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インフルエンザ

ジャパンナレッジで閲覧できる『インフルエンザ』の日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

日本大百科全書(ニッポニカ)

インフルエンザ
いんふるえんざ
influenza

インフルエンザウイルスによっておこる急性の呼吸器感染症。かぜ(またはかぜ症候群)に属する一疾患であり、かつては流行性感冒(英語でgrippe、ドイツ語でGrippe、フランス語でgrippe)ともよばれた。

[加地正郎]

歴史

インフルエンザは詳細な流行の記録が17世紀ころから残されているが、その歴史は遠く紀元前にまでさかのぼることができるとされている。近年の世界的な大流行としては1889~1890年の流行と、1918~1919年のスペインインフルエンザがある。とくにスペインインフルエンザは、全世界での患者6億、死亡者3000万に達し、日本でも患者2300万、死亡者38万余という惨禍を残し、インフルエンザの歴史のみならず、感染症の流行史においても特筆すべき大流行であった。

 1933年にインフルエンザの病原ウイルスが発見されたが、それ以後では1957年のアジアインフルエンザ、1968~1969年の香港 (ホンコン)インフルエンザ、1977~1978年のソ連インフルエンザなどが有名である。

[加地正郎]

流行

インフルエンザウイルスには、A、B、Cの3型があり、このうちA型およびB型は強烈な伝播 (でんぱ)力をもち、広範な流行をおこす。患者のくしゃみ、咳 (せき)によって飛び散った気道分泌物の小粒子に含まれたウイルスが直接に(飛沫感染)、あるいは空気中に浮遊しているさらに小さな気道分泌物由来の粒子中のウイルスが(飛沫核感染あるいは空気感染)周囲の人の呼吸器に侵入して感染をおこす。集団生活の場では、飛沫核感染によって同室内の人が同時に多数罹患 (りかん)する。日本では、秋の終わりから翌年の初春までの寒い時期に発生する。流行は、まず家庭内といった小範囲での発生に始まり、ついで学校などの集団発生となって、そこで感染した学童、生徒が各家庭で感染を拡げる結果、その地域での流行として拡大していく。

 流行後は集団としてそのウイルスに対する免疫ができるが、ウイルスの抗原変異によって抗原構造のずれた型のウイルスが出現すると(連続変異)、その集団免疫ではその流行を阻止できず、ふたたび流行する。さらにA型では、こうした流行のくり返しである年月の間には集団免疫が高くなるので、その集団免疫を乗りこえるため、それまで流行していた型とまったく違った抗原構造をもつ型が出現する(不連続変異)。出現当初の冬にはそれに対する免疫がない状態なので、世界的な大流行となり、その後規模がそれほど大きくない流行をくり返す。こうした連続変異と不連続変異によってA型流行の歴史が綴られていく。

 A型ウイルス粒子の表面に存在する2種のスパイク(突起)すなわち赤血球凝集素hemagglutinin(HA)とノイラミニダーゼneuraminidase(NA)の抗原性によって、HAは1~16まで、NAは1~9までの違った型が知られており、このHAとNAの組合せによって理論的には16×9=144の亜型(subtype)の存在が考えられ、鳥類をはじめ多くの動物の間に分布している。人の間で流行をおこした、あるいは現在も流行している亜型はH1N1(ソ連型)、H2N2(アジア型)およびH3N2(香港型)であり、最近H1N2という亜型の流行も報告されている。

 なお、HAの分類について現在のH1は赤血球凝集抑制試験によってHsw1(swはswine、豚型の意)、H0、H1、H2、H3という亜型に分類されていたが、1980年から二重免疫拡散法によるデータからHsw1、H0、H1の3つはH1としてまとめられることになった。

 ここには流行の歴史を一般に用いられている名称でそれぞれの亜型による流行期間をのべると、豚型(Hsw1N1)流行1917~1928年、古典的A型(H0N1)流行1930~1946年、Aプライムまたはソ連型(H1N1)流行1947~1956年および1977年から現在、アジア型(H2N2)流行1957~1967年、香港型(H3N2)流行1968年から現在で、香港型とソ連型の二つが、流行を繰り返しているところであるが、そろそろ新しい亜型の登場と、それによる大流行が警戒されているところに、2003年暮から家禽の間で流行し始めたH5N1型が世界的な広がりをみせ、人への感染例への報告が相次ぐに及んで、このH5N1型による大流行が危惧されている。

[加地正郎]

ウイルスの感染と進展

呼吸器粘膜には、上皮細胞の線毛(繊毛)の動きと粘液の作用で、侵入してきたウイルスを排除するという働きをはじめとする、感染防御のメカニズムが備わっているが、呼吸とともに鼻やのどから侵入してきたウイルスがこの防御機構に打ち勝って呼吸器粘膜細胞に感染をおこすと、その細胞内でウイルスは増殖し始め、増殖したウイルスは細胞を破壊して細胞外に出て周囲の細胞へと感染を拡大していく。

