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  11. トマス・アクィナス

トマス・アクィナス

ジャパンナレッジで閲覧できる『トマス・アクィナス』の世界人名大辞典・世界文学大事典のサンプルページ

岩波 世界人名大辞典
トマス・アクィナス
Thomas Aquinas
〔イタ〕Tommaso d'Aquino
1225(-27)~74.3.7

イタリアの盛期スコラ学最大の神学者,哲学者,聖人.

アクィーノ伯家に生まれる.モンテ・カッシーノおよびナポリで教育をうけ,ドミニコ会に入った [1244].パリおよびケルンに赴き,主としてパリに滞在して [45-59],アルベルトゥス・マグヌスに師事.イタリアに帰り [59],のちローマのサンタ・サビーナ修道院で研学に努めたが,パリのドミニコ会神学校の学長となった [69-72].その間に《神学大全:Summa theologiae, 1266-73》を完成,またアリストテレス注解を書き続けた.帰国して著述に専念したが,リヨン公会議開催に当たり,教皇グレゴリウス10世に招かれて同地に赴く途中,マエンツァで病を得,フォッサノーヴァのシトー会修道院で没.彼はキリスト教と古代文化とアラビア文化とを巧みに総合し,中世における偉大な体系的キリスト教文化を創造した.その立場はキリスト教的アリストテレス主義であるが,アウグスティヌス主義や擬ディオニュシオス・アレオパギテスの神秘思想にも深く影響された.理性と信仰の区別および必然的調和を求め,自然の光に基づく哲学は,恩寵の光に基づく神学と一致すべきであるが,自然を完成するのは恩寵であるから,哲学の及ばない領域では神学に頼らねばならないとした.従って哲学は〈教会の婢ancilla ecclesiae〉である限りにおいて真であるとした.また神認識の唯一の方法として,上級の存在と下級の存在との間に存在の〈類比〉の成立することを説いて,神の絶対超越性の自存と人間の能動的理性が行う真理認識における創造的本質把握能力とを同時に定立した.彼の中世的・キリスト教的人間の神を中心とするヒューマニズムは近代的な人間中心のヒューマニズムと対比されつつ,近時新たに取り上げられている.〈天使博士Doctor Angelicus〉と呼ばれた.

〖著作〗 在るものと本質について:De ente et essentia, 1256-59.Summa de veritate catholicae fidei contra gentiles, 1259-64.



