NHK大河ドラマ「光る君へ」特集
ジャパンナレッジは約1700冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書」サービスです。
➞ジャパンナレッジについて詳しく見る
  1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 人物
  6. >
  7. 作家
  8. >
  9. 小説家・作家・詩人
  10. >
  11. 林真理子

林真理子

ジャパンナレッジで閲覧できる『林真理子』の日本近代文学大事典のサンプルページ

日本近代文学大事典

人名
林 真理子
はやし まりこ
昭和29・4・1~
1954〜
本文:新規

小説家、エッセイスト。
山梨県山梨市生まれ。


 書店を営む家庭に生まれる。山梨県立日川高校卒業後、日本大学芸術学部文芸学科入学。1976(昭和51)年卒業後、アルバイト等をしながら宣伝会議主催のコピーライター養成講座、糸井重里コピー塾等に学んだのち、1981(昭和56)年にコピーライターデビュー、1982(昭和57)年に初のエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(同・11 主婦の友社)を刊行し、ベストセラーとなる。1983(昭和58)年に初の小説「星に願いを」(『小説現代』1983・12)を発表、次いで「星影のステラ」(『野性時代』1984・7)、『葡萄が目にしみる』(1984・11 角川書店)、「胡桃の家」(『小説新潮』1985・7)と立て続けに直木賞候補となったのち、「最終便に間に合えば」「京都まで」(『最終便に間に合えば』1985・11 文藝春秋より)で第94回直木賞を受賞した。受賞作はどちらも、恋愛中の男女の駆け引きを描いた短編作品である。

 この作風は以後の現代小説に受け継がれ、働く現代女性とその恋愛関係に焦点化した『不機嫌な果実』(1996・10 文藝春秋)や『anego』(2003・11 小学館)、専業主婦かキャリア女性かという女性のライフコース選択の問題を背景にした連作小説集『みんなの秘密』(1997・12 講談社 第32回吉川英治文学賞受賞)や『下流の宴』(2010・3 毎日新聞社)などが書かれた。いっぽう1990年代には、実践女子学園創設者・下田歌子を取り上げた『ミカドの淑女おんな』(1990・9 新潮社)、歌人・柳原白蓮をモデルにした『白蓮れんれん』(1994・10 中央公論社 第8回柴田錬三郎賞受賞)、作家・真杉静枝に材をとった『女文士』(1995・10 新潮社 第6回坪田譲治文学賞候補)など、近代に生きる実在の女性表現者たちに取材した歴史・評伝小説を相次いで書き、知的才能に恵まれながらも恋愛や結婚に翻弄された姿を、彼女たちがものを書き読む営為を手がかりにしつつ描いている。

 この系譜には、母をモデルにしたとされる女性・万亀まきの戦前から戦後までの半生を彼女の愛読する文学作品と関連させつつ描く『本を読む女』(1991・2 新潮社)のほか、「櫂」「一絃の琴」などの作品で知られる宮尾登美子の作家人生を描いた『綴る女 評伝・宮尾登美子』(2020・2 中央公論新社)なども含まれよう。宮尾登美子は歴史の中の女性に着目する点、また直木賞・吉川英治文学賞などを受賞している点でも、林真理子と立ち位置の近い作家である。書く女性たちの姿を描くこれらの作品は、女性作家が抱えてきた問題を明るみに出しつつ、書き手としての自らの立場をも捉え返す批評性のある作品であると言えよう。

 林の作品は現代小説・評伝小説を問わず多くドラマ化され、女性を中心に広く読まれてきた。2018年には『西郷どん』(2017・11 KADOKAWA)がNHK大河ドラマの原作となり、注目を浴びることとなった。また『本朝金瓶梅 お伊勢編』(2007・11 文藝春秋)や、『六条御息所 源氏がたり』全3巻(2010・4~12・9 小学館)、『STORY OF UJI 小説源氏物語』(2015・2 小学館)など、古典文学に材をとって再構成した小説も手掛けている。

