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  11. 閻魔

閻魔

ジャパンナレッジで閲覧できる『閻魔』の日本架空伝承人名事典・日本国語大辞典・世界大百科事典のサンプルページ

新版 日本架空伝承人名事典

閻魔
えんま
 閻魔は冥府の王として仏教とともに日本に入り、恐ろしいものの代名詞とされたが、地蔵菩薩と習合して信仰対象にもなった。奈良時代には閻羅王と書かれ、まれに閻魔国とも書かれている(『日本霊異記』)。閻羅は閻魔羅闍えんまらじゃの略で、閻魔王の意味である。これは『仏説閻羅王五天使経』または『閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経』に拠ったものであろう。後者は『預修十王経』ともよばれるように、閻魔王のほかに九王を加えて一〇王とし、閻魔王を裁判長として陪審の形をとっている。しかし奈良時代までは閻羅王使の鬼が死者を迎えに来て閻羅王宮に引き立て、その裁判によって地獄の責苦を受けることになる。このような閻魔はインドの冥界の主が仏教の中に入って、勧善懲悪、または因果応報の唱導に利用されたものである。したがって中国でもすでに本地は地蔵菩薩であるという信仰が生まれ、死者救済を願うために信仰されるようになった。すなわち日本では閻魔十王と三仏を十三仏にあてて、初七日忌から三十三回忌までの供養本尊とする。この場合は閻魔は五七日忌の供養本尊となり、地蔵菩薩としてまつられる。しかし一方、唱導説話や地獄変相図の中では、依然として恐ろしい形相で罪ある死者を呵責する冥府の王であった。閻魔十王の造像は鎌倉時代からおこなわれ、閻魔堂に安置された。鎌倉円応寺や奈良白毫寺の閻魔十王はその古い作例である。これが近世になると村々に閻魔堂ができ、閻魔十王と葬頭河婆そうずかば、鬼、浄玻璃じょうはり鏡、業秤ごうのはかりなどの像が一具としておかれるようになる。そして葬送にあたってはここに死者の衣類を供えて、滅罪を願う習俗が一般化した。この信仰が失われたところでは、閻魔十王像はほこりにまみれて放置されているものが多い。しかし信仰の生きているところでは、正月とお盆月の一六日は閻魔の縁日で、地獄の死者の宥恕される日としており、これを藪入りと言っている。この日地獄変相図が閻魔堂にかけられる。
[五来 重]
 是も今は昔、藤原広貴という者ありけり。死て閻魔の庁にめされて、王の御前とおぼしき所に参りたるに、王のたまふやう、「汝が子をはらみて、産をしそこなひたる女死にたり。地獄におちて苦をうくるに、うれへ申ことのあるによりて、汝をば召たるなり。」(中略)広貴、かゝれども、これはいつく、たれがのたまふぞ、ともしらず。ゆるされて、座をたちてかへる道にて思ふやう、此玉の簾のうちにゐさせ給て、かやうに物の沙汰して、我をかへさるゝ人は、たれにかおはしますらんと、いみじくおぼつかなくおぼえければ、又参りて、庭にゐたれば、簾のうちより「あの広貴は、かへしつかはしたるにはあらずや。いかにして又参りたるぞ」と問はるれば、広貴が申やう、「はからざるに、御恩をかうぶりて、帰がたき本国へかへり候ことを、いかにおはします人の仰とも、え知り候はで、まかりかへり候はむことの、きはめていぶせく、くちをしく候へば、恐ながらこれを承に、また参りて候なり」と申せば、「汝不覚也。閻浮提えんぶだいにしては、我を地蔵菩薩と称す」とのたまふをきゝて、さは炎魔王と申は、地蔵にこそおはしましけれ。此菩薩につかうまつり候が、地獄の苦をばまぬかるべきにこそあめれと思ふ程に、三日といふに生きかへりて、其後、妻のために仏経を書き供養してけりとぞ。日本の法華験記に見えたるとなん。
宇治拾遺物語「広貴炎魔王宮へ召るる事」
大王は笏をのまんず御口つき
編者/評者:編者未詳
出典:『柳多留拾遺』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):3‐27
刊行/開き:1796~97(寛政8~9)(刊)
ゑんまさまぬり樽といふあたまつき
編者/評者:編者未詳
出典:『柳多留拾遺』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):3‐32
刊行/開き:1796~97(寛政8~9)(刊)
両句とも閻魔大王の木像の形容。
友だちにゑんまのてうで御用あひ
編者/評者:初世川柳(評)
出典:『川柳評万句合勝句刷』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):礼‐11
刊行/開き:1779(安永8年)(開き)
江戸では赤坂心法寺、深川賢法寺、牛込平川寺、蔵前長延寺、新宿太宗寺などの閻魔堂が著名で、正月、七月の一六日は参詣群集してにぎわった。この春秋の賽日に参詣する者は、商家の丁稚や小僧が多かった。右の句の「御用」は御用聞きの略で小僧のこと。したがって「正月のゑんま芝居におされたり」(二十15)の句のように、正月の藪入りには、閻魔信仰よりも観劇のほうが魅力的であった。


