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ジャパンナレッジで閲覧できる『タコ』の辞書・事典・叢書別サンプルページ

日本大百科全書・世界大百科事典・新選漢和辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

タコ
たこ/蛸・鮹・章魚
octopus
devil fish

軟体動物門頭足綱八腕形目に属する動物の総称。

[奥谷喬司]

形態

この目Octopodaの仲間の体は柔らかく、一見頭のようにみえる丸い外套 (がいとう)膜の袋は胴で、この中に心臓、肝臓、消化管、生殖巣などの内臓が収まっている。本来の頭部は目のあるところで、この中には軟骨の頭蓋 (とうがい)に収まった脳がある。外套膜の腹側はすこし切れ込んでいて、ここに漏斗 (ろうと)とよばれる総排出口がある。呼吸用の水は、外套の切れ込みから外套腔 (こう)中に取り入れられ、そこにある一対のえらを洗う。漏斗からは不要になった水のほか、糞 (ふん)や、墨汁あるいは生殖物質を出す。四対に分かれた筋肉質の腕が頭から直接生え、その腕の環に囲まれて口が開いている。口には背腹二片に分かれた俗にからすとんびとよばれる顎板 (がくばん)があり、口腔内には歯舌がある。また、唾液腺 (だえきせん)も開いていて、餌 (えさ)の捕食に必要なチラミンなどの毒を含む。消化管には嗉嚢 (そのう)、胃があり、さらに腸に続くが、腸は体の後方でU字を描き、直腸、肛門 (こうもん)は前方を向いて開く。腕には、多くの種では二列、一部のものは一列の吸盤が全長に並ぶ。腕と腕との間にはスカート状の傘膜があり、腕どうしの長さの関係とともに、傘膜の深さも分類形質として用いられる。

[奥谷喬司]

分類

八腕形類は大きく次の二群に分けられる。(1)有触毛類(有鰭 (ゆうき)類)Cirrata 体の後方に小さい一対の肉ひれをもつのが普通で、腕の吸盤は一列または二列で、それに沿って細い筋肉質の糸状の触毛列がある。傘膜は広く体は寒天質で、浮遊生活をしているものが多く、代表的なものはメンダコOpisthoteuthis depressa、メクラダコCirrothauma murrayiなどで、中・深層性の希種が多い。(2)無触毛類(無鰭類)Incirrata 肉ひれをもたず、腕吸盤列に沿う触毛列はない。マダコ科で代表されるような筋肉に富んだ底生性種が多く、一部のものは海表面近くに浮遊する。アオイガイArgonauta argo、ムラサキダコTremoctopus violaceus、アミダコOcythoe tuberculataなどがある。

[奥谷喬司]

生態

タコ類はすべて雌雄異体で、交接に際して雄は交接腕で精莢 (せいきょう)を雌に渡す。このとき、アオイガイ、ムラサキダコ、アミダコなどでは、精莢を担った交接腕の先端が切れて雌の体内に残る。これをキュビエが寄生虫と誤認してヘクトコチルスHectocotylus(百疣 (ひゃくいぼ)虫)と命名したことから、頭足類の交接腕はこの名でよばれている。しかし、他のタコの交接腕はこのように切離することはない。卵は通常、柄 (え)をもっていて、底生性のものでは海底の岩盤などの地物に産み付けられるが、浮遊性のものでは、ムラサキダコのように浮遊卵塊となったり、アオイガイのように雌が分泌した殻内で保護されたり、あるいは雌の傘膜中に抱えられていたりする。孵化 (ふか)幼生は親のミニチュアで、すでに吸盤をもち、浮遊している。しかし、一部の種では孵化直後から海底をはう。表皮には色素胞が分布していて、これを収縮拡大させ体色を変えるのみか、とくに底生種では体の凹凸まで変化させることができる。敵に襲われると、直腸の近傍にある墨汁嚢からインキを吐き、煙幕的効果によって姿をくらます。暗黒の深海にすむチヒロダコ類Benthoctopusは墨汁嚢を欠く。また、イカのように発達した発光器をもつものや、インキのかわりに発光液を吐くものはないが、淡いリン光を発するシマダコCallistoctopus arakawaiや表層性の一種が発光する。タコは、いずれの種も甲殻類を好み、底生性の種はカニ、エビなどを襲う。マダコが増えるとエビの資源量が減るため、イギリスではタコの異常増殖をoctopus plague(plagueは悪疫の意)とさえよぶ。底生種はまた二枚貝なども餌とするが、摂餌 (せつじ)活動はもっぱら夜間に行い、日中は巣穴に潜む。

