1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 社会
  6. >
  7. 学問
  8. >
  9. 語学
  10. >
  11. 仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)
国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典

ジャパンナレッジは約1500冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題のオンライン辞書・事典・叢書サービスです。
国史大辞典
仮字遣奥山路
かなづかいおくのやまみち
語学書。石塚竜麿著。三巻三冊。寛政十年(一七九八)以前成立。「かなづかいおくのやまじ」とも読む。『日本古典全集』第三期に収め昭和四年(一九二九)刊。奈良時代の文献について、その万葉仮名の用法を検討し、エ・キ・ケ・コ・ソ・ト・ヌ・ヒ・ヘ・ミ・メ・ヨ・ロの十三(『古事記』ではチ・モも)の仮名には二類があって、それぞれの語によってそのいずれの類を用いて表記するかの区別が存すると、用例を並べて詳しく説いたもの。著者は本居宣長の考えを展開させてこの発見を成したが、久しく真価が理解されず埋もれていた。大正時代以後、橋本進吉の上代特殊仮名遣の研究により、その国語史研究上の画期的意義が知られるに至った。ただし橋本は、本書にヌの二類としたものは、実はノの二類と考えるべきだと訂正している。→上代特殊仮名遣(じょうだいとくしゅかなづかい)
[参考文献]
橋本進吉「国語仮名遣研究史上の一発見―石塚竜麿の仮名遣奥山路について―」(『文字及び仮名遣の研究』所収)
(阪倉 篤義)


日本大百科全書
仮名遣奥山路
かなづかいおくのやまみち

国語学書。3巻。石塚龍麿(たつまろ)著。1799年(寛政11)以前に成立したが、未刊のまま伝わり、1929年(昭和4)に刊行された。本居宣長(もとおりのりなが)の『古事記伝』総論の記述に示唆されて、記紀万葉などの上代文献を精査し、エ、キ、ケ、コ、ソ、ト、ヌ、ヒ、ヘ、ミ、メ、ヨ、ロ(『古事記』ではチ、モも含む)の各音節が、万葉仮名によって2群に書き分けられ、混用されていないことを明らかにした。これは上代特殊仮名遣いの甲類、乙類の区別に相当する。龍麿はこの区別を「仮名遣い」の問題ととらえ、国語音韻上の区別とは考えていなかったらしい。1917年(大正6)橋本進吉によって世に紹介され、上代特殊仮名遣い研究の濫觴(らんしょう)として脚光を浴びた。
[沖森卓也]



改訂新版・世界大百科事典
仮字遣奥山路
かなづかいおくのやまみち

江戸後期の国学者石塚竜麿(1764-1823)の著した語学書。3巻。1798年(寛政10)ころに成る。本居宣長がその著《古事記伝》巻頭の〈仮字の事〉の項に記したことを受けて,万葉仮名の用法を《古事記》《日本書紀》《万葉集》の3書を中心に調査し,従来知られていなかった事実を明示した書。約1000におよぶ万葉仮名がいかなる語の,どの音節に用いられるかを細かく研究し,従来同一の類と思われていた仮名の内部に2類の区別があるもののあったことを明らかにし,万葉仮名で擬古文を書く場合にそれを用い分けるべきであることを主張した。たとえば,〈こ〉の万葉仮名としては許,去,拠,居,虚,挙,古,胡,固,故,顧などが用いられているが,〈こころ〉〈ところ〉〈ここ〉などの〈こ〉の場合には許,去,拠などしか用例がなく,〈こ(子)〉〈みやこ〉などの〈こ〉には古,胡,固,故などしか用例がない。つまり,許,去,拠などの類と古,胡,固,故の類との区別があったことを示した。このような区別がエ,キ,ケ,コ,ソ,ト,ノ,ヒ,ヘ,ミ,メ,ヨ,ロ,チ,モに存在すると述べたが,それが古代の音韻の別によることは気づかず,説明が不足で一般の理解が得られなかった。また当時は本文批判,文法,方言の研究が進んでいなかったので誤りも少なくない。しかし明治時代末期に,橋本進吉が別途に同一の事実を明らかにしてのち,本書の真価を知り世に紹介して一躍国語学界の注目を集め,古代日本語の音韻を知るうえに重要な書物とされるようになって,新しい古代日本語研究の道を開く端緒となった。《日本古典全集》に収められている。
[大野 晋]

