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日本大百科全書・世界大百科事典

日本大百科全書(ニッポニカ)
モノレール
ものれーる
monorail 

高架に設置された1本のレールを通路として使用しながら走行する旅客輸送鉄道。たいてい2両から6両を1編成とする。ほかの鉄道システムとの相互乗入れは技術的にできない。用地の占有面積が少ないため土地の収用費用は低い。短期間で建設ができる(1年間に約8キロメートル)一方で、路面電車よりも約3倍の導入費用がかかる。多くの場合、10キロメートル程度の短距離を、時速20キロメートルから40キロメートルで運行する。道路交通渋滞の回避手段として都市交通に導入されているだけでなく、車窓からの眺望に優れているため観光交通にも使用されている。車両がレールにまたがって走る跨座式(こざしき)と、車両がレールにつり下がる懸垂式がある。元来鉄道はその字のように発生の過程からレールも車輪も鉄製であったが、モノレールのレールは初期には木製、続いて鋼鉄製となり、現在は鉄筋コンクリート製のモノレール桁(けた)が主流である。車輪は鋼鉄製よりゴムタイヤ式のほうが増えている。ゴムタイヤ式は、急加速、急曲線、急勾配(こうばい)の路線を静音で移動することに対応できる。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

沿革

海外

1824年に、世界最初のモノレールがイギリスの土木技師ヘンリー・パーマーHenry Robinson Palmer(1795―1844)によってロンドンで誕生した。G・スティーブンソンが蒸気機関車ロコモーション号の実用化に成功する1年前であった。すでに錬鉄製のレールはつくられていたが、1821年11月にイギリスで特許を取得していたパーマー式モノレールは木製のレールを使っていた。このモノレールは、レールの左右につるされた籠(かご)を馬に牽引(けんいん)させる方式であり、建築現場の資材運搬用として考案された。輸送力はロコモーション号とは比べものにならないぐらい低かった。
 1888年になって、本格的なモノレールがフランスの土木技師シャルル・ラルティグCharles Lartigue(1834―1907)によってアイルランドのリストウェル―バリブニオン間15キロメートルに敷設された。ラルティグ式モノレールは、1本の鋼鉄製レールを地上1メートルぐらいの高さに設置するだけでなく、その中央レールの左右に1本ずつの鋼鉄製サイドレールを地表近くに設置しており、中央レールとサイドレールを支える支柱は1メートル間隔で敷設された。蒸気機関車と貨車や客車は中央レールをまたぐ格好で乗り、サイドレールは案内輪用であった。跨座式で、バランスをとるために蒸気機関車のボイラーはレールの左右に1個ずつ配置され、鋼鉄製の車輪は横からは見えなかった。アイルランド内戦(1922年6月~1923年5月)によって破壊され、1924年に廃業となった。
 1901年、ドイツのオイゲン・ランゲンEugen Langen(1833―1895)が懸垂式モノレールを都市交通機関としてルール地方のウッパータールで開業した。ウッパータールでは渓谷沿いに建物が並んでいるため、懸垂式モノレール路線の大部分はウッパー川の上に鉄骨を組み設置された。1本の鋼鉄製のレールを両側にフランジ(輪縁)のついた鋼鉄製の車輪が挟み込む、両フランジとよばれる技術を採用している。街路では地上から約8メートル、ウッパー川では約12メートルの高さに支柱が設置してある。営業を続けている懸垂式モノレールでは、世界でもっとも古い。2018年(平成30)9月に懸垂式モノレールとして日本最古の湘南(しょうなん)モノレールと、姉妹懸垂式モノレール協定を締結している。
 第二次世界大戦後の1952年、スウェーデンの実業家アクセル・レナルド・ウェンナー・グレンAxel Leonard Wenner-Gren(1881―1961)が新しいモノレールの実験をドイツのケルン近郊で開始した。原理はラルティグ式と同じ跨座式であるが、レールは太い鉄筋コンクリート、車輪は大型のゴムタイヤとし、走行用車輪のほかにレールを挟む補助車輪を取り付けて安定を保つ方式を採用、考案者の頭文字を集めてアルウェーグ(ALWEG)式と命名した。アルウェーグ式モノレールはモノレールの実用化を大きく進め、1957年にはケルンの博覧会場に1.8キロメートルが、1959年にはアメリカのディズニーランドの中に1.3キロメートルが建設された。
 1960年にはフランスのパリ近郊でサフェージュ式モノレールが生まれた。フランス企業管理研究株式会社(La Société Anonyme Française d'Études, de Gestion et d'Entreprises)とその関係会社が、フランス国有鉄道とパリ交通公団との協力で開発した。サフェージュ(SAFEGE)とは、開発主体となった会社の頭文字を並べたものである。ランゲン式と同様の懸垂式モノレールであるが、レールが鋼板箱型の筒状で、その中を車両の屋根上の支柱につけられたゴムタイヤ車輪が走行する。
 このほか、アメリカで1962年3月にシアトルの万国博覧会のための交通機関や1971年10月にフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内の路線としてモノレールが開業した。2000年代に入ってからは、中国の重慶(じゅうけい)で2004年11月に重慶軌道交通2号線、2011年9月に同3号線のモノレールが開業した。また、2007年1月にシンガポールでセントーサ・エクスプレスが、2009年4月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパーム・ジュメイラ・モノレールが、2014年8月にブラジルのサン・パウロで地下鉄15号線のモノレールが、2015年4月に韓国の大邱(たいきゅう/テグ)で大邱都市鉄道3号線のモノレールが開業している(いずれも跨座式)。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