[奥谷喬司]

漁業

日本近海にはおよそ50種のタコ類が分布し、そのうち、南西半分ではマダコOctopus vulgaris、イイダコO. ocellatus、テナガダコO. minorを、東北半分ではミズダコParoctopus dofleini、ヤナギダコO. conaspadiceus、エゾクモダコO. arachnoidesをおもな漁業対象としている。わが国のタコ類漁獲量は数万トンで、半分はたこ壺 (つぼ)などのトラップ(わな)漁業によっており、残り半分は底引網、釣りなどでとられ、遠洋漁業ではもっぱらトロールによる。

[奥谷喬司]

食品

日本ではよく食されているが、外国ではメキシコ、イタリア、スペイン、ギリシアなど一部の地方を除き食用の習慣はない。タコは筋肉が堅く、腐敗しても判別がむずかしいので注意が必要である。生きているものは、触ると縮むもの、吸盤に弾力があって吸い付くものが新しい。ゆでたものでは、皮のはがれやすいのは古いものである。ごく新鮮なものは生のまま刺身にすることもあるが、普通はゆでてから用いる。ゆでるときは内臓を取り除き、塩を多量にふってよくもみ、ぬめりをとったあと水でよく洗う。これをたっぷりの湯で赤くなるまでゆでる。ゆでるとき、番茶の煮出し汁を用いると赤い色が安定する。日本産のものは、堅いが味がある。一方、大西洋などで産したものは、身が柔らかい。すしの種、刺身、酢だこのほか、酢みそ、からし酢みそで和 (あ)えたり、煮物、おでんの種などに用いられる。加工品では、生干し、干しだこ、薫製、削りだこなどがある。マダコの卵塊は白い藤 (ふじ)の花のようなので海藤花 (かいとうげ)とよばれる。これは吸い物、煮物、三杯酢などにする。

 愛媛県今津地方にはたこ飯とよばれる郷土料理がある。タコは塩でもみ洗いしてぬめりを除き、出刃包丁の背でたたいて柔らかくし細かく切る。これを米と混ぜ、しょうゆ、塩、酒で調味して炊く。ゴボウ、ニンジンなどの野菜を混ぜることもある。

[河野友美]

民俗

タコは西洋ではデビル・フィッシュ(悪魔の魚)といわれているが、日本では人間に好意的な、賢くていたずら好きとイメージされる。薬師如来 (やくしにょらい)が海上をタコに乗ってやってきたという伝説の蛸 (たこ)薬師は、京都市や東京都目黒区など各地に存在しており、大阪府岸和田市などには、タコを禁食して祈れば眼病や吹き出物、いぼなどに霊験があるという蛸地蔵もある。また愛知県知多 (ちた)郡の日間賀 (ひまが)島では、毎年1月に蛸祭が行われるが、「タコ木」とよばれる木を沖へ流してタコを釣るしぐさをし、大漁祈願をする。このほか関西地方では、半夏生 (はんげしょう)に「半夏蛸」といってタコを食べる風習があり、これは、タコのように大地に吸い付いて、その足のようにイネの広がるのを祝う縁起とされる。怪物的なタコの伝説は、西洋のクラーケンをはじめ、富山県の大ダコが牛馬を襲って食べる話(日本山海名産図会)など各地にあるが、タコがイモ掘りをするとか、新墓を掘り荒らすというような伝説もある。三重県鳥羽 (とば)市の畔蛸 (あだこ)町は、中秋の名月の夜、タコが田の畔 (あぜ)にたくさん上ってきたためにつけられた地名だとされる。

[矢野憲一]



世界大百科事典

タコ
蛸/章魚
octopus

頭足綱八腕形目Octobrachiataに属する軟体動物の総称。潮間帯から深海帯まで分布し,マダコ科を中心に世界におよそ200~250種くらいすむと思われているが,分類の形質となる硬い組織に乏しいため分類が確立しておらず,確実な種数はつかめていない。日本近海には30~40種前後のタコが分布している。

