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ホヤ

ジャパンナレッジで閲覧できる『ホヤ』の日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

日本大百科全書(ニッポニカ)

ホヤ
ほや/海鞘
sea squirt

原索動物門尾索 (びさく)綱海鞘 (かいしょう)亜綱に属する海産動物の総称。汽水域にも生息する。成体は他物に固着して生活し、単独でいる単体ボヤと、小さな個虫が集合する群体ボヤとがあるが、虫体の構造に根本的な差はない。単体ボヤには直径20センチメートルに達する種(たとえばベニボヤ)があり、群体の総湿重量が2キログラムを超すボウズボヤなども知られる。他方、砂粒のすきまにすむ微小な単体あるいは群体ボヤもあり、この仲間にはホヤの成体としてはきわめて珍しい、移動能力をもつ種も知られている。ホヤ類は、極地を含む全世界の潮間帯や浅海にごく普通にみられるほか、8430メートルに至る深海にも生息する。現在のところ2目4亜目14科約170属に分類され、日本近海からはこれまで丘浅次郎 (おかあさじろう)および時岡隆 (ときおかたかし)などにより13科約70属300種が記録されている。これは、未整理のものも含む全既知種の10%以上にあたる。

[西川輝昭]

形態・生態

まず、単体ボヤの形態について説明する。外形はさまざまで、他物に固着するのも後端部によるとは限らず、体側全面で行う種も少なくない。固着のための長い柄 (え)をもつ種も少なからずあり、また根状突起がよく発達する種(たとえばマボヤ)もある。この突起で岩に付着するようすを宿り木(古語で「ほや」という)の寄生状態に見立てたのが、「ホヤ」の語源らしい。古来、保夜、老海鼠などの漢字があてられてきた。

 体は被嚢 (ひのう)というじょうぶな袋で覆われ、その中に筋膜体が入っている。ホヤ類の学名Ascidiaceaやその俗称ascidianは、被嚢を「酒を入れる革袋(ギリシア語でaskos)」に見立てたところに由来する。被嚢は筋膜体の表皮細胞によって分泌形成され、植物のセルロースとよく似たツニシンという多糖類を含む。不透明皮革状から透明寒天状までさまざまで、表面にいぼや棘 (とげ)が出ることもあり、繊維状の微細な突起で砂粒をまとうこともある。被嚢の表面に入水孔と出水孔が一つずつ開く。入水孔は体前端付近に、そして出水孔はその近くの背正中線上に開くのが普通であるが、例外も珍しくない。被嚢に刺激を加えると体が収縮して固くなるとともに、入・出水両孔から勢いよく水を噴き出すところは、ホヤの英名sea squirt(海の水鉄砲)を連想させる。

 筋膜体の壁(筋膜)は平滑筋でできていて、内臓を包み込んでいる。内臓のうち通常もっとも広い部分を占めるのが鰓嚢 (さいのう)で、囲鰓腔 (いさいこう)という腔所によってすっぽりと取り囲まれる。囲鰓腔の外壁が筋膜にあたる。鰓嚢は咽頭壁 (いんとうへき)に相当し、多くの場合、無数の鰓裂 (さいれつ)(ホヤ類では鰓孔とよぶ)が整然と並ぶ。鰓嚢は前方で入水孔と、そして後方では食道とそれぞれつながる。一方、囲鰓腔は出水孔を通じて外界に連絡している。入水孔のすぐ内側に触手が輪状に並び、流入粒子の大きさをチェックしている。鰓嚢の内面にはそのほぼ全長にわたり、背正中に背膜または舌状突起列、腹正中に内柱がある。内柱は粘液を分泌するが、それは上皮の繊毛の働きで薄いシートとなって広がり、つねに鰓嚢の内面全体を覆う。シートは全体として後背方、つまり食道に向かって移動している。鰓孔の縁に密生する繊毛が引き起こす水流にのって、入水孔から鰓嚢内に入った食物粒子(おもに植物プランクトン)は、この粘液シートにからめとられる。シートは背膜または突起列のところで、紐 (ひも)によじられて食道に入り胃腸へと向かう。海水自体は鰓孔から囲鰓腔に出て、ここに開く肛門 (こうもん)や生殖腺 (せん)から出る糞 (ふん)や配偶子とともに外界に排出される。このような摂餌 (せつじ)法(濾過 (ろか)摂餌)によるのがホヤの通例であるが、無孔類という一群の深海ホヤでは、鰓嚢が極度に退化しており、小形の無脊椎 (むせきつい)動物をまる飲みにするらしい。