デジタル版 集英社世界文学大事典
アクィナス トマス
Thomas Aquinas
イギリス 1225頃-1274.3.7
イタリアのスコラ神学者,哲学者。南イタリアのアクィーノ近郊の城主の子,モンテカシノの修道院で初等教育をうけ,ナポリ大学入学(1240),ドミニコ会入会(44),アルベルトゥス・マグヌスに,パリ(45−48),およびケルン(48−52)で師事。アリストテレス哲学に触れ,その基礎の上にゴシック大伽藍(がらん)にも比せられるカトリック神学・哲学の大体系を築く。パリに戻り(52),パリ大学神学部教授(56−59),その後10年間はイタリアの各地で教え,パリ大学に戻る(69−72)。72年ナポリに帰り神学大学の創設に専念,74年リヨン公会議への途上,故郷に近いフォッサ・ヌオヴァの修道院で病没。1323年列聖。1879年レオ13世の回勅によりその哲学がカトリック公認の哲学とされ,1880年全カトリック教育機関の守護聖人となる。〈教会の公同の博士〉Doctor Communis Ecclesiae,または〈天使博士〉Doctor Angelicusと呼ばれる。著書は『神学大全』Summa Theologiae(1266−73),『対異教徒大全』Summa Contra Gentiles(59−64),『命題論集注解』Commentaria in Quattuor Libros Sententiarum Magistri Petri Lombardi(54−56)など。
(道家弘一郎)
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トマス・アクィナスの関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 318
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検索コンテンツ
1. アクィナス トマス
世界文学大事典
イタリアのスコラ神学者,哲学者。南イタリアのアクィーノ近郊の城主の子,モンテカシノの修道院で初等教育をうけ,ナポリ大学入学(1240),ドミニコ会入会(44), ...
2. トマス・アクィナス
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中世のスコラ神学者。稲垣良典2015年1月20日生涯と著作南イタリアのナポリに近い、ローマ教皇領とフリードリヒ2世領の境界に位置するロッカセッカ城で生まれ、5歳 ...
3. トマス‐アクィナス
日本国語大辞典
(Thomas Aquinas )イタリアの神学者、哲学者。ドミニコ会所属。スコラ哲学の完成者。アリストテレス哲学と神学、すなわち理性と信仰の調和をはかり、実在 ...
4. トマス・アクィナス(Thomas Aquinas)
世界人名大辞典
〔イタ〕Tommaso d'Aquino〔1225(-27)~74.3.7〕 イタリアの盛期スコラ学最大の神学者,哲学者,聖人.アクィーノ伯家に生まれる.モンテ ...
5. トマス・アクィナス
世界文学大事典
→ アクィナス ...
6. アウグスティヌス(アンコナの)〔ラ〕Augustinus de Ancona)
世界人名大辞典
1298~1328)の顧問となる.哲学的・神学的な著作においてアエギディウス・ロマヌスを通してトマス・アクィナスに傾倒.一方で,後世に影響を及ぼすことになった教 ...
7. アエギディウス・ロマヌス(Aegidius Romanus)
世界人名大辞典
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8. アヴェロエス
世界文学大事典
これらの注釈は,多くラテン語に訳され,盛期スコラ哲学に大きな影響を与えた。アルベルトゥス・マグヌス,トマス・アクィナスなどが批判・反駁というかたちではあるが,彼 ...
9. アリギエーリ ダンテ
世界文学大事典
擁するフランチェスコ会である。ダンテは前者の修道会に通って,アルベルトゥス・マグヌスやトマス・アクィナス(イタリア名はトンマーゾ・ダクィーノ)のスコラ哲学に精通 ...
10. アリストテレス(Aristotelēs)
世界人名大辞典
どをめぐり,キリスト教神学にも課題を突きつけた.13世紀以降〈哲学者〉の代名詞となり,トマス・アクィナスはじめスコラ哲学の成立に影響を与えた.〖全集〗 岩波書店 ...
11. アリストテレス学派
日本大百科全書
アラビア世界に多数の優れた注釈者を生んだ。これが西欧に伝えられ、アリストテレス主義は13世紀のトマス・アクィナスによってカトリック教会公認の哲学となり大いに栄え ...
12. アルベルトゥス・マグヌス
日本大百科全書
新プラトン哲学やイスラムのアビケンナ(イブン・シーナー)に由来する要素と混在している。彼はその弟子トマス・アクィナスにみられるような、体系的に一貫した独創的な形 ...
