(ルネサンス)
ポール・フォール 著/赤井 彰 訳
ルネサンス期に開花したさまざまな文化を環境と時代のなかに据え、その経済上・精神上・技術上の事実に明晰な解明を与えた入門書。まず、この時期の経済的、社会的なものを分析し、さらに技術の進歩を究明し、その上で、1500年を境にそれ以前と以後の美術の特徴について語り、この時代の姿を描き上げる。
(ナポレオン)
アンリ・カルヴェ 著/井上幸治 訳
フランス革命史の実証的な研究で知られる著者が、これまでの成果をもとに、独自の文献調査を加えて著した興味深いナポレオン伝。本書は、ドイツ軍占領下に執筆され、ナポレオンの支配の成立と没落の過程を検討することで、歴史的にナチス占領に対する解放の希望を確かめたものとして、高い評価を得ている。
(エイコクシ)
アンドレ・J・ブールド 著/高山一彦、別枝達夫 訳
その地理的条件のため、古代から欧州諸国との微妙な均衡のなかで発展してきた英国をヨーロッパの政治地図のなかに正しく位置づけ、独自の社会・文化・国民性に目を配り、その歴史を見事に跡づける。
(ジュウジグン)
ルネ・グルッセ 著/橋口倫介 訳
ヨーロッパの形成がカエサルのガリヤ征服によって西欧をローマ共和国に加えた時以来緒についたものとすれば、ローマ・カトリック教会の権勢の絶頂期の十字軍の東方遠征はヨーロッパの成熟を意味する。著者は十字軍を最初の植民地活動であるとし、回教とキリスト教の対抗を歴史的に跡づける。
(ラテン・アメリカシ)
ピエール・ショーニュ 著/大島 正 訳
新大陸発見当初から第二次大戦後の経済的発展までを要領よくまとめた小史。スペインの武力征服からアメリカのドル外交による制圧へと移行する過程が詳述されているが、記述には常にそれらに対する抵抗に力点がおかれ、伝統的ラテン文化の継承者としての民族的誇りが随所に垣間見えて興味が尽きない。
(ルイジュウヨンセイ)
ユベール・メチヴィエ 著/前川貞次郎 訳
17世紀フランスにおいて絶対君主の地位を固めたルイ14世は、コルベールを宰相とした重商主義政策のもとで国内外の支配を強化し、「大王」と称された。東インド会社の設立、くり返される領土拡張戦争、ナント勅令の廃止、芸術の古典主義の発展など、その絶対主義の機構と華やかな文化の治世を概観する。
(セカイノノウギョウチリ)
ピエール・ジョルジュ 著/本岡 武、山本 修 訳
農業地理学の基礎理論を規定したうえで、世界の農業を「ヨーロッパ農業」「植民地農業」「伝統農業」「社会主義農業」の四つに分類し、各農業形態の地理的な様相を簡潔に紹介する。農業形態の地域的分化の形成過程を、自然に対する決定論ではなく可能論の立場から理論化する。
(ロベスピエール)
マルク・ブゥロワゾオ 著/遅塚忠躬 訳
フランス革命の立役者、最も偉大な指導者、三十歳の若さで反革命の嵐の中に倒れたロベスピエール。フランス大革命が今日、歴史的にどのような意味をもっていたかはすでに広く知られているが、本書は新しい資料によって、その生涯・思想・行動を描いたもの。非常に興味深い革命指導者の伝記である。
(アフリカノミンゾクトブンカ)
ドニーズ・ポーム 著/川田順造 訳
アフリカは現代国際世界の一焦点である。かつてのコンゴ独立紛争、エチオピアの内紛、今なおくすぶるアルジェリア問題、さらには各国における激しい部族間闘争など、緊張した世界情勢の端的な反映を示している。本書はアフリカの歴史の概観に始まり、部族の勢力分野、外部諸国との関係を簡明にまとめる。
(パリ・コミューン)
ジョルジュ・ブルジャン 著/上村 正 訳
1871年、普仏戦争の最終段階におこったパリ・コミューンの乱は苛酷な弾圧を受けて終息したが、当時の保守的諸階級に大きなショックを与え、労働者階級の希望を全世界によびさました国際的な事件であった。本書はその原因、経過、影響を要領よく解説する。