 大局的にみると、ウイルスの感染は鼻やのどの上気道から気管や気管支の下気道へ、つまり呼吸器の奥のほうへと進んでいき、それに応じて鼻やのどや気管支に炎症がおこる。したがって、急性鼻炎や急性気管支炎の症状が現れるわけであり、炎症が広範かつ高度におこるため、熱などの全身反応も強くなる。

[加地正郎]

症状

潜伏期は1~3日とたいへん短い。急激に発病するが、熱、頭痛、腰痛、全身のだるい感じなどの全身症状で始まり、続いてのどの痛み、咳などの呼吸器症状が現れる。熱は急速に上昇し、1~3日後には38~39℃にも達する。同時に頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛などの痛み、全身のだるい感じが強くなる。呼吸器からの症状としては、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰 (たん)などが現れるが、声がれ、鼻出血などもときにみられる。そのほか、嘔吐 (おうと)、腹痛、下痢などの消化器症状も出現することがある。この消化器症状は、小児では成人よりもおこりやすい。

 熱は3、4日後には解熱するか、解熱しないまでも徐々に下降し始め、5~7日以内には解熱する。熱の経過に応じて頭痛などの全身症状や呼吸器症状も軽くなっていき、普通はおよそ1週間で治癒するが、咳だけが残ったり、全身のだるい感じがなかなかとれないこともある。

 このような症状はA型もB型も同様であるが、一般的にはB型がやや軽い。しかし、新型インフルエンザとして人での流行が懸念されているH5N1ウイルスによるインフルエンザは、これまでの報告によるときわめて重症で、ウイルス自体によって肺病変が強くおこり、呼吸不全から多臓器不全をきたし、高い致死率を示している。この点はこれまでのインフルエンザとは、その様相を異にしている。

[加地正郎]

合併症

従来のインフルエンザでもっとも警戒すべき合併症は肺炎である。病原のウイルス単独でも肺炎をおこしうるが、ウイルス感染によって気管支粘膜の上皮細胞が破壊され、その部の感染防御の働きが低下したのに乗じて細菌が二次的に感染するため肺炎合併症がおこるのが普通である。二次感染をおこす細菌としては、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、連鎖球菌などが主であるが、緑膿菌 (りょくのうきん)や肺炎桿菌 (かんきん)なども注目されている。

 この肺炎を合併しやすい素因としては、慢性呼吸器疾患(慢性気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息 (ぜんそく)など)や心疾患、ことに僧帽弁膜症、糖尿病などの存在、高齢、妊娠などがあげられている。また、肺炎を合併する頻度は一般には数%以下、普通は1%前後である。このように合併頻度は低いが、流行に際してのインフルエンザ患者数はきわめて多数に上るので、肺炎を合併してくる患者の実数もまた多数となる。

 肺炎のほかにも、小児では急性脳症やライReye症候群などの重篤な神経系の合併症には警戒を要する。このほか心筋炎や心外膜炎などの心合併症がみられることもあるが、これらの合併症はそれほど多いものではない。

[加地正郎]

予後

インフルエンザは合併症をおこさない限り約1週間で治癒する疾患で、予後は一般に良好である。肺炎を合併すると予後はかならずしも良好でなく、二次感染菌に対する強力な抗菌療法にもかかわらず重篤な経過をたどることがあるので注意する必要がある。また、種々の慢性の病気をもつ患者がインフルエンザに罹患すると、それをきっかけにして、以前からの病気が悪化することがある。

[加地正郎]

治療

インフルエンザウイルスに直接に作用する抗ウイルス剤としてアマンタジンが用いられ、ある程度の治療効果が認められている。しかし、ウイルスが耐性を獲得しやすい難点があり、現在ではノイラミニダーゼ阻害薬のリン酸オセルタミビル(「タミフル」)およびザナミビル(「リレンザ」)が広く用いられているが、これらの薬に対しても耐性ウイルスが報告されるようになった。そのほか治療としては高熱に対する解熱薬、激しい頭痛や腰痛などの痛みを和らげる鎮痛薬、ひどい咳には鎮咳 (ちんがい)剤(咳止め)を用いるというように、苦痛となる症状を抑える対症療法が中心となる。このほか、一般的な療法として安静と水分補給があげられるが、安静はとくに重要で、治癒を促し、肺炎合併症を予防するのに役だつ。肺炎合併症には、二次感染をおこしている細菌に対する化学療法が必要となる。

 なお、細菌の二次感染による肺炎の合併を予防する目的でインフルエンザの発病当初から抗菌薬の投与を行うことについては議論のあるところである。前述のような肺炎を合併しやすい素因のある例では必要なこともあるが、一般にはこの予防的抗菌療法は行わないのが普通である。抗菌薬はインフルエンザウイルス自体には無効である。

[加地正郎]

予防

インフルエンザワクチンの接種が行われる。現行のものはホルマリン不活化HAワクチンである。HAワクチンとは、ウイルス粒子の成分のうち、感染を防ぐのにもっとも重要な抗体をつくらせる赤血球凝集素(HA)という成分を集めてつくったワクチンの意味である。ワクチンとしては不必要なウイルス成分の脂肪が除かれているので、副作用がそれだけ軽減される。1972年(昭和47)以来、それまでの不活化したウイルス粒子(全粒子)を用いたワクチンからこのHAワクチンに切り替えられている。