13. アルベルトゥス・マグヌス(〔ラ〕Albertus Magnus)
世界人名大辞典
223],神学をドイツで研究し,パリ大学で神学の教鞭を執り[45-48],ついで弟子のトマス・アクィナスを伴ってケルンに赴き,ドミニコ会高等研究学院を設立して教 ...
14. アルベルトゥス・マグヌス
世界文学大事典
ドイツのスコラ哲学者,司教,神学者,自然学者,注釈家,聖者。トマス・アクィナスの先駆者にして,師。博識と多方面にわたる学的関心をもつ学者として影響力が強い。〈わ ...
15. アレクサンデル(ヘールズの)〔ラ〕Alexander Halesius)
世界人名大辞典
ィヌス学派の学説の集成で,これにアリストテレスの学説を加味したもの.彼の総合的方法は,トマス・アクィナスに継承されて,スコラ学的方法として確立された. ...
16. アンセルムス(カンタベリーの)
世界文学大事典
か』Cur Deus Homo(98)などの著書がある。ガウニロ,ボナヴェントゥーラ,トマス・アクィナス,ドゥンス・スコトゥス,デカルト,カント,ライプニッツな ...
17. アンセルム・ド・ラン
世界文学大事典
多く導入して,命題集の編纂を手がけた。これはのちにペトルス・ロンバルドゥスの『命題集』を経て,トマス・アクィナスの『神学大全』に至る。彼はこの面でスコラ学の創始 ...
18. 安楽死
日本大百科全書
人間が人の生命を奪うことは神の意思に反するという考え方(これは聖アウグスティヌスに始まり、トマス・アクィナスにより集大成された)を前提として、安楽死も殺人の一種 ...
19. アンリ・ド・ガン(Henri de Gand)
世界人名大辞典
Gandavo〔1213頃~93.6.29〕 フランスのスコラ神学者.アウグスティヌスを支持してトマス・アクィナスに反対し,ドゥンス・スコトゥスやW.オッカムに ...
20. イスパノアメリカの征服 126ページ
文庫クセジュ
飽き飽きするほど繰り返し主張されている。これは、信じるという行為はひたすら自発的意志に発するという、聖トマス・アクィナスが高らかに断言した良識が生きつづけていた ...
21. イスパノアメリカの征服 171ページ
文庫クセジュ
学校の教授をつとめ、二〇年も以前から聖トマス・アクィナスの『神学大全』を注釈講義していた。彼は衰退したスコラ学に反発して、天使的博士(トマス・アクィナス)が見事 ...
22. イスラム哲学
日本大百科全書
さらに彼の著作の主要なものはラテン語に訳されたため、中世ヨーロッパのスコラ哲学に深い影響を与えた。トマス・アクィナスの存在の形而上学や超越概念論はイブン・シーナ ...
23. イスラムとヨーロッパ 前嶋信次著作選 2 63ページ
東洋文庫
このとき、答礼使としてカイロにきたのがアクィノのトマス伯爵という人で、キリスト教神学の大立物聖トマス・アクィナスの父親にあたる人らしい。聖トマスが生まれたのは一 ...
24. イスラムとヨーロッパ 前嶋信次著作選 2 136ページ
東洋文庫
想家イブン・ルシュド(アヴェ・エス)(一一ま6。。)の神学がイタリアのキリスト教神学者トマス・アクィナス(旨謡-謹)に及ぼした影響、また同じくイスパニアのムルシ ...
25. イスラムとヨーロッパ 前嶋信次著作選 2 138ページ
東洋文庫
学生たちに教えさせた。またこれらの文 献をパリやボローニャなどの諸地方にも送らせたが、前文中でふれたトマス・アクィナスなど も、このナポリ大学で学んだ一人だった ...
26. イタリア哲学
日本大百科全書
発展させたボナベントゥラ(13世紀)、アリストテレス哲学を大胆に受容してスコラ哲学を大成したトマス・アクィナス(13世紀)など優れた思想家が輩出した。ついで近代 ...
27. イタリア文学
世界文学大事典
おいて,文章語としてのラテン語の伝統が深く培われてきた。 いま,一例として,ラテン語名トマス・アクィナスのことを思い出しておこう。中世神学を統合し,神の存在論証 ...
28. 異端審問 86ページ
文庫クセジュ
大な金も、慈善事業や教会の事業にみな注ぎこんでしまうのである。こうして彼は、アビラに聖トマス・アクィナス修道院を建て、セゴビアのサンタ・クルス(聖十字)僧院を拡 ...
29. イブン・ガビーロール(ibn Gabīrōl, Solomon ben Judah(Jehudah))
世界人名大辞典
vitae》を通して13世紀にフランシスコ会のスコラ学者たちに大きな影響を与えた一方で,トマス・アクィナスの批判を受けた.その他に著した倫理学的書はユダヤ世界に ...
30. ウィリアム・デ・ラ・メア(William de la Mare)
世界人名大辞典
Glorieux編, 1927)において,フランシスコ会の主意主義的なアウグスティヌス主義を基盤に,トマス・アクィナスの主知主義的なアリストテレス主義の哲学の1 ...