日本

日本にモノレールが紹介されたのは、1928年(昭和3)大阪天王寺(てんのうじ)公園で開催された交通電気博覧会で運行した懸垂式モノレールである。この空中電車は安全性への信頼を得られず、博覧会期間だけの運行に終わった。
 1957年(昭和32)12月17日、路面電車にかわる新しい都市交通機関の研究と園内遊覧用を兼ねて、東京都交通局が上野動物園に330メートルの懸垂式モノレール(上野懸垂線)を、地方鉄道法(1987年に日本国有鉄道法と一本化され、現在は鉄道事業法。以下同様)の適用を受ける形で日本で最初に開業した。日本車両会社が製造し、ドイツのウッパータールのランゲン式と似ているが、ゴムタイヤ車輪を使用する点が異なり、日本車両式モノレールといわれていた。車両の経年劣化のため、2019年(令和1)11月から運行休止になっている。
 1961年7月1日、奈良ドリームランド内に8の字型のループ線840メートルとして、地方鉄道法に準拠した東芝式(後述)の跨座式モノレールが開業した。鉄筋コンクリート製のモノレール桁が日本で初めて使用された。その後、モノレール桁は、東京モノレール、北九州モノレール、大阪モノレール、多摩都市モノレール、沖縄都市モノレール(ゆいレール)などで使われている。
 1962年3月21日、名古屋鉄道(名鉄)犬山(いぬやま)遊園駅から動物園駅までの1.2キロメートルに地方鉄道法の適用を受けて、アルウェーグ式モノレールが犬山モノレール(モンキーパーク・モノレール)として開業した。途中にある97‰(パーミル、千分率)の急勾配を克服するのに、ゴムタイヤのアルウェーグ式が適していたためである。アルウェーグ式は1964年1月1日から、神奈川県川崎市のよみうりランド内を1周する、よみうりランドモノレール3キロメートルにも開設された。同じ年の2月8日、サフェージュ式が名古屋市東山公園の動物園と植物園を結ぶ470メートルに、1両の車両で東山公園モノレールとして開通した。サフェージュ式モノレールの実用化は、日本で最初にこの路線で行われた。よみうりランドモノレールと東山公園モノレールも地方鉄道法の適用を受けていた。
 1964年9月17日、東京モノレールが地方鉄道法の適用を受けて、浜松町―羽田(現、天空橋(てんくうばし))駅間13.1キロメートルを15分で結ぶ本格的都市交通機関として営業運転を開始した(2004年に延伸し、現在は浜松町―羽田空港第2ターミナル駅間17.8キロメートル)。ドイツで生まれて日本で実用化されたアルウェーグ式モノレールが、東京オリンピック出場のため全世界から集まった選手たちを輸送したのである。
 1966年4月23日、小田急電鉄向ヶ丘(むこうがおか)遊園駅と向ヶ丘遊園正門駅間1.1キロメートルに地方鉄道法の適用を受けてロッキード式モノレール(後述)が向ヶ丘遊園モノレールとして完成。跨座式であるが、アルウェーグ式と違って鋼鉄製のレールと車輪を用いている。同じ年の5月2日、神奈川県の大船駅とドリームランド駅間5.3キロメートルに東芝式モノレールが横浜ドリームランドモノレールとして開業。また、同年5月17日には兵庫県の姫路駅と手柄山(てがらやま)駅間1.8キロメートルにロッキード式モノレールが姫路モノレールとして開通した(姫路市営)。横浜ドリームランドモノレールと姫路モノレールも地方鉄道法の適用を受けていた。
 1970年3月7日、地方鉄道法の適用を受けて大船駅から西鎌倉駅までサフェージュ式の湘南モノレールが営業を始め、翌年終点の湘南江の島駅まで6.6キロメートルの全線が完成した。この1970年には3月15日から大阪千里(せんり)丘陵で万国博覧会が開催され、会場内の観客輸送用にアルウェーグ式に改良を加えた日本式の跨座式モノレールが敷設されている。以降、国内では1985年まで新規開業はないが、1990年代には多くのモノレールが開業した。1985年以降開業のモノレールについては、「日本の現状―都市モノレールの台頭」に記す。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