日本国語大辞典

えんま 【閻魔〓魔・焔魔】

解説・用例

【一】

{梵}Yama の音訳。手綱・抑制・禁止などの意。遮止(しゃし)・静息など種々に訳し、また、死者の霊を捕縛する「縛」とも、平等に罪福を判定する意の「平等」とも訳す。また、古代インド神話では、兄妹の双生児であるところから「双」とも。また、梵語ra〓ja (王の意)を付した音訳語、閻魔羅社・〓摩邏闍などを略して閻羅・〓羅などともする)

仏語。死者の霊魂を支配し、生前の行ないを審判して、それにより賞罰を与えるという地獄の王。閻魔王。閻魔大王。閻魔羅。閻羅。閻羅王。

*霊異記〔810~824〕下・三五「火君(ひのきみ)の氏、忽然(たちまち)に死して〓魔の国に至る」

*百座法談〔1110〕三月一日「閻摩のつかひ三人、一人は鉄のあみをかつぐ」

*太平記〔14C後〕二六・芳野炎上の事「蔵王権現(ごんげん)左の御手に乗せ奉りて、炎魔(エンマ)王宮に至り給ふに」

*浮世草子・日本永代蔵〔1688〕三・二「浮世の帳面さらりと消して、閻魔(エンマ)の筆に付けかゆるに」

【二】〔名〕

(1)(「借る時の地蔵顔(じぞうがお)、なす時の閻魔顔」ということわざから)借金のある人。

*雑俳・柳筥〔1783~86〕二「借りたのをなすが閻魔(エンマ)はきらい也」

*雑俳・柳多留‐一六七〔1838~40〕「鬼が来て焔魔を責る大晦日」

(2)閻魔王の像が恐ろしい顔をしているところから)借金取り、掛け取りなどの類。

*雑俳・軽口頓作〔1709〕「のうのうのう・ゑんまいなすにあせかいた」

*歌舞伎・梅雨小袖昔八丈(髪結新三)〔1873〕三幕「芸者や閻魔(エンマ)を脅しつけて親分風を吹すけれど、遊び人を向うへ廻して命がけのことは出来ねえ」

(3)明治期、雇い人をあっせんする口入所の帳場で、登録を紹介する役目の者。

*風俗画報‐二二〇号〔1900〕新葭町「先づ入口近くに、湯屋の番台の如き台の上にゑんまとて帳付をなす男坐り居り、是は雇はんと云ひ来りし方を帳面に記入れ置き」

(4)隠語。

(イ)盗人仲間で、検事、警察官をいう。〔隠語輯覧{1915}〕

(ロ)囚人仲間で、看守をいう。〔日本隠語集{1892}〕

(ハ)(うそをつくと、閻魔様に釘抜きで舌を抜かれるというところから)大工仲間や盗人仲間で、大形の釘抜きをいう。〔日本隠語集{1892}〕

語誌

(1)【一】は、古代インド神話では、夜摩Yama 神で、みずから冥界を見いだし、死者の王となった。天上の楽土とされたが、後に下界に転じ、死者の生前の行為を審判する神とされた。これが仏教にはいり、一は六欲天の一つ、夜摩天となり、他は冥界の閻魔王となったもので、のち、中国にはいって、道教などと混じて、五官王、八王、十王などの説を生じ、特に裁判官である十王の一つとされた。住所は餓鬼界とするものなど、幾つかの説があるが、後に地獄界とするようになったもので、赤血色の衣をまとい、冠をかむり、目を怒らせ、手に罪人を縛る縄を持つ姿が、閻魔の一般的イメージである。