構造

体は一般に筋肉質に富んでいるが,浮遊性あるいは深海性の種は柔軟で,あるものは寒天様である。体は,胴,頭,腕(足)の3部分からなる。外套(がいとう)膜は後端が丸い袋状で,その中には内臓がある。外套膜と内臓塊の間が外套腔で,そこに1対のえらがある。筋肉質の小さいひれを1対もつもの(有鰭(ゆうき)類=有触毛類)とひれをもたないもの(無鰭類=無触毛類)とがある。頭部には1対の大きな眼をもち,腹側には漏斗(ろうと)がある。漏斗は一種の総排出口で呼吸に用いられた水,排泄物,生殖物質,墨汁などがここを通って排出される。頭部との境は腹部に狭い開口があり外套腔に通ずる。腕は8本(4対)からなっていて,伸縮自在でほぼ同形。腕の口側には,1~2列の吸盤が並ぶ。吸盤はイカ類のものと異なり,筋肉のみからできていて,キチン質の環はない。有鰭類では,吸盤の列の外側に短い筋肉質の触毛列がある。タコ類の腕と腕との間は広いスカート状の傘膜(さんまく)になっている。腕の環の中央には俗に〈からすとんび〉といわれる大きくて鋭い顎板(がくばん)からなる口器があり,口腔内には歯舌(しぜつ)をもつ。

生態

タコはすべて雌雄異体で,雄は右または種によっては左の第3腕が,精莢(せいきよう)(精子を包むふくろ)を雌の外套腔に挿入する役をする交接腕に変形していて,先端は舌状ないしは葉状になっていて,対の腕より短いのがふつうである。アミダコ科やフネダコ科では雄は雌の1/20くらいの大きさしかない矮小雄(わいしようゆう)であるが,交接腕は長大で,先端がむち状になっており,精莢を渡すための交接に際しては交接腕は切れて雌の体内に残る。アミダコのこれを発見した近世の博物学者キュビエが,これをタコの外套腔内に宿る寄生虫と誤り,Hectocotylus octopodisと命名(1829)したところから,頭足類の交接腕を現代でもヘクトコチルスhectocotylusと呼ぶ。卵は通常柄についた卵囊に入れて産み出される。底生性のものはこれを海底や物などに産みつけ,フネダコ(タコブネ)類は雌の特殊化した第一腕から分泌した舟形の貝殻にいれる。深海性のある種では雌が傘膜内に抱きかかえその間は餌をとらない。マダコなどは海底や物に産みつけた卵に新鮮な水を吹きかけたり,ブラッシングをしたりし,孵化(ふか)まで餌をとることなくついには餓死する。

 餌はおもに甲殻類であるが,他の軟体類(貝類)なども好む。タコの唾液腺にはこれらの餌を殺す,チラミンtyramineなどの毒を含み,なかでも熱帯太平洋に分布するヒョウモンダコは毒性が強い。人を攻撃することはないが,ときにはいたずらをしていてかまれた人が死ぬことがある。敵におそわれると墨汁囊から墨を吐く。タコの墨は,イカの墨が粘稠(ねんちゆう)性があり,自己の擬似像をつくり襲撃者の目をそらせるのに比べ,煙幕としての役をするらしいが,水槽内などでおびただしい量を吐き出すと弱ってしまう。深海性の種には墨汁囊はない。

 底生性タコ類は,体を環境に似せて瞬時にして色を変えるのみならず,体の凸凹や彫刻まで変化させる。これは眼による測定が確かなことを示している。神経支配によるこの体色変化は何段階かの相変化の過程をとる。また,吸盤には化学受容能と触覚能とがあり,簡単な型の記憶ができる。タコの学習についてはこのほか,条件反射による実験も行われ,無脊椎動物としてはきわめて高い〈知能〉を有するとされている。

分類

タコ類は大別して有鰭類Cirrata(有触毛類)と無鰭類Incirrata(無触毛類)の2亜目に分けられる。前者はおおむね中層浮遊性で,肉ひれと触毛を有している。一般の目にふれることはまれな種が多いが,なかでもメンダコは,体が前後に押しつぶされたような奇妙な形のタコで,傘膜が広く,腕の遊離部分が短いためまるで円板状で,内臓囊も低く,水深100~1500mくらいの海底に近い中層を傘膜とひれをあおって静かに遊泳しているらしい。同様の体型をもつもので,日本近海にいるものではほかにセンベイダコ,オオメンダコなどが知られる。