分類と構造

懸垂式にはランゲン式、日本車両式、サフェージュ式、跨座式にはアルウェーグ式、ロッキード式、東芝式がある。動力はいずれも電気式である。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

懸垂式モノレール

(1)ランゲン式 ドイツ、ルール工業地帯のウッパータールに走っている。鉄骨で空中に支えられた鋼鉄製のレールに鋼鉄製の車輪が乗り、車輪の車軸は凹型に曲がって車両を懸垂している。
(2)日本車両式 東京上野動物園で採用(2019年11月から運行休止)。レールは鋼板製箱型でゴムタイヤ車輪がレールに乗り、タイヤが外れないように補助車輪が左右からレールを挟んでいる。車両は片側補助車輪の車軸に懸垂される。
(3)サフェージュ式 レールは鋼板製箱型の筒状で、車両を懸垂するために箱の下面中央部は開いている。この開口部両側を、車両の屋根上の支柱につけられたゴムタイヤ車輪が走行する。左右動を防ぐ補助車輪はレールの内側から側面を押している。東山公園モノレール(1974年廃線)、湘南モノレール、千葉都市モノレールに使用。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

跨座式モノレール

(1)アルウェーグ式 レールは太いI字型の鉄筋コンクリートで、走行用ゴムタイヤがレールの上に乗り、補助車輪が左右からレールを挟んで安定を保つ。アメリカのディズニーランド、犬山モノレール(2008年廃線)、よみうりランドモノレール(1978年廃線)、東京モノレールなどで採用。なお、日本では、1960年代後半、日本跨座式とよばれる改良型の日立アルウェーグ式が開発され、1962年以降、跨座式モノレールに採用されるようになった。
(2)ロッキード式 アメリカの航空機メーカーのロッキード社(現、ロッキード・マーチン社)が開発した方式。コンクリート製の桁の上に鋼鉄製のレールを乗せ、その上を鋼鉄製の車輪が走る。鋼鉄の補助車輪がコンクリート桁を左右から挟んでいるが、鋼鉄車輪のあたる部分には鋼鉄製レールが取り付けてある。姫路モノレール(1979年廃線)、向ヶ丘遊園モノレール(2001年廃線)で採用された。
(3)東芝式 鉄筋コンクリート製の桁を使用するアルウェーグ式をもとにして東京芝浦電気(現、東芝)が開発した。台車が二つの車体の間に設置された連接台車構造、自動ステアリングに特徴をもつ。奈良ドリームランドモノレール(2003年廃線)、横浜ドリームランドモノレール(1967年廃線)で採用されていた。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日