 群体ボヤでは、その個虫が単体ボヤの筋膜体に相当し、被嚢(共同外皮という)にいろいろな程度に埋まり込んでいる。群体は薄く、他物を覆うのが一般的であるが、棍棒 (こんぼう)状をはじめさまざまな外形を示すこともある。個虫どうしが血管系で連絡し血液を共有する種類も多い。

 鰓嚢には血管系が種類によってさまざまな程度に発達し、血液のガス交換に働くほか鰓嚢を支えるのにも役だっているらしい。心臓の作用で血流が周期的に逆転する現象や、バナジウムという微量金属元素を高濃度に含む血球があることは、ほかに類をみない特徴である。

 体の各部にいろいろな生物が共生するが、被嚢中に埋没する二枚貝のタマエガイや、鰓嚢内外に寄生する甲殻類のホヤノシラミやホヤノカクレエビなどが有名である。単体ボヤの囲鰓腔はクダヤガラなどの魚類の産卵場所となる。また、群体内には単細胞藻類が共生することがある。ヒトを含むいろいろな動物の餌 (えさ)となる種類もある。他方、船底や養殖筏 (いかだ)などに群生し漁業者に嫌われる種もあり、さらに養殖カキの表面に付着して、カキ打ち従事者にアレルギー(ホヤ喘息 (ぜんそく))を引き起こすこともある。

[西川輝昭]

発生

ほとんど例外なく雌雄同体であり、体外受精とともに、おもに群体ボヤで体内受精も知られる。後者の場合、胚 (はい)を孵化 (ふか)直前までいろいろな方法で保持する(卵胎生)ほか、親から栄養供給のある胎生種もまれにある。群体ボヤでは親個虫の退化後、胚が群体の血管系に養われて成長する種もある。幼生はオタマジャクシのような外形で、楕円 (だえん)体をした胴体の後ろに長い尾部をもち、尾部のけいれん的な動きで、普通、1日以内の短い浮遊期間を過ごす。なお、幼生に尾部がなく、浮遊せずにいきなり変態する種もわずかに知られている。尾部には脊索が貫通し、それに沿って神経管が走り、それらを筋細胞(横紋筋)が挟み込んでいる。神経管の前端部は胴体のかなり前方にまで達して大きく肥大し、普通、単眼と耳石 (じせき)を各1個含む。これらは変態とともに消失するが、成体の神経中枢は神経管の一部から分化する。胴体には成体の器官が、種類によってさまざまな程度に形成されて変態を迎えるが、この間、幼生はいっさい摂餌をしない。変態に伴って脊索は完全に消失する。幼生の初期には向光、背地性をもち、分布の拡大に寄与するが、後期にはこれが一転するため、岩の側面や裏側に着底する傾向が強いが例外も多い。砂泥底に下りて体の大半をそこに埋没させて生きる種もある。

 以上のような有性生殖のほか、無性生殖がきわめて多彩に発達し、おもに群体の拡張に役だっている。

[西川輝昭]

食品

ホヤには、ウニに似た特有の香りがあり、肉は鮮紅色で歯ごたえがある。またグリコーゲンを多く含み、肉には特有の甘味がある。ホヤは水分が多いため、タンパク質含量は約5%で、他の魚貝類に比べると少ない。一方、鉄分は5.7%と多く含まれている。調理には、堅い外皮を切り開いて肉を取り出し、内臓を除いて用いる。椀種 (わんだね)、煮物などにもするが、ホヤのうま味を味わうには生食がいちばんである。とくにキュウリと相性がよく、ホヤに添えて酢の物にすることが多い。加工品では塩辛がある。

