(ホンヤク ソノレキシ・リロン・テンボウ)
ミカエル・ウスティノフ 著/服部雄一郎 訳
翻訳は、古くから逐語訳と自由訳の二項対立の中で語られてきた。近代は逐語訳でも自由訳でもない第三の翻訳に関する議論が広がる。本書はその歴史を辿り、近現代の翻訳理論をテーマ別に紹介する。更に「起点言語→目標言語」という基本的図式から生まれた派生的理論を解説する。現代の翻訳は、情報の多言語化、マルチメディア化に伴い多様化し、もはや言語の次元のみに限定されない。記号体系間の翻訳という時代を見据えた展望が語られる。豊富な具体例によってそのメカニズムを明快に論じた翻訳論の入門書。プロフィール: ミカエル・ウスティノフ Michaël Oustinoff パリ第三大学(ソルボンヌ・ヌーヴェル)英語圏世界研究所助教授。著書にはベケット、ナボコフ、ジュリアン・グリーンを取り上げたBilinguisme d'ecriture et auto-traduction, L'Harmattan,2001がある。
(フェティシズム)
ポール=ロラン・アスン 著/西尾彰泰、守谷てるみ 訳
起源・定義・影響――脚フェチ、眼鏡フェチ……特定のものに執着するという意味でのフェチはすっかり定着しているが、もともとフェティシズムは、民族学の領域で生まれた。アフリカ住民の宗教的崇拝の対象になっていた護符(フェティソ)から作られた言葉である。フロイトが精神医学用語として導入したのは、その用語の歴史と無関係ではない。本書は、フェティシズムの思想史を辿ることによりその本質に迫る。なぜ精神分析がこの概念を必要とし、それによって何を知りえたのかが明らかになる。
(エトルリアジン ローマノセンジュウミンゾク キゲン・ブンメイ・ゲンゴ)
ドミニク・ブリケル 著/平田隆一 監修 斎藤かぐみ 訳
紀元前9世紀以降、イタリア中央部で繁栄し、ローマ帝政期に衰退した先住民族——エトルリア人についてはいまだ謎が多い。本書は、近年着実に発展をとげたエトルリア学の研究成果と現況を解説する。起源問題から説き起こし、繁栄の要因と、ローマへの影響、衰退の原因、文化、宗教、言語について概説する。インド・ヨーロッパ語族が確立する以前の言語であるエトルリア語の解明については、監修者による「解説」とともに、その手順が具体的に説明されている。プロフィール: ドミニク・ブリケル Dominique Briquel 1946年生まれ。パリ大学でレーモン・ブロックの薫陶を受け、現在、パリ第四大学教授を務め、また東洋・西洋考古学研究所所長の地位にあり、中央アジア、中近東、北アフリカの諸国で発掘調査に従事している。ブロックやジャック・ウルゴンによって築かれたフランスにおけるエトルリア学の学統を継承し、実証的歴史家として、主として文献史料の綿密な考証に基づいて数多くの論文・著書を公刊し、斯学の発展に大きく貢献してきた。
(ファッションノシャカイガク リュウコウノメカニズムトイメージ)
フレデリック・モネイロン 著/北浦春香 訳
ファッションをめぐる論説を紹介し、その成果と新たな方向性を探る。社会学のみならず、美術史学、記号学、心理学など学際的研究によって、この社会現象を捉えることが可能になる。