日本の現状―都市モノレールの台頭

湘南モノレール、東京モノレールは営業を継続しているが、上野動物園のモノレールは運行休止、奈良ドリームランドモノレール、よみうりランドモノレール、向ヶ丘遊園モノレール、横浜ドリームランドモノレール、東山公園モノレール、犬山モノレール、姫路モノレールの7線は廃業した。
 従来のモノレールは、地方鉄道法に依拠する鉄道施設として建設、運行されていた。しかし、1965年ころから都市部で顕在化してきた道路交通渋滞を契機に、モノレールに対する考え方が変化してきた。道路交通渋滞への対策として、道路空間を活用したモノレール建設の機運が高まり、「都市モノレールの整備の促進に関する法律」(昭和47年法律第129号)が1972年11月に制定されるに至ったのである。この法律に基づくモノレールは都市モノレールとよばれ、地方公共団体または第三セクターを建設・経営の事業主体とし、軌道法を適用して建設することになった。都市モノレールは、原則として道路を利用して建設、運営されるため、あらかじめ都市計画の決定を受ける必要がある。したがって、都市モノレールは都市問題の解決に寄与するだけでなく、街づくりに際しても役だつといえる。これに関連して1974年度からは、「都市モノレール建設のための道路整備事業に対する補助制度」が創設され、都市モノレール建設計画の調査、事業に対する国の補助体制が制度化された(1974年度からは道路整備特別会計によって、2010年度からは社会資本整備総合交付金によって国庫補助が交付されている)。
 1970年の湘南モノレール開業以降、新規開業がなかったモノレールも1985年になって北九州高速鉄道が前記の都市モノレールに対する軌道法と補助制度の適用を受けて北九州市の小倉(こくら)―企救丘(きくがおか)駅間8.8キロメートルの北九州モノレールを跨座式で開業した。以下、同様に1988年には千葉都市モノレールが軌道法の適用を受けて千城台(ちしろだい)―スポーツセンター駅間8キロメートルを懸垂式で開業、その後千葉駅まで4キロメートル延長、1999年(平成11)には千葉みなと―県庁前駅間3.2キロメートルが開通し、全長15.2キロメートルとなった。三度の路線延長を経て懸垂型モノレールとして世界最長の営業距離となり、2001年にギネス認定を受けた。1990年には大阪高速鉄道が軌道法の適用を受けて千里中央―南茨木(みなみいばらき)駅間6.6キロメートルの大阪モノレールを跨座式により開業し、以後1994年柴原(しばはら)(現、柴原阪大前)―千里中央駅間3.6キロメートル、1997年大阪空港―柴原駅間3.1キロメートル、南茨木―門真(かどま)市駅間7.9キロメートルを開通した。大阪空港と門真市駅を結ぶ本線21.2キロメートルの開通により、跨座式モノレール営業距離世界最長の認定を受け、1998年にギネスブックに登録された(その後、2011年に中国の重慶軌道交通3号線のモノレールが開業したことによって、ギネス記録の座を失っている)。大阪モノレールは本線のほか万博記念公園―彩都(さいと)西駅間6.8キロメートルの支線である国際文化公園都市モノレール線(彩都線)が1998年~2007年に開通している。多摩都市モノレールは軌道法の適用を受けて1998年立川北―上北台駅間10.6キロメートルが跨座式で開業し、2年後の2000年には多摩センター―上北台駅の全線16キロメートルが開通した。2001年7月に千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートに鉄道事業法の適用を受けて開業した環状路線5キロメートルのディズニーリゾートラインも跨座式である。また2003年8月に沖縄都市モノレールが軌道法の適用を受けて那覇(なは)空港―首里(しゅり)駅間12.9キロメートルを跨座式で開業、2019年には首里―てだこ浦西駅間4.1キロメートルが延伸され、全長17キロメートルとなった。
 このほかに、特殊な方式のものとして、軌道法の適用を受けてみどり口―みどり中央駅間1.3キロメートルを1998年に開業した広島市のスカイレールがある。懸垂式の小型車両(定員25人)で、駅間は一定の速度で循環するワイヤーロープを握索(あくさく)装置でつかむことにより移動し、駅部ではロープを放してリニアモーター駆動となる。
[吉村光夫][藤井秀登]2020年4月17日



改訂新版 世界大百科事典
モノレール
monorail

ふつうの鉄道が2本の鋼製レール(軌条)を利用して車両を走らせるのに対し,1本の走行軌条(走行桁)を用いて車両を走行させる鉄道をいう。単軌鉄道ともいい,跨座(こざ)式,懸垂式の別がある。