 現在のワクチンにはA型(香港型、ソ連型)およびB型が含まれており、いずれの型が流行しても対応できる。さらにウイルスの連続変異に対応するため、毎年製造のワクチン株の選択にも考慮が払われている。一般にワクチンの予防効果は70~80%程度とされている。13歳未満では1~4週間の間隔で2回、成人では通常1回、皮下に注射するが、注射後1~2週間から3~6か月間くらい予防効果が期待できる。したがって、流行期より以前の10~11月ころに注射するが、効果の持続期間が短いことと、年々流行してくるウイルスの型がすこしずつ変わる傾向があり、ワクチンもそれに対応してつくられるので、毎年予防注射を受けることが必要となる。

 肺炎を合併しやすい素因をもつ人には、とくにワクチン接種が勧められるが、その場合には既存の病気その他に対する慎重な配慮が必要である。また、ワクチンはウイルスを孵化 (ふか)鶏卵で培養してつくるため、鶏卵アレルギーの人は注射を避ける。ワクチンの副作用としては、注射部位が赤く腫 (は)れたり痛みがあるほか、熱や全身のだるい感じなどがみられることがあるが、その出現頻度は低く、また一般に軽度で、特別の処置を要することはほとんどない。

 また、ワクチンのほかに、流行が発生した場合、休校や学級閉鎖などの措置をとって流行の拡大を食い止めるように努める。休校の期間は2、3日では不十分なことが多く、5日程度が望ましいとされる。

[加地正郎]

インフルエンザウイルス

オルトミクソウイルスOrthomyxovirusに属するウイルス。1本鎖RNA(リボ核酸)ウイルスで、A型、B型、C型がある。

 インフルエンザウイルス粒子は球状で80~120ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)、カプシド(ウイルス核酸と結合タンパク質を取り巻くタンパク質殻)は螺旋 (らせん)対称形エンベロープ(外被)を形成する。ゲノム1本鎖RNAは線状で、A型は8分節、C型は7分節、各遺伝子ごとに分節している。第7分節、第8分節RNAから転写されるmRNA(メッセンジャーRNA)には長いRNAと短いRNAがあり、それぞれから異なったタンパク質が翻訳される。全分子量は4~5×106ダルトン(1ダルトンは1.661×10-27キログラム)、全塩基総数13~15×103塩基。各型の原形ウイルスについては全塩基配列も決定されている。ウイルスRNAは核タンパク質が螺旋対称状に配列し、それに3種類のRNAポリメラーゼ(RNA鋳型からのRNA形成を触媒する酵素。PA、PB1、PB2)が結合してヌクレオカプシド(カプシドに直接取り込まれているウイルスの核酸)を形成する。8本のヌクレオカプシドはエンベロープに包まれる。直径80~120ナノメートル、球状、ときには多形態性を示す。エンベロープは細胞膜脂質二重層を基本単位とする。赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼneuraminidase(NA)がスパイク状に外面に突出している。膜タンパク質membrane protein(M1)といわれる粒子は脂質二重層を裏打ちするように粒子が配列し、膜タンパク質(M2)は4本が束のような形となり、二重層を貫通したように、内側から外側に突き出したようになっている。イオンチャンネルとしての役割をもつ。

 インフルエンザウイルスが宿主 (しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)細胞に感染するとHAタンパク質が分解酵素によってHA1とHA2に開裂する。H1は細胞表面のシアル酸レセプター(受容体)に吸着し、細胞内に取り込まれる。エンドソーム内へは酸性条件下でHA2が働きウイルスエンベロープ脂質二重層とエンドソーム膜脂質二重層と融合がおこり、ヌクレオカプシドが細胞内に放出される。次にヌクレオカプシドに付着しているRNAポリメラーゼ(PA、PB1、PB2)がウイルスゲノムRNAを転写して、プラス鎖mRNAを合成する。

 このmRNAと宿主のつくる新しいmRNAとウイルスの塩基配列が初動的役割を果たし、PB2、PB1、PAの順番で誘導、転写が進行する。感染初期にはRNAポリメラーゼ、核タンパク質、非構造タンパク質の合成が先行し、ゲノムRNAの複製とヌクレオカプシドの形成が進む。感染後期になって膜タンパク質、赤血球凝集素、ノイラミニダーゼの合成促進と細胞膜への輸送によってエンベロープ構造ができあがる。次に8種類のヌクレオカプシド1組がエンベロープを周囲にもちながら出芽する。出芽直後のウイルス粒子は、ノイラミニダーゼが周囲のシアル酸基を切断することにより、細胞表面から遊離する。