(2)「閻摩・〓摩・閻羅(えんら)・閻摩羅(えんまら)」など、種々の表記・呼び方のあることは、「一切経音義(玄応音義)」等の仏書から確認できるが、それらが特に使い分けられるということはなく、「今昔‐六・三九」の表題に「閻魔」と記されながら、本文では「閻羅」となっているように、一つの作品、一つの話の中で併用されていることもある。

発音

〓[エ]〓江戸〓〓〓〓[エ]

辞書

文明・易林・日葡・ヘボン・言海

正式名称と詳細

表記

閻魔易林言海

焔魔文明

閻魔ヘボン

〓言海

図版

閻魔【一】〈奈良県 白毫寺蔵〉



世界大百科事典

閻魔
えんま

閻魔は冥府の王として仏教とともに日本に入り,恐ろしいものの代名詞とされたが,地蔵菩薩と習合して信仰対象にもなった。奈良時代には閻羅王と書かれ,まれに閻魔国とも書かれている(《日本霊異記》)。閻羅は閻魔羅闍(えんまらじや)Yama-râjaの略で,閻魔王の意味である。これは《仏説閻羅王五天使経》または《閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経》に拠ったものであろう。後者は《預修十王経》とも呼ばれるように,閻魔王のほかに9王を加えて10王とし,閻魔王を裁判長として陪審の形をとっている。しかし奈良時代までは閻羅王使の鬼が死者を迎えに来て閻羅王宮に引き立て,その裁判によって地獄の責苦を受けることになる。このような閻魔はインドの冥界の主が仏教の中に入って,勧善懲悪,または因果応報の唱導に利用されたものである。したがって中国でもすでに本地は地蔵菩薩であるという信仰が生まれ,死者救済を願うために信仰されるようになった。すなわち日本では閻魔十王と三仏を十三仏にあてて,初七日忌から三十三回忌までの供養本尊とする。この場合は閻魔は五七日忌の供養本尊となり,地蔵菩薩としてまつられる。しかし一方,唱導説話や地獄変相図の中では,依然として恐ろしい形相で罪ある死者を呵責する冥府の王であった。閻魔十王の造像は鎌倉時代からおこなわれ,閻魔堂に安置された。鎌倉円応寺や奈良白毫寺の閻魔十王はその古い作例である。これが近世になると村々に閻魔堂ができ,閻魔十王と葬頭河婆(そうずかば),鬼,浄玻璃(じようはり)鏡,業秤(ごうのはかり)などの像が一具としておかれるようになる。そして葬送にあたってはここに死者の衣類を供えて,滅罪を願う習俗が一般化した。この信仰が失われたところでは,閻魔十王像はほこりにまみれて放置されているものが多い。しかし信仰の生きているところでは,正月とお盆月の16日は閻魔の縁日で,地獄の死者の宥恕される日としており,これを藪入りといっている。この日地獄変相図が閻魔堂にかけられる。
→三途(さんず)の川
[五来 重]

中国

インドに起源するとされるヤマYama王の信仰伝承は,仏典を通して中国に伝えられた。漢訳仏典ではその名が音訳されて,閻魔,焰摩,琰魔,閻羅,閻摩羅などと表記され,また平等に罪を治するという職務から平等王とも訳される。死後の世界の支配者として,生前の善悪の行に従って死者に裁きをあたえるとされる。中国伝来以後,中国土着の冥界観念と習合し,元来は持たなかった性格が付加され,民衆に親しい神として,中国撰述の偽経仏典や小説,俗文学の作品の中に,中国的な様相の閻魔王の姿を見ることができる。魏晋南北朝時代にすでに閻魔王は,中国土着の冥府の支配者である太(泰)山府君と同化していたとされ,唐代初年の,唐臨《冥報記》では,中国的な天帝の下,太山府君の上に位を占める神と位置づけられている。さらに唐末の,杜光庭《道教霊験記》では,道教説話の中に閻羅王が出現し,中国人が閻羅の職務についたとされている。閻魔が罪人を裁く裁判官としての風貌を強くおびるようになるのも中国的な着色であろう。死者の裁判官としての閻魔は,唐末から五代の時期に,死者に対する7日ごとの供養と結びついて,冥府の十王(ほかに秦広,初江,宋帝,伍官,変成,泰山府君,平等,都市,転輪)の一人となる。十王の組織は,当時の民衆的な冥府の神々を基礎にして形成されたもので,閻魔王も道教的な神々と席をならべることになるのである。ちなみに閻魔の異称である平等王も,別に十王の一人に加えられている。閻魔をふくむ十王の観念は,中国の民衆信仰の中に長くうけつがれ,現在も,死者の供養に際しては《地蔵十王図》がかかげられることがあるという。
→ヤマ
[小南 一郎]