 モノレールの発明は19世紀初めにさかのぼり,種々の考案がなされたが,実用化の第一歩は,フランス人ラルティーグCharles Lartigueによる跨座式に始まった。1888年アイルランドで蒸気機関車を使用する跨座式の営業線が開業し,1924年まで旅客,貨物の輸送に用いられた。またドイツのランゲンEugen Langen(1833-95)の考案による懸垂式の営業線は,1901年ドイツ・ルール工業地帯のブッパータールで開業し,電車運転の方式を用いながら今日なお有効に機能し続けている。ブッパータールでの長期にわたる実用は,市街地化に伴う用地の取得困難に対し,河川上空に高架軌道を架設するアイデアにより支えられてきた。

 第2次世界大戦後,急激なモータリゼーションによってもたらされた都市内交通の混乱に伴って,地下鉄道,高架式普通鉄道に比べ建設費が割安なモノレールは,広く注目を浴びるに至った。高架構造に軌道を建設すると,道路,河川などの上空部を効果的に利用できるという長所がある。コンクリート製軌条を敷設し,走行車輪にゴムタイヤを使用すると,鋼製レールに比して,急こう配に対処しやすく,加減速が容易な点も利点とされている。反面,運転経費の割高なことが欠点となる。

 1950年代以降,アメリカ合衆国,ヨーロッパで新式モノレールがいくつか開発されたが,実用化ではいち早く技術導入にふみきった日本が,画期的な成功例を保持している。オリンピック(1964)開幕直前,東京の都心部と東京国際空港を結んで開業した跨座式モノレールは,空港連絡鉄道の有効性を実証しつつ,今日に至っている。85年には,市街地内通勤輸送を使命とする都市モノレール(跨座式)が,北九州市の小倉で開業した。懸垂式の代表例には,神奈川県の大船と江の島を結ぶ湘南モノレール(1971全通)がある。なお,モノレールかどうかは議論が分かれるが,札幌市営地下鉄(1971開業)は,レールは1本だが左右1対のゴムタイヤがコンクリート路面上を転ずる,案内軌条式をとっている。
[中川 浩一]

形式と構造

モノレールの形式は,基本的には,車体が走行桁にまたがった形で走行する跨座式モノレールと,車体が走行桁からぶら下がった形で走行する懸垂式モノレールの二つに大別される。細部の差によってそれぞれにもいくつかの型があるが,現在,日本で実用的な交通機関として用いられているのは,跨座式ではアルベーグ型およびこれを改良した日本跨座式と呼ばれるもの,懸垂式ではサフェージュ型と呼ばれるものである。

 アルベーグ型および日本跨座式のモノレールは,鉄筋またはプレストレストコンクリートあるいは鋼鉄製の,断面がほぼ矩形の桁を走行桁とし,車両側のゴム製の支持車輪,案内(誘導)車輪,安定車輪がこの走行桁を囲んで走行するものである。すなわち,車両の支持と推進を受けもつ支持車輪(他の2種の車輪よりやや大きい)は走行桁の頂面を転送,また軌道の曲直に応じて車両の走行方向を誘導する案内車輪および車体の転倒を防ぐための安定車輪は,それぞれ垂直軸のまわりに回転し,走行桁の上部および下部を両側からはさむようにして転送する(図1)。

 サフェージュ型の懸垂式モノレールでは,走行桁は下部が開口したセミボックス断面の鋼構造が用いられ,その内部を八つのゴム製車輪で構成されたボギー台車が走行するようになっている。車両の支持と推進を受けもつ4輪(駆動車輪)は比較的大きく,走行桁内の水平な走行版上を転送し,他の比較的小さい4輪(案内車輪)は走行桁内の側壁に設置されている誘導版に接触しながら垂直軸のまわりを回転して車両を誘導する(図2)。車体は台車の下に装着される。

 なお遊園地などでは,これらからかなり変形した形のモノレールも多い。

交通機関としての特徴

前述のようにモノレールは主として高架構造をとり,また占用面積も比較的少なくてすむため,河川上空をはじめ道路上にも設置可能で,限られた都市空間を有効に利用できるという利点をもつ。また,ゴムタイヤを使用するので,騒音も少なく,急こう配の走行もでき,台車の構造から急曲線でも走行可能であり,路線の選定の自由度が大きい。もちろん,消防活動の問題などから道路の拡幅を一部伴う場合もあるが,建設費は地下鉄に比べれば安価である。輸送力ではバスよりははるかに大きいが,日照,都市美観などの問題から高架駅の乗降場の長さが制限され,列車編成長にも限度が生ずるため地下鉄や高架鉄道には劣る。

