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  11. 天衣紛上野初花

天衣紛上野初花

ジャパンナレッジで閲覧できる『天衣紛上野初花』の新版 歌舞伎事典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

新版 歌舞伎事典

天衣紛上野初花
くもにまごううえののはつはな
 歌舞伎狂言。世話物。七幕。河竹黙阿弥作。明治一四(1881)年三月東京・新富座初演。別名題《三幅対上野風景》。通称《河内山こうちやま直侍なおざむらい》。配役は河内山宗俊=九世市川団十郎、片岡直次郎=五世尾上菊五郎、金子市之丞・比企東左衛門=初世市川左団次、筆職人寺田幸兵衛・高木小左衛門=中村宗十郎、松江出雲守・手代半七=坂東家橘(一四世市村羽左衛門)、暗闇の丑松・宮崎数馬=五世市川小団次、按摩丈賀=尾上梅五郎(後の四世尾上松助)、三千歳・腰元浪路=八世岩井半四郎ほか。松林伯円の講談《天保六花撰》の脚色で、すでに七年前に《雲上野三衣策前さんえのさくまえ》として東京・河原崎座で上演しているが、改めて大一座のために書き直したものである。剣術指南の金子市之丞が湯島天神の境内で撃剣大会を開く。下谷の遊び人暗闇の丑松がそれに難くせをつけ喧嘩となる。その仲裁をしたのがお数寄屋坊主の河内山宗俊であった。宗俊はその後質屋の上州屋で桑の木の木刀で五十両貸せとゆすりに行く。この時、松江侯へ奉公に上がっている上州屋の娘浪路が殿の妾となれと言われ困っていると聞き、助けてやろうと手付の金百両を受け取る。宗俊は上野の法親王の使僧に化け、弟分の直侍(片岡直次郎)を供侍に仕立て松江家上屋敷へ乗りこみ、浪路を取り戻す。帰り際に北村大膳に正体を見破られるが、逆に凄みを利かせるので家老高木小左衛門は家名を傷つけまいと穏便に帰す。宗俊は松江侯を罵倒して引き揚げる。直次郎は吉原大口屋の三千歳と恋仲である。三千歳は直次郎のために百両の金を貢ぐが、その金は金子市之丞が出したもので、返せなければ身請をすると迫られる。直次郎は河内山から預かった百両を市之丞に渡して三千歳を救う。市之丞は直次郎を日本堤に待伏せするが、襲った駕籠には宗俊が乗っていて果たせない。直次郎は、旗本比企ひき東左衛門邸の蔭富かげとみ(賭博の一種)で、島屋の手代が取られた二百両を奪い返したことからお尋ね者として追われる身となり、三千歳と別れに入谷の寮へ行く。市之丞が現れ、直次郎を罵ったあげく、三千歳の年季証文を投げつけて去る。市之丞こそ三千歳の兄であることが後にわかる。暗闇の丑松の密告で捕手が迫り、直次郎はのがれるが結局は自首する。のち宗俊の申し開きによって直次郎は出獄することになる。〈宗俊〉のくだりと〈三千歳直侍〉のくだりとを中心として、一方は大名を相手取って啖呵をきる痛快な場面、一方は入谷の蕎麦屋から大口屋の寮までの、清元の名曲《忍逢春雪解しのびあうはるのゆきどけ》を用いた情緒豊かな部分とが傑出している。
他所事浄瑠璃
[林 京平]


日本大百科全書(ニッポニカ)

天衣紛上野初花
くもにまごううえののはつはな

歌舞伎 (かぶき)脚本。世話物。7幕。河竹黙阿弥 (もくあみ)作。通称「河内山 (こうちやま)」「直侍 (なおざむらい)」。1881年(明治14年)3月、東京・新富座で9世市川団十郎の河内山宗俊 (そうしゅん)、5世尾上 (おのえ)菊五郎の片岡直次郎、8世岩井半四郎の大口屋三千歳 (おおぐちやみちとせ)・腰元浪路 (なみじ)、初世市川左団次の金子市之丞 (いちのじょう)らにより初演。松林伯円 (しょうりんはくえん)の講談『天保六花撰 (てんぽうろっかせん)』を脚色、作者が1874年に書いた『雲上野三衣策前 (くものうえのさんえのさくまえ)』を増補改訂したもの。