[索引語]
地蔵 閻羅 閻魔羅闍 Yama-râja 閻羅王 十王(閻魔閻魔十王 閻魔堂 葬頭河婆 浄玻璃(じようはり)鏡 業秤 藪入り ヤマ王 Yama 平等王 泰(太)山府君 冥府の十王 地蔵十王図
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検索コンテンツ
1. 閻魔
日本大百科全書
冥界めいかいを支配する死の神の名称。サンスクリット語ヤマyamaの音写で、閻魔王(ヤマラージャyama-rāja)ともいう。ほかに炎摩、焔摩、琰魔、閻摩羅えんま
2. 閻魔
世界大百科事典
呵責する冥府の王であった。閻魔十王の造像は鎌倉時代からおこなわれ,閻魔堂に安置された。鎌倉円応寺や奈良白毫寺の閻魔十王はその古い作例である。これが近世になると村
3. えんま【閻魔・〓魔・焔魔】画像
日本国語大辞典
。死者の霊魂を支配し、生前の行ないを審判して、それにより賞罰を与えるという地獄の王。閻魔王。閻魔大王。閻魔羅。閻羅。閻羅王。*霊異記〔810~824〕下・三五「
4. えんま【閻魔】画像
全文全訳古語辞典
つかさどる。大きく頑健な体を持ち、ひげづらの目を大きくむいた威嚇的な形相をしている。閻王。閻魔王。閻魔大王。閻羅。焔摩天。
5. えんま【閻魔】
日本人名大辞典
れ,中国で道教とむすびついて平安時代前期に日本につたわる。かつて子供たちは「嘘(うそ)をつくと閻魔様に釘(くぎ)抜きで舌をぬかれる」とおどされた。
6. えんま【閻魔】
日本架空伝承人名事典
呵責する冥府の王であった。閻魔十王の造像は鎌倉時代からおこなわれ、閻魔堂に安置された。鎌倉円応寺や奈良白毫寺の閻魔十王はその古い作例である。これが近世になると村
7. えんま【閻魔・炎魔】
仏教語大辞典
古代インド神話では、兄弟の双生児であるところから「双」とも。また、 梵 Yama-rāja の音写「閻魔羅社・琰摩邏闍・閻魔羅」などを略して閻羅・琰羅などという
8. えんま【閻魔・琰魔・焔魔】[頭見出し]
故事俗信ことわざ大辞典
〕よう・閻魔(えんま)に千振(せんぶり)・閻魔(えんま)の色事(いろごと)・閻魔(えんま)の帳合(ちょうあい)・閻魔(えんま)の=帳(ちょう)〔=帳面(ちょうめ
9. 【閻魔】えんま
新選漢和辞典Web版
《仏教》地獄の長官。人の生前の罪を調べ、罰を加える神。「閻魔大王」
10. えんま‐おう[‥ワウ]【閻魔王】
日本国語大辞典
室町中〕「閻魔王 ヱンマワウ」*仮名草子・尤双紙〔1632〕上・二四「稀成物のしなじな〈略〉ぼんでんにきせいし奉り給へば、ゑむまわうあはれみて」*仮名草子・伽婢
11. 閻魔王[図版]画像
国史大辞典
 (c)Yoshikawa kobunkan Inc. 
12. えんまおう【閻魔王】画像
国史大辞典
本尊とする場合は故人の冥福を祈るものである。閻魔王の姿は冠をつけ、道服を着し、笏をもった中国的姿である。閻摩天の信仰は平安時代後期から行われているが、閻魔王の信
13. えんまおう‐かい[エンマワウ‥]【閻魔王界】
日本国語大辞典
〔名〕仏語。閻魔王の住む国。*往生要集〔984~985〕大文一「第二明〓餓鬼道
14. えんまおう‐かい【閻魔王界】
仏教語大辞典
閻魔王の支配下にある冥界。 沙石集 三・二 「世間の人の、隠して罪を作り置を(略)炎魔王界にして、冥官、冥道の前につなぎつけ、引すへられて、阿防羅刹に打はられて
15. えんまおう‐ぐう[エンマワウ‥]【閻魔王宮】
日本国語大辞典
仏語。閻魔王の住む宮殿。閻魔宮。*今昔物語集〔1120頃か〕二〇・四五「被搦(からめられ)て、閻魔王宮に至て、罪を被定るるに」*太平記〔14C後〕二六・芳野炎上