 このような点から,新たな用地の取得が困難な日本の都市において,地下鉄を建設するほどは利用者が多くなく,一方,バスでは輸送力が不足する場合の交通機関として適性があると考えられているが,建設費が高価であるだけに開業後の収支均衡をとりにくい場合が多く,普及にも限度が生じているのが現状である。
[八十島 義之助]

[索引語]
monorail 単軌鉄道 ラルティーグ,C. Lartigue,C. ランゲン,E. Langen,E. 案内軌条式鉄道 跨座式モノレール 懸垂式モノレール
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検索コンテンツ
1. モノレール画像
日本大百科全書
上野動物園のモノレールは運行休止、奈良ドリームランドモノレール、よみうりランドモノレール、向ヶ丘遊園モノレール、横浜ドリームランドモノレール、東山公園モノレール
2. モノレール画像
世界大百科事典
中川 浩一 形式と構造 モノレールの形式は,基本的には,車体が走行桁にまたがった形で走行する跨座式モノレールと,車体が走行桁からぶら下がった形で走行する懸垂式モ
3. モノレール
日本国語大辞典
つりさげる懸垂式と、またがらせる跨座(こざ)式とがある。単軌鉄道とも。*三匹の蟹〔1968〕〈大庭みな子〉「モノレールの車の中は薄い明るい紫色に照らされていた」
4. モノレール【monorail】
数え方の辞典
▲本、▲両 モノレールの路線は「本」で数えます。車両は「両」で数えます。 →電車
5. モノレール[カタカナ語]
イミダス 2018
[monorail]【機械・工業製品】レールが1本しかない電車.車両がレールの上をまたがって走る跨座式と,レールにつり下がった懸垂式のものがある.単軌鉄道.
6. 懸垂式モノレール(サフェージュ式)の構造[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©渡部利久
7. 跨座式モノレールと懸垂式モノレールの構造例[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©Shogakukan
8. 東京モノレール
日本史年表
1964年〈昭和39 甲辰〉 9・17 東京モノレール (株)、浜松町―羽田空港間開業(国内初の営業モノレール)。
9. 懸垂式モノレール
日本大百科全書
モノレール
10. 跨座式モノレール
日本大百科全書
モノレール
11. あきやま-とおる【秋山竜】
日本人名大辞典
り,運輸省海運局長などをへて,24年運輸事務次官。28年日本空港ビル社長となり,40年東京モノレール社長をかねた。平成12年1月3日死去。94歳。岡山県出身。京
12. 茨木(市)画像
日本大百科全書
街道)、名神高速道路、新名神高速道路などが東西に走り、大阪高速鉄道大阪モノレール線(本線)、同国際文化公園都市モノレール線(彩都(さいと)線)が南部を通る。山麓
13. ウッパータール
日本大百科全書
発足し、市内の二つの核心となっている。平坦(へいたん)地が少ないため、1901年に川の上にモノレールが建設され、現在も重要な市内交通機関として利用されている。齋
14. エコライド[新語流行語]
イミダス 2018
乗客1人を1km運ぶエネルギー消費量はバスの3分の1、電車の2分の1程度で済む。建設費も、モノレールの5分の1程度であるという。2012年の実用化を目指している
15. 江の島画像
日本大百科全書
もある。サザエの壺(つぼ)焼きが名物。小田急電鉄江ノ島線片瀬江ノ島、江ノ島電鉄江ノ島、湘南モノレール湘南江の島駅下車。砂州上には江の島大橋(1964年完成)と江
16. 江の島
世界大百科事典
たが,明治初年の神仏分離により江島神社となった。江ノ島電鉄(江ノ電),小田急江ノ島線,湘南モノレール線がそれぞれ藤沢,新宿,大船から対岸の片瀬まで通じ,島へは歩
17. おおいむら【大井村】東京都:品川区地図
日本歴史地名大系
年開設、同四八年廃止)などがあった。勝島と大井埠頭の間は京浜運河で、運河沿いに同四〇年東京モノレールが開通、大井競馬場前駅が開設された。勝島三丁目はしながわ区民