 一般になじみのあるタコは後者に属するタコで,肉ひれを欠き,腕に触毛もない。この中でも浮遊生活者と底生生活者がある。浮遊生活するものの中にはナツメダコ,クラゲダコのように体がほとんど寒天質で運動性の弱いものもあるが,アミダコ,ムラサキダコ,アオイガイ(カイダコ),タコブネ(フネダコ)のように比較的筋肉質の表層遊泳性のものもある。アミダコ,ムラサキダコおよびフネダコ科は前述のように極端な雌雄二型現象を示し,フネダコ科の雌は卵保育用の貝殻をつくる。これらはときに海流などにより海岸に漂着する。底生生活者はマダコ科で,マダコ,イイダコ,テナガダコ,ミズダコなどの水産上有用な種を含んでいる。最小の種は日本を含む熱帯西太平洋にすむマメダコで全長14cm(外套長2.5cm),最大種は同じく日本を含む亜寒帯北太平洋一円に分布するミズダコで,全長3m(外套長25cm)に達する。底生種は一般に筋肉質で,とくに岩礁性のマダコなどは筋肉が強く,水からあげても歩行ができるほどである。熱帯太平洋にすむシマダコやワモンダコは腕などに虹色胞(こうしよくほう)などからなる反射光の強い組織をもつので,一見発光するように思われているが,現在までタコの仲間で発光するものは知られていない。

 底生性のタコ類は夜行性で,昼は穴に潜み夜外に出て餌をあさる。餌は巣穴にもち帰るか,または手近な穴に身を隠すかして食べる。この性質を利用した漁法が蛸壺で,タコの好みそうな容積をもつ入れ物をはえなわ式に海底に敷設する。以前は素焼きのつぼを用いたので〈蛸壺〉とか〈蛸がめ〉といわれたが,今はセメント製のものを用い,中にカニを餌としてつるしたり,タコが入るとふたの閉まるようなものさえある。小型のイイダコには小型のつぼや,アカニシなどの貝殻を利用したものを用いる。また,大型のミズダコには〈蛸箱〉と呼ばれる箱を用いる。このほか,砂泥底にすむタコはトロールなどの網漁具でもとられ,また〈空釣り(からづり)〉といって一種の擬餌針で釣る方法も行われている。日本では年間およそ5万tの漁獲量がある。
[奥谷 喬司]

食用

タコは《出雲国風土記》に名が見える。《延喜式》には隠岐,讃岐,肥後から〈乾鮹〉や〈鮹腊〉が貢納されたことが見え,ほかに〈貝鮹鮨〉という名も見える。乾蛸はもちろん干物であるが,腊(きたい)も丸干しなので,乾蛸と蛸腊の違いははっきりしない。貝蛸鮨はイイダコのなれずしである。平安以後,饗膳の献立にしばしば焼蛸というのが登場するが,これは日本最古の料理書とされる《厨事類記》によると,タコを石焼きにして干したもので削って食べるものであった。近世初頭の《料理物語》には,タコの料理として桜煎(さくらいり),駿河煮,なます,かまぼこの名が挙げられている。桜煎は足を薄切りにし,だし汁でうすめたたまりで煮るもので,のちには桜煮と呼んだ。駿河煮はタコをよく洗って,そのまま桜煎と同じように〈だしたまり〉に酢を加え,いぼが抜けるほどよく煮込むとされている。なますは酢ダコであるが,タコのかまぼこは珍しく,ほかには見られないようである。タコの卵巣は〈藤の花〉と呼ばれた。白い小さな卵粒の連なっているさまがフジの花房に似ているための名で,わん種や酢の物にして珍重される海藤花(かいとうげ)はその塩蔵品である。
[鈴木 晋一]