 お数寄屋 (すきや)坊主の河内山は、松江出雲守 (いずものかみ)に軟禁された腰元浪路を救うため、上野の宮 (みや)家の使僧に化けて乗り込み、まんまと浪路を取り戻しての帰りがけ、玄関先で北村大膳 (きたむらだいぜん)に見破られるが、逆に居直って相手を脅し、家老高木小左衛門 (こざえもん)の計らいで無事に立ち帰る。一方、御家人くずれの直侍こと片岡直次郎は、旗本比企東左衛門 (ひきとうざえもん)の蔭富 (かげとみ)(富籤 (とみくじ)を利用した博打 (ばくち))を暴き、金を巻き上げたことからお尋ね者になり、江戸を去る前に愛人の三千歳と入谷の寮で別れを惜しみ、恋敵 (こいがたき)の剣客金子市之丞の情けで三千歳を請け出すことができるが、弟分暗闇 (くらやみ)の丑松 (うしまつ)の密告により捕手に追われ、雪の中を逃げてゆく。

 明治歌舞伎の全盛期を飾る名優ぞろいの一座にはめた代表作で、とくに三幕目「松江邸」の玄関先で河内山が啖呵 (たんか)を切る場面が眼目。直侍が三千歳を訪ねる六幕目は、江戸の世相を活写した「そば屋」から、清元 (きよもと)『忍逢春雪解 (しのびおうはるのゆきどけ)』(通称「三千歳」)を使って色模様を展開する「大口屋寮」にかけ、作者の詩情を発揮する箇所で、『雪暮夜入谷畦道 (ゆきのゆうべいりやのあぜみち)』の名題 (なだい)で独立して上演することも多い。

[松井俊諭]



世界大百科事典

天衣紛上野初花
くもにまごううえののはつはな

歌舞伎狂言。世話物。7幕。河竹黙阿弥作。1881年3月東京新富座初演。別名題《三幅対上野風景》。通称《河内山と直侍》。配役は河内山宗俊を9世市川団十郎,片岡直次郎を5世尾上菊五郎,金子市之丞・比企東左衛門を初世市川左団次,筆職人寺田幸兵衛・高木小左衛門を中村宗十郎,松江出雲守・手代半七を坂東家橘(14世市村羽左衛門),暗闇の丑松・宮崎数馬を5世市川小団次,按摩丈賀を尾上梅五郎(のちの4世尾上松助),三千歳・腰元浪路を8世岩井半四郎ほか。松林伯円の講談《天保六花撰》の脚色で,すでに7年前に《雲上野三衣策前(さんえのさくまえ)》として東京河原崎座で上演しているが,改めて大一座のために書き直したものである。

 剣術指南の金子市之丞が湯島天神の境内で撃剣大会を開く。下谷の遊び人暗闇の丑松がそれに難くせをつけけんかとなる。その仲裁をしたのがお数寄屋坊主の河内山宗俊であった。宗俊はその後質屋の上州屋で桑の木の木刀で五十両貸せとゆすりに行く。このとき,松江侯へ奉公に上がっている上州屋の娘浪路が殿の妾となれと言われ困っていると聞き,助けてやろうと手付の金百両を受け取る。宗俊は上野の法親王の使僧に化け,弟分の直侍(片岡直次郎)を供侍に仕立て松江家上屋敷へ乗りこみ娘浪路を取り戻す。帰り際に北村大膳に正体を見破られるが,逆に凄みを利かせるので家老高木小左衛門は家名を傷つけまいと穏便に帰す。宗俊は松江侯を罵倒して引き揚げる。直次郎は吉原大口屋の三千歳と恋仲である。三千歳は直次郎のために百両の金を貢ぐが,その金は金子市之丞が出したもので,返せなければ身請けをすると迫られる。直次郎は河内山から預かった百両を市之丞に渡して三千歳を救う。市之丞は直次郎を日本堤に待伏せするが,襲った駕籠には宗俊が乗っていて果たせない。直次郎は,旗本比企(ひき)東左衛門邸の蔭富(かげとみ)(賭博の一種)で,島屋の手代が取られた二百両を奪い返したことからお尋ね者として追われる身となる。入谷の蕎麦(そば)屋で三千歳が近くの大口屋の寮で養生していると聞き,三千歳と別れに寮へ行く。市之丞が現れ,直次郎を罵ったあげく,三千歳の年季証文を投げつけて去る。市之丞こそ三千歳の兄であることが後にわかる。暗闇の丑松の密告で捕手が迫り,直次郎はのがれるが結局は自首する。のち宗俊の申し開きによって直次郎は出獄することになる。