18. 大阪(府)画像
日本大百科全書
泉北高速鉄道、水間鉄道がある。大阪国際空港と南茨木(みなみいばらき)を結ぶ大阪高速鉄道(大阪モノレール線)は1997年(平成9)に門真市まで延伸開業(本線)。1
19. 大阪国際空港画像
日本大百科全書
年間旅客数は約1454万人、年間取扱貨物量は約13万1000トンを数える。大阪国際空港への交通機関としては、モノレール(大阪高速鉄道)と、各地のターミナルからの
20. 大田(区)画像
日本大百科全書
線、東京急行電鉄池上線・目黒線・東急多摩川線・東横線・大井町線、都営地下鉄浅草線および東京モノレールが通じている。2000年(平成12)に目黒駅(品川区)まで全
21. おおたく【大田区】東京都地図
日本歴史地名大系
横須賀線(品鶴線)、東急電鉄大井町線・池上線・目黒線・東横線・多摩川線、京浜急行(本線・空港線)、東京モノレール、都営地下鉄浅草線が縦横に走る。区域には日本の製
22. 大船画像
日本大百科全書
神奈川県鎌倉市(かまくらし)北部の一地区。旧大船町。東海道本線、横須賀(よこすか)線、根岸(ねぎし)線、湘南モノレール(しょうなんものれーる)が通じ、それらが集
23. 沖縄(県)画像
日本大百科全書
2003年(平成15)8月10日那覇市内12.9キロメートル(那覇空港―首里間)に沖縄都市モノレール(ゆいレール)が開通した。なお、宮古列島は宮古島市、八重山列
24. 沖縄[県]画像
世界大百科事典
題は深刻化している。その対策として,道路の立体化などの整備を進める一方,2003年沖縄都市モノレールの那覇空港~首里間が開通。沖縄自動車道は1975年に名護市の
25. オーディベルチ ジャック
世界文学大事典
es Tonnes de Semence(41),小説に『ラ・ナー』La Nâ(44),『モノレール』Monorail(46),『マリ・デュボワ』Marie D
26. 果樹園
世界大百科事典
また果樹の栽培には防風林,盗難防止柵,仕立用の棚(ブドウ,ナシなど)や,傾斜地ではさらに運搬用のケーブルやモノレールなど各種の施設が必要とされる。果樹は永年生作
27. 門真(市)画像
日本大百科全書
国道163号(清滝(きよたき)街道)、近畿自動車道も走る。1997年(平成9)には大阪高速鉄道(大阪モノレール線)と大阪市営地下鉄(現、大阪市高速電気軌道)長堀
28. カフェ[流通産業]
イミダス 2018
ィーをもたせた店もある。スペシャリティコーヒー発祥の地であるシアトルでは、モノレールのターミナルに店を構えたモノレール・エスプレッソやノードストローム百貨店によ
29. 鎌倉(市)画像
日本大百科全書
深沢(ふかざわ)村を編入。JR東海道本線、JR横須賀線が通じ、大船からはJR根岸(ねぎし)線、湘南モノレール(大船―湘南江の島間)が発する。また、南部の鎌倉―藤
30. 鎌倉[市]画像
世界大百科事典
多くなり,48年北西方の深沢村・大船町が編入されて現在の市域となった。61年大船駅から湘南モノレールが湘南江の島まで開通し,沿線の旧大船町,深沢村,腰越地区の宅
31. ガイドウェー[外来語・カタカナ語]
現代用語の基礎知識 2019
(1)モノレールやリニアカーなどの車輪を導く溝。(2)すべり溝。
32. ガイドウエー[カタカナ語]
イミダス 2018
[guideway] (1)【機械・工業製品】滑り溝 (2)モノレールやリニアモーターカーなどに用いる,車輪を導くコンクリート溝.
33. 北九州(市)画像
日本大百科全書
ばれる九州交通上の要衝である。私鉄は筑豊電気鉄道などが走り、小倉―企救丘(きくがおか)間のモノレール(北九州高速鉄道)が1985年開業。航路は小倉・新門司港から
34. 九州地方画像
日本大百科全書
1993年の宮崎駅と順次進めた駅舎の改造は、1995年着工、1998年開設の新小倉駅に象徴されるように、モノレールの北九州高速鉄道との直結、8階建の小倉ターミナ
35. けんすい‐しき【懸垂式】
日本国語大辞典
〔名〕空中に設備した一本の走行桁に、走行装置を取り付け、それに車両を吊りさげて運転するモノレールの方式の特殊鉄道。〓跨座式(こざしき)
