目からウロコ!数え方のナゾ

~ 『数え方の辞典』収録のコラムより ~

第3回 缶ジュースとアスパラガスの缶詰の数え方の違い

数え方についての簡単な実験をしてみましょう。日本語を母語とする人に細長い缶の絵を見せて、「これは缶ジュースです。何と数えますか?」と質問すると、ほとんどの人が「缶ジュース1本」と答えます。しばらくして同じ缶の絵を見せて、「これはアスパラガスの缶詰です。何と数えますか?」と聞くと、同じ絵を見ているにもかかわらず「缶詰1個」「缶詰1缶」と、数え方が違ってきます。この違いはどうして起こるのでしょう?

これは、話し手が単純に缶だけを数えているのではなく、缶の中身によって数え分けていることを示しています。缶の中身がジュースのような液体だと「本」で数えますが、中身がアスパラガスのように固体だと「個」や「缶」で数えます。また、中身の入っていない空き缶は「本」では数えず、「空き缶1個」のように数えます。

このように、私達は、容器と中身の関係を無意識のうちに感じながら数え分けをしているのです。

著者:飯田朝子(いいだあさこ)

東京都生まれ。東京女子大学、慶應義塾大学大学院を経て、1999年、東京大学人文社会系研究科言語学専門分野博士課程修了。博士(文学)取得。博士論文は『日本語主要助数詞の意味と用法』。現在は中央大学商学部教授。2004年に『数え方の辞典』(小学館)を上梓。主な著書に、『数え方もひとしお』(小学館)、『数え方でみがく日本語』(筑摩書房)など。

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