31. 永遠
日本大百科全書
生成した世界は永遠ではなく、創造者である神のみがアエテルニタス(永遠である)とされる(アウグスティヌス、トマス・アクィナス)。ただし、キリスト教では、神の子であ ...
32. 永遠主義教育
日本大百科全書
もって教育の目的とし、この目的はただ「自由教育」、すなわち、プラトン、アリストテレス、トマス・アクィナスなどの著作を中心とする「偉大なる書物」Great Boo ...
33. エゾテリスム思想 46ページ
文庫クセジュ
ゲーベル(3)のものとされる著作の集成『錬金術大全』である。また『夜明け』は聖トマス〔トマス・アクィナス〕の手になるという伝説もあった。さらに挙げておくべき名は ...
34. エーコ
日本大百科全書
イタリアの評論家、美学者、記号論者、小説家。トリノ大学で美学を専攻。『トマス・アクィナスにおける美的問題』(1956)、現代芸術の新しい傾向を「開かれた作品」と ...
35. エーコ(Eco, Umberto)
世界人名大辞典
2.19〕 イタリアの作家,記号学者.ピエモンテ州のアレッサンドリア生まれ.トリノ大学でトマス・アクィナスの美学を研究.イタリア国営放送勤務の後,記号論・中世美 ...
36. エーコ ウンベルト
世界文学大事典
家。ピエモンテ州アレッサンドリア生まれ。トリーノ大学で美学,哲学を専攻し,卒業論文『聖トマス・アクィナスにおける美学的問題』Il problema esteti ...
37. オナニズムの歴史 26ページ
文庫クセジュ
それは埒外のものでしかない。こうしたふしだらとか淫乱といった観念の起源として、理性を優位に据えた聖トマス・アクィナス(一二二八~七四)の道徳が引き合いに出される ...
38. オプス・デイ 33ページ
文庫クセジュ
いて思索を深めることはなかった。そして、肉体労働は必ずしもする義務はないと断言した。聖トマス・アクィナスは世俗的な仕事は観想の邪魔になると説き、聖ボナベントゥー ...
39. オプス・デイ 37ページ
文庫クセジュ
だという対立を生じさせることになった。(c) 宗教の徳は超自然的な徳であると同時に、聖トマス・アクィナスによると、自然的な徳でもあるけれども、この種の霊性では一 ...
40. オプス・デイ 136ページ
文庫クセジュ
この教育は、教会の教導職および第二ヴァチカン公会議と聖座の規範に従ってなされ、その内容は聖トマス・アクィナスの教えを踏襲している。オプス・デイは、固有の教説をも ...
41. カエタヌス
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トマス・アクィナスの注釈家として著名なイタリアの神学者、哲学者。ドミニコ会士、枢機卿(すうききょう)。1518年教皇権と信仰義認についてルターと論争し、宗教改革 ...
42. カエタヌス(Cajetanus)
世界人名大辞典
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43. 科学哲学 11ページ
文庫クセジュ
さて、トマス・アクィナス(一二二五~七四年)はアリストテレス的科学の信用をキリスト教に持ち込もうとして、アリストテレスの形而上学を聖書の意味に合わせて再編成し ...
44. カトリシズム
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文化的活動の意味に限定される。 思想としてのカトリシズムは、中世を通じてしだいに形成され、トマス・アクィナスによって古典的に完成された。神を頂点とし、すべての存 ...
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46. カトリック神学入門 13ページ
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49. カトリック神学入門 21ページ
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fidei)は教義を進歩させる要因であるが、それは何よりもまず神学の発展の源泉であり、トマス・アクィナスのいう自分の信じる真理への愛を含むものである。しかしそこ ...
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である『諸原理について』(『ペリ・アルコーン』)の著者としての彼は、アウグスティヌスとトマス・アクィナスと肩を並べうる、初代教会唯一の人物である。  ...
「トマス・アクィナス」の情報だけではなく、「トマス・アクィナス」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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