1. 藤原の君(うつほ物語)
日本古典文学全集
清原俊蔭(としかげ)は遣唐使に選ばれるが、途中で船が難破。波斯国(ペルシア)で天人から琴の奏法を伝授される。この俊蔭の一族の命運(主人公は、俊蔭の孫の仲忠)を軸
2. あき‐な・う[‥なふ]【商】
日本国語大辞典
〕八「有ら所(れ)む供食をば、之を貿(アキナヒ)て直を取れ」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「その物をたくはへて市し、あきなはばこそかしこからめ」*仮名
3. あき の 色(いろ)
日本国語大辞典
清澄な大気や草木の色づきなどによって感じる秋の気配。《季・秋》*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「秋の色も露をもいさやをみなへし木がくれにのみおくとこそ見
4. あげ‐て【挙─・上─】
日本国語大辞典
*大智度論天安二年点〔858〕「天下国土、称(アケ)て知りぬべし」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「をさめ殿あけて、よき果物、干物(からもの)あげていだ
5. あし‐すだれ【葦簾】
日本国語大辞典
〉」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「寝殿は端はづれたる小さき萱屋(かやや)、編垂蔀(あみたれじとみ)一間あげて、あしすだれかけ
6. あしだ【足駄】[方言]
日本方言大辞典
山語彙(宮良当壮)1930十巻本和名抄四「屐 兼名苑云屐<音奇逆反 阿師太>一名足下」宇津保藤原の君「おとど括くくりあげて、榑くれのあしだはきて」《あちだ》 沖
7. あし‐だ【足駄】
日本国語大辞典
*十巻本和名類聚抄〔934頃〕四「屐 兼名苑云屐〈音竒逆反 阿師太〉一名足下」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「おとど括(くく)りあげて、榑(くれ)のあ
8. あたら‐もの【惜物・惜者】
日本国語大辞典
価値あるもの、または、こと。人についてもいう。あったらもの。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あたらものを。我がために塵ばかりのわざすな」*落窪物語〔1
9. あた を =恩(おん)で[=徳(とく)で]報(ほう)ずる
日本国語大辞典
恨みのあるものに対し、かえって情けをかける。うらみに報ゆるに徳をもってす。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「『よし、あたはとくをもちてとぞいふなる』とて
10. あだ‐ごと【徒言・徒事】
日本国語大辞典
はかないこと。かりそめのこと。ちょっとした、つまらないこと。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「たはぶれにても、人の御あだことなど、きこえ給ふべくなんあら
11. 仇を=恩で〔=徳で〕報ずる
故事俗信ことわざ大辞典
恨みのあるものに対し、かえって情けをかける。恨みに報ゆるに徳を以てす。 宇津保(970~999頃)藤原の君「『よし、あたはとくをもちてとぞいふなる』とて、とらせ
12. あて【当・宛】
日本国語大辞典
等量配分することを表わす。(イ)配分する物を示す数詞の下につく。ずつ。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あたらしくとも人は十五人。漬豆を一さやあてに出だ
13. あて宮(うつほ物語) 119ページ
日本古典文学全集
沈木製の御膳台。→「藤原の君」[1]一四三ページ注一五。調合に用いるさじ。沈香を粉にして、灰に混ぜたものを火取の中に入れる。→「藤原の君」[1]一四三ページ注一
14. あて宮(うつほ物語) 121ページ
日本古典文学全集
する今をさす。大宮。現在、仲澄がいる場所についての説明。大宮腹の男君たちの居所については、「藤原の君」巻で、「廊を御曹司にしたまひて」([1]一三五ページ)と説
15. あて宮(うつほ物語) 125ページ
日本古典文学全集
えなくなっても、という意。主語は、大宮たちであろう。→「春日詣」[1]二五八ページ注五。→「藤原の君」[1]一六〇ページ注三。髫髪の童女の乗る車。底本「一」を「
16. あて宮(うつほ物語) 129ページ
日本古典文学全集
ページ注五。「兵衛の君」→一一九ページ注三八。「木工の君」→一二六ページ注二。「少納言」→「藤原の君」[1]一七四ページ注六。髫髪の童女。正頼の長男忠澄。あて宮
17. あて宮(うつほ物語) 136ページ
日本古典文学全集
右大将藤原兼雅の大君の御局。嵯峨院の今宮で、兼雅と結婚した女三の宮。→一三〇ページ注三一。→「藤原の君」[1]一九四ページ注七。→一三一ページ注三五。嵯峨院の末
18. あて宮(うつほ物語) 138ページ