 インフルエンザウイルスは核タンパク質や膜タンパク質の抗原性によりA型、B型、C型の3タイプに分類する。

(1)インフルエンザA型ウイルス 赤血球凝集素(HA)の血清型は16種(H1~H16)、ノイラミニダーゼ(NA)の血清型は9種(N1~N9)、このHA血清型とNA血清型を組み合わせると、理論上は144亜種が存在することになる。カモ、アヒル、シチメンチョウなどの鳥類からはHA、NAの血清型のすべてが発見されている。現在まで70余の亜種株が分離固定されている。ヒトから分離されたインフルエンザA型ウイルスはH1N1、H2N2、H2N2の3亜種である。ウマやブタも自然宿主となる。ウマやブタなどの動物のインフルエンザウイルスはヒトに感染伝播することはないと考えられる。

(2)インフルエンザB型ウイルス HA、NAの血清型が各1種類だけで、亜種はない。自然宿主もヒトだけである。

(3)インフルエンザC型ウイルス A型、B型とは異なり、独特なものである。A型のノイラミニダーゼに当たるRNA分節が欠落しているからで、ヘマグルチニン‐エステラーゼhemagglutinin-esterase(HE)によって分類される。亜種はなく、自然宿主もヒトだけである。

[曽根田正己]



世界大百科事典

インフルエンザ
influenza

流行性感冒,略して流感ともいわれ,インフルエンザウイルスによって起こる感染症の一つ。突然の発熱,頭痛,悪寒,だるさ,咳,筋肉痛などがあり,上気道,鼻腔,結膜などに炎症が起こる。冬季に多い。インフルエンザウイルスはRNAウイルスで,A,B,Cの諸型に分けられ,A,B型はさらにいくつかの亜型に分けられる。流行するインフルエンザウイルスの型は年によって異なる。通常いろいろの地域に散発的に流行するが,しばしば世界的な大流行がみられる。感染は上気道からの飛沫感染とされ,潜伏期は1~4日。発熱はふつう3~5日継続する。インフルエンザウイルス以外による感染症でも,同じような上気道の炎症で始まることが多く,とくに感冒症候群(風邪)と呼ばれているものとは区別しにくい。感冒症候群は明確な流行の形をとらない場合が多いが,確実な診断は血清学的検査によってインフルエンザウイルスに対する抗体価を測定する以外に方法はない。インフルエンザウイルスに感染したあと,二次的に他の細菌などに感染することも多い。気道粘膜はインフルエンザウイルスに侵されて壊死に陥るが,これが二次的に他の病原体の感染の温床となり,急性の副鼻腔炎,中耳炎,化膿性気管支炎,気管支枝炎,肺炎,気管支拡張症などを引き起こし,ときには心囊炎,心筋炎を合併することもある。このように悪質な合併症があるので,インフルエンザを軽視してはならない。

 インフルエンザウイルス自体に有効な治療薬は現在まだ発見されていないので,人体のもつ抵抗力によって自然に治るのを待つわけであるが,それを助ける意味で,まず安静,それに鎮咳(ちんがい)剤,解熱剤などを用い,合併症を引き起こさないようにすることが第一である。合併症を起こすと,慢性化しやすいので恐れられたが,近年は合併症の治療に抗生物質が用いられ,そのおかげで重症で致命的な合併症はみられなくなった。インフルエンザの症状が激しいときには最初から抗生物質を用いたほうが安全な場合もある。

 予防にはワクチン注射があり,1~2週間の間隔で2回行う。この有効性は数ヵ月から1年間は持続するといわれる。流行するウイルスの型とワクチンのウイルスの型が違うと効果は少ないので,ワクチンは最近流行した二,三の型のウイルスを用いて作られる。
[高谷 治]

インフルエンザウイルスMyxovirus influenzae

ミクソウイルス属のRNAウイルスで,長さ80~120mμ,球形のものが多いが,線形のものもある。大きくA,B,Cの3型に分けられ,A型はさらにA0,A1,A2などの亜型に,B型もB1,B1a,B1b,B2などの亜型に分けられるが,変異の度合はA型のほうが大きい。またA型ウイルスは抗原構造が少しずつ変化し,ときに急激に変化するという特徴をもっている。この急激な変化を不連続変化という。インフルエンザウイルスに感染すると,その型のウイルスに対する免疫を獲得するが,不連続変化によって新型のウイルスが生じると,大流行を起こすことになる。B型ウイルスにも抗原構造の変異はあるが,A型の場合よりは小さく,流行の度合もA型のほうが強い。病原ウイルスの同定は,患者のうがい水から孵化(ふか)鶏卵培養法によって,ウイルスを分離するか,適当なウイルスの抗原を用い,血清学的に補体結合反応あるいは血球凝集抑制反応によって判断する。
[川口 啓明]

インフルエンザワクチン

インフルエンザの流行型は毎年のように変わるが,ワクチンの生産開始は,流行の半年から1年も前なので,流行株の予想は立てても,当然,当り外れがある。かりに予想が的中しても効果は80%程度である。また,少数ではあるが重い副作用もある。このため,集団接種に反対する医師もいる。なお,児童に集団接種しているのは日本だけである。
→ワクチン
[矢田 透]

