ジャパンナレッジは約1500冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書」サービスです。
➞ジャパンナレッジについて詳しく見る
  1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 科学・医学
  6. >
  7. 医療・身体
  8. >
  9. 病気・怪我・障害
  10. >
  11. 人獣共通感染症

人獣共通感染症

ジャパンナレッジで閲覧できる『人獣共通感染症』の岩波 生物学辞典・日本大百科事典のサンプルページ

岩波 生物学辞典 第5版

人獣共通感染
[zoonosis]

《同》人畜伝染病.ヒトと脊椎動物の双方に自然に感染する伝染性疾病の総称.病原体別に人獣共通寄生虫症などの名称がつけられている.病原体は大別してウイルス,細菌,真菌,リケッチア,原虫,蠕虫(吸虫・条虫・線虫),プリオンに分けられる.感染力や症状は,ヒトと動物で異なるものもある.多くの人獣共通感染症が存在するが,代表的なものに,炭疽,ブルセラ,豚丹毒,レプトスピラ症(leptospirosis,ワイル病Weil's disease,秋疫などを含む),狂犬病,オウム病,アクチノバチルス症,リステリア症(listeriosis),鼠咬症(rat-bite fever),野兎病(ツラレミアtularemia),ウイルス性の出血熱であるマールブルグ熱(Marburg fever)やエボラ出血熱(Ebola hemorrhagic fever),ラッサ熱(Lassa fever),多くの吸虫(肝吸虫や肺吸虫など)や条虫(広節裂顎頭条虫や有鉤条虫など)によるものなどがある.



日本大百科全書(ニッポニカ)

人獣共通感染症
じんじゅうきょうつうかんせんしょう

動物と人間に感染する共通の感染症をいう。初めはanthropozoonosisというギリシア語を人獣伝染病と訳したが、動物の病気が二次的に人間に感染するものを人獣共通伝染病、のちに人畜共通感染症というようになった。現在では人獣共通感染症という呼称が一般的である。英語ではzoonosis(ズーノシス)という。対象動物も飼育動物や獣類だけでなく、いろいろな種類の動物、たとえば鳥類、爬虫 (はちゅう)類その他の野生動物や実験動物なども含まれる。また、共通感染症なので、動物が人間から感染させられる被害者になることもある。

 おもな人獣共通感染症には次のようなものがある。

(1)細菌性のもの 炭疽 (たんそ)、ブルセラ症、結核、サルモネラ症、赤痢、豚丹毒 (とんたんどく)、リステリア症、野兎 (やと)病、ペスト、パスツレラ症、エルシニア症、鼻疽、カンピロバクター症、レプトスピラ症など。

(2)ウイルス性のもの 狂犬病、日本脳炎、ニューカッスル病、Bウイルス病、マールブルグ病、ラッサ熱、腎 (じん)症候性出血熱、黄熱 (おうねつ)、リフトバレー熱、ニパウイルス感染症など。

(3)リケッチア性・クラミジア性のもの Q熱、発疹 (ほっしん)熱、ロッキー山紅斑 (こうはん)熱、オウム病など。

(4)真菌性のもの 各種の皮膚真菌など。

(5)プリオンによるもの クロイツフェルト・ヤコブ病など。

 このほか、寄生虫性の感染症には以下のものがある。

(6)原虫性のもの トキソプラズマ症、アメーバ赤痢、トリパノソーマ症、リーシュマニア症など。

(7)蠕虫 (ぜんちゅう)性のもの 肝蛭 (かんてつ)症、肺吸虫症、日本住血吸虫症、有鉤 (ゆうこう)条虫症、無鉤条虫症、広節裂頭条虫症、トリヒナ症、広東 (カントン)住血線虫症など。

(8)外部寄生虫によるもの ハエ幼虫症、疥癬 (かいせん)、ニキビダニ症、ワクモ類による刺咬 (しこう)症など。

 なお、人獣共通感染症のなかでも38種が、共通感染症もしくはその可能性の高いものとして「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律114号、2003年改正時)に、届出対象疾患として指定されている(日本獣医師会『共通感染症ハンドブック』2004年刊)。

 動物から人間への感染を防除するには、病原体、伝播 (でんぱ)経路、および感受性を有する宿主などの特性によってそれぞれ対策を異にする。たとえば、動物に対しては、保菌動物の検出、隔離、治療、消毒などの処置とともに、ワクチンによる予防接種があり、とくに海外からの侵入を検疫などにより防止し、伝播にかかわるネズミや節足動物を駆除することが重要である。一方、人間に対しては、予防接種、衛生教育、情報交換などを徹底する必要がある。

[本好茂一]

上記は、日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書サービス「ジャパンナレッジ」のサンプル記事です。

ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。
すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
パソコン・タブレット・スマホからご利用できます。