日本古典文学全集
読人しらず)をふまえ、明日はどうなるか分らない、という意。→「俊蔭」[1]七九ページ注一八、「藤原の君」[1]一八〇ページ注九。「世の中」は、俗世の人間社会、の
19. あて宮(うつほ物語) 144ページ
日本古典文学全集
示唆するものか。滋野真菅。あて宮の求婚者のなかでは、上野の宮、三春高基とともに三奇人とされる。「藤原の君」巻では、「太宰の前の帥、滋野真菅といふ宰相、年六十ばか
20. あて宮(うつほ物語) 145ページ
日本古典文学全集
がつく場合は、「欲りせしめ」となる。おそらく、真菅独特のいいまわしを表しているのだろう。→「藤原の君」[1]一八二ページ注四、「祭の使」[1]四八四ページ注八。
21. あて宮(うつほ物語) 146ページ
日本古典文学全集
底本「かちかう」を改めた。「か」を衍字とみて、「近う」と改める説もある。「文挟み」に挟んだ「愁へ文」。→「藤原の君」[1]一八三ページ注三〇。立って飛び跳ねる、
22. あて宮(うつほ物語) 147ページ
日本古典文学全集
る。→「藤原の君」[1]一七〇ページ。あて宮の東宮入内をさす。「施す」は、広く行きわたらせる、の意。あて宮を妻にしたいということ。→「藤原の君」[1]一六六ペー
23. あど‐がたり【─語】
日本国語大辞典
合わせて語ること。相づちを打ちながら話すこと。あどうがたり。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「さて、ものがたらひもうち聞えんか。知れるどちこそあどがたり
24. あぶら【油・脂・膏】
日本国語大辞典
麻取脂也」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「烏胡麻(うごま)〈略〉あぶらにしぼりて売るに、多くの銭いでく。その糟(かす)、味噌代へ使ふ
25. あま‐た【数多】
日本国語大辞典
其言ひし如くなりけるとぞ」(ロ)直接または「の」を介して、下の体言を修飾する。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あまたの人のよろこびをなさむに、我一の願
26. あみだれ‐じとみ【編垂蔀】
日本国語大辞典
板などを編んだものを垂らして、蔀格子の代用とした粗末なもの。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「寝殿は端はづれたる小さき萱屋、あみたれじとみ、一間あげて、
27. あめ‐の‐した【天下】
日本国語大辞典
さめたまひし)誉田(ほむだ)の天皇〈興福寺本訓釈 宇 阿米乃之多〉」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「みかどとなり給ひ、くにしり給はましかば、あめの下ゆ
28. あや【文・紋・綾・絢】
日本国語大辞典
中につつめる 斎(いは)ひ児も 妹にしかめや〈虫麻呂歌集〉」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あやの屏風、しとね、うはむしろ敷きたり」*源氏物語〔100
29. あり‐・ふ【在経】
日本国語大辞典
人の物言ひなどもうたてあり、なほ世に経じとおもひ言ひて失(う)せにけり」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「父大殿(おとど)、母宮〈略〉『この君をいかにせ
30. あ・れる【荒】
日本国語大辞典
(ロ)人、動物などがはげしくあばれる。また、乱暴をはたらく。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「み心のかしこく〈略〉あるるいくさ、けだものも、この主にはし
31. あわ[あは]【粟・粱】画像
日本国語大辞典
穀属也 粟也 阿波」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あは、麦、豆、大角豆(ささげ)、かくの如き雑役の物あり」*仮名草子・尤双紙〔1632〕上・
32. いい‐たわぶ・る[いひたはぶる]【言戯】
日本国語大辞典
みなへしには猶なびきけり、今日の判をみればなどいひたはぶれて」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「このあて宮の名高くて聞え給ふを、いかでと思ひて、いひたは
33. いくそ‐ばく【幾─】
日本国語大辞典
度がはなはだしいことを表わす。どれほど多く。どんなにか多く。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「漬け豆を一さやあてに出すとも、十まり五つなり。種なくしては
34. いくら ばかり
日本国語大辞典
「しかのねはいくらばかりの紅ぞふりいづるからに山の染むらむ」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「いと尊きことなり、御みあかしはいくらばかり奉らむ」*拾遺和
