(イタンカタリハ)
フェルナン・ニール 著/渡邊昌美 訳
13世紀にアルビジョア十字軍によって殲滅させられたカタリ派とは、どのような教派であったのか。本書は、その特異な二神教をマニ教との類縁に力点を置きながら論じ、この謎につつまれた教団の興亡を、当時はなやかな文化を開花させたラングドックのフランス国家への統合の流れのなかに再現する。
(ドイツテツガクシ)
モーリス・デュピュイ 著/原田佳彦 訳
世界の思想家たちの多くはドイツ哲学にその源泉を求め、今日的問題群に立ち向かっている。本書は、中世から説き起こして現代にいたるまでドイツ哲学の歩みをたどり、カント、ヘーゲル、ニーチェに代表される難解になりがちなドイツ哲学の諸概念を、フランス現代思想的視点から捉え直し、的確に解説した好著。
(オプス・デイ カトリックノアタラシイウゴキ)
ドミニック・トゥルノー 著/尾崎正明 訳
1928年、エスクリバー師によって創立された「オプス・デイ」は、「神の業」を意味するカトリックの世界的な組織で、世俗社会での自らの職業生活を通して、自己完成と聖性を追求することを目的にしている。日本でも活動している「オプス・デイ」の精神、組織、生活を解説した格好の入門書。参考文献収録。
(トマステツガクニュウモン)
フェルナンド・ファン・ステンベルゲン 著/稲垣良典、山内清海 訳
現代トミズム(トマス哲学)はカトリック教会の御用哲学でも教条主義でもない。本書は、現代思想にたいして開かれた「進歩的」トミズムを唱える著名な中世哲学史家によるトミズムの基本的学説と展開についての概説書であると同時に、独自の見解をもつ著者の問題提起の書である。
(ブッキョウ)
アンリ・アルヴォン 著/渡辺照宏 訳
インドで仏教以前に支配的であったヴェーダ教やバラモン教の状況をはじめ、仏陀の生涯をたどりながら、悟りと説法、ニルヴァーナやヨーガなどの教理、教団の礼拝活動について解説する。さらに、小乗・大乗として、チベット・モンゴル・中国・日本に発展していく様子や、西洋との関係にまで考察した入門書。
(シカイシャホン)
E=M.ラペルーザ 著/野沢 協 訳
1947年、パレスチナに住む羊飼いの少年が、死海西岸の洞穴から古文書の断片を発見した。これは『死海写本』と命名され、キリスト教成立以前の聖書研究に欠かせない第一級の原史料となっている。本書は、この古文献をめぐって、発見の経緯から研究の過程とその推移、とくにその学問的な意義を興味深く語る。
(シンリガクノレキシ)
モーリス・ルシュラン 著/豊田三郎 訳
実験心理学から、動物心理学、差異心理学、病態心理学と臨床法、児童心理学、社会心理学まで、広範かつ多様な研究領域をもつ心理学の変遷を簡明にまとめた概説書。学説の紹介の随所に事件や学者たちの挿話を交えながら、その発展と分化を追い、また応用面も重視し、最近の問題や方向性も明示した。
(バラジュウジダン)
ロラン・エディゴフェル 著/田中義廣 訳
17世紀初頭、ふたつのパンフレットと『化学の結婚』という小説の刊行を機に突如出現した秘密結社「薔薇十字団」。瞬く間にヨーロッパ中に広がり、西洋思想の影の潮流として、のちにデカルト、ニュートン、ゲーテにも影響を及ぼし、人びとの想像力に訴えつづけてきた。この謎に包まれた結社の真相を解明する。
(インドキョウ)
ルイ・ルヌー 著/渡辺照宏、美田 稔 訳
インド教(ヒンドゥー教)の起源は遠くヴェーダの時代に遡り、その流れは現代まで脈々と続いている。ゆえにこの宗教の神話、祭式、慣習、哲学はそのままインド文化の集大成ともいえる。本書はその基本的概念から、仏教との関連と歴史的発展を、さらには現代の様相までを解説する。
(ギリシアシンワ)
ピエール・グリマル 著/高津春繁 訳
ギリシア神話の豊富な内容を「神々の誕生」「オリュンポスの神々」「英雄伝説」に手際よく整理しつつ、神話学の変遷の歴史から現代の神話解釈法までを詳述したもっとも信頼するに足る入門書。