(インショウハ)
マリナ・フェレッティ 著/武藤剛史 訳
画家たちの生涯と作品この40年のあいだに、印象主義絵画の研究が進むと同時に、個々の画家に関する情報が増えてきている。特に1986年のパリ・オルセー美術館の開館は、19世紀後半の美術の再発見を促す大きな出来事だった。本書は、その潮流と新しい情報をふまえ、印象派という名のもとにまとめられる多様な個性をもつ画家たちの生涯を、具体的な作品を織り込みながら紹介していく。印象主義の草創期から後期印象主義までを簡潔に解説した入門書の決定版。カラー図版収録。
(ガストロノミ ビショクノタメノチシキトチエ)
ジャン・ヴィトー 著/佐原秋生 訳
ギリシア語で、胃の習慣を意味する「ガストロノミ」は、旨いものを楽しむ技法である。美味しい食材と調理法――香りを逃がさないように、ナプキンを頭からかぶって食べるのが作法のホホジロ料理、黒トリュフよりもはるかに高価な白トリュフの調理法など、美食のための知識と知恵が満載! そもそもガストロノミとは、最高の食材、ベストな調理法、飲物とのマッチングを追求することである。本書は、ガストロノミの歴史と食材や調理法を具体的に紹介するとともに、料理と結びついた文化の諸相や、宗教・医学・政治に及ぼした影響を解説する。真のガストロノームのための手引書。
(チョウセンシ)
李玉 著/金容権 訳
民族通史の決定版――2月末、李明博氏が韓国の新しい大統領に就任した。本書は、この与野党の政権交代の背景を含めた韓国の現状と、2003年以降の六カ国協議における北朝鮮の動きを「補遺」で解説した待望久しい新版である。朝鮮半島は、アジア大陸の文化と英知が蓄積される豊饒の地であるがゆえに、度々外敵の侵略を受