(シゴノセカイ)
フランソワ・グレゴワール 著/渡辺照宏 訳
「人間は死後どうなるのか」という問いは、人類がいだきつづけてきた最大の疑問の一つであろう。本書は先史時代から現代まで、神学者、哲学者、芸術家たちが「死後の世界」をどのように考えてきたかを系統的に紹介し、この深遠な問題に対して「死後の生存」という一種の哲学的解答をあたえようと試みる。
(イノリンリ)
クレール・アンブロセリ 著/中川米造 訳
尊厳死、臓器移植、脳死問題と、いま医学のモラルがきびしく問われている。本書はニュルンベルク国際軍事裁判で練り上げられた医の倫理の諸原則を検証しつつ、医療制度と司法の問題まで論をひろげ、進歩してやまない技術としての医学と医師の倫理との相克を論じ、両者の理想的な関係を説く。
(シンレイシュギ レイカイノメカニズム)
イヴォンヌ・カステラン 著/田中義廣 訳
近代化が加速した19世紀半ばに突如出現した心霊主義。スピリチュアリスムと物質主義、超自然と自然科学が奇妙に混交したこの社会的現象の歴史とメカニズムを、霊による交信として説明する心霊主義思想、客観的に検証しようとする科学、批判的立場をとる宗教など、あらゆる観点から照射していく。
(ベルクソン)
J=L.ヴィエイヤール=バロン 著/上村 博 訳
「ベルクソンを理解するにはベルクソン主義を退けなくてはならない」。漠然と反知性主義のレッテルを貼られやすいベルクソンについての先入見を取り去るための恰好の入門書。
(ユダヤキョウノレキシ)
アンドレ・シュラキ 著/増田治子 訳
2千年にわたる捕因の時代、イスラム教やキリスト教支配の陰でユダヤ教がどのような混乱のなかを生き延び、その活力を維持していったかを語り、ユダヤ教の歴史と特質を概観する。
(ショーペンハウアー)
エドゥアール・サンス 著/原田佳彦 訳
カント、プラトンに加えて古代インド思想に沈潜し、そのペシミズムによって19世紀末ヨーロッパに衝撃をあたえた意志の哲学者ショーペンハウアー。果敢にへーゲルに挑み、ニーチェ、フロイトへと受けつがれたショーペンハウアーの豊かで独創的な哲学を、新たな世紀末にあたって読み直す刺激的な試み。
(コトバノシンリガク)
M.モスカトー、J.ヴィットヴェール 著/増田治子 訳
人間の表現とコミュニケーションとを可能にする総合システムとしての《ことば》。本書はその《ことば》をめぐるさまざまな現象を言語学の立場からだけでなく、精神分析などを含む心理学的視野とアプローチも取りいれて論じた新しいタイプの一冊である。
(パスカルノテツガク)
ジャン・ブラン 著/竹田篤司 訳
「哲学」という一点からパスカルの思想を分解・再構成する。彼に対する哲学者や哲学史のつれなさ・薄情から説き起こし、現代思想への深いかかわりを、ライヴァルであったデカルトとの比較照合から解き明かす。カトリックの擁護者にすぎぬという通説を斥け、哲学史のなかにその思想を正統に位置づける。
(キルケゴール)
オリヴィエ・コーリー 著/村上恭一、小林正巳 訳
死の淵を歩みながらの苦痛の体験が「死にいたる病」「不安」の概念へと昇華し、哲学上の「実存」の概念へと体系化されていく過程を詳述した入門書。完璧なまでのキリスト者像を念頭におきつつ、その前提として「絶望論」を提示せざるをえなかった詩人・哲学者の内心の葛藤を捉え直し、この天才の全体像に迫る。
(エゾテリスムシソウ セイヨウインピガクノケイフ)
アントワーヌ・フェーヴル 著/田中義廣 訳
魔術、錬金術、神智学、ヘルメス主義、占星術、カバラ、薔薇十字思想、グノーシスなど、ヨーロッパの陰の思想に通底する思考傾向と言説をエゾテリスムという。本書はこのエゾテリスムの構造を考察し、2、3世紀から20世紀の今日にいたるさまざまなその形態を、通史として記述した概説書。