 〈宗俊〉のくだりと〈三千歳直侍〉のくだりとを中心として,一方は大名を相手取って啖呵をきる痛快な場面,一方は入谷の蕎麦屋から大口屋の寮まで(この部分を独立させて《雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)》の名題で上演する),清元の名曲《忍逢春雪解(しのびあうはるのゆきどけ)》(通称《三千歳》,2世清元梅吉作曲,4世清元延寿太夫初演)を用いた情緒豊かな部分とが傑出している。
[林 京平]

[索引語]
河竹黙阿弥 三幅対上野風景 河内山と直侍 河内山宗俊 片岡直次郎 三千歳 天保六花撰 雲上野三衣策前(さんえのさくまえ) 直侍 忍逢春雪解(しのびあうはるのゆきどけ) 三千歳
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1. 『天衣紛上野初花』
日本史年表
1881年〈明治14 辛巳〉 3・‐ 河竹黙阿弥 『天衣紛上野初花』 、新富座で初演。
2. 天衣紛上野初花
日本大百科全書
歌舞伎かぶき脚本。世話物。7幕。河竹黙阿弥もくあみ作。通称「河内山こうちやま」「直侍なおざむらい」。1881年(明治14年)3月、東京・新富座で9世市川団十郎の
3. 天衣紛上野初花
世界大百科事典
歌舞伎狂言。世話物。7幕。河竹黙阿弥作。1881年3月東京新富座初演。別名題《三幅対上野風景》。通称《河内山と直侍》。配役は河内山宗俊を9世市川団十郎,片岡直次
4. くもにまごううえののはつはな[くもにまがふうへののはつはな]【天衣紛上野初花】
日本国語大辞典
歌舞伎。世話物。七幕。河竹黙阿彌作。明治一四年(一八八一)東京新富座初演。松林伯円の講談「天保六花撰」よりの脚色で、河内山宗俊の松江家乗込みや、片岡直次郎と大口
5. くもにまごううえののはつはな【天衣紛上野初花】
国史大辞典
河竹黙阿弥作の歌舞伎世話狂言。七幕。明治十四年(一八八一)三月新富座で九代目市川団十郎、五代目尾上菊五郎らにより初演、以来今日まで歌舞伎の当り狂言としてよく復
6. くもにまごううえののはつはな【天衣紛上野初花】
歌舞伎事典
 歌舞伎狂言。世話物。七幕。河竹黙阿弥作。明治一四(1881)年三月東京・新富座初演。別名題《三幅対上野風景》。通称《河内山(こうちやま)と直侍(なおざむらい)
7. 天衣紛上野初花(著作ID:4371737)
新日本古典籍データベース
くもにまごううえののはつはな 武田 交来(たけだ こうらい) 作 歌川 国貞 三世(うたがわ くにさだ 3せい) 画 合巻 明治一四序
8. あいかた きっぱりとなる
日本国語大辞典
俳優のしぐさ、せりふをはっきりさせ、効果を与えるために、合方を一段と高めて演奏する。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「『それは何ういふ訳あって
9. あい‐なるべくは[あひ‥]【相成】
日本国語大辞典
〔連語〕(「あい」は接頭語。「なるべくは」の改まった言い方)もしできるなら。なるべくは。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕三幕「相成(アヒナ)るべく
10. あい‐はん[あひ‥]【相判・合判】
日本国語大辞典
事」(3)(「あいばん」とも)「あいいん(合印)」に同じ。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「こりゃこりゃ長松、合判(アヒバン)を押した分は、蔵
11. あおり を 食(く)う
日本国語大辞典
張りきった腰のあふりを食って跳ねとばされ」(2)相手の態度や威勢に影響される。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「何だといふと大小を捻(ひねく)
12. あか‐にし【赤螺】
日本国語大辞典
あざけっていう語。*雑俳・柳多留‐一〇七〔1829〕「赤にしの客雨落でしゃれてゐる」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「わたしへ割がたった一両、
13. あし を 抜(ぬ)く
日本国語大辞典
判の大三浦の高尾太夫、御意に叶って一晩でも足(アシ)を抜(ヌ)かずに通ひ詰め」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「晴れて世間の歩けねえ捜されて居
14. あたま‐かず【頭数】
日本国語大辞典