16. えんま‐がお[‥がほ]【閻魔顔】
日本国語大辞典
〔名〕閻魔王のようなおそろしい顔。閻魔づら。〓恵比須顔。*虎明本狂言・胸突〔室町末~近世初〕「あど道すがらかる時のぢざうがほになす
17. 閻魔が嚔したよう
故事俗信ことわざ大辞典
奇妙な顔のたとえ。 日本俚諺大全(1906~08)「閻魔(エンマ)が噴息(クシャミ)したやうな顔(カホ)」
18. 閻魔が=塩〔=塩辛〕を嘗めたよう
故事俗信ことわざ大辞典
は召上らず、これ閻魔(エンマ)塩(シホ)をなめたと云ふ事あるにや」諺苑(1797)「閻魔の塩をなめたやう」歌舞伎・舛鯉滝白旗(閻魔小兵衛)(1851)大切「ほん
19. えんま が =塩(しお)を嘗(な)めたよう[=渋柿(しぶがき)を食(く)ったよう]
日本国語大辞典
ひどいしかめっつら。*黄表紙・八代目桃太郎〔1784〕「かりそめにも塩の辛き物などは召上らず、これ閻魔(エンマ)塩(シホ)をなめたと云ふ事あるにや」
20. 閻魔が渋柿を食ったよう
故事俗信ことわざ大辞典
閻魔が塩を嘗めたよう」に同じ。〔日本俚諺大全(1906~08)〕
21. 閻魔が抹香を=嘗めた〔=食った〕よう
故事俗信ことわざ大辞典
譃字尽(1806)人相小かがみ幷図論「閻魔(ヱンマ)が抹香(マッカウ)をなめたやうな面(かほ)を、しぶ相」諺語大辞典(1910)「閻魔の抹香くったやう」
22. えんま‐ぐう【閻魔宮】
日本国語大辞典
「えんまおうぐう(閻魔王宮)」に同じ。*謡曲・生田敦盛〔1520頃〕「なに閻魔宮よりのおん使とや、片時の暇と仰せられしに、今までの遅参に、閻王怒らせ給ふぞ」
23. エンマコオロギ画像
日本大百科全書
昆虫綱直翅ちょくし目コオロギ科に属する昆虫。日本にすむコオロギ類中でもっとも普通種。顔面の感じが閻魔えんま大王の顔を連想させるところから名がつけられた。日本各地
24. えんま‐こおろぎ[‥こほろぎ]【閻魔蟋蟀】
日本国語大辞典
入れたる笊の中に虫鳴くとて其笊を座敷に置いて聞く閻魔こほろぎにやあらんなどいふ」*東京年中行事〔1911〕〈若月紫蘭〉五月暦「中にも養成に一番困難なのは鈴虫と閻
25. エンマゴチ
日本大百科全書
硬骨魚綱スズキ目コチ科に属する海水魚。山口県の日本海沿岸、八丈はちじょう島、南西諸島、パラオ、フィリピン、ボルネオ、ニュー・カレドニアなどの西太平洋に分布する。
26. えんま‐さま【閻魔様】
日本国語大辞典
閻魔王を日常の中でいう語。*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉二「嘘をいふと盆が来るに焔魔様(ヱンマサマ)へお参りが出来まいぞ」*火の柱〔1904〕〈木下尚江〉一
27. えんま‐ししゃ【閻魔使者】
仏教語大辞典
閻魔王が六道にある者の死に臨んで派遣する使者のうちの地獄の使者をいう。 塩尻拾遺 四七 「焰魔使者〈地獄〉、持宝童子〈餓鬼〉、大刀使者〈畜生〉、大慈天女〈修羅〉
28. えんま‐しちも【閻魔七母】
仏教語大辞典
胎蔵界曼荼羅閻魔天の眷属で、七人の姉妹をいい、この世の事を評定するという。閻魔王七母とも。 参語集 三・七星七辨七母等事 「炎摩七母は、此の人々世間の事を評定す
29. えんま‐じゅうおう【閻魔十王】
仏教語大辞典
冥界の王である閻魔王を始めとする十人の王の意。 →十王 ひとりね 上 「寔に閻魔十王のたぐひも、りんきの婦〈女ぼう〉をばおそるゝならん、とかきしを見れば」
30. えんま‐そつ【閻魔卒】
日本国語大辞典