 ホヤは、その産地である三陸海岸から仙台湾にかけてよく食べられる。「ほやの水もの」は、取り出した肉を短冊に切り、塩水を張って食べる料理であるが、塩水は、外皮を切り開いたときに出る汁を使うと、いっそう風味がよい。このほか、しょうが入りの酢じょうゆで食べたり、酢みそ和 (あ)えにしたり、1時間ほどみそに漬けたものをさっと焼くなど、各種の食べ方がある。

[河野友美]



世界大百科事典

ホヤ
海鞘
sea-squirt

尾索綱ホヤ目Ascidiaceaに属する原索動物の総称。すべて海産で,岩礁,貝殻の表面,船底,海中の諸器材などいろいろなものに付着する。世界から約2300種,日本には約300種あるが,食用にするマボヤ以外はほとんど人間生活に有用なものはなく,むしろ付着によって被害を与えるものが多い。ホヤの語源は個体の形が昔の火屋(ほや)(香炉や手あぶりなどの上を覆うふた)に似ているからという説と,岩などに付着している姿がヤドリギ(異名をホヤという)に似ているからという説とがある。

 ホヤにはマボヤやアカボヤなどのように1個の大きな個虫が1個体になっている単体ボヤと,キクイタボヤのように小さな個虫が互いに体の一部分でつながって群体をつくる群体ボヤまたは複合ボヤとがある。個体の大きさは数mm~30cmである。

構造と機能

ホヤの体は被囊(ひのう)で覆われているが,被囊にはセルロース類似のツニシンtunicineでできている固い革のようなものや,軟らかくて透明なものなどいろいろある。体の頂端に入水孔があり,そのやや後方に出水孔があって,この側が背側になる。しかし群体ボヤでは入水孔は各個虫にあっても出水孔が共通している場合もある。被囊の中は肉質の筋膜(きんまく)で広い室になっていて,そこには無数の鰓孔(さいこう)が格子状に並んだ袋状の鰓囊(さいのう)がある。入水孔から入った水は,この鰓囊の中に入り,鰓孔から囲鰓腔(いさいこう)へ流れ出る。この際,鰓囊の血管が水中の酸素を吸収し,二酸化炭素を放出して呼吸する。水とともに入ってきたプランクトンやごみは,鰓囊の内側にある内柱(ないちゆう)(脊椎動物の甲状腺と相同とされる)から分泌された粘液の膜にからめとられ,鰓囊の底に開く食道へと運ばれる。消化管は短い屈曲した管であり,胃から腸へ続き,肛門は排出腔に開く。排出物は鰓囊を通過してきた水とともに出水孔から外へ出される。

 開放循環系で,細長い袋のような心臓が胃の噴門部付近にある。心臓は一方から縮んでいって血液を押しだすが,次は逆のほうに縮んで反対方向へ血液を送りだしている。この周期は1~2分おきで,個体内血管や,群体内で個体管をつなぐ被囊血管内の血流の方向も定期的に逆転する。体が透明なユウレイボヤやマメボヤではこのようすを観察できる。群体ボヤで各個虫の血管がつながっているものがある。神経系では入水出水両孔の間に1個の脳がある。

生殖

ホヤはすべて雌雄同体で,生殖腺は中央に卵巣,その周縁に精巣があり,体外受精と体内受精の場合がある。卵の大きさは,ほぼ直径0.3mmで,マボヤは1日に約1万2000個の卵を2週間にわたって産み,ユウレイボヤは1回に1000個くらい産卵して数ヵ月間続く。またシロボヤはほとんど一年中産卵している。精子と卵は生殖管を経て出水孔から放出されるが,種類によって時期や時間が決まっている。陸奥湾に生息するマボヤは11月の午前中に放卵放精をすることが1956年に報告されたが,その後10月末から11月にかけての夕方に,また4月の昼に放卵放精するものがあることがわかった。このように生殖の日時が違っていても外形では突起物の形態がそれぞれに多少異なっているくらいであって,その理由についてはまだ完全に明らかにされていない。