南郷力丸、忠信利平、赤星十三、弁天小僧、私(わっち)ァほんの頭数(アタマカズ)さ」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「頭数(アタマカズ)の私など
15. あな‐ごもり【穴籠】
日本国語大辞典
鼠(むぐら)ならぬに穴ごもり」(2)隠れて暮らすこと。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「晴れて世間の歩けねえ捜されて居るおれが体、それゆゑ廓(
16. あま‐こち【雨東風】
日本国語大辞典
〔名〕雨気を含んで東方から吹いてくる風。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕四幕「鐘の音送る雨東風(アマコチ)も我が身に寒き半七が」
17. あまちゃ を 飲(の)ます
日本国語大辞典
言ったりしたりして、ひとのきげんをとることのたとえ。飴を舐めさせる。甘酒を舐めさす。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「初めのうちは甘茶(アマチ
18. 甘茶を飲ませる
故事俗信ことわざ大辞典
「甘酒を嘗めさす」に同じ。 歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)五幕「初めのうちは甘茶(アマチャ)を呑(ノ)ませ、段々大きく張込んで膏(あぶら)の乗った
19. あらい‐だし[あらひ‥]【洗出】
日本国語大辞典
ブラシなどをかけ水洗いをして、特に目立つようにしたもの。杉戸などに多く用いられる。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「表口は洗(アラ)ひ出(ダ)
20. あんぽつ‐かご【─駕籠】画像
日本国語大辞典
地〔1865〕二幕「上手より風呂敷の附きしあんぽつ駕籠を、百姓二人にてかつぎ」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「紺看板赤合羽草鞋(わらぢ)饅頭
21. いい‐かか・る[いひ‥]【言掛】
日本国語大辞典
一・四「あそばして置たる利銀を急度(きっと)おもやからすまし給へといひかかり」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「ぺてんに掛けたと言ひがかるが」
22. いい‐ぶん[いひ‥]【言分】
日本国語大辞典
しの事をいひ分にとりむすび、たがひに爰はやめかたく抜(ぬき)合て打あひけるに」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「花会同様小屋をかけ、人寄せをし
23. いかさま‐し【如何様師】
日本国語大辞典
いかものし。*洒落本・擲銭青楼占〔1771〕坤為地「此卦のたいこは大のいかさましなり」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「表向は殿様だが、内証は
24. いちじ が 万事(ばんじ)
日本国語大辞典
5頃〕七八・八二「俗に一事は万事といへり 一事にさとき者は万事にさときよし也」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕二幕「やみ雲に怒るばかりが能ぢゃあね
25. 一事が万事
故事俗信ことわざ大辞典
といへり一事にさとき者は万事にさときよし也」俗諺集成(1850頃)「一事か万事」歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)二幕「やみ雲に怒るばかりが能ぢゃあね
26. いち‐とくい【一得意】
日本国語大辞典
〔名〕最上の得意客。第一の得意客。一旦那。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「おいらの所の一得意(イチトクイ)、あんな好きな人はない」
27. 一文惜しみの=百知らず〔=百損・百失い〕
故事俗信ことわざ大辞典
)惜(ヲ)しみの百損(ゾン)で、四人の天窓(あたま)へ酒手位を惜しんで後悔しゃアがるな」天衣紛上野初花(河内山)(1881)序幕「年来の懇意ゆゑ娘の命を二百両で
28. いっつけ‐ぐち【言付口】
日本国語大辞典
809~13〕二・下「云告口(イッツケグチ)をとり上ては、方図がございません」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「山崎町の丑松がおのれの科(とが