[索引語]
石塚竜麿 万葉仮名 橋本進吉
ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
タブレットやスマホからも利用できます。 ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る
仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 14
検索コンテンツ
1. 『仮字遣奥山路』
日本史年表
1798年〈寛政10 戊午〉 この年以前 石塚竜麿 『仮字遣奥山路』 成る。  ...
2. 仮字遣奥山路
世界大百科事典
江戸後期の国学者石塚竜麿(1764-1823)の著した語学書。3巻。1798年(寛政10)ころに成る。本居宣長がその著《古事記伝》巻頭の〈仮字の事〉の項に記した ...
3. かなづかいおくのやまみち【仮字遣奥山路】
国史大辞典
語学書。石塚竜麿著。三巻三冊。寛政十年(一七九八)以前成立。「かなづかいおくのやまじ」とも読む。『日本古典全集』第三期に収め昭和四年(一九二九)刊。奈良時代の ...
4. いしづかたつまろ【石〓竜麿】
国史大辞典
類に使い分けられていることを研究し、近代におけるいわゆる上代特殊仮名遣研究の先駆をなした『仮字遣奥山路』三巻(寛政十年ごろ成る)を著わし、古代国語の研究に多大の ...
5. 仮名遣い
世界大百科事典
明らかにし,万葉仮名によって擬古文を記すときの規範にすべきだと考えたものがある。石塚竜麿の《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》,草鹿砥宣隆(くさかどのぶ ...
6. 国語学
世界大百科事典
つぎに,宣長の弟子,石塚竜麿は,宣長の指導によって,いわゆる上代特殊仮名遣いを精査し,その結果を《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》と題して発表した。し ...
7. こくごがく【国語学】
国史大辞典
音考』で漢字音の研究を行い、義門がそのあとをついで確実なものとした。宣長の門人石塚竜麿は『仮字遣奥山路』で、上代の万葉仮名の仮名遣いについて示したが、これはのち ...
8. こくごがく【国語学】 : 国語学/〔江戸時代〕
国史大辞典
音考』で漢字音の研究を行い、義門がそのあとをついで確実なものとした。宣長の門人石塚竜麿は『仮字遣奥山路』で、上代の万葉仮名の仮名遣いについて示したが、これはのち ...
9. じょうだいとくしゅかなづかい【上代特殊仮名遣】
国史大辞典
上代特殊仮名遣の事実は、はやく本居宣長が『古事記伝』総論において注意し、石塚竜麿がこれを継いで『仮字遣奥山路』にまとめたが、これとは別に研究を進めてその意味を明 ...
10. 上代特殊仮名遣い
世界大百科事典
この事実の発見の端緒は,本居宣長(もとおりのりなが)の《古事記伝》にあり,その門人石塚竜麿(たつまろ)の《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》に継承されて ...
11. にほんこてんぜんしゅう【日本古典全集】
国史大辞典
ほ物語考(桑原やよ子)・宇都保物語年立(殿村常久) 雲根志(全二冊) 雲根志(木内石亭) 仮字遣奥山路(全二冊) かなつかひおくの山路(石塚竜麿) 歌舞妓年代記 ...
12. 万葉仮名
世界大百科事典
る万葉仮名の使い分けを論じた。それを受けて,石塚竜麿(いしづかたつまろ)の《古言清濁考》《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》が生じ,橋本進吉に引き継がれ ...
13. れきしてきかなづかい【歴史的仮名遣】
国史大辞典
衣延弁』(文政十二年(一八二九)成)を著わしてこの書分けをすべきことを主張し、石塚竜麿は『仮字遣奥山路』(寛政十年(一七九八)ごろ成)を著わして、上代文献にキケ ...
14. 1798年〈寛政10 戊午〉
日本史年表
志筑忠雄著訳 『暦象新書』 上編成る(中編は寛政12年、下編は享和2年)。 この年以前 石塚竜麿 『仮字遣奥山路』 成る。 【死没】 2・15 池上太郎左衛 ...
「仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)」の情報だけではなく、「仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る

仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)と同じ語学カテゴリの記事
レトリック(文庫クセジュ ベストセレクション)
レトリック 文庫クセジュ833 オリヴィエ・ルブール著/佐野 泰雄訳 語学・文学 はじめに この書の最初の目的は、本書で「レトリック」なる語が用いられる時、それが一体何を意味するかを、読者に知ってもらうことである。意味とはいっても、この語の意味が一つならずあることも
仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
語学書。石塚竜麿著。三巻三冊。寛政十年(一七九八)以前成立。「かなづかいおくのやまじ」とも読む。『日本古典全集』第三期に収め昭和四年(一九二九)刊。奈良時代の文献について、その万葉仮名の用法を検討し、エ・キ・ケ・コ・ソ・ト・ヌ・ヒ・ヘ・ミ
語学と同じカテゴリの記事をもっと見る


「仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)」は古典に関連のある記事です。
その他の古典に関連する記事
仮字遣奥山路(仮名遣奥山路)(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
語学書。石塚竜麿著。三巻三冊。寛政十年(一七九八)以前成立。「かなづかいおくのやまじ」とも読む。『日本古典全集』第三期に収め昭和四年(一九二九)刊。奈良時代の文献について、その万葉仮名の用法を検討し、エ・キ・ケ・コ・ソ・ト・ヌ・ヒ・ヘ・ミ
申楽談儀(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
能楽伝書、一冊。正しくは『世子六十以後申楽談儀』。世子とは世阿弥の敬称。世阿弥六十歳、応永二十九年(一四二二)観世大夫を長男元雅に譲って出家したころ、次男元能が、父の芸談を筆記し整理して、この年十一月、元能も芸道を捨て出家する時に、この聞書をまとめて、
正徹物語(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
歌論書。二巻。正徹著。二巻のうち上巻を「徹書記物語」、下巻を「清巌茶話」と称するものもある。下巻は智蘊の聞書と見る説もあるが未詳。成立年時は文安五年(一四四八)とする説と宝徳二年(一四五〇)とする説がある。上・下別々に成立したものか否かもまだはっきりわからない
東野州聞書(国史大辞典・改訂新版 世界大百科事典)
室町時代の歌学書。五巻一冊。東常縁が、宝徳元年(一四四九)七月正徹の歌話を聞書きしたことから始まり、ついで二条派の歌僧堯孝門に入ったので、その歌話の筆録が中心となって成立した書である。所々に自説を加えてもいる。中にみえる年次はほぼ康正二年(一四五六)に至っており
ささめごと(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
室町時代の連歌論。1冊または2冊。心敬著。1463年(寛正4)、心敬が郷里の紀伊国田井荘(現在和歌山市の一部)に下ったとき、土地の人々の求めに応じて書き与えたものを原型とし、のち何度か増補・改編されている。問答体で構成され、連歌の学び方、作風論、付合論などを中心とするが
古典に関連する記事をもっと見る
ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る