 受精卵の発生がすすむと約2日で長さ1.5mmほどのオタマジャクシ形幼生になって海中を遊泳する。この幼生の頭部には3個の付着突起があり,また尾の部分には縦に脊索が通っている。この幼生の期間は餌をとらない。浮遊生活が終わると頭部を下にし,付着突起で岩などに付着する。すると変態が始まって尾の脊索と筋肉とがだんだん頭のほうへ吸収され,若いホヤの体をつくる。付着器官の内側から根ができてきて固着が強くなり,鰓囊の鰓孔の数が増え,心臓が動き始めると入水孔と出水孔が開いて餌を食べ始める。群体ボヤの類は卵を海水中に放出せず,親の体内で幼生まで育ててから放出する。親は幼生を放出すると体がしだいに退化してついには消失する。

 ユウレイボヤの成長は速く,夏には約1ヵ月で親になって生殖を行う。しかし,マボヤの体長は1年で約1cm,2年目で約10cmになって成熟する。群体ボヤでは体の一部から出芽して,それが新個体になる場合や体がじゅずのようになり,くびれたところから切れてそれぞれ新しい個虫が増えていく方法もある。また個虫が無性的に増えることによって群体が大きくなっていく。

他動物との関係

マボヤは昔から食用にされており,宮城県では垂下式の養殖がなされている。筋肉にはかなり多くのグリコーゲンが含まれていて,二枚貝のカキの2倍の量をもっている。ホヤの体内はたえず入水孔から出水孔へ海水が流れているので,カジカの類の魚が囲鰓腔に産卵し,ここで稚魚にまで成長しているものがある。また,端脚類の種類で入水孔から鰓囊の中に入り,ここで生活しているものもある。

種類

ふつうに見られる種類にはマンジュウボヤAmaroucium pliciferum,ヘンゲボヤPolycitor proliferus,ユウレイボヤCiona intestinalis,ヒメボヤAgnesia himeboja,ドロボヤCorella japonica,キクイタボヤBotryllus tuberatus,シロボヤStyela plicata,エボヤS.clava,アカボヤHalocynthia aurantiumほかがある。大きな群体になって海中を浮遊するヒカリボヤはホヤの名がついているが尾索綱サルパ目Thaliaceaに属する。
[今島 実]

食用

日本では古くから食用にされていたようで,《延喜式》には三河国から供御のためのものが進められたことや,若狭国の調(ちよう)としてイガイとまぜてつけたものらしい〈貽貝保夜交鮨〉が納められていたことが見える。当時の貴族にとってはなじみの深い食品だったのであろう,《土佐日記》は女性たちが水浴する情景の描写に〈ほやのつまのいずし〉の語が見られる。その後はほとんど文献に姿を見せぬようであるが,江戸時代に入ると《古今料理集》(1670年代刊)に生鮮品は入手しにくいがかす漬があり,なますや刺身などにすることが書かれている。現在では三陸海岸などのものが有名で,おもに酢の物とする。日本以外ではフランスのマルセイユあたりでビオレvioletという種類を生食することが知られている。
[鈴木 晋一]