29. いっぽん‐しんのう[‥シンワウ]【一品親王】
日本国語大辞典
〔名〕親王の尊称。近世の造語。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕三幕「神の御末の一品親王(いっポンシンワウ)宮の使ひと偽って」イッポンシンノー
30. 犬は三日=飼えば〔=養えば〕三年恩を忘れぬ
故事俗信ことわざ大辞典
よも恩義は忘れまい」国字分類諺語(幕末頃)「犬は三日畜て三年の恩を知る猫は三年畜て三日の恩を知る」歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)六幕「三日(みっカ
31. 煎り豆に花〔が咲く〕
故事俗信ことわざ大辞典
草(1834)初・一章「九死を出で一生を保ち、寔(まこと)に煎豆に花と喜びしが」歌舞伎・天衣紛上野初花(1881)序幕「さあ首尾よく戻れば煎豆(イリマメ)に、花
32. いれ‐じち【入質】
日本国語大辞典
こと。また、その品物。(2)の意としては、「歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)‐序幕」に、「丁稚長松入質(イレビチ)を片脇へ積み上げ質札を読上げて居る」がある
33. 色男金と力はなかりけり
故事俗信ことわざ大辞典
ネ)と力(チカラ)は無かりけり」国字分類諺語(幕末頃)「色男金と力はなかりけり」歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)二幕「譬(たとへ)に申す色男(イロヲ
34. いわく‐まど[いはく‥]【曰窓】
日本国語大辞典
与力窓。*歌舞伎・白縫譚〔1853〕四幕「下の方曰窓(イハクマド)の附きし板羽目」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕三幕「出雲守の上屋敷へ、仕掛けた
35. うし に ひかれて善光寺参(ぜんこうじまい)り
日本国語大辞典
)と云ひならはす」*俳諧・我春集〔1811〕「春風や牛に引れて善光寺〈一茶〉」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕四幕「牛に引かれて善光寺参りと、今日
36. 牛に引かれて善光寺参り
故事俗信ことわざ大辞典
イリ)と云ヒならはす」俳諧・我春集(1811)「春風や牛に引れて善光寺〈一茶〉」歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)四幕「牛に引かれて善光寺参りと、今日
37. 牛は牛連れ
故事俗信ことわざ大辞典
かならず罰のあたる物じゃ」雑俳・柳筥(1783~86)二「牛は牛づれ座頭は瞽女(ごぜ)をくどき」天衣紛上野初花(河内山)(1881)六幕「夫(か)の諺の牛は牛連
38. うわ‐うわ[うはうは]【上上】
日本国語大辞典
名垣魯文〉二・下「もう二三ねんうハうハしてくらして見やうと引きまみへをしたり」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕二幕「あれからといふものは、千代春さ
39. うわっ‐ちる[うはっ‥]【上汁】
日本国語大辞典
〔名〕汁の上の部分。うわじる。転じて、物事の良い部分。あまい汁。うまい汁。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「どうか、ああいふ鳥を引っかけ、上ッ
40. えん‐げんどう[ヱンゲンダウ]【袁彦道】
日本国語大辞典
回「ある時は博徒を聚合(つどへ)て、袁彦道(ヱンゲンドウ)の技(わざ)に耽り」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「隠し売女の宿をしたり、猿彦道(
41. おいとこ‐ぶし【─節】
日本国語大辞典
のこしらへにて、手拭糠袋を持ち立掛り居る、此模様おいとこ節(ブシ)にて幕明く」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「此見得(みえ)おいとこ節(ブシ
42. おい‐め[おひ‥]【追目】
日本国語大辞典
よもやに掛けられて、もう七つだ」*雑俳・柳多留‐一九〔1784〕「辻番は渦をおい目に張って居る」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「富の札なら買