〔名〕閻魔の庁や地獄にいて、罪人を責める獄卒。閻羅人(えんらにん)。閻魔獄卒。閻羅獄卒。*名語記〔1275〕五「獄卒、〓魔卒をおに
31. えんま‐そつ【閻魔卒】
仏教語大辞典
閻魔の庁や地獄にいて、罪人を責める獄卒。閻魔獄卒とも。 →閻羅人 賀古教信七墓廻 一 「十王経に曰、閻魔卒三魂を縛して関樹下に至る」
32. えんま‐だいおう[‥ダイワウ]【閻魔大王】
日本国語大辞典
閻魔の尊称。*雲形本狂言・朝比奈〔室町末~近世初〕「是は地獄の主閻魔大王です」*説経節・あいごの若(山本九兵衛板)〔1661〕四「ゑんま大わうの御前にまいり、な
33. えんま‐ちょう[‥チャウ]【閻魔帳】
日本国語大辞典
〔名〕(1)閻魔大王が、死者の生前の行ないの善悪などを書きとめておく帳面。(2)教師が、生徒の成績や行状などを書きとめておく帳面。教師・学生仲間の語。〔訂正増補
34. えんま‐ちょう【閻魔庁】
仏教語大辞典
閻魔王が政務をつかさどる所。死者の生前の善悪によって、死後の身の在り方を裁決する所。 法華験記 上・二八 「数日悩苦、即入死門、臨至冥途、越閻魔庁」
35. えんま‐ちょう[‥テウ]【閻魔鳥】
日本国語大辞典
(からくり)閻魔鳥(ヱンマテウ)は是じゃと。簡板(かんばん)たたき立る中に」*浮世草子・日本永代蔵〔1688〕四・三「烏(からす)を鷺の見せ物を拵へ、一年は閻魔
36. えんまちょう に 付(つ)く
日本国語大辞典
「えんま(閻魔)の帳に付く」に同じ。
37. えんま‐づら【閻魔面】
日本国語大辞典
〔名〕「えんまがお(閻魔顔)」に同じ。*談義本・教訓雑長持〔1752〕五・鉢坊主身の上を懺悔せし事「取込時の地蔵がほ、無心いふと閻魔(ヱンマ)づら。さりとては、
38. えんま‐てん【閻魔天】
日本国語大辞典
密教で護世八方天、十二天の一つ。焔魔天・炎魔天などとも。また夜魔天と同一視される。延寿、除災、追福などの本尊で、曼荼羅(まんだら)では水牛の上に座し、片手に人頭
39. えんまてん‐え【閻魔天会】
仏教語大辞典
閻魔王のもとに冥界の者どもが集まっている日をいう。この地上で仏事を行っても、何の益もない八専日の一つ。壬子の日。 →八専日 塵添壒囊鈔 一四・九 「八専日とて三
40. えんまてん‐く【閻魔天供】
日本国語大辞典
〔名〕閻魔王を供養し、除病、安穏などを祈る密教修法。*梵舜本沙石集〔1283〕二・五「弟子の僧共に、炎魔天供して命を延て、此僧に灌頂授けて、恵命をつがんと思ふ由
41. えんまてん‐く【閻魔天供】
仏教語大辞典
閻魔王を供養し、除病・安穏などを祈る密教修法。 雑談集 一・一一 「炎魔天供行ぜむ時はいかが観法すべき」 仁和寺御伝 下・御常瑜伽院御室 「(応永二十年正月二十
42. えんまてんぞう【閻魔天像】 : 醍醐寺
国史大辞典
閻魔天像(えんまてんぞう)  伝統的な閻魔天像の形式に従う画像で、平安・鎌倉時代に数例がある。密教の修法である閻魔天法の本尊として描かれたと推定される。本図の
43. えんまてん‐まんだら【閻魔天曼荼羅】
日本国語大辞典
〔名〕(「曼荼羅」は、諸仏、諸尊などの集まる所の意)閻魔天を中尊とする曼荼羅で、密教で閻魔天供法を行なうときに用いられる。
44. えんまてん‐まんだら【閻魔天曼荼羅】
仏教語大辞典
「曼荼羅」は、諸仏・諸尊などの集まる所をいう 閻魔天を中尊とする曼荼羅で、密教で閻魔天供法を行う時に用いられる。
45. えんま‐とう[‥タウ]【閻魔幢】
日本国語大辞典
〔名〕閻魔天が片手に持つ旗。上端に人頭をつけ、罪の実否、軽重を定める意を表わした杖。人頭幢(にんずとう)。
46. えんま‐どう[‥ダウ]【閻魔堂】