民俗,伝説

イカと全形が類似して吸盤をそなえた8本の足があり,丸くて頭とみなされる腹部をもつ点で,一種奇怪な擬人的生物としての感覚を起こさせるようで,漫画などでしばしばタコ坊主などとして扱われるほか,禿頭(とくとう)の人とか赤褐色の外皮から酔漢を連想させるあだなにもなっている。巨大なタコは伝説化して人をとる怪物のようにも伝えられた。また,蛇が海中に入ったものが変じて7本足のタコとなり人を襲うなどとも語られ,北陸海岸から北日本にかけてこの種の怪異談が伝えられている。また,タコはサトイモを食うことを好み,海岸の砂畠に栽培するイモを,6本の足を使って立って陸上を歩み,他の2本の足で土を掘ってイモを取っていくなどとも語られた。これは芋とタコとを煮たものが美味なところから生まれた戯話ではないかと考えられるが,近世の随筆や奇譚におりおり扱われた話題である。タコは飢えると自分の足を食って生き続けるという説もあって,利益が上がらず財産を処分しながら配当を続ける会社の行為を蛸配当などともいう。蛸壺の中にとじこもる性質などから連想された行動かもしれない。タコは形ににあわず美味なところから,これを食うことを禁じて自己の謹慎する誠意を示す意味で,タコを描いた絵馬を奉納して病気の治癒を祈願する風習があり,京都の蛸薬師はもと永福寺本尊で,現在は中京区の妙心寺本尊となっているが,薬師信仰としての治病祈願に,婦人病,小児病の治癒のためタコを禁ずるといって祈願するので名高い。形から妊婦がタコを食べると生まれた子がいぼができるとか,骨なしになるといって,妊婦の食物としては与えないようにすることも俗信として行われる。さらに子どもの夜泣きを止めるまじないとして薬師や地蔵に,タコの絵馬を奉納する例も各地に知られている。
→蛸壺
[千葉 徳爾] タコが自分の触腕を食べ,しかも食べた触手は再生するという俗信は,すでに大プリニウスの《博物誌》にも述べられている。そのためキリスト教世界では守銭奴の象徴となった。これは,交尾期に生殖器の役を果たす雄の触腕が雌の外套腔に挿入される現象から生じた説と思われる。タコは近づく魚を引き寄せて捕食するので,誘惑者や裏切り者,あるいは悪魔と同一視され,devilfishの名が一般化している。西洋では古くから海の怪物の伝説が存在したが,タコも《オデュッセイア》に語られる12本足と6頭の怪物スキュラSkyllaなどと混同された。さらに19世紀初めに博物学者ドニ・モンフォールPierre Denys-Montfortは,船を海中に引きずり込むという怪物クラーケンの正体を大ダコと断定し,〈地上で最大の凶暴な生物〉という恐しいイメージを定着させた。ユゴーはこれにヒントを得,《海で働く人々》(1866)で人間を襲うタコを描き,J.ベルヌやH.G.ウェルズも怪物としてのタコのイメージを作品に盛り込んでいる。吸盤や触腕の形からタコを好色のシンボルとみなすことも古来行われ,タコの肉は催淫作用をもつと信じられた。なお,タコを表す英語octopusなどは,ギリシア語oktōとpousの合成に由来し,原義は〈8本足〉である。
[荒俣 宏]

[索引語]
octopus 八腕形目 Octobrachiata 有鰭(ゆうき)類 有触毛類 無鰭類 無触毛類 からすとんび 精莢 矮小雄 交接腕 Hectocotylus octopodis ヘクトコチルス hectocotylus マダコ(真蛸) チラミン(タコ) tyramine ヒョウモンダコ 有鰭類 Cirrata 無鰭類 Incirrata メンダコ センベイダコ オオメンダコ マメダコ ミズダコ(水蛸) 蛸壺 蛸がめ 蛸箱 焼蛸 桜煎 桜煮 駿河煮 藤の花 海藤花 ヘビ(蛇) 蛸薬師 夜泣き devilfish スキュラ Skylla ドニ・モンフォール,P. Denys-Montfort,P.


