同性カップルを婚姻に相当する関係と公認する制度。同性パートナーシップ制度ともよばれる。国や自治体がLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)ら性的少数者の権利を守り、差別を禁止する公的制度を導入し、独自の証明書(パートナーシップ証明書)を発行することで、異性間の婚姻と同様な行政・民間サービスや社会的配慮を受けやすくする。同性間の婚姻を認める同性婚制度とは異なり、あくまで婚姻は異性間にだけ認めるという法制を維持したまま、同性カップルにも婚姻カップルと同様な権利やサービスを与える仕組みといえる。
世界では1989年、デンマークで初めてパートナーシップ法が制定され、これが欧米で広がり、さらに同性の婚姻を認める同性婚制度の導入へと発展した。2020年時点で、オランダ、カナダ、スウェーデン、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、台湾などが同性婚を認める法制度を整えている。一方、同性婚を認めず、パートナーシップ制度の導入で性的少数者の権利を守る政策をとっている国もある。日本では2015年(平成27)、東京都渋谷 (しぶや)区と世田谷 (せたがや)区が初めてパートナーシップ条例を導入し、その後、自治体主導でパートナーシップ制度が全国に広がった。2020年(令和2)11月時点で、大阪府、茨城県、札幌市、那覇市など全国60超の自治体が導入している。公営住宅や賃貸住宅への入居、病院での手術や入院時の付き添い、携帯電話料金・運賃・入場料などの家族割引き、生命保険金の受取りなどについて、婚姻カップルと同様なサービスを受けられる。法的拘束力や強制力はないが、条例に違反した場合、是正勧告や事業者名公表などの措置をとる自治体もある。証明書発行を無料とする自治体や、事実婚の異姓カップルにも制度を適用する自治体もある。ただ日本政府はパートナーシップ制度の法整備に慎重で、異性間の婚姻時に保障される税制や社会保険の優遇措置の同性間への適用などについて認めておらず、性的少数者の包括的な権利保護にはつながっていない。
2021年2月17日