日本国語大辞典
〔名〕閣魔大王をまつってある堂。*太平記〔14C後〕二・師賢登山事「志賀の閻魔(エンマ)堂の前を横切に、今路に懸って引き帰へす」*看聞御記‐応永三二年〔1425
47. えんまどう【閻魔堂】富山県:中新川郡/立山町/芦峅寺村
日本歴史地名大系
行事次第・勤行作法などの詳細がうかがわれるが、閻魔堂では年間に一二度の縁日と五度の節句が行われた。このほか毎年秋の彼岸の中日に芦峅寺一山により閻魔堂と
48. えんま‐どう【閻魔堂・炎魔堂】
仏教語大辞典
閻魔王をまつってある堂。 一遍語録 上・偈頌和歌 「江州守山のほとり閻魔堂といふ所に」
49. えんま‐どう【閻魔幢】
仏教語大辞典
閻魔王の存在を象徴する幢。檀荼憧(「檀荼」は 梵 daṇḍa の音写。棒のこと)とも。幢の上に人の頭を置くので、人頭幢ともいう。 十王経 「金剛願地蔵 左持
50. えんまどう‐きょうげん[エンマダウキャウゲン]【閻魔堂狂言】
日本国語大辞典
うじ)、通称閻魔堂で、毎年五月二一日から二〇日間行なわれる念仏狂言。同じ京都の壬生(みぶ)寺、嵯峨清凉寺釈迦堂の大念仏と合わせ、洛中の三大念仏といわれる。念仏狂
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往生要集(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
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宝物集(日本大百科全書・世界大百科事典)
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正法眼蔵随聞記(国史大辞典・日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典)
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元亨釈書(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
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ユダヤ教およびキリスト教の聖典。人類の歴史において,聖書ほど広く世界に行き渡り,人々の心を深く捉え,その社会・文化あるいは思想の形成に多大な影響を与え,また熱心な研究の対象となってきたものはおそらくないであろう。その意味で,聖書は人類の大いなる遺産
閻魔(日本架空伝承人名事典・日本国語大辞典・世界大百科事典)
閻魔は冥府の王として仏教とともに日本に入り、恐ろしいものの代名詞とされたが、地蔵菩薩と習合して信仰対象にもなった。奈良時代には閻羅王と書かれ、まれに閻魔国とも書かれている(『日本霊異記』)。閻羅は閻魔羅闍(えんまらじゃ)の略で、閻魔王の意味である。
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三宝絵詞(東洋文庫・国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本国語大辞典)
平安中期,出家した尊子内親王に源為憲が献じた仏教入門書。表題には「絵」とあるが,絵は失われて詞書だけがのこる。本生譚,経典の功徳,仏教・年中行事などを内容とする。1990年01月刊
渓嵐拾葉集(国史大辞典・世界大百科事典)
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