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認知発達ロボティクス

ジャパンナレッジで閲覧できる『認知発達ロボティクス』の日本大百科全書のサンプルページ

日本大百科全書(ニッポニカ)
認知発達ロボティクス
にんちはったつろぼてぃくす
cognitive developmental robotics

従来、設計者が明示的にロボットの行動を規定してきたことに対し、環境との相互作用から、ロボットが自ら行動を学習し、それらを発達させていく過程に内包される抽象化、シンボル化を実現するためのロボット設計論。

認知発達ロボティクスの焦点は、自律的なロボットが環境との相互作用を通して、世界をどのように表現し行動を獲得していくかといった、ロボットの認知発達過程にある。とくに、環境因子として他のエージェントの行動が自分の行動をどのように規定していくかという過程のなかに、ロボットが「自我」をみいだしていく道筋が解釈できるのではないかという期待がある。このように環境との相互作用をベースとして、その時間的発展に焦点をあて、脳を含む自己身体や環境の設計問題を扱う研究分野である。

認知発達ロボティクスの基本的な考え方は、問題自体に対する理解の過程を、ロボット自身が環境との相互作用を通じて経験することにより、さまざまな状況に対応可能なメカニズムを構成論的アプローチによって構築することである。とくに、知的行動を人間のレベルまで求めるなら、人間以外の動物にも可能な連合学習から、人間特有のシンボル生成/利用の記号学習、すなわち言語獲得に至る過程(言語創発)が、ロボットの内部構造と外部環境の多様かつ制約的相互作用のなかにみいだされなければならない。

このようなヒトの認知に関する研究は、従来、認知科学、神経科学、心理学などの分野で扱われてきた。そこでは、説明原理による理解を目ざしており、認知発達ロボティクスが志向する設計原理に基づくものではない。しかしながら、人間理解という共通基盤をもとに、工学的アプローチからは、「システム構成による仮説検証や新たな認知科学的仮説の生成」が、認知科学、神経科学、心理学などの分野に提案され、逆に、これらの分野から、「システム構成への仮説」が工学的アプローチに提案され、相互フィードバックによる認知発達モデルの構成と検証が可能である。それが認知発達ロボティクスの一つの理想形である。

[浅田 稔]2020年5月19日

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