(ニンチシンケイシンリガク)
グザヴィエ・スロン 著/須賀哲夫、久野雅樹 訳
神経心理学とは、脳を損傷した患者をモデルに、脳と心理活動の関係を理解する科学のことである。そして大脳損傷患者の呈する困難を分析するにあたり認知心理学的なアプローチを採用したのが、認知神経心理学である。本書では、その学問的な位置づけと方法論が、具体的な症例とともに概説される。
(ニーチェ)
ジャン・グラニエ 著/須藤訓任 訳
ショーペンハウアーとヴァーグナーの影響を受けて芸術的哲学を説き、のちに頽廃したヨーロッパ文明とキリスト教の批判へと傾斜していったニーチェ。その思想はたがいに矛盾しているところも多く、ときに誤解を招いているが、本書はそれらをより整合的に整理し、20世紀思想の源流としての意義を示す。
(エピステモロジー)
エルヴェ・バロー 著/松田克進 訳
フランスにおけるエピステモロジー(科学認識論)の明解な入門書。フランス国立科学研究所(CNRS)の主任研究員で、この方面の第一人者が、数学・物理学・生物学・心理学・言語学など諸科学の主要な成果を丁寧に概説する。科学史の現実に密着するという、フランス科学論の伝統を継承した好著。
(フリーメーソン)
ポール・ノードン 著/安斎和雄 訳
光り輝くデルタのもと、みずからの精神のうちに神殿を建設するフリーメーソン結社。本書は、薔薇十字団、テンプル騎士団、そして文学者や芸術家との相関や秘儀伝授の方法などを解明し、その哲学的側面を論証しながら、多くが謎に包まれてきた秘密結社フリーメーソンの真正なる歴史と現況を伝える。
(チョウシンリガク)
イヴォンヌ・カステラン 著/田中義廣 訳
心霊現象を科学的に解明すべく、新たに登場した研究の概説書。対象をテレパシー、透視などの超感覚的知覚と念力に絞り、実験方法もいわば計量的手法に集中して、心霊研究のもっていたロマンティックな側面を極力排除し、客観性を高め、追試を可能にし、超常現象の実在を検証している。
(オナニズムノレキシ)
ディディエ=ジャック・デュシェ 著/金塚貞文 訳
自慰行為の歴史を遡ると、聖書にたどり着く。旧約聖書のオナンの行為(オナニズム)は、はたして自慰行為と呼べるのか? 本書は、マスターベーションという身体行為を神学・精神分析学・倫理学・病理学を視野に入れながら考察し、オナニズムに対する見かたや感じ方の変遷を語る画期的な著作。
(ロシア・ソヴィエトテツガクシ)
ルネ・ザパタ 著/原田佳彦 訳
ロシア的霊性は、カント、ヘーゲル、フーリエ、ダーウィンら西欧の哲学・思想からどのような影響を受けてきたのか? ロシア文学と哲学者・思想家との相関関係は? 本書は、ロシア・ソヴィエトの思想の流れを、起源から現代にいたるまでわかりやすく概説した、画期的なインテリゲンツィア列伝。
(フランスシュウキョウシ)
グザヴィエ・ド・モンクロ 著/波木居純一 訳
キリスト教のみならず、ユダヤ教やイスラム教などとの関連を含めて、古代から今日まで、フランス国内に現われたすべての宗教を歴史的に解き明かした興味深い「フランス宗教史」。ガリアの地をめぐるエヴァンジェリスト(伝道者)たちを描きながら、フランス人の民族としての心のありかを探った好著。
(ミシェル・フーコー)
フレデリック・グロ 著/露崎俊和 訳
真理と権力との関係を問いの地平とし、西欧思想史の読み直しを一貫して追及した異貌の思想家ミシェル・フーコー。医学、思想、文学、政治、性的言説……西欧近代の諸領域を横断し、制度的思考をラディカルに揺さぶりつづけたその思考の運動を明快に論じた、コンパクトな入門書。
(ドイツコテンテツガク)
ベルナール・ブルジョワ 著/樋口善郎、松田克進 訳
ベーメ、ライプニッツ、カント……そして、哲学史はヘーゲルへと流れつく! 本書は、ドイツ本来の思惟が古典哲学として完成されるまでの軌跡を、三段階に区分したうえで明快に解説する。「世界に対峙し、知の体系を希求したゲルマン魂」をあざやかに摘出してみせる、ヘーゲル理解への最短コース。