(ウミノオセン)
ジェラール・ベラン、ジャン=マリー・ペレス 著/高田治彦 訳
湾岸戦争での原油流出や、日本海への核廃棄物投棄のニュースは記憶に新しい。「公害」が「環境問題」という口当たりのよい言葉にすり替えられ、海の汚染はその深刻さが忘れられた感さえする。本書では汚染の発生源、汚染物質の影響、汚染の防止対策など、海洋汚染の問題全般をわかりやすく解説し、警告する。
(ケンチクノレキシ)
ジャン=シャルル・モルウ 著/藤本康雄 訳
神殿や霊廟で知られる古代エジプトや、建築家の個性が前面に押し出されて「芸術」としての建築が確立されたルネサンス期。そうした各時代、各文明によって建物の構成がどのように変化していったかを、構造形式や材料に即して詳述する。建築を、目に見える詩(ポエジー)だとする異色の概説書。
(コメディ=フランセーズ)
パトリック・ドゥヴォー 著/伊藤 洋 訳
コメディ=フランセーズは、フランスの国立劇場として3世紀を超える歴史の激動に耐え、数々の名優と名作を生んできた。この世界に類のない劇場の誕生から今日にいたる苦難と栄光の道のり自体が、興味尽きない壮大なドラマである。文化行政の場にさまざまの示唆を与えるその組織や運営にまで論及した好著。
(エピステモロジー)
エルヴェ・バロー 著/松田克進 訳
フランスにおけるエピステモロジー(科学認識論)の明解な入門書。フランス国立科学研究所(CNRS)の主任研究員で、この方面の第一人者が、数学・物理学・生物学・心理学・言語学など諸科学の主要な成果を丁寧に概説する。科学史の現実に密着するという、フランス科学論の伝統を継承した好著。
(インドノブンガク)
ルイ・ルヌー 著/我妻和男、渡辺重朗 訳
インドは文学的な秘教が結晶する架空の場所であり、いわばアリバイである。古くから、西欧の多くの文学者・哲学者がインドの文学から啓示を得ている。本書は、西欧に霊性を与えつづけてきたインドの文学の起源と来歴を、多言語国家という文化的基盤を踏まえながら概説している。巻末に年表、索引を付した。
(チョウミンゾクゴ)
ルイ=ジャン・カルヴェ 著/田中克彦 解説 林 正寛 訳
地域や民族の壁を越えて広まる「超民族語」に着目する本書は、具体的な事例研究をふまえて従来の言語学の思想基盤に挑戦し、言語社会や国語に対する新たな視点を提起する。さらに言語・民族・国家の根本問題に迫る議論が、民族対立の時代に近代の国民・国家観を見直すうえでも、多大の示唆を与えている。
(ブンガクシサイコウ)
クレマン・モワザン 著/広田昌義 訳
伝統的文学史の枠組みの見直しにはじまり、あらたに問われつつある文学史の意味、20世紀後半における文学研究法の革新と文学史との関係、文学研究と歴史研究との連関性などの諸問題を再検討し、文学史の新しい構想を模索する。仏文学の研究者・学生、文学研究に関心のある読者一般に必携の概説書。
(フリーメーソン)
ポール・ノードン 著/安斎和雄 訳
光り輝くデルタのもと、みずからの精神のうちに神殿を建設するフリーメーソン結社。本書は、薔薇十字団、テンプル騎士団、そして文学者や芸術家との相関や秘儀伝授の方法などを解明し、その哲学的側面を論証しながら、多くが謎に包まれてきた秘密結社フリーメーソンの真正なる歴史と現況を伝える。
(チョウシンリガク)
イヴォンヌ・カステラン 著/田中義廣 訳
心霊現象を科学的に解明すべく、新たに登場した研究の概説書。対象をテレパシー、透視などの超感覚的知覚と念力に絞り、実験方法もいわば計量的手法に集中して、心霊研究のもっていたロマンティックな側面を極力排除し、客観性を高め、追試を可能にし、超常現象の実在を検証している。
(カルタゴ)
マドレーヌ・ウルス=ミエダン 著/高田邦彦 訳
ローマ帝国と地中海世界の覇権を果敢に争い滅亡した悲運の都市国家カルタゴ。本書は、カルタゴ考古学界の権威が遺跡発掘の成果をもとに、彼の国の政治・宗教・文化・風俗・地誌などあらゆる分野にわたって解説する。国家滅亡後800年の歴史も含め、その文明興亡のすべてを語る好著。