目からウロコ!数え方のナゾ

~ 『数え方の辞典』収録のコラムより ~

特別編2 思わず食べたくなる「玉」

スーパーのチラシはいろいろな数え方の宝庫です。例えば「ウナギ蒲焼1尾」と表示されていれば、写真が添えられていなくてもウナギ丸々1尾を加工した長焼きだと分かりますし、「蒲焼1串」となれば、串焼きだということが想像できます。豆腐も「1丁」なのか「1個」なのかによって四角い豆腐なのか、丸いおぼろ豆腐なのかを知る手がかりになります。

食品の数え方で売る側が好んで使うのが「1玉、2玉」の「玉」。これは、その字の通り、玉状のものを数えるのですが、モモやメロン、トマトやタマネギのように丸くてみずみずしい果実や野菜を数えます。うどんやラーメンの生麺1食分、糸コンニャクひとまとまりも数えますし、キャベツやレタスのように葉が重なり合って玉状になっている葉物野菜も「1玉」で数えます。ハクサイのように少し形が細長くなると「1玉」ではなく「1個」で数えるようになることから考えると、「玉」は丸い形状をしている食品を数えるのに重宝される数え方だと言えるでしょう。

チラシ類を眺めていると、最近「玉」の使い方が広がってきていることに気が付きます。例えば、ホタテの貝柱。これを「玉」で数えるチラシが増えています。確かに「貝柱1個」と数えるよりも「貝柱1玉」と数えた方が丸々と太く、刺身にすると美味しそうな弾力のある貝柱を期待させますね。また、サクランボも本来なら「1粒、2粒」で数えたいところですが、より高級で大粒の果物に見せるためか、「高級サクランボ1箱32玉入り」といった表現も使われています。本来「玉」では数えにくい商品でも、あえて「玉」を用いることで、その丸さやみずみずしさを強調する効果があるのです。

著者:飯田朝子(いいだあさこ)

東京都生まれ。東京女子大学、慶應義塾大学大学院を経て、1999年、東京大学人文社会系研究科言語学専門分野博士課程修了。博士(文学)取得。博士論文は『日本語主要助数詞の意味と用法』。現在は中央大学商学部教授。2004年に『数え方の辞典』(小学館)を上梓。主な著書に、『数え方もひとしお』(小学館)、『数え方でみがく日本語』(筑摩書房)など。

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