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日本大百科全書(ニッポニカ)
ディスレクシア
でぃすれくしあ
dyslexia
知的機能の発達の遅れや視覚障害がないにもかかわらず、読むことに著しい困難を抱える症状。読むことだけでなく書くことにも困難を伴うことが多く、発達性読み書き障害ともいわれる。発達障害のうち学習障害の中心的な症状である。
ディスレクシアのある人は、欧米では人口の10~15%とされる。一方、日本では大規模な調査は行われておらず不明である。ただし、文部科学省による学齢児童生徒に関する調査(2012)では、「読む」または「書く」に著しい困難のある児童生徒の割合は2.4%程度であった。
現状ではディスレクシアを医学的に治すことはむずかしく、読むことの困難さを軽減する支援が重要となる。たとえば、音声化(代読、音声教材、録音図書ほか)、文字の拡大化(拡大教科書、大活字本ほか)、読書補助具の使用(タイポスコープ、カラーフィルターほか)などの支援があるが、有効な支援は困難さの種類・程度によって異なる。これらの支援が学校や図書館などで必要に応じて適切に受けられることがたいせつであり、そのための環境整備が急がれる。
[野口武悟]2020年8月20日
©Shogakukan Inc.
情報・知識 imidas
ディスレクシア
Dyslexia
読みや書きに困難を伴う
学習障害(
LD)のひとつ。
読字障害や
難読症とも呼ばれる。また、脳梗塞などの後遺症によって読み書きが困難になる場合と区別して、小児期に生じるものは発達性
ディスレクシアとも呼ばれる。何らかの脳機能に問題があることが要因とされるが、はっきりとした原因は判明していない。文字の形とそれに対応する音とを一致させるのに困難を伴うのが特徴で、似ている文字の意味や音、形などを混同する。主な症状として、飛ばし読みや書き写しの間違いなどがみられ、数字の記憶などにも困難を生じる場合がある。読字能力が改善した青年期に入っても症状が持続することが多い。また、読む機会が少なくなることによって、二次的に語彙(ごい)や知識の増大を妨げることもある。発現率は、不規則な読み方の多い言語ほど高くなり、英語などのアルファベット圏では、全人口の3~12%を占めている。一方、知的能力には問題がなく、芸術など特定の分野にすぐれた才能を発揮する場合もある。
[イミダス編][2012.01]
©Shueisha