(ローマキョウワセイ)
アンドレ・クレリシ、アントワーヌ・オリヴジ 著/高田邦彦・石川勝二 共訳
「ローマは一日にして成らず」とは良く知られた格言であるが、そのローマ帝国の礎石となった共和制時代については知られざる面が意外に多い。本書は、ローマ史学の最新の成果をとりあげ、具体的事件や人物よりも歴史を動かした本質的要素に焦点を合わせて書かれた、本格的な研究書である。
(ジャンヌ・ダルク)
アンドレ・ボシュア 著/新倉俊一 訳
百年戦争は、フランスが近代国民国家として誕生するさい味わった陣痛の苦しみであった。それは幾多の伝説を生んだが、なかでも「乙女」ジャンヌの物語は、その時代を最もよく象徴している。本書は、このヒロインの生涯の客観的な叙述であるとともに、彼女を媒介とした、すぐれた時代史でもある。
(シュウキョウカイカク)
リシャール・ストフエール 著/磯見辰典 訳
十六世紀ヨーロッパの精神界をふるわせた宗教改革の全貌を、単なる教義の解説ではなく、歴史的過程の中にいきいきと描いている。最新の研究成果をふまえながら、諸改革の共通点・相違点を明らかにする著者の筆は、信仰一致に対する現代的要請にこたえて、あますところがない。
(アステカブンメイ)
ジャック・スーステル 著/狩野千秋 訳
メキシコの大地に広大なる勢力を誇ったアステカ族。壮麗な文化に彩られたその王国の起源から滅亡(スペイン人コルテスによる遠征)までをたどり、多くの遺跡や遺物を手がかりにしつつアステカ人の生活を伝える本書は、失われたアステカ民族をすぐれて血肉化させている。中米考古学の碩学による名著。
(ヒトラートナチズム)
クロード・ダヴィド 著/長谷川公昭 訳
狂気の政治家ヒトラーの世界史への登場はドイツと世界の運命を激変させ、人類に多くの課題を残した。ナチズム研究はいまや多方面で主要な研究テーマとなっている。本書は、ヒトラーとナチズムを政治的・歴史的観点からまとめた概説書で、特にナチズムの思想的系譜の解説は本書の白眉である。
(シンリンノレキシ)
ミシェル・ドヴェーズ 著/猪俣禮二 訳
森林の歴史は、人間と自然との闘争の歴史であり、反面、樹木と人間の協力の歴史である。人間が森に火を放って積極的にその破壊を企ててからすでに五千年。その間の闘争と協力の歴史は多彩である。フランスを中心にしたヨーロッパの森林史を興味ふかく説く著者の手腕はみごとというほかない。
(アッチラトフンゾク)
ルイ・アンビス 著/安斎和雄 訳
五世紀にヨーロッパを席巻したフン族と東洋史上の匈奴は同一民族なのか。「神の鞭」として名高いアッチラとはいかなる人物だったのか。アッチラの死後、フン帝国はなぜ滅んでいったのか。諸説紛々のフン族の起源、ヨーロッパでの膨張の過程、アッチラの生涯、謎に満ちた文化まで、その全貌に迫る。
(アメリカガッシュウコクノチリ)
ピエール・ジョルジュ 著/野田早苗 訳
アメリカを理解するには、地誌的な知識が必要となる。本書は、北アメリカの自然地理的条件に関する知識を提供し、各種産業、国土開発、生活環境、人口問題などに触れ、急速なテンポで移り変わるアメリカ社会の真の姿を示す。今日のアメリカの現実のイメージを正しく理解するに格好の読みもの。
(ジンギスカン セイフクシャノショウガイ)
ルイ・アンビス 著/吉田順一・安斎和雄 共訳
ジンギスカンの生涯は、モンゴル帝国建設までの忍苦の前半生と、世界征服者の名をほしいままにした疾風の後半生に大別できる。本書の特色は、錯綜した関連資料を解きほぐし、謎の多い前半生に力を入れて、彼の生涯を明らかにしようとした点にある。著者は、フランスの代表的東洋学者である。
(ムッソリーニトファシズム)
ポール・ギショネ 著/長谷川公昭 訳
二十世紀前半に突如イタリア半島に出現し、ヒトラーのナチズムの原型となったムッソリーニのファシズム。この異常な独裁主義の生成と発展の過程を説きつつ、彼の生い立ち、栄光の時代を経て哀れな最期をとげるまでを詳述する。イタリア特有の歴史的風土のなかに咲いた徒花ムッソリーニの全貌を伝える。