43. おおおとこ 総身(そうみ)に知恵(ちえ)が回(まわ)りかね
日本国語大辞典
からだばかり大きくて、何事にも愚鈍な男をあざけっていう語。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕三幕「夫の下々で玩ぶ川柳とやら申す雑俳、滑稽者流のざれ言
44. 大男総身に知恵が回りかね
故事俗信ことわざ大辞典
からだばかり大きくて愚鈍な男をあざけっていうことば。独活の大木。 歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)三幕「夫の下々で玩ぶ川柳とやら申す雑俳、滑稽者流の
45. おおばん‐どうしん[おほバン‥]【大番同心】
日本国語大辞典
御目見以下「大御番与力百廿人、一組十人〈略〉大御番同心弐百四十人、一組弐拾人」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕六幕「根が駒込の片端で二人扶持に俵取
46. おお‐め[おほ‥]【大目・多目】
日本国語大辞典
事」*夢酔独言〔1843〕「女が口ばしりて、今日は六の大目、富は何番何番がいいといふ故」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕五幕「先づ台付といふものは
47. おく‐でん【奥殿】
日本国語大辞典
〔名〕屋敷の中で、奥のほうにある部屋、または建物。*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕三幕「総て松江家上屋敷奥殿(オクデン)の体(てい)。爰(ここ)に
48. おぞけ を 震(ふる)う
日本国語大辞典
*洒落本・野路の多和言〔1778〕「ありがたやおそろしやとおぞ毛をふるわす山かいてう」*歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)〔1881〕序幕「達者な腕であばれるから
49. 怖気を震う
故事俗信ことわざ大辞典
をふるわす山かいてう」諺苑(1797)「おぞ毛を振(フルフ)又おそ髪か立とも云」歌舞伎・天衣紛上野初花(河内山)(1881)序幕「達者な腕であばれるから、何処で
50. 尾上菊五郎
世界大百科事典
古典では,勘平,権八,権太,福岡貢などの代表作もあるが,河竹黙阿弥が書いた《盲長屋梅加賀鳶》の2役,《天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)》の直次郎,
「天衣紛上野初花」の情報だけではなく、「天衣紛上野初花」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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歌舞伎(世界大百科事典)
歌舞伎は,舞楽,能,狂言,人形浄瑠璃などとともに日本の代表的な古典演劇であり,人形浄瑠璃と同じく江戸時代に庶民の芸能として誕生し,育てられて,現代もなお興行素材としての価値を持っている。明治以後,江戸時代に作られた作品は古典となり,演技・演出が
下座音楽(新版 歌舞伎事典・国史大辞典・改訂新版 世界大百科事典)
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江戸三座(新版 歌舞伎事典)
江戸で公許された中村座、市村座、森田座の三芝居。元禄期(1688‐1704)には山村座を含め四座存在したが、正徳四(1714)年、江島生島事件によって山村座が廃絶、以降明治に至るまで三座に限って興行が公認された。中村座は堺町、市村座は葺屋町、森田座は木挽町において興行したが
野郎歌舞伎(新版 歌舞伎事典・国史大辞典)
若衆歌舞伎の禁令以後、前髪を剃って、野郎頭となった男たちの歌舞伎、という意味で、承応一(1652)年ごろから、いわゆる元禄歌舞伎時代まで二十数年間をふつうに野郎歌舞伎時代と呼ぶ。若衆歌舞伎の少年の前髪を剃り落とされたので、以後は成人男子の役者
若衆歌舞伎(新版 歌舞伎事典・国史大辞典)
前髪立ちの美少年の魅力を中心とした歌舞伎。慶長八(1603)年四月に出雲のお国が歌舞伎踊を創始したが、その同じ年の九月には、五歳の童男の歌舞伎が宮中に招かれたという記録があるので、少年の歌舞伎はきわめて早くから行われていたことが知れる。
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