 これら小説作品と並び、林真理子はデビュー当初からコンスタントにエッセイを書き続けている。1980年代にはタレントであるアグネス・チャンの「子連れ出勤」を批判したエッセイ「いい加減にしてよアグネス」(『文藝春秋』1988・5)を書き、中島梓をはじめ、上野千鶴子ら研究者をも巻き込んだ「アグネス論争」を引き起こし、女性の社会進出と家庭役割・家庭責任との軋轢が生むジェンダー問題を浮き彫りにした。それを含む林の『週刊文春』掲載エッセイは、1983(昭和58)年8月4日号の初回以降、1669回目を数える2020(令和2)年10月22日号をもって、「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定され、これらエッセイストとしての活躍を含めた長年の文化活動に対し、2020年に第68回菊池寛賞が贈られた。なお、林は第123回直木賞(2000年上半期)以降2021(令和3)年4月現在まで直木賞選考委員を務める他、吉川英治文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞などの選考委員も歴任、2020年5月には女性初の日本文藝家協会理事長に就任した。2018(平成30)年、紫綬褒章受章。2020年9月から11月にかけ、出身地である山梨の県立文学館にて「企画展 まるごと林真理子展」が行われた。

(鈴木直子 2021記)

代表作

代表作:新規
「白蓮れんれん」
びゃくれんれんれん
評伝小説、書き下ろし、初版『白蓮れんれん』1994年10月1日、中央公論社。本作が取り上げるのは、柳原白蓮として知られる大正・昭和期の歌人・宮崎燁子。前原伯爵の庶子として生まれ、最初の不幸な結婚、伊藤伝右衛門への再嫁、そののち宮崎龍介との再々婚という白蓮の人生を、取材と未発表書簡をもとに辿り直し、女学校や読書から得られる自由な知性への彼女の渇望と、表現への欲望を浮き彫りにする。第8回柴田錬三郎賞受賞。第34回女流文学賞候補。
(鈴木直子 2021記)
分類:小説家
分類:エッセイスト
既存新規:新規人名
上記は、日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書サービス「ジャパンナレッジ」のサンプル記事です。

ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。
すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
パソコン・タブレット・スマホからご利用できます。


林真理子の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 30
※検索結果は本ページの作成時点のものであり、実際の検索結果とは異なる場合があります
検索コンテンツ
1. 林真理子
日本大百科全書
受賞。「男と女の卑しさとイヤラシサを描くのが実に上手だが、そのぶん後味が悪い」(山口瞳)、「林真理子独特の新しい存在感が胡座あぐらをかいている」(黒岩重吾)と受
2. はやし-まりこ【林真理子】
日本人名大辞典
1954− 昭和後期-平成時代の小説家。昭和29年4月1日生まれ。はじめコピーライターとして知られ,昭和58年エッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」がベス
3. 林 真理子
日本近代文学大事典
宮尾登美子は歴史の中の女性に着目する点、また直木賞・吉川英治文学賞などを受賞している点でも、林真理子と立ち位置の近い作家である。書く女性たちの姿を描くこれらの作
4. 芥川賞/直木賞[文芸]
情報・知識 imidas
宮本輝、村上龍、山田詠美の9人。直木賞は、浅田次郎、阿刀田高、五木寛之、井上ひさし、北方謙三、林真理子、平岩弓枝、宮城谷昌光、宮部みゆき、渡辺淳一の10人。 [
5. 3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構(三枝塾)[イミダス編 文化・スポーツ]
情報・知識 imidas
遺児たちの、将来の夢の実現を支援していくプロジェクト。発起人で作曲家の三枝成彰が会長、作家の林真理子が会長代行となり、2012年2月25日に東京でキックオフパー
6. 直木賞
日本大百科全書
藤沢周平、佐木隆三さきりゅうぞう、宮尾登美子、阿刀田高あとうだたかし、向田邦子むこうだくにこ、林真理子、山田詠美えいみらが相次いで活気をもたらし、ことに1980
7. 8050問題【2022】[社会福祉【2022】]
現代用語の基礎知識
対策として国は「ひきこもり地域支援体制」の構築を掲げる。ひきこもる長男とその家族の姿を描いた林真理子著の『小説8050』でも話題となった。
8. 宮尾 登美子
日本近代文学大事典
作家的名声は挙がったが、文学的評価はむしろ初期から中期の『櫂』『岩伍覚え書』『寒椿』などの方が高い。参考文献に林真理子『綴る女 評伝・宮尾登美子』(2020・2
9. るん‐るん
日本国語大辞典
ルンルンルン、と鼻唄まじりに楽しく手をつなぎなどして」*ルンルン気分の絶体絶命〔1983〕〈林真理子〉「さっそく会話の終わりには、『やっちゃった、ルンルン』など
10. 言言語語 ~6/2
週刊エコノミスト 2021-22
田中英寿前理事長による脱税事件などの不祥事を受け人事刷新を目指す日本大学の次期理事長に、日大卒業生で作家の林真理子氏(68)=写真=が内定した。林氏が報道陣に。
11. 言言語語 ~7/7
週刊エコノミスト 2021-22
朝日新聞』  不祥事に揺れた日本大学で初の女性となる理事長に、日大芸術学部出身の直木賞作家、林真理子氏(68)が就任した。新体制は理事22人のうち9人が女性。林
「林真理子」の情報だけではなく、「林真理子」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶

