1948年(昭和23)「国立国会図書館法」の制定に伴い設置された図書館。英語名はNational Diet Library。翌1949年、東京の上野にあった、上野図書館(帝国図書館)を支部図書館として合併、1961年国会議事堂わきに本館(東京都千代田区永田町)を完成し、それまで仮住まいしていた旧赤坂離宮(迎賓館)から移った。1986年本館に隣接して新館を建設。増え続ける蔵書に備え、電子図書館などの新たな機能を担う国立国会図書館関西館を関西文化学術研究都市に建設し、2002年(平成14)10月に開館した。また、支部上野図書館を改修、日本初の国立の児童書専門図書館として国際子ども図書館を2000年に開館した(全面開館は2002年)。
初代館長は憲法学者の金森徳次郎(1886―1959)、副館長は哲学者の中井正一 (まさかず)(1900―1952)であったが、その後2000年代まで衆参両院の事務総長が館長に選ばれていた。
2021年1月21日
国立図書館設立の要望は明治時代からあったが、上野の帝国図書館がその機能を一部果たし、また議会両院には、貴族院・衆議院時代から議員のための小コレクションがあった。第二次世界大戦後、国立図書館を新しく整備する動きがおこり、アメリカから使節団がよばれた。アメリカ議会図書館とアメリカ図書館協会から派遣されたこの使節団は、アメリカ議会図書館の例に倣い、次のことを勧告した。すなわち、国会のための図書館であると同時に、国内図書の網羅的収集とその責任ある書誌記述を行い、広く国民の利用に供すること、館長は国務大臣級の人物をあてることなどであった。これに基づき国立国会図書館法が制定された。
2021年1月21日
国内の出版物は、国立国会図書館法により、すべて国立国会図書館への納本が義務づけられ、これによって網羅的な資料収集の基盤ができあがった。同館はこれをもとに全出版物の正確な書誌情報を「全国書誌データ」として同館のウェブサイトで提供している。
国立国会図書館は、東京本館、関西館、国際子ども図書館および行政・司法各部門の支部図書館(27館)で構成されている。東京本館には、国会審議に資する調査及び立法考査局があり、法律、政治、経済その他の分野で調査員を置いている。また、資料の収集、整理、サービス部門などがある。国会に対するサービスとともに、国民のための図書館として、館内閲覧、参考調査(レファレンス)質問への回答を行い、国内の公共図書館、大学図書館、学校図書館、専門図書館への貸出しその他のサービスを行っている。国際図書館連盟International Federation of Library Associations and Institutions(IFLA (イフラ))に正会員として加入し、国際的な活動も推進している。
2021年1月21日
東京都千代田区永田町にある日本唯一の国立図書館。1948年の〈国立国会図書館法〉にもとづき,旧赤坂離宮内を仮庁舎として発足した。49年上野図書館を合併し,61年国会議事堂わきの現在地に移転。68年に地下2階,地上6階,本館延べ面積約7万4000m2の建物が完成した。さらに86年には,地上4階,地下8階,延べ面積7万3000m2の別館が完成し,本館と合わせた資料の収蔵能力は1200万冊となる。1996年現在,蔵書約720万冊,職員約823名をもつ日本最大規模の総合的図書館である。この図書館の特色は,同図書館法第2条〈図書及びその他の図書館資料を蒐集し,国会議員の職務の遂行に資するとともに,行政及び司法の各部門に対し,更に日本国民に対し,この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする〉点にある。すなわち〈国会図書館〉であるとともに〈国立図書館〉でもあることである。先例はアメリカ議会図書館Library of Congressにみるだけで,国立中央図書館としては特異の形態といえる。その設立の精神は,前記図書館法の前文〈真理がわれらを自由にするという確信に立って,憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として,ここに設立される〉に示されている。なお,2002年に京都府相楽郡精華町に国立国会図書館関西館が開館し,東京本館と関西館が相まってその機能を担う。
業務内容は,国会図書館として,(1)国会議員の国政審議に資するため,図書資料の閲覧,貸出しを行うだけでなく,とくに調査および立法考査局を設け,多くの専門調査員をおいて立法資料の調査,法案の分析評価,さらには求めに応じて議員を補佐して議案起草の奉仕なども行う。(2)行政・司法各部門に所属する図書館を支部図書館として傘下におき,図書資料の分担収集,文献の相互貸借などを行う。支部図書館・分館は最高裁判所図書館や国土交通省図書館など32館(2008年現在)ある。その他,国会分館,支部上野図書館(現,国際子ども図書館),支部東洋文庫がおかれている。一方,国立図書館としては,(1)国内出版物の網羅的収集を行う納本図書館の機能をもつ。官公庁,民間の別なく,国内の出版物は定められた部数を納入させる。ここでいう出版物とは,図書・雑誌・新聞だけでなく,レコード,スライド,点字図書なども含まれている。(2)網羅的に収集された出版物を基礎に,全国書誌の編纂を行う。すでに《全日本出版物総目録》を1948年版から毎年刊行してきたが,日本MARCシステムJapan Machine Readable Cataloging(機械可読目録)の開発により,1977年版から機械編纂にかわり,記載事項が詳細になり,発行が迅速化されることになった。《雑誌記事索引》(1996年1月以降受入れ分から冊子体に代わって電子媒体で提供),《国会会議録総索引》など専門的な書誌の発行も行っている。以上のほか日本の図書館を代表して海外諸国と資料の交換,国際貸借,図書館活動に関する国際的プロジェクトへの参加などの業務もある。なお国立国会図書館の利用は,満20歳以上の者ならばだれでも可能である。地方在住者など登館できない人たちのためには図書館間貸出しの制度や,オンラインによる全国のおもな公立図書館への情報提供サービスがある。
→納本制度
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