疾病史

近代医学の発達により,ペスト,コレラ,痘瘡(とうそう)などの疫病がほとんど征服された今日でも,インフルエンザだけは世界的流行をくりかえし,人類最後の疫病といわれている。この疫病はギリシア時代から知られていたが,近代までは記録が欠けているため,正確な年代記はたどれない。18~19世紀には文明世界では16回の世界的流行があったことが知られ,とくに1847年の流行ではロンドンで25万の死者を数え,89年には〈旧アジア風邪〉といわれる大流行があった。インフルエンザは周期的に流行することがその特徴であり,ほぼ10年ほどの間隔で大小の流行をくりかえしている。

 インフルエンザ流行史でとび抜けて大きな災厄をもたらしたのは,〈スペイン風邪〉として知られる1918-19年の世界的大流行で,かつてのペスト(黒死病)の惨禍を想起させる疫病史上の一大事件となった。その原発地について,最も可能性の高いのはアメリカと中国であった。1918年早春,アメリカの兵営でインフルエンザの発生があり,ときあたかも第1次大戦のさなか,4月にはフランス戦線に感染し,4月末にはスペインに広がり,6月イギリスにこれが移り,〈スペイン風邪〉と呼ばれるにいたった。これとほぼ同時に,中国本土と日本の海軍でインフルエンザ発生が報告され,5月に中国全土にまんえんした。大戦終結の年にあたる18年はヨーロッパに世界各地から兵士と労働者が集まり,インフルエンザ流行の絶好の状況のなかで,第2波がヨーロッパを席巻し,数週間のうちに世界中の兵士と市民を襲い,地球上の住民の約半数が罹患したという。第3波は翌年の冬に起こり,これまで免れていた地域を襲い,多くの人命を奪った。その伝染力はすさまじく,潜伏期もきわめて短く,ある日たった1人の患者しかいなかった軍隊で,翌日は数百人の患者が発生するというほどであった。とくに20~40歳の働きざかりの人々に重症者が多く,肺炎の合併症が死亡のおもな原因であった。このインフルエンザによる死者は,アメリカで40万人以上,イギリスで20万人,インドでは500万人といわれる。世界中でこのインフルエンザにより,約2500万人の死者を算したと推定され,細菌学的医学の勝利に冷水をあびせ,大戦の死者をはるかにしのぐ伝染病の猛威のまえに,〈疫病の時代はまだ去っていない〉と疫学者をして嘆じさせた。日本でも罹患者2500万,死者38万余という,これまでにない惨禍をもたらした。

 続いて57-58年の〈アジア風邪〉の世界的流行が記憶に新しい。中国に原発したそれは地球上の全域を侵し,日本でも人口の半数が罹患したといわれるが,幸いにも多数の人命を奪うということはなかった。しかしこのアジア風邪の伝播速度は,スペイン風邪のそれよりはるかに速かった。アジア風邪ウイルスは,1957年2月から11月までの10ヵ月で世界を一周した。それはいうまでもなく現代人の移動の頻繁さと迅速さに起因している。密集した集団生活,満員の交通機関,迅速な航空輸送など,現代の社会環境が世界中の人々をほとんど同時に侵襲するインフルエンザの爆発的な性格をつくったのである。

 日本では,とくに江戸時代後期,つまり18世紀後半から19世紀前半にかけて,古書で風邪(ふうじや)・風疫・感冒などと呼ばれたインフルエンザの大流行をたびたび記録している。それらの流行は,世事にちなんで〈お駒風〉〈谷風〉〈お七風〉〈アメリカ風〉などの呼名がつけられ,いずれも全国的に猛威をふるい,多数の死者を数え,社会生活に大きな影響を及ぼした。そして,その大半は18世紀末から19世紀初頭のいわゆる異常厳冬期に集中・発生している。近世日本のインフルエンザの発生・伝播の経路をみると,ほとんどの流行がまず長崎に発生し,続いて中国地方から上方(かみがた)を経て関東に到達,さらに奥羽へと東進している。このことは,長崎が当時唯一の外国に開かれた門戸であったからであり,またインフルエンザが舶来の伝染病であったことを裏書きするものである。
→風邪(かぜ)
[立川 昭二]