35. い・ける【生・活・埋】
日本国語大辞典
「いでなほここながら死なんと思へど、いくる人ぞいとつらきや」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「ひばりのほし鳥、これらをいけてをとりにて取らば、多くの鳥い
36. いさご 長(ちょう)じて=巖(いわお)[=岩(いわ)]となる
日本国語大辞典
耳」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「あしたづのうつる千とせのやどりには今やいさごのいはとなるらん」(2)小さな、とるにたりないものでも
37. いさご長じて巖となる
故事俗信ことわざ大辞典
レ巖之頌。洋々満レ耳」宇津保(970~999頃)藤原の君「あしたづのうつる千とせのやどりには今やいさごのいはとなるらん」俳諧・毛吹草(1638)二「
38. いさ‐や
日本国語大辞典
(3)さあどうだか知らない。わからない。→いさ【二】(3)。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「秋の色も露をもいさやをみなへし木隠れにのみおくとこそみれ」
39. いた・す【致】
日本国語大辞典
態にたち至らせる。多く、よくない結果を引き起こすことをいう。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「おほやけの御ためにさまたげをいたし、ひとのためにくるしみを
40. いたずら に なる
日本国語大辞典
ままに終わる。役に立たなくなる。むだになる。だいなしになる。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「『仏に奉る物は、いたづらにならず、来世、未来の功徳なり』と
41. いた‐やかた【板屋形】
日本国語大辞典
〔名〕屋根を板で葺いた牛車。また、その屋根。板車(いたぐるま)。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「いたやかたの車の輪かけたるに」
42. いたわ・る[いたはる]【労】
日本国語大辞典
六九「つねの使よりは、この人よくいたはれといひやれりければ」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「聟どりて、限りなくいたはりて、すませ奉り給ふほどに」*宇治
43. いち【一・壱】
日本国語大辞典
二」(2)物事の始め。最初。第一番目。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「父母恋ひ悲しびて死ぬるもしらで、唐土(もろこし)に渡りて、ふみを一にてよむ」*枕
44. いち‐・す【市】
日本国語大辞典
〔自サ変〕市に店を出して、商いをする。商売する。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「その物をたくはへて、いちしあきなはばこそ、かしこからめ」
45. いち の 妻(め)
日本国語大辞典
第一の妻。正妻。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「人の見たいまつるべくあらば、国王の一のめになりたうべらむにも劣らじをや」
46. いち‐め【市女】
日本国語大辞典
〔名〕(1)市で物をあきなう女。市に住む女。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「とくまちといふ、いちめの富めるあなり」*源氏物語〔1001~14頃〕玉鬘「
47. いつわ・る[いつはる]【偽・詐】
日本国語大辞典
阿佐牟久 又加太牟 又伊豆波留」*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「ことをいつはりて、物を盗めるなり」*易林本節用集〔1597〕「両舌 イツハル」*浄瑠
48. いまし・める【戒・誡・警】
日本国語大辞典
)て参る』といましめ云へば」(3)いやだと思う。嫌う。忌む。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「かく人のいましむる五月(さつき)はいぬ」(4)自由がきかな
49. いま‐に【今─】
日本国語大辞典
伴うことが多い)過去から続いて今に至るまで。今になってもなお。いまだに。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「父大将に請ひ、正身(さうじみ)に請ふに、女も大
50. いよ‐すだれ【伊予簾】
日本国語大辞典
一年目の枝のない稈(かん)をさらして竹簾に編む。いよ。いよす。*宇津保物語〔970~999頃〕藤原の君「なはしりがい、はつれたるいよすだれをかけて」*今昔物語集