新選漢和辞典 Web版

虫 7 画
13 画
印刷標準字体
JISコード3493
JIS補助漢字――
ユニコード86F8
字音

ショウ(セウ)漢音

ソウ(サウ)漢音ショウ(セウ)呉音

四声と韻

平声ピンインxiāoシアオ

平声ピンインshāoシャオ

意味

①螵蛸(ひょうしょう)は、かまきりの卵。また、烏賊(いか)。

②〈たこ〉「海蛸子(かいしょうし)」

③姓。

あしたかぐも〉くもの一種。あしながぐも。

熟語

【蛸絡】たこからげ

着物のすそのまわりをまくりあげること。

【蛸壺】たこつぼ

たこをつかまえるつぼ。

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検索コンテンツ
1. タコ画像
日本大百科全書
沖へ流してタコを釣るしぐさをし、大漁祈願をする。このほか関西地方では、半夏生はんげしょうに「半夏蛸」といってタコを食べる風習があり、これは、タコのように大地に吸
2. タコ画像
世界大百科事典
6)で人間を襲うタコを描き,J.ベルヌやH.G.ウェルズも怪物としてのタコのイメージを作品に盛り込んでいる。吸盤や触腕の形からタコを好色のシンボルとみなすことも
3. 蛸
新選漢和辞典Web版
【一】 ①螵蛸(ひょうしょう)は、かまきりの卵。また、烏賊(いか)。 ②〈たこ〉「海蛸子(かいしょうし)」 ③姓。 【二】〈あしたかぐも〉くもの一種。あしなが
4. 鱆
新選漢和辞典Web版
〈たこ〉章魚。海産の軟体動物。八本足。蛸。鮹。
5. 鮹
新選漢和辞典Web版
魚の名。 ①海の魚。 ②淡水魚。どちらも馬のむちに似て、二またの尾がある。 《国》〈たこ〉章魚(たこ/しょうぎょ)。=蛸
6. たこ
日本大百科全書
胼胝腫べんちしゅの俗称で、限局性の角質肥厚をさす。長期間にわたって圧迫や摩擦などの外的刺激を繰り返し受ける部位に、皮膚の防御反応として生ずる。通常は黄褐色調の硬
7. 凧画像
日本大百科全書
竹や木を骨にして紙または布、ビニルなどを張り、風力を利用して糸で引き、空に揚げる遊び道具。凧が空高く舞い上がるのは、風の流れぐあいによって生じる揚力(凧を上に揚
8. 凧画像
世界大百科事典
竹や木を組んで骨とし,これに紙や布を張り,糸をつないで,風の力で空中に揚げる玩具。〈凧〉の字は国字である。たこの呼名は江戸時代に江戸から広まったもので,関西では
9. たこ【凧・紙鳶】画像
日本国語大辞典
あふのく空は百余里の春〈芭蕉〉」*書言字考節用集〔1717〕七「紙鳶 タコ 又云紙老鴟」*人情本・春色梅児誉美〔1832~33〕四・二二齣「凧(タコ)の糸目も花
10. 凧
新選漢和辞典Web版
人名用漢字 〈たこ〉いかのぼり。
11. たこ【凧】
数え方の辞典
▲枚 連なった凧は「連」でも数えます。
12. たこ【凧】
国史大辞典
玩具の一種。とんびだこ・いかのぼり、略してたこ・いか、あるいは長崎のはたなど地方によって名称が異なる。東洋・西洋とも紀元前にさかのぼってあったといわれるが、わ
13. 多古[町]
世界大百科事典
千葉県北東部,香取郡の町。人口1万6002(2010)。下総台地東部にあり,栗山川が幅広い河谷平野をつくる。中心集落の多古は栗山川が九十九里平野に流れ出るところ
14. 多古(町)画像
日本大百科全書
千葉県北東部、下総しもうさ台地上に位置する香取郡かとりぐんにある町。1891年(明治24)町制施行。1951年(昭和26)東條とうじょう村、1954年久賀くが、
15. た‐こ【多故】
日本国語大辞典
〔名〕むずかしい事件の多いこと。困難の多いこと。多事。多難。*古学先生文集〔17C後頃〕六・同志会籍申約「然而所〓以契
16. 海蛸(たこ)
古事類苑
動物部 洋巻 第1巻 1545ページ
17. 紙鳶(たこ)【篇】
古事類苑
遊戲部 洋巻 第1巻 1167ページ
18. たこ【胼胝・胝】
日本国語大辞典
タコ 腫肉」*咄本・私可多咄〔1671〕四・三「われらは物をよくかき、筆をはなすまのなきゆへ、ゆびにたこができた」*滑稽本・古朽木〔1780〕一「杵握った掌の
19. たこ【脊瘡】
日本国語大辞典
〈俗云多胡〉」*色葉字類抄〔1177~81〕「脊瘡 タコタコセ 馬脊瘡」役に立たない馬。《たこ》岩手県気仙郡100
20. 脊瘡(たこ)[馬病]
古事類苑
動物部 洋巻 第1巻 125ページ
21. たこ【蛸・章魚・鮹】
日本国語大辞典
(5)たこの手は物に凝り付くところから、タコ(手凝)の義〔紫門和語類集〕。(6)鱗のない魚であるところから、ハタコ(膚魚)の義〔言元梯〕。(7)足が多いところか
22. たこ【蛸】
数え方の辞典
▲匹、▲杯、▲連 イカと同様にタコを「杯」で数えることもあります。タコの干物は「連」で数えます。足は「本」、吸盤は「個」で数えます。 →コラム(1)に関連事項
23. たこ【蛸】[狂言曲名]
能・狂言事典