[索引語]
influenza インフルエンザウイルス インフルエンザウイルス 感冒 風邪 感冒症候群 Myxovirus influenzae インフルエンザワクチン 旧アジア風邪 スペイン風邪 風邪 アジア風邪 風疫
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検索コンテンツ
1. インフルエンザ
日本大百科全書
1933年にインフルエンザの病原ウイルスが発見されたが、それ以後では1957年のアジアインフルエンザ、1968~1969年の香港ホンコンインフルエンザ、1977
2. インフルエンザ
世界大百科事典
検査によってインフルエンザウイルスに対する抗体価を測定する以外に方法はない。インフルエンザウイルスに感染したあと,二次的に他の細菌などに感染することも多い。気道
3. インフルエンザ
日本国語大辞典
やったから」*門〔1910〕〈夏目漱石〉一四「安井は此悪性の寒気に中(あ)てられて、苛(ひど)いインフルエンザに罹った。熱が普通の風邪よりも余程高かったので」
4. インフルエンザ[感染症]
イミダス 2018
38度以上の高熱に加え、頭痛・筋肉痛・関節痛などの全身症状を起こす感染症。原因となるインフルエンザウイルス(influenzavirus)はA型・B型・C型の
5. インフルエンザ[カタカナ語]
イミダス 2018
[influenza]【医学・生理】かぜ症候群の一つ.流行性感冒.
6. インフルエンザ[標準語索引]
日本方言大辞典
ふーち
7. インフルエンザと漢方[漢方]
イミダス 2018
冬に流行するインフルエンザは、高熱や筋肉痛などの症状が出て、脳症を起こしやすく、2次感染により死亡することもある感染症。2009年には新型インフルエンザA-H
8. インフルエンザ【2019】[医学【2019】]
現代用語の基礎知識
インフルエンザウイルス(A・B・C型)の感染によって生ずる急性炎症。ほかの風邪症候群と異なる点は、咳や痰とともに高熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などの全身症状が著明な
9. インフルエンザ ウイルス[カタカナ語]
イミダス 2018
[influenza virus]【医学・生理】【生物】流行性感冒の病原体となるウイルス.
10. インフルエンザウイルス
岩波 生物学辞典
トリックス蛋白質M1の抗原性の違いによりA,B,Cの3型に分けられる.A型,B型は季節性インフルエンザを起こすが,C型は主に小児に感染し,その流行は局地的である
11. インフルエンザ菌
日本大百科全書
945)がインフルエンザの患者から分離し、その病原菌として記載したのでこの名でよばれたが、その後インフルエンザの病原はインフルエンザウイルスであることが確定し、
12. インフルエンザ治療薬[カタカナ語]
イミダス 2018
[remedies for influenza infection]【薬品・薬学】インフルエンザ感染症に使う治療薬.A型インフルエンザに効く塩酸アマンタジン製剤
13. インフルエンザとは何か
文庫クセジュ
名で世界的に蔓延してきた病、インフルエンザ(流行性感冒)。本書は、インフルエンザ研究の成果のもと、歴史を検証しつつ、その傾向と対策をわかりやすく解説。インフルエ
14. インフルエンザ脳炎・脳症[出産/育児]
イミダス 2018
インフルエンザをきっかけとして脳が腫れ、頭の中の圧力が高まり、脳全体の機能が低下する病気である。主として乳幼児がかかり、インフルエンザの発熱から数時間から1日
15. インフルエンザ脳症[カタカナ語]
イミダス 2018
[influenza encephalopathy]【医学・生理】インフルエンザが原因で,脳の機能低下を起こす病気.インフルエンザ脳炎ともいう.
16. インフルエンザ万能ワクチン[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
世界的流行が懸念されている新型インフルエンザ(H5N1型)をはじめ、あらゆるインフルエンザウイルスに効く可能性をもつワクチン。国立感染症研究所、北海道大学、埼
17. インフルエンザワクチン[薬]
イミダス 2018
体内に病原体に対する抗体を作り、以後、感染症にかかりにくくするという医薬品である。国産のインフルエンザワクチンは、ウイルスを有精卵に接種して増殖させ、培養液から
18. Aソ連型インフルエンザ[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
インフルエンザウイルスの一つ。2009年1月27日、国立感染症研究所はAソ連型が08年から09年にかけての冬のインフルエンザ流行の主流になりつつあると発表。A
19. A香港型インフルエンザ[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
77年に旧ソビエト連邦でウイルスが特定されたAソ連型インフルエンザ(H1N1)、2009~10年にパンデミック(世界的大流行)を起こした新型インフルエンザ(現在
20. H5N1型/新型インフルエンザ[感染症]
イミダス 2018
すべてのトリインフルエンザウイルスはA型である。そして、A型インフルエンザウイルスのすべては鳥を感染させる。A型ウイルスはさらに血球凝集素ヘムアグルチニン(H
21. 馬インフルエンザ[競馬]
イミダス 2018
JRAはウイルス性感染症の馬インフルエンザ発症のため、感染拡大の防止を理由に2007年8月17~18日の新潟、小倉、札幌の各競馬場の開催を中止した。1972年
22. 馬インフルエンザ[イミダス編 文化・スポーツ]
イミダス 2018
インフルエンザウイルスによる感染症で、せき、鼻水、発熱などを伴う急性呼吸器疾患。ウイルスにはウマ1型(H7N7)とウマ2型(H3N8)の二つがあり、感染の広
23. 馬インフルエンザ[新語流行語]
イミダス 2018
