城山は狩野山を含む呼称で、狩野山は現天城湯(あまぎゆ)ヶ島(しま)町と中伊豆町の境の嵩田(たけだ)山(竹田山)付近
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