(ビガク)
ドニ・ユイスマン 著/吉岡健二郎、笹谷純雄 訳
プラトンから現代にいたる美学の歴史を、芸術の哲学としての美学というへーゲル以後の美学理論によって手際よく解説する。芸術の本質、美と人間心理との関係、さらに芸術と科学・宗教・社会・産業とのかかわりにも触れながら、芸術の在り方を探り、「芸術の意味」と「芸術の価値」とを明らかにする。
(バスクジン)
ジャツク・アリエール 著/萩尾 生 訳
イベリア半島北部、ピレネー山脈西端に広がるバスク地方は、古来より周囲の異文化の影響を受けながらも、きわめて独自の言語と風習を守りつづけてきた。今また分離独立を訴える闘争に激しく揺れる、「多国家間民族」バスク人の歴史と現在を、政治・経済・言語・民族学などの面から描き、その全貌に迫る。
(イノリンリ)
クレール・アンブロセリ 著/中川米造 訳
尊厳死、臓器移植、脳死問題と、いま医学のモラルがきびしく問われている。本書はニュルンベルク国際軍事裁判で練り上げられた医の倫理の諸原則を検証しつつ、医療制度と司法の問題まで論をひろげ、進歩してやまない技術としての医学と医師の倫理との相克を論じ、両者の理想的な関係を説く。
(シンレイシュギ レイカイノメカニズム)
イヴォンヌ・カステラン 著/田中義廣 訳
近代化が加速した19世紀半ばに突如出現した心霊主義。スピリチュアリスムと物質主義、超自然と自然科学が奇妙に混交したこの社会的現象の歴史とメカニズムを、霊による交信として説明する心霊主義思想、客観的に検証しようとする科学、批判的立場をとる宗教など、あらゆる観点から照射していく。
(フェミニズムノセカイシ)
アンドレ・ミシェル 著/村上眞弓 訳
先史時代から現代にいたるまでの各時代と社会における女性の条件を、男性の地位・権力との関係で考察し、それにもとづいてフェミニズム理論を構築する野心作。著者は著名な社会学者で、独自の第三世界論の立場から、世界的な規模での女性の条件の変革の可能性を展望し、女性解放の道筋を探る。
(ゲンソウブンガク)
J=L.スタインメッツ 著/中島さおり 訳
ときに病的でありときに華麗な、さまざまな精神の発露としての表現。想像力に扉を開き、生の「夜の側」へと関心を向けた幻想文学。本書は、ホフマン、ノディエ、ポーを経て、ウィリアム・バロウズやスティーヴン・キングへとつらなる古今東西の作家の系譜を伝統的文学史との比較で捉え直した好著である。
(ベルクソン)
J=L.ヴィエイヤール=バロン 著/上村 博 訳
「ベルクソンを理解するにはベルクソン主義を退けなくてはならない」。漠然と反知性主義のレッテルを貼られやすいベルクソンについての先入見を取り去るための恰好の入門書。
(スペインナイセン)
ピエール・ヴィラール 著/立石博高、中塚次郎 訳
1936年7月、フランコ将軍を指導者として軍部の蜂起が起こった。以後3年の長きにわたってスペイン全土を二分し、数十万人の死者を出したスペイン内戦は、フランコ独裁政権の樹立と第二共和政の崩壊をもって終結した。第二次大戦の前哨戦ともいわれるこの内戦のメカニズムを詳述する名著。
(シャカイガクノゲンゴ)
ジャック・エルマン 著/原山 哲、樋口義広 訳
社会学の言語には6つの範疇がある。本書は、ノーバート・ウィーナーのサイバネティックス理論やゲーム理論、レヴィ=ストロース、ロラン・バルト、ジル・ドゥルーズ、ピエール・ブルデューといった、構造主義以降の現代思想をも援用しながら、社会学のさまざまな言語とその潮流を、範疇別に概説する。
(ユダヤキョウノレキシ)
アンドレ・シュラキ 著/増田治子 訳
2千年にわたる捕因の時代、イスラム教やキリスト教支配の陰でユダヤ教がどのような混乱のなかを生き延び、その活力を維持していったかを語り、ユダヤ教の歴史と特質を概観する。