(メジチケノセイキ)
クリスチャン・ベック 著/西本晃二 訳
アルベルティが『家族について』でモラルを説きはじめるころ、メジチ家はルネッサンスの光と影を体現しはじめる。本書は、メジチ家がフィレンツェのみならずイタリア半島全域にその主導権を確立するにまでいたる歴史を語り、活気にあふれた市民的人文主義が変容してゆくさまを見事に描き出している。
(マヤブンメイ)
ポール・ジャンドロ 著/高田 勇 訳
神殿をはじめとする壮麗な建築や美術、正確無比な天文学にもとづいた暦、神聖文字や人間供儀など、樹海深く埋もれた古代都市はいまなお数多くの謎と不思議を発信している。本書は丹念な調査と、最新の研究成果によって、マヤ文明の隆盛と滅亡の真実を解明した労作である。
(アタラシイチリガク)
ポール・クラヴァル 著/山本正三、高橋伸夫、手塚 章 訳
あらゆる学問の発展とともに、地理学も新たな装いで登場してきた。本書は、科学としての地理学を体系的に説明している。隣接の学問分野の成果をとり入れながら、新しい地理学的な方法にもとづいて、現代の人間社会・環境など地表に生ずる広範な問題に対する考え方を示した、意欲的な書物である。
(イスパノアメリカノセイフク)
マリアンヌ・マン=ロト 著/染田秀藤 訳
レコンキスタ(国土再征服化運動)を終えたばかりの1492年、なぜスペインは「アメリカ」を征服したのか? 本書はスペインが新世界の探検に乗り出し、コロニアリズムを推進した背景、意義、現地の実際といったことを、さまざまな資料をもとに解き明かす。歴史民族学に新たな視点をもたらした名著。
(シンチョウセンジジョウ)
ジャーク・プズー=マサビュオー 著/菊池一雅、北川光兒 訳
朝鮮で起きるさまざまな出来事、その風土と国民の行動を理解するにはまず、その民族と逞しい国民性とを、本来の極東という文化圏に位置づけて捉え直さなければならない。本書は、南北に分断されながらも力強く発展を続ける韓国・北朝鮮の地理を、豊富な資料によってわかりやすく解説する。
(ガリカニスム フランスニオケルコッカトキョウカイ)
エメ=ジョルジュ・マルティモール 著/朝倉 剛、羽賀賢二 訳
アンシャン・レジームが整備されていくフランスにおいて、「国家」と「教会」の関係は、古来の自由を標榜するガリカン教会(フランス教会)とローマ教皇(庁)との、またフランス王権と教皇権との対立という展開を見せた。教義と実践の両面で教皇の権威に対抗する、この伝統への復古運動を解説した通史。
(ゲンゴノチリガク)
ロラン・ブルトン 著/田辺 裕、中俣 均 訳
さまざまな言語の空間的分布はどのように形成され、変動していったのか。具体的な地域に即して考察する地域地理学の立場から、言語を支える人間的・社会的基盤についての見取り図を提示する文化誌。消滅しかけている言語を貴重な財産として守り継ぎ、その独自性を尊重するよう訴える。地図・図版多数収録。
(タイドクキョウリョクノレキシ)
ジャン・ドフラーヌ 著/大久保敏彦、松本真一郎 訳
フランスの「歴史から抹殺すべき四年間」としてタブー視されてきた独軍占領時代における対独協力の実態が、近年ようやく明らかにされてきた。パリではナチのイデオロギーが熱狂的に迎え入れられ、ヴィシー政府も追従し、意図的に、しかも国家規模で時代のうねりに巻き込まれていく様子を追求する。
(ドレーフュスジケン)
ピエール・ミケル 著/渡辺一民 訳
1894年、フランスの参謀本部に起きたドレーフュス大尉をめぐるスパイ疑惑は、当時の社会的・政治的大事件として世界の注目を集め、たんに大尉自身の有罪・無罪の問題にとどまらず、各方面に多大な影響をもたらした。本書は、この事件の全貌を提示し、その歴史的意味を明らかにする。
(コダイエジプト)
ジャン・ヴェルクテール 著/大島清次 訳
現代のエジプト学が到達した地点に立ち、4000年以上も栄えたこの人類最古の文明を実証的に説く。まず国土・住民・言語・文字など地誌的観点から解読し、ティニス朝の先史の混迷の諸世紀から、古典期の古王国より新王国、衰退期のアレクサンドロスの征服まで、その歴史全体を概述する。エジプト諸王の年表を収録。