36. 公営交通
日本大百科全書
地方公共団体の経営する交通事業。その営業分野は路面電車、バス、地下鉄、ニュータウン鉄道、モノレール、架空索道(ロープウェー)、簡易軌道、船舶運送業などにわたって
37. 坑内運搬画像
世界大百科事典
1本のレールからつり下げた搬器で,器材や坑木を運搬する方式(モノレール運搬)が,切羽付近の坑道でしばしば用いられている。モノレールの搬器は,小型巻上機で駆動され
38. 小倉(福岡県)画像
日本大百科全書
ターチェンジと小倉南インターチェンジがあるほか、北九州都市高速道路、北九州高速鉄道(北九州モノレール)が通り、交通上の要衝としても重要である。なお、小倉南区の東
39. こざ‐しき【跨座式】
日本国語大辞典
ルや走行桁に、跨(また)がって走る走行装置を取り付け、その上に客室(車両)を備えて運転するモノレールの方式。〓懸垂式。
40. 品川(区)画像
日本大百科全書
都営地下鉄浅草線、JR東海道新幹線・東海道本線(横須賀線)・京浜東北線、京浜急行電鉄、東京モノレールが通り、北部をJR山手(やまのて)線が走り、中央部を東急大井
41. 品川
世界大百科事典
火力発電所があり,その南の大井コンテナー埠頭に続く。海岸沿いを首都高速道路1号線,湾岸線,モノレールが走るほか,JR東海道本線,山手線,京浜東北線,京浜急行線が
42. しながわく【品川区】東京都地図
日本歴史地名大系
経て大崎駅につながる。私鉄は京浜急行線、東京急行目黒線(旧目蒲線)・池上線・大井町線、東京モノレールが走る。地下鉄は営団南北線が目黒駅(品川区内に所在)に乗入れ
43. 不忍池
世界大百科事典
る。明治・大正期には内国勧業博覧会会場になった。現在は北の約1/3が上野動物園西園となり,モノレールで東園と結ばれている。冬季にはガン,カモ,オシドリなどが渡っ
44. しのばずのいけ【不忍池】東京都:台東区/旧下谷区地区/上野公園地地図
日本歴史地名大系
第二次世界大戦の直後には池の一部が水田化されたが、戦後の復興とともに水上動物園・水上音楽堂、モノレール(現在運休中)などが設けられ、昭和五五年(一九八〇)には台
45. 芝浦画像
日本大百科全書
められ、芝浦製作所(現、東芝)などが立地し、工業地区、港湾地区となった。芝浦運河が通じ東京モノレールが走る。運河から東方の埋立地は海岸とよばれる地区で、竹芝、日
46. 車体広告
日本大百科全書
ごく小面積に限られていた路線バスや路面電車の広告を大幅に緩和した。2001年にはJR、地下鉄、モノレールなど列車の車体広告規制も緩和。公営交通の収益改善につなが
47. 上海画像
日本大百科全書
年、外港呉淞の開港に際して建設された中国最初の鉄道である。そのほか、市内に地下鉄が2路線、モノレールが1路線ある。また、浦東(ほとう/プートン)国際空港と虹橋(
48. 集運材法画像
日本大百科全書
ックによる運材が行われている。山脇三平軌道運材2本レールの単線軌道(森林鉄道)による運材とモノレールによる運材とがある。後者は箱型レール上をエンジンカーが2、3
49. 集材
世界大百科事典
ン装備のトラックが用いられる。民有林における小径間伐材の集材には,単線循環式軽架線あるいはモノレールなどが用いられている。上飯坂 実 yarding skidd
50. 新交通システム画像
日本大百科全書
ムとしてとらえられている方式のうち、おもなものを次に紹介する。吉川文夫懸垂式モノレールロープウェーに近いモノレールといえる構造で、鋼製の軌道桁(けた)に走行輪と
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モノレール(日本大百科全書・世界大百科事典)
高架に設置された1本のレールを通路として使用しながら走行する旅客輸送鉄道。たいてい2両から6両を1編成とする。ほかの鉄道システムとの相互乗入れは技術的にできない。用地の占有面積が少ないため土地の収用費用は低い。短期間で建設ができる


「モノレール」は乗り物に関連のある記事です。
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