(プラトン)
ジャン・ブラン 著/戸塚七郎 訳
ヨーロッパ思想の中核にあるプラトン哲学は、20世紀の今日にいたるまで、ヨーロッパ文明の巨大な殿堂を支える柱であり、揺るぎない礎石である。プラトンの思想大系とその生涯をたくみに織りまぜ、伝記的興味のなかで現代に生きるプラトン哲学の解説を試みるすぐれた入門書。
(ギリシアノシンタク)
ロベール・フラスリエール 著/戸張智雄 訳
いつの時代においても、易や占いは興味を持たれる。合理的といわれる西欧諸国でさえも、それは同じこと……西欧のその原型はギリシアに発する。本書では、ホメロス研究家として知られる著者が、文献に現われる有名な占い者や、神託所の記述を総合的に考察しながら、その貴重な資料を詳解する。
(インドノテツガク)
ジャン・ブリエ・フレッシネ 著/渡辺重朗 訳
無限に多様な要素を含み、7000年にもおよぶ悠久の流れのうちに展開してきた、世界思想の重要な一環――インド哲学を語る本書は、相異なる種族や民族を含む世界の多様性と、たえず統一しようとする特異性とを社会的観点から眺め渡し、さらにインド哲学史全体をひとつの動的なるものとしてとらえようとする。
(ヨーロッパチュウセイノテツガク)
エドワール・ジョノー 著/二宮 敬 訳
ルネサンスの輝かしい知も、中世期の成熟なしには理解できない。デカルトの哲学も、その根を深く中世スコラ哲学におろしている。そうした近代哲学への予備知識としてだけでなく、中世哲学はそれ自体の独創的な面白さをもっている。9世紀から14世紀にいたる思想の流れを編年的に解説した好著。
(ゲンシキリストキョウ)
マルセル・シモン 著/久米 博 訳
イエス伝研究で名高いゴーゲルのいわゆる「新たな信仰対象の創造」をもって生まれたキリスト教が、旧約聖書の遺産を継承しつつ、いかにしてユダヤ教に対し独自の宗教として自立したか、また、普遍主義的精神をもって異教世界に伝道しつつ、どのようにして民族宗教の枠を超えたかを歴史学的に追究する。
(ゲンショウガク)
J=F・リオタール 著/高橋允昭 訳
ハイデガーの『存在と時間』、サルトルの「存在と無」――60年代を代表するこの二つの哲学作品は、ともに現象学から出発し、それぞれ独自の次元に存在論を展開させたものである。本書は現象学の入門書であると同時に、心理学、社会学との関係から歴史の諸問題にまで現象学を展開させ、論述する。
(エジプトノカミガミ)
フランソワ・ドマ 著/大島清次 訳
ある民族の神々を知ろうとするとき、物的証拠だけでは充分でない。さいわい古代エジプトには碑銘や多くの文字記録が残されている。本書は、これらの文献を通して、次第に膨張していく古代エジプトの汎神論を分類し、地方の神々の性質を可能なかぎり明らかにし、司祭たちの神の認識までも論述する。
(シンヤクセイショ)
オスカー・クルマン 著/倉田 清 訳
新約聖書はキリスト教徒の信仰規範であるが、この新約聖書が教会史および世界史において演じた役割は、ひとりキリスト教徒のみではない。本書では、特に新約聖書27書を文献学的に扱い、各記録の真正性を明解厳正に論じながら、人類文化の遺産ともいうべき聖書の意義と全貌を明らかにする。
(デカルトトゴウリシュギ)
G・ロディス=ルイス 著/福居 純 訳
「われ思惟す、ゆえにわれ在り。」この明証性から出発して、世界を体系的に考察したデカルト。それを受け入れ、数学的認識に対する存在論の基本的関係を独創的な構造によって展開したマルブランシュ、スピノザ、ライプニッツ。本書は、近代におけるこの「偉大な合理主義」の核心を明解に記述している。
(キュウヤクセイショ)
エドモン・ジャコブ 著/西村俊昭 訳
尽きせぬ興味を駆り立てる旧約聖書について、その世界的な権威が、起源、律法、予言、詩、知恵、外典など細部にわたり最新の研究成果を取り入れ、わかりやすく概説した好適な入門案内。民族の運命と生をめぐるさまざまな伝説や歌謡などを、示唆に富んだ語り口で、正典のもつ今日的意義を解き明かす。