羅和辞典 改訂版

凡例

発音

1.

一口にラテン語の発音と言っても,時代や地域によって変化があるので,いま紀元前50年頃の教養あるローマ市民の発音に範を取るなら,それは,だいたい2. に示される音価によっている。つまり,わが国で現今行なわれているローマ字の発音にほぼ等しいのである。


2. ラテン語のアルファベット

文字 名称 音価
A aā[a, a]
B b[b]
C c[k]
D d[d]
E eē[ε, e]
F fef[f]
G g[]
H h[h]
I iī[i, i]
(J)(j)(jē)[j]
K k[k]
L lel[l]
M mem[m]
N nen[n]
O oō[, o]
P p[p]
Q q[k]
R rer[r]
S ses[s]
T t[t]
(U) u(ū)[u, u]
V vū[w]
X xiks[ks]
Y yȳ[y, y]
Z zzēta[z]

3. 母音

短母音 aeiouy
長母音āēīōūȳ
二重母音aeaueieuoe(ui)

4. 注意すべき子音の発音

4. 1 ch [kh], ph [ph], th [th]

4. 2 bs [ps], bt [pt]

4. 3 母音の前にある qu, ngu, su では,u は子音 [w] である。
   e.g. quō [kwo], sanguis [sangwis], suādeō [swadeo]

4. 4 ll, mm, nn, rr, tt などのように,同じ子音が重なっているときは,その子音を2度発音する。


5. 音節

ラテン語の単語の音節は,語中の母音の数だけある。

5. 1 音節の切り方

5. 1. 1 1子音は後の母音に付く。
   e.g. a-mō, nā-tū-ra

5. 1. 2 2子音以上の場合は,最後の子音のみが後の母音に付く。
   e.g. ar-bor, cor-pus

5. 1. 3 ただし,閉鎖音 (p, b, ph; t, d, th; c, g, ch) または f+流音 (l, r) の結合は分離せず,後の母音に付く。
   e.g. cas-tra, tem-plum

5. 1. 4 合成語は要素によって切る。
   e.g. ab-sum, per-e-ō

5. 2 音節の長短

5. 2. 1 長母音または二重母音を含む音節は長く,本来的に長い (long by nature) と言われる。
   e.g. lau-dō (― ―),cū-rae (― ―) (―は長音節を示す記号)

5. 2. 2 短母音のみの音節および短母音の後に1子音が来る音節は短い。
   e.g. a-ge ( ), vē-ri-tās (― ―) (は短音節を示す記号)

5. 2. 3 短母音の後に2個以上の子音あるいは二重子音 x が来るとき,この音節は長く,位置によって長い (long by position) と言われる。ただし,閉鎖音または f+流音の結合および qu は1子音と数える。
   e.g. ar-ma(― ), ex-e-ō (― ―); a-gri-co-la ( ), lo-quī ( ―)


6. アクセント

6. 1 2音節語は,常にその最初の音節にアクセントがある。
   e.g. mā-ter, vó-cō

6. 2 3音節以上の語は,もし語尾から2番目の音節が長いときは,その音節にアクセントを持ち,もし短いときは,その前の音節,すなわち語尾から3番目の音節にアクセントを持つ。
   e.g. vo-cā-bō, ho-nés-tus, vo-cā-ve-rit, té-ne-brae