人獣共通感染症の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 57
検索コンテンツ
1. MRSA感染症
日本大百科全書
抗生物質が効かないMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による感染症。感染症予防・医療法(感染症法)で5類感染症に指定されている。日本では1980年代後半から
2. MRSA感染症【2019】[医学【2019】]
現代用語の基礎知識
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 による感染。メチシリンをはじめ多くの抗生物質が効かない。MRSAは健康な人の体内にも存在し感染力も弱いが、病院内では、抗生物質で他
3. 感染症予防・医療法
日本大百科全書
イズ)、性器クラミジア感染症、梅毒、麻疹(はしか)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA感染症)、アメーバ赤痢、クロイツフェルト・ヤコブ病、髄膜炎菌性髄
4. ブドウ球菌
日本大百科全書
十分な状態でないとするならば、院内感染対策と抗生物質使用の適正性を考慮するべきである。 MRSA感染症の治療にはバンコマイシン、ティコプラニン、アルバカシン、リ
5. 薬剤耐性菌【2019】[医学【2019】]
現代用語の基礎知識
多剤耐性アシネトバクター菌 やNDM-1遺伝子をもつ多剤耐性菌の院内感染が日本で報告された。→MRSA感染症 、→院内感染
「人獣共通感染症」の情報だけではなく、「人獣共通感染症」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶

人獣共通感染症と同じ病気・怪我・障害カテゴリの記事
スキン-テア(日本大百科全書)
加齢などにより脆弱になった皮膚において、軽微な外力が加わることにより生ずる裂傷。主として高齢者の四肢に発生する外傷性の皮膚潰瘍であり、摩擦単独あるいは摩擦・ずれによって、表皮が真皮から分離(部分層創傷)、または表皮および真皮が下層構造から分離
褥瘡(日本大百科全書・世界大百科事典)
身体に加わった外力により、骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流が低下あるいは停止し、この状況が一定時間持続することにより皮膚組織が不可逆的な血流不足となり、局所的に酸素欠乏および低栄養状態となって壊死(えし)に陥った状態。寝たきりで自力での体動が
自己免疫疾患(岩波 生物学辞典)
《同》自己免疫病.本来,病原体などの非自己異物に対する防御機構として誘導される免疫反応が,自己の細胞や組織に対して誘導され(自己免疫),その結果生じる細胞・組織傷害に起因する疾患.自己・非自己を区別する獲得免疫系の自己寛容機構の破綻が原因と考えられるが
小児期・思春期・若者のうつ病(日本大百科全書)
年少・若年者が抑うつ的になる症状。小児うつ病をはじめとして、この年代でも薬物療法の対象になる精神疾患があることが知られている。しかも、小児期や思春期のうつ病は、本人が自分の気持ちをうまく表現できなかったり、いらいら感やいわゆる
うつ病(日本大百科全書・岩波 生物学辞典・イミダス)
気分がひどく落ち込む、何事にも興味をもてなくなる、といった精神症状のために、精神的に強い苦痛を感じたり日常の生活に支障が現れたりしている状態をいう。分類・疫学うつ病は、以前は遺伝や体質による内因が関与している内因性うつ病と
病気・怪我・障害と同じカテゴリの記事をもっと見る


「人獣共通感染症」は医療に関連のある記事です。
その他の医療に関連する記事
花粉症(日本大百科全書・世界大百科事典)
花粉に対するアレルギー反応により、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が引き起こされる現象。おもな症状は、鼻ではくしゃみ、鼻水(鼻漏)、鼻づまり(鼻閉)、眼(め)ではかゆみである。花粉が鼻腔(びくう)粘膜、結膜に付着することにより発症するため、原因と
麻酔(世界大百科事典)
薬の作用により体の一部あるいは全身の知覚と運動機能を一時的に消失させ,手術のような体に侵害を加える際の痛みや精神的苦痛を取り除くことをいう。薬の作用が局所に限られるものを局所麻酔と呼び,全身的に作用するものを全身麻酔と呼ぶ。全身麻酔は通常意識消失を
高温障害(日本大百科全書)
高温度下の労働や運動によって体温調節や循環器系の機能が損なわれたり、水分や塩分などの代謝のバランスを失ったりしておこる障害をいい、熱中症ともよばれる。発生機構の相違から次の三つの病型に大別される。[重田定義]▲熱けいれん症ボイラーなどの火を扱う作業者
熱中症(世界大百科事典)
高温下での労働といった職業的原因で起こる熱射病をいう。日本でも,かなり昔から〈よろけ〉という名称で,鉱山等の高温多湿の環境で働く作業者によく起こった熱中症が記載されている。ごく最近まで高熱のもとでの作業は,鉱山,製鉄,紡績工場,ボイラー室等においてよ
メッセンジャーRNA(岩波 生物学辞典)
mRNAと略記.《同》伝令RNA.遺伝子の情報が蛋白質として発現される過程で,情報の担体として合成されるRNA.ゲノム上の遺伝情報は一定の単位でRNAに転写される.その際,DNA依存性RNAポリメラーゼはDNA上のプロモーター部位を認識してこれと結合
医療に関連する記事をもっと見る


ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額600万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のインターネット辞書・事典・叢書サイト」です。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