ウイルスによって感染する、馬の急性呼吸器疾患。2007年8月、競走馬(サラブレッド)の間に、「馬インフルエンザ2型フロリダ亜系統」グループの「H3N8亜型」ウイ
24. 警報フェーズ/パンデミックインフルエンザ警報フェーズ[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
。なお、2009年4月にメキシコでの感染拡大をきっかけとした新型インフルエンザ問題では、WHOは4月27日に新型インフルエンザの発生を宣言するとともに、警戒レベ
25. 抗インフルエンザ薬
岩波 生物学辞典
インフルエンザの治療薬.A型に有効なアマンタジン,A型とB型の両方に有効なザナミビルやオセルタミビルなどが臨床で使用される.いずれの薬剤もすでに増殖したウイルス
26. 抗インフルエンザ薬【2019】[薬【2019】]
現代用語の基礎知識
インフルエンザの治療に用いられる抗インフルエンザ薬に新しい作用機序の薬が加わった。従来の治療薬はノイラミニダーゼ阻害薬 と呼ばれ、呼吸器細胞内で増えたインフルエ
27. 高病原性トリインフルエンザ[感染症]
イミダス 2018
トリインフルエンザウイルスは鳥、豚、馬、アザラシ、クジラおよびヒトを含むさまざまなタイプの動物に感染する可能性がある。それらは一般に自然界で無症状のまま野鳥など
28. 新型インフルエンザ(ペット)[ペット]
イミダス 2018
ブタから人への感染によって世界に広がった新型インフルエンザH1N1は、人からイヌ・ネコへの感染が確認されている。感染したイヌ・ネコの症状は、発熱、脱水、食欲不
29. 新型インフルエンザ/インフルエンザA(H1N1)[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
そのため当初は、豚インフルエンザ(swine influenza)と呼ばれていたが、2009年4月30日、世界保健機関(WHO)がインフルエンザA(H1N1)に
30. 新型インフルエンザ【2019】[医学【2019】]
現代用語の基礎知識
人間が初めて遭遇するウイルスが感染源となるインフルエンザ。2009年4月、豚由来のウイルスによる新型インフルエンザ(A型、H1N1)の集団感染がメキシコで報告さ
31. 新型インフルエンザA-H1N1[感染症]
イミダス 2018
以下では61%、それ以上では29%)であった。また、伝染性は季節性インフルエンザよりも高く、過去に出現した新型インフルエンザとの比較では、低いほうの値に近いと推
32. 新型インフルエンザ対策ガイドライン[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
世界的大流行(パンデミック)が懸念される新型インフルエンザが発生した時の対策指針。厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議が、2007年3月26日にまとめたも
33. 新型インフルエンザ対策行動計画[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
強毒性のH5N1鳥インフルエンザ等が、人・人感染のウイルスに変異し、新型インフルエンザとなった場合に備え、厚生労働省が作ったマニュアル。世界保健機関(WHO)の
34. 新型インフルエンザ等対策特別措置法
日本大百科全書
補償や知事権限強化を法制化する目的で2013年4月に施行された。対象とする感染症は新型インフルエンザ、過去に大流行した再興型インフルエンザ、未知の新感染症で、2
35. 新型インフルエンザ等対策特別措置法[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
新型インフルエンザなど、急速にまん延して健康被害をおよぼす恐れがある新感染症対策を強化し、発生時の国民への影響を最小限に抑えるための法律。2012年4月27日
36. 新型インフルエンザ特別措置法[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
新型インフルエンザA-H1N1の予防接種における、ワクチンの副反応(副作用)等で、健康に問題が生じた人を救済するための法律。正式名称は新型インフルエンザ予防接
37. 新型インフルエンザワクチン【2019】[薬【2019】]
現代用語の基礎知識
海外では鳥インフルエンザのヒトへの感染事例が報告されており、鳥インフルエンザウイルスがいつヒトからヒトに感染するウイルスに変異してもおかしくない。新型鳥インフル
38. スペインインフルエンザ
日本大百科全書
録がある。インフルエンザウイルスが発見されるのはこの流行以降の1933年のことで、スペインが最初に感染を報告したことから、当初はスペインかぜとよばれていた。原因
39. トリインフルエンザ
日本大百科全書
ば「新型インフルエンザ」として、かつてのスペインインフルエンザやアジアインフルエンザと同様の世界的な大流行(パンデミック)をおこすことになると危惧きぐされている
40. 鳥インフルエンザ[食料資源]
イミダス 2018
2004年1月に日本を始めアジアを中心に拡大した鳥インフルエンザは、高病原性鳥インフルエンザで、日本では1925年以来79年ぶりの発生となった。鳥インフルエンザ
41. 鳥インフルエンザ[消費者問題]
イミダス 2018
世界保健機関(WHO)が発表した高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)による2007年の感染確定症例数は、全世界で86例、うち死亡59人と依然として猛威を振るっ
42. 鳥インフルエンザ【2019】[医学【2019】]
現代用語の基礎知識
鳥がかかるインフルエンザ。ヒトの間ではA型とB型が流行するが、鳥インフルエンザウイルスはすべてA型。特に病原性が強いものを高病原性鳥インフルエンザ と呼び、H5
43. 鳥インフルエンザに国際監視網[消費者問題]