大蔵・和泉 出家狂言 前ジテ・蛸の霊・[角頭巾ウソフキモギドウ着流出立]後ジテ・蛸の霊・[蛸頭巾ウソフキモギドウ着流出立]ワキ(アド)・旅僧・[能力頭巾水衣括
24. たご【多胡・田子】
日本国語大辞典
(「たこ」とも)上野国(群馬県)南西部にあった郡名。和銅四年(七一一)六郷をもって創置。明治二九年(一八九六)緑野(みどの)・南甘楽(かんら)の二郡と合併して多
25. 胝(疷)
新選漢和辞典Web版
〈たこ〉手足の皮が堅くなったもの。「〓胝(へんち)」 《国》あかぎれ。  部首内画数:疒 5疷 総画数:10 同字 J
26. 【他故】たこ
新選漢和辞典Web版
ほかの事情。別のわけ。
27. 【多祜】たこ
新選漢和辞典Web版
多幸。多福。
28. 【它故】たこ
新選漢和辞典Web版
ほかの事情。=他故
29. 〓画像
字通
 タコ・アシマトヒ・クモ・イホウシリ 〔字鏡集〕〓 アシタカクモ・ハマノハラムシ・イホシリ・タコ
30. 凧
字通
国字 風の省形と巾とに従う。紙鳶・紙鴟などにあたる。江戸期の人情本〔春色梅児誉美〕などにみえる。
31. 蛸(著作ID:362276)
新日本古典籍データベース
たこ 狂言 能狂言 
32. 胝画像
字通
形声 声符は〓。〔説文〕四下に「〓なり」、前条に「
33. 〓
字通
形声 声符は〓。手足のあかぎれやたこ。皮膚が弾力を失って、かたくなることをいう。 あかぎれ、ひび、皮膚があれる。 たこ、まめ、皮膚が
34. タコイカウイルス[カタカナ語]
イミダス 2018
に保存された文章や写真などのデータを魚介類のイラストで上書きするコンピューター・ウイルス.イカタコウイルスともいう. 2011 07
35. タコクラゲ画像
日本大百科全書
腔腸こうちょう動物門ハチクラゲ綱根口ねくちクラゲ目タコクラゲ科に属する海産動物。傘は半球状で直径20センチメートルほどに達する。一般的に傘は種々の程度の褐色で、
36. タコクラゲ
世界大百科事典
ハチクラゲ綱タコクラゲ科の腔腸動物(刺胞動物)。別名ハチマンクラゲ。水戸以南の暖海に分布し,沿岸に群れをつくるが,水温が20℃以下になると死んでしまう。かつては
37. タコクラゲ(生態)[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
8本の棍棒こんぼう状の付属器がある。ハチマンクラゲ、トウロウクラゲなどの地方名がある©水中フォート・エンタープライズ 楚山いさむ
38. タコグラフ
日本大百科全書
予防する。また事故を起こした際には原因解明に役だち、観光バスや長距離トラックの事故では、しばしばタコグラフの解析結果が公表される。 道路運送車両の保安基準(運輸
39. タコグラフ
日本国語大辞典
〔名〕({英}tachograph )回転速度計(タコメーター)と時計仕掛けを組み合わせ、刻々の回転速度変化を自動的に用紙に記録する装置。
40. タコグラフ[カタカナ語]
イミダス 2018
[tachograph]【機械・工業製品】トラックなどの運行記録計.回転速度変化を自動的に記録し,速度や走行距離が求められる装置.
41. タコス
日本国語大辞典
や生野菜・チーズを詰めて揚げたもの。*銀座細見〔1931〕〈安藤更生〉七・カフェ列伝「あんた、タコス喰べない?」
42. タコス[カタカナ語]
イミダス 2018
[tacos〈西〉]【料理・食品】メキシコ料理の一種.トウモロコシ粉の薄焼きに,炒めたひき肉や生野菜,チーズなどの具をはさんだもの.
43. タコス【2019】[外来語・カタカナ語【2019】]
現代用語の基礎知識
チーズ、鶏肉、豚肉などにチリソースをかけ、トルティージャ(トウモロコシの粉を練って薄くのばして焼いたもの)で巻いた食べ物。
44. タコツボ文化
日本大百科全書
もつ竹のササラ(簓)とは違い、タコツボは、それぞれに孤立した壺つぼが1本の綱で並列的に連なっているにすぎない。日本の学問、文化や社会組織は、欧米のそれと比較する
45. タコニック変動
日本大百科全書
変成作用、花崗岩かこうがんの貫入なども生じて陸化し、シルル紀にはタコニック変動が起こった地域の西側に多量の砕屑物さいせつぶつを供給した。タコニック変動は、イギリ
46. タコノアシ画像
日本大百科全書
した所が多い。タコノアシ属は2種からなり、他の1種は北アメリカ東部にある。大場秀章2019年10月18日 形態からベンケイソウ科やユキノシタ科に分類されていたが
47. タコノアシ
世界大百科事典
属で,ユキノシタ科に含めたり,タコノアシ科として独立させる見解もあるが,ベンケイソウ科の植物と接木が可能であり,類縁は強いと考えられる。変わったこの名は花序がタ
48. タコノアシ[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
