(アナーキズム)
アンリ・アルヴォン 著/左近 毅 訳
破壊とテロリズムにまつわる陰惨な背景ゆえに、国家とマルクス主義の両者から一様にタブー視されてきたアナーキズム。本書は、アナーキズムの起源から説きおこし、バクーニン、ブルードンなどの理論家の実像に迫り、運動の実際を記す。複雑多様な面をもつ、アナーキズムを理解するのに格好の入門書。
(レンキンジュツ)
セルジュ・ユタン 著/有田忠郎 訳
近代思想の背後から、いま呼び返される錬金術。物質の変成を通じて宇宙再生の秘儀に参加し、火による魂の浄化をくぐって死の彼方に復活することを説くこの呪われた秘伝的教理は、西欧精神の隠された暗黒部分を照らし、驚くべき象徴的世界像を描き出す。その歴史と理論と実際をめぐる格好の入門書。
(センセイジュツ)
ポール・クーデール 著/有田忠郎、菅原孝雄 訳
人間と宇宙の関連を、気の遠くなる観察と想像力のかぎりを尽くして構築した占星術の世界は、近代科学の前史のみならず、今日の西欧文明隆盛のさなかにも脈々と流れ続けている。本書はその不思議な世界へ一科学者の立場から視線を投じ、理論と歴史を検証しつつ、そこに孕む擬態と誤謬を指摘する。
(ヘーゲルテツガク)
ルネ・セロー 著/高橋允昭 訳
へーゲル哲学は近代の総決算であり、現代哲学の根源をなすといわれる。現代を深く考えていくうえで、ヘーゲルを素通りすることはできないだろう。本書は、へーゲルがどう読まれ、どう影響を与えてきたかを、年代順にたどりながら、ヘーゲル哲学の本質的な諸テーマを平易に解説する。
(イタンシンモン)
ギー・テスタス、ジャン・テスタス 共著/安斎和雄 訳
異端審問という言葉ほど、恐怖に満ちた語はない。ヨーロッパおよび新大陸における宗教裁判はいまだ我々に恐怖心を起こさせる。本書は、その実体、その成立と消滅の過程、裁判の実際、各国での状況などを12世紀から第二ヴァチカン公会議まで、逸話を交えて紹介する。特にスペイン、南米での記述に詳しい。
(デンセツノクニ)
ルネ・テヴナン 著/笹本 孝 訳
世界が世紀末的様相を呈すると、人間はとかく冷静な判断を忘れ、想像力で未来をいちはやく先取りしようとする。かくして伝説が生まれるが、この種の伝説は、かならずしも荒唐無稽の絵空事ばかりではない。本書は、アトランティス伝説を基調に、時空を超えた豊穣なる伝説の世界を鮮やかに描き出している。
(キリストキョウシソウ)
エルヴェ・ルソー 著/中島公子 訳
キリスト教をひとつの核とする西欧の思想を理解するうえで、さらには人類の全史を通じて輝く知性と感性のあらゆる展開を身近に把捉するうえで格好の入門書。叙述は明快であり、顧みられることの少ない中世哲学にも新たな光を投げ、西欧の思想・哲学への門戸を広々と明け放つ。
(ヒギデンジュ エゾテリスムノセカイ)
リュック・ブノワ 著/有田忠郎 訳
エゾテリスムとは、ごく限られた人びとにのみ伝授される門外不出の教理の総体をさす。それは仏教、原始キリスト教、ヒンズー教、老荘思想、さらにはユダヤ神秘学、ヘルメス学、錬金術の中に、暗黙の象徴大系として秘められている。本書は、その一般概念と個々の歴史的形態を述べ、未知の世界を探索する。
(ヨーガ)
ポール・マッソン=ウルセル 著/渡辺重朗 訳
苦行を通じての解脱という驚くべき手段を方法とするヨーガは、仏教、ジナ教、そしてバラモン教にも採り入れられ、インド思想の根幹をなすにいたった。本書は、神秘主義や諸宗派との歴史的関係を解明し、ヨーガの本質を説く。巻末には現代の宗教哲学的な見解(ギーターの概要など)が付されている。
(トウホウセイキョウカイ)
オリヴィエ・クレマン 著/冷牟田修二、白石治朗 訳
燦然たるビザンツの典礼や美術を生み出し、中世以降の東ヨーロッパやロシアの文化的母胎となった東方正教会。本書は、その歴史、神学、典礼、秘跡を概説しながら、ローマ=カトリック教会やプロテスタント教会とも異なる、神秘主義的な色合いを強く帯びた独自の信仰の姿を浮かび上がらせている。