イミダス 2018
2008年8月、日本、アメリカ、ドイツ、ロシアなど16カ国が、鳥インフルエンザを防止するための国際的なネットワーク網を構築することに合意した。ICタグを利用し
44. 鳥インフルエンザ論文騒動[科学技術と現代社会]
イミダス 2018
2011年末から12年にかけて論争となった鳥インフルエンザに関する論文発表の是非だった。東京大学医科学研究所とオランダのエラスムス医療センターの研究者は、H5N
45. ハイリスク者(インフルエンザ)[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
者。こうした基準は、季節性インフルエンザでの重症者をもとに、アメリカ疾病対策センター(CDC)が策定したもので、2009年にパンデミックを起こした新型インフルエ
46. パラインフルエンザ[カタカナ語]
イミダス 2018
[parainfluenza]【医学・生理】喉頭,気管,気管支の炎症を引き起こすウイルス.インフルエンザとはまったく別のウイルス. 2009 06
47. ブタインフルエンザ
日本大百科全書
が報告され、同時にブタインフルエンザ菌の存在も認められている。ブタインフルエンザウイルスとブタインフルエンザ菌が同時に感染すると症状が重症化する。ヒトでのインフ
48. 豚インフルエンザ[イミダス編 社会・健康]
イミダス 2018
A型インフルエンザウイルスによって起こる、豚の呼吸器疾患。ウイルスそのものを指す場合もある。豚インフルは省略した言い方。インフルエンザはもともと野生の水鳥の病
49. リン酸オセルタミビル/抗インフルエンザ薬[薬]
イミダス 2018
」)は、経口投与後速やかに吸収された後、活性体に変換され作用する経口薬。A型インフルエンザおよびB型インフルエンザウイルス感染症に対する治療および発症抑制効果が
50. ワシントンDC WASHINGTON D.C. インフルエンザ大国 米国の文化が背景=中園明彦
週刊エコノミスト 2020-21
地域によっては無償接種も普及している。米国成人のインフルエンザ予防接種率は45・3%(18年)と、日本の50・9%(15年)よりは低いものの、インフルエンザ大国
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スキン-テア(日本大百科全書)
加齢などにより脆弱になった皮膚において、軽微な外力が加わることにより生ずる裂傷。主として高齢者の四肢に発生する外傷性の皮膚潰瘍であり、摩擦単独あるいは摩擦・ずれによって、表皮が真皮から分離(部分層創傷)、または表皮および真皮が下層構造から分離
褥瘡(日本大百科全書・世界大百科事典)
身体に加わった外力により、骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流が低下あるいは停止し、この状況が一定時間持続することにより皮膚組織が不可逆的な血流不足となり、局所的に酸素欠乏および低栄養状態となって壊死(えし)に陥った状態。寝たきりで自力での体動が
自己免疫疾患(岩波 生物学辞典)
《同》自己免疫病.本来,病原体などの非自己異物に対する防御機構として誘導される免疫反応が,自己の細胞や組織に対して誘導され(自己免疫),その結果生じる細胞・組織傷害に起因する疾患.自己・非自己を区別する獲得免疫系の自己寛容機構の破綻が原因と考えられるが
小児期・思春期・若者のうつ病(日本大百科全書)
年少・若年者が抑うつ的になる症状。小児うつ病をはじめとして、この年代でも薬物療法の対象になる精神疾患があることが知られている。しかも、小児期や思春期のうつ病は、本人が自分の気持ちをうまく表現できなかったり、いらいら感やいわゆる
うつ病(日本大百科全書・岩波 生物学辞典・イミダス)
気分がひどく落ち込む、何事にも興味をもてなくなる、といった精神症状のために、精神的に強い苦痛を感じたり日常の生活に支障が現れたりしている状態をいう。分類・疫学うつ病は、以前は遺伝や体質による内因が関与している内因性うつ病と
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花粉症(日本大百科全書・世界大百科事典)
花粉に対するアレルギー反応により、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が引き起こされる現象。おもな症状は、鼻ではくしゃみ、鼻水(鼻漏)、鼻づまり(鼻閉)、眼(め)ではかゆみである。花粉が鼻腔(びくう)粘膜、結膜に付着することにより発症するため、原因と
麻酔(世界大百科事典)
薬の作用により体の一部あるいは全身の知覚と運動機能を一時的に消失させ,手術のような体に侵害を加える際の痛みや精神的苦痛を取り除くことをいう。薬の作用が局所に限られるものを局所麻酔と呼び,全身的に作用するものを全身麻酔と呼ぶ。全身麻酔は通常意識消失を
高温障害(日本大百科全書)
高温度下の労働や運動によって体温調節や循環器系の機能が損なわれたり、水分や塩分などの代謝のバランスを失ったりしておこる障害をいい、熱中症ともよばれる。発生機構の相違から次の三つの病型に大別される。[重田定義]▲熱けいれん症ボイラーなどの火を扱う作業者
熱中症(世界大百科事典)
高温下での労働といった職業的原因で起こる熱射病をいう。日本でも,かなり昔から〈よろけ〉という名称で,鉱山等の高温多湿の環境で働く作業者によく起こった熱中症が記載されている。ごく最近まで高熱のもとでの作業は,鉱山,製鉄,紡績工場,ボイラー室等においてよ
メッセンジャーRNA(岩波 生物学辞典)
mRNAと略記.《同》伝令RNA.遺伝子の情報が蛋白質として発現される過程で,情報の担体として合成されるRNA.ゲノム上の遺伝情報は一定の単位でRNAに転写される.その際,DNA依存性RNAポリメラーゼはDNA上のプロモーター部位を認識してこれと結合
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