茎は直立し、葉は縁へりに細鋸歯さいきょしのある狭披針きょうひしん形。8~10月、茎の先端からタコ足状に伸びた枝を出し、多数の花を総状につける。©Seishohm
49. タコノアシ〔標本画〕[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©大多和鐘三
50. タコノキ画像
日本大百科全書
タコノキ科(APG分類:タコノキ科)の常緑樹。小笠原おがさわら諸島特産で、茎の途中から多数の気根を伸ばし、茎を支える。太い気根がタコの脚あしのようにみえるので名
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ゼブラウツボ(日本大百科全書(ニッポニカ))
硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。八丈島、屋久島(やくしま)、小笠原(おがさわら)諸島、南西諸島、台湾南部、南シナ海などインド洋・太平洋に広く分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。皮膚にはしわが多い。躯幹(くかん)部(胴部)は長く
チンアナゴ(日本大百科全書(ニッポニカ))
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科に属する海水魚。静岡県富戸(ふと)、高知県柏島(かしわじま)付近の太平洋沿岸、屋久島(やくしま)、南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、台湾南部、フィリピン、マダガスカルなどのインド洋・太平洋に広く分布する
ハモ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ウナギ目ハモ科の魚類の総称、またはそのなかの1種。日本近海に分布するハモ科Muraenesocidaeは、ハモ属Muraenesoxの2種(ハモ、スズハモ)、ハシナガアナゴ属Oxycongerの1種(ハシナガアナゴ)、ワタクズハモ属Gavialicepsの1種(ワタクズハモ)の4種
ウナギ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ウナギ目ウナギ科Anguillidaeの魚類の総称。ウナギ類は深海で産卵し、淡水域に入って成長する魚で、南北アメリカの西岸域、南アメリカ中・南部の大西洋域、アフリカ中・南部の大西洋域などを除く世界各地に分布する。分布の中心はセレベス海周辺などの東南アジアである
アワビ(日本大百科全書・世界大百科事典)
軟体動物門腹足綱ミミガイ科に属する巻き貝のうち、とくに食用に供されるような大形種の総称。[奥谷喬司]形態貝殻は螺旋が殻口へ向かって急に大きくなるため、通常の巻き貝とは著しく異なり耳形あるいは卵楕円形の浅い皿形をなす。螺塔は低く後方へ寄っている
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アナゴ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科Congridaeに属する海水魚の総称。日本近海では北海道以南の各地に産する。体はほぼ円柱状で、尾部は多少側扁(そくへん)する。目はよく発達し、ときには非常に大きい。鱗(うろこ)はないが、側線はある。腹びれはなく、胸びれを欠く
キュウリ(日本大百科全書・世界大百科事典)
ウリ科(APG分類:ウリ科)の一年生つる草。インドのヒマラヤ山麓(さんろく)原産で、インドでは3000年以前から栽培された。中国へは漢の時代に張騫(ちょうけん)(?―前114)によって西域(せいいき)から導入されたと伝えられ、このことから胡(こ)(西
タコ(日本大百科全書・世界大百科事典・新選漢和辞典)
軟体動物門頭足綱八腕形目に属する動物の総称。[奥谷喬司]▲形態この目Octopodaの仲間の体は柔らかく、一見頭のようにみえる丸い外套(がいとう)膜の袋は胴で、この中に心臓、肝臓、消化管、生殖巣などの内臓が収まっている。本来の頭部は目のあるところで、
シロギス(日本大百科全書)
硬骨魚綱スズキ目キス科に属する海水魚。単にキスともよばれる。北海道以南の日本各地、西太平洋からインド洋にかけて広く分布し、内湾や沿岸の砂泥底に生息する。体は延長し、前方で丸みを帯びる。吻(ふん)は長く、口は小さい。体色は背側は淡黄褐色で、腹側は銀白色
アユ(日本大百科全書・世界大百科事典)
硬骨魚綱ニシン目アユ科に属する魚。アイともよばれる。鮎の漢字は中国ではナマズをさす。北海道の石狩(いしかり)川および勇払(ゆうふつ)川以南の日本列島と朝鮮半島、中国の中・南部に分布する。台湾の河川にも生息していたが、現在では認められない。アユは、サケ
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