[索引語]
sea-squirt Ascidiacea 単体ボヤ 群体ボヤ 複合ボヤ 筋膜
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検索コンテンツ
1. ホヤ画像
世界大百科事典
被害を与えるものが多い。ホヤの語源は個体の形が昔の火屋(ほや)(香炉や手あぶりなどの上を覆うふた)に似ているからという説と,岩などに付着している姿がヤドリギ(異
2. ホヤ(ガガイモ科)
日本大百科全書
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3. ホヤ(海産動物)画像
日本大百科全書
椀種わんだね、煮物などにもするが、ホヤのうま味を味わうには生食がいちばんである。とくにキュウリと相性がよく、ホヤに添えて酢の物にすることが多い。加工品では塩辛が
4. ほや
日本国語大辞典
〔名〕筆をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕
5. ほや
日本国語大辞典
〔名〕(1)車の覆い。ほろ。《ほや》石川県金沢市415 石川郡417 (2)布や紙を張った、鳥かごを覆うもの。《ほや》高知県長岡郡869 (3)蕎麦(そば)など
6. ほや【寄生】
日本国語大辞典
ゐずりたちかへてあけのゆひひも結びしでたり」*日本植物名彙〔1884〕〈松村任三〉「ヤドリギ ホヤ」(2)紋所の名。平安時代から衣服の文様に用いられ、水松(みる
7. 寄生(ほや)
古事類苑
植物部 洋巻 第1巻 666ページ
8. ほや【海鞘】画像
日本国語大辞典
吹草〔1638〕二「十月〈略〉老海鼠(ホヤ)」動物、なまこ(海鼠)。《ほや》山形県東置賜郡139 ホヤ(寄生)が根をはる様に体型が似ているところからか〔大言海〕
9. ほや【海鞘】
数え方の辞典
▲匹、▲個
10. 火屋
日本大百科全書
香炉や手あぶりなどの上を覆う蓋ふた。火舎とも書く。その形が屋舎状であるところからの名で、香炉そのものの俗称としても用いられる。転じてヨーロッパ伝来のランプやガス
11. ほ‐や【火屋】
仏教語大辞典
火葬場の別称。 本朝廿四孝 三 「もう此方も追付け火屋へ行く体」
12. ほ‐や【火舎・火屋】
日本国語大辞典
、光に映る男女の影」*田舎教師〔1909〕〈田山花袋〉五〇「心が出過ぎたのを知らずに居たので、ホヤが半分ほど黒くなって」(3)火葬場の別称。*浄瑠璃・賀古教信七
13. ほ‐や【穂屋】
日本国語大辞典
つくる 薄のほにて作る家なり」*浮世草子・男色大鑑〔1687〕三・二「玉笹の陰深く里人の穂屋(ホヤ)つくりて、瓜の番せし跡より」(2)八月二六~二八日(古くは陰
14. 老海鼠(ほや)
古事類苑
動物部 洋巻 第1巻 1565ページ
15. ヤドリギ画像
日本大百科全書
ヤドリギ科(APG分類:ビャクダン科)の常緑小低木。ホヤ(寄生)、トビヅタ(飛蔦)ともいう。ケヤキ、エノキ、サクラ、ミズナラその他の落葉広葉樹の樹上に寄生し、こ
16. ホヤの塩辛[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©Shogakukan
17. ホヤ類の体制模式図[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©大多和鐘三
18. ほやあ‐ほやあ
日本国語大辞典
〔感動〕雀を追いはらうかけ声。《ほやあほやあ》三重県北牟婁郡588 《ほやあえ》岩手県九戸郡088
19. ほやき
日本国語大辞典
〔名〕盗人仲間の隠語。(イ)口をいう。〔日本隠語集{1892}〕(ロ)飲食すること。また、食物をいう。〔日本隠語集{1892}〕
20. ほやき‐いし【─石】
日本国語大辞典
〔名〕歯をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}〕
21. ほやき‐いれ【─入】
日本国語大辞典
〔名〕口をいう、盗人仲間の隠語。〔特殊語百科辞典{1931}〕
22. ほやきがまり
日本国語大辞典
〔名〕米蔵をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}〕
23. ほやき‐し
日本国語大辞典
〔名〕飲食物を目的とする窃盗をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}・隠語輯覧{1915}〕
24. ほやき‐だい【─台】
日本国語大辞典
