(ロウドウホウ)
ミシェル・デスパックス 著/神尾真知子、野間 賢 訳
ポスト・バブルの資本主義社会では、外国人労働者の問題などが発生し、新しい労使関係のあり方が厳しく問われている。本書では、両者の関係の行方を見すえるために、フランスにおける「労働法の歴史」、すなわち「立法者による介入の歴史」が概説される。なお、巻末にはフランスの労働立法略史を付した。
(ルーマニアシ)
ジョルジュ・カステラン 著/萩原 直 訳
バルカン半島北辺に位置し黒海を臨むルーマニアは、近隣の多様な文化の影響を受け、近世以降は大国の政治的脅威に絶えずさらされてきた。本書は、今また少数民族問題など多くの難問に直面するこの「ラテン的」国家の貴重な通史である。訳者による、チャウシェスク独裁政権崩壊後の現代史補遺を付す。
(フランスシノレキシ)
ジャン・ルースロ 著/露崎俊和 訳
武勲詩、抒情詩を生んだ中世、生を謳歌するルネサンス、さらに古典主義の勃興を経てフランス詩は次第に成熟してゆく。そして、ロマン主義、サンボリスムの豊かな成果のうえに、20世紀の多彩にして華麗な作品が花開いた。フランス詩の起源から現代まで、豊富な引用を交えて概観する格好の入門書。
(ショーペンハウアー)
エドゥアール・サンス 著/原田佳彦 訳
カント、プラトンに加えて古代インド思想に沈潜し、そのペシミズムによって19世紀末ヨーロッパに衝撃をあたえた意志の哲学者ショーペンハウアー。果敢にへーゲルに挑み、ニーチェ、フロイトへと受けつがれたショーペンハウアーの豊かで独創的な哲学を、新たな世紀末にあたって読み直す刺激的な試み。
(スポーツノレキシ)
レイモン・トマ 著/蔵持不三也 訳
サッカーや野球に代表される、近代スポーツ隆盛の背景は何か。本書はそれを知る手引きとして最適である。文明の歩みとともに変容してきたスポーツの歴史を、ホイジンガやカイヨワらの理論を踏まえながら、詳細に解説する。なお、巻末の「付論・日本のスポーツ史」(寒川恒夫)は日本版のみの特典。
(コトバノシンリガク)
M.モスカトー、J.ヴィットヴェール 著/増田治子 訳
人間の表現とコミュニケーションとを可能にする総合システムとしての《ことば》。本書はその《ことば》をめぐるさまざまな現象を言語学の立場からだけでなく、精神分析などを含む心理学的視野とアプローチも取りいれて論じた新しいタイプの一冊である。
(オランダシ)
モーリス・ブロール 著/西村六郎 訳
ユーラシア大陸の片隅に人の力によって国土をつくり出し、政治、経済、文化の面で黄金の17世紀といわれる繁栄をもたらした国オランダ。欧州経済共同体の先駆ともいえるベネルクス同盟を生み出し、透徹した展望と進取の気性に富む独特の性格をもつこの小さな大国の波乱に満ちた歴史。
(ブンタイノカガク)
ジョルジュ・モリニエ 著/大浜 博 訳
アリストテレスの修辞学、ヤコブソンの詩的機能、バルトの記号論など、言語と文学の諸科学が交わるところで文体論が究まる。本書は文体研究のさまざまな方法を歴史的に検証し、その実践を可能にするコンパクトな実用概説書である。プロフェッショナルの使用にも対応。索引付き。
(パスカルノテツガク)
ジャン・ブラン 著/竹田篤司 訳
「哲学」という一点からパスカルの思想を分解・再構成する。彼に対する哲学者や哲学史のつれなさ・薄情から説き起こし、現代思想への深いかかわりを、ライヴァルであったデカルトとの比較照合から解き明かす。カトリックの擁護者にすぎぬという通説を斥け、哲学史のなかにその思想を正統に位置づける。
(チョウセンハントウヲミルキソチシキ)
C.バレーズ、李鎭明、李玉、M.オランジュ 著/金 容権 訳
東西の冷戦構造は解体したが、南北に分断された朝鮮半島の緊張は続く。南北の地理、文明、政治史、経済史を簡明に解説する本書は、今日の韓国・北朝鮮を知るための基本図書である。