林真理子と同じ小説家・作家・詩人カテゴリの記事
夏目漱石(日本大百科全書・日本近代文学大事典)
小説家。本名金之助。慶応3年1月5日(新暦2月9日)に江戸牛込馬場下横町(東京都新宿区牛込喜久井町)に生まれた。[三好行雄]生い立ち父は同町一帯を支配する名主小兵衛直克、母千枝との5男3女の末子であった。父母晩年の子として疎まれ、生後まもなく里子に出され
太宰治(日本大百科全書(ニッポニカ))
小説家。本名津島修治。明治42年6月19日、青森県北津軽郡金木村(現、五所川原市)に生まれる。津島家は新興地主で、貴族院多額納税議員の資格があった。青森中学、弘前高校を経て東京帝国大学仏文科中退。中学時代から同人雑誌を刊行。芥川龍之介の影響から出発したが
曲亭馬琴(日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
江戸後期の小説家。姓は滝沢、名は興邦(おきくに)、のち解(とく)と改める。字(あざな)は子翼、瑣吉(さきち)。通称は清右衛門、笠翁(りつおう)、篁民(こうみん)。別号は大栄山人(だいえいさんじん)、著作堂(ちょさどう)主人、飯台陳人、乾坤(けんこん)
十返舎一九(日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
江戸後期の洒落本(しゃれぼん)、黄表紙(きびょうし)、滑稽本(こっけいぼん)、合巻(ごうかん)作者。本名重田貞一(しげたさだかず)、通称与七。十返舎は香道の十返(とがえ)しにちなみ、一九は幼名市九による。酔斎、十偏舎、十偏斎などとも号す。前半生の伝記
三島由紀夫(日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
小説家。本名平岡公威(きみたけ)。父梓(あずさ)と母倭文重(しずえ)の長男として大正14年1月14日東京四谷(現新宿区)に生まれる。満年齢が昭和の年数と一致するという点にも時代との関係がみられる。1931年(昭和6)学習院初等科に入り、高等科まで学習
小説家・作家・詩人と同じカテゴリの記事をもっと見る


「林真理子」は人物に関連のある記事です。
その他の人物に関連する記事
ルノワール(日本大百科全書・世界大百科事典)
豊後の国。郡は八所、〔郷は四十、里は百十〕駅は九所、〔みな小路〕烽は五所、〔みな下国〕寺は二所〔一つは僧の寺、一つは尼の寺〕である。豊後の国は、本、豊前の国と合わせて一つの国であった。昔、纏向の日代の宮で天下をお治めになった大足彦の天皇
エジソン(世界大百科事典)
アメリカの発明家,電気技術者。二重電信機,スズ箔蓄音機,カーボンマイクロホン,白熱電球,映画,アルカリ蓄電池,謄写印刷機などを発明,または改良したことで非常に著名である。貧しい材木商兼穀物商の家に生まれ,小学校には数ヵ月しかいかずに母親から教育を受け
ショパン(日本大百科全書・世界大百科事典)
ピアノ音楽に比類ない境地を開いたポーランド出身の作曲家、ピアニスト。主要な作品のほとんどがピアノ曲で、その個性的で斬新(ざんしん)な書法はリリシズムを基調に、雄々しさ、気品、メランコリーなど多彩な性格をあわせもち、「ピアノの詩人」とたたえられ、世界的
山本周五郎(日本近代文学大事典・日本大百科全書・世界大百科事典)
本文:既存小説家。山梨県北都留郡初狩村八二番戸(現・大月市下初狩二二一番地)生れ。父清水逸太郎、母とくの長男。本名は三十六(さとむ)。家業は繭、馬喰、そのほか諸小売りであった。生前、本籍地の韮崎市若尾を出生地と語ったのは、そこが武田の御倉奉行と伝え
築山殿(日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
徳川家康の室。駿河御前(するがごぜん)ともいう。父は関口義広(よしひろ)(一説に氏広、また親永(ちかなが)など)、母は駿河の今川義元の妹。1556年(弘治2)義元の養女として、当時今川氏の人質となり駿府(すんぷ)にあった三河岡崎城主の家康に嫁し
人物に関連する記事をもっと見る


ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のインターネット辞書・事典・叢書サイト」です。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