〔名〕食卓をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕
25. ほやき‐もの【─物】
日本国語大辞典
〔名〕(「ぼやきもの」とも)食物。飲食物。芝居関係者の間で用いた語。文政・天保(一八一八~四四)ごろには上方で一般にも流行した。*歌舞伎・油商人廓話〔1803〕
26. ほや・く
日本国語大辞典
〔他カ四〕(1)飲む。食う。盗人・てきや仲間でいう。*浄瑠璃・夏祭浪花鑑〔1745〕一「中直りにしたみ〓ふてきすほやかふ」(2)盗
27. ほ‐やく【帆役】
日本国語大辞典
〔名〕(1)「ほべつやくせん(帆別役銭)」に同じ。*駿河寺尾文書‐永祿三年〔1560〕九月一五日・今川氏真裁許判物「於〓彼船
28. 帆役(ほやく)
古事類苑
政治部 洋巻 第4巻 498ページ
29. ほ‐やく【補薬】
日本国語大辞典
末・七「禅も又大用現前すれば、丸薬の後補薬(ホヤク)を服するが如し」*俳諧・紅梅千句〔1655〕一・梅「長々と裾をひくやうな雲霞〈正章〉 補薬(ホヤク)になれる
30. ほ‐やく【補訳】
日本国語大辞典
坪内逍遙〉政界叢話・一「英国に於ける選挙費用を今と昔と対照したるものあり。可笑ければ爰に補訳(ホヤク)して政界叢話の序幕とせり」
31. ほ‐やけ【火焼】
日本国語大辞典
〔名〕(1)火に焼けること。火事。火災。*日本書紀〔720〕天智六年三月(寛文版訓)「日々夜々、失火(ホヤケ)の処多し」*風俗画報‐一五二号〔1897〕言語門「
32. ほやけ‐じぞう[‥ヂザウ]【火焼地蔵】
日本国語大辞典
〔名〕やけどの治癒や火伏せに霊験があるという地蔵。
33. ほや・ける
日本国語大辞典
〔自カ下一〕気持のはりがなくなる。気がぬけている。ぼんやりする。*多情多恨〔1896〕〈尾崎紅葉〉前・一一「柳之助は眩しさうに見て、ほやけた声で、『未だ極らんの
34. ほや‐こうろ[‥カウロ]【火舎香炉】
日本国語大辞典
〔名〕香炉のふた。*御伽草子・猿の草子〔室町末〕「ふたをきはほやかうろ、水さしはだき桶、水こぼしにはがうし」
35. ほやこん
日本国語大辞典
〔名〕鹿児島県などで、神事に用いる笛の名。*随筆・世事百談〔1843〕四・津軽笛「翠軒翁筆記に、ホヤコンといふもの、薩州にて吹物神事に用ふ」
36. ほやざわむら【穂谷沢村】福島県:大沼郡/会津本郷町
日本歴史地名大系
[現]会津本郷町穂馬 阿賀川左岸にあり、三方を山に囲まれる。北西は大石村。文禄三年(一五九四)の蒲生領高目録に「ほや沢」とあり、高二四四石余。南青木組に属し、文
37. ほや・す
日本国語大辞典
〔動〕店で酒を飲む意をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}〕
38. ほや・す【吠・吼】
日本国語大辞典
〔他サ四〕(吠(ほ)えるようにしむける意)泣かせる。*玉塵抄〔1563〕五「吠なり。犬をほやすなと云心か」*浮世草子・貧人太平記〔1688〕上「未捨かねたるは、
39. ほやてん
日本国語大辞典
〔名〕汁をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}〕
40. ほや‐どり【寄生鳥】
日本国語大辞典
〔名〕鳥「れんじゃく(連雀)」の異名。《季・秋》《ほやどり》信州†027 長野県西筑摩郡469
41. ほやなぎむら【保柳村】宮城県:古川市
日本歴史地名大系
[現]古川市保柳 多田川の支流に挟まれた水田地帯にあり、北は斎下村、南は上中目村と新堀村、東は荒田目村、西は柏崎村・耳取村と接する。正保郷帳に田七七貫八六四文・
42. ほやなぎむら【保柳村】熊本県:山鹿市
日本歴史地名大系
[現]山鹿市城 東部を岩野川が南流し、北は城村、西は小群村、南は鍋田村と接する。寛文九年(一六六九)の「一統志」に「保柳 阿蘇四宮」とみえる。山鹿手永に属する。
43. ほや の 薄(すすき)
日本国語大辞典
穂屋を葺(ふ)く薄。《季・秋》*続古今和歌集〔1265〕秋下・四三六「夜寒なるほやの薄の秋風にそよさぞ鹿も妻を恋ふらん〈藤原実経〉」*定家鷹三百首〔1539〕秋
44. ほや‐ふたおき【火屋蓋置】
日本国語大辞典
〔名〕茶道で、七種蓋置の一つ。台子、長板などの茶事に用いる。質は胡銅、鉄。香炉を仮に蓋置に用いたところから生じた名。
45. ほや‐ほや
日本国語大辞典
【一】〔副〕(多く「と」を伴って用いる)(1)果物などが熟れて柔らかくなるさまを表わす語。*名語記〔1275〕五「はれ物のうむはほぞのおつる義には非ず。如何。は
46. ほやほや‐えがお[‥ゑがほ]【─笑顔】
日本国語大辞典
*浄瑠璃・伽羅先代萩〔1785〕七「俄に作るほやほや笑顔」ホヤホヤ〓
47. ほやほや‐がお[‥がほ]【─顔】
日本国語大辞典
*浄瑠璃・本朝二十四孝〔1766〕三「今戻りましたと。声に老母がほやほや顔」ホヤホヤ〓
48. ほやほや‐きげん【─機嫌】
日本国語大辞典
〔名〕喜び顔で機嫌のよいこと。*浄瑠璃・妹背山婦女庭訓〔1771〕四「いつにないほやほや機嫌」
49. ほやまじ【帆山寺】福井県:武生市/府中町/川原町
日本歴史地名大系
[現]武生市住吉町 観音山と号し、天台宗。本尊千手観音。天平元年(七二九)日野川東岸の帆山の地に創立されたといい、本尊千手観音は長六尺余で、天竺提婆羅樹の霊木を
50. ほやまじんじゃ【帆山神社】福井県:武生市/旧今立郡地区/帆山村
日本歴史地名大系
「延喜式」神名帳に載る今立郡「〓ホヤ山神社」に比定する説がある。もと加茂明神とも称し、帆山・矢放・大屋の三村の村境香山に南面して鎮座していた
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スズキ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱スズキ目スズキ科に属する海水魚。北海道から鹿児島、および台湾、朝鮮半島、中国などの沿岸に分布する。全長1メートルに達し、体は長く側扁する。体色は背側は青灰色で、腹側は銀白色である。若魚は背側や背びれに小黒点が散在するが、成魚では消える
オコゼ(国史大辞典・世界大百科事典)
硬鰭類に属する海魚で、古くは「ヲコジ」「ヲコシ」と呼んだ(『和名類聚抄』『新撰字鏡』など)。形はなはだ醜く、しかもとげに毒があってこれに刺されると長い間痛む。しかし味は美味で、これを山の神が非常に喜ぶという伝承が古くからある
金魚(国史大辞典・世界大百科事典)
原産地は中国大陸で、三~四世紀ごろ中国南部地方で野生のフナの中に紅色金色のものが発見されたのがはじまりである。飼育の始まったのは十世紀の後半からで、やがて十四~十六世紀ごろには陶製の大鉢や壺などを用いた盆養と称する飼育が盛んになった
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パンダ(世界大百科事典)
ジャイアントパンダとレッサーパンダの2種からなる食肉目パンダ科Ailuridaeの哺乳類の総称。レッサーパンダlesserpanda,Ailurusfulgensはネパール,シッキム,ミャンマー北部,中国中・南部に分布。体長51~64cm,尾長28~49cm,体重3~4.5kg。体毛は長く柔らかく
ライチョウ(日本大百科全書・世界大百科事典)
広義には鳥綱キジ目キジ科ライチョウ亜科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの一種をさす。この亜科Tetraoninaeは7属16種からなる。短く頑丈な嘴(くちばし)と、先が丸い短い翼をもつ。尾は長くない。キジ目のほかの鳥とは、とくに足に違いがあり
サバ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱スズキ目サバ科サバ亜科のうちサバ族に属する海水魚の総称。世界の熱帯から温帯域内の沿岸部に分布するが、とくに西太平洋からインド洋海域に多産し、この海域ではもっとも重要な漁獲物である。サバ族は2属6種で、サバ属3種とグルクマ属の3種が知られている
イワシ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ニシン目に属する海水魚のうち、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの総称、またはこれらの近縁種を含めたものの総称。ときにはマイワシだけをさすこともある。これらの魚種は、一般に漁獲量も多く、日本の水産上重要な種類であるばかりでなく、魚をはじめ
アナゴ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科Congridaeに属する海水魚の総称。日本近海では北海道以南の各地に産する。体はほぼ円柱状で、尾部は多少側扁(そくへん)する。目はよく発達し、ときには非常に大きい。鱗(うろこ)はないが、側線はある。腹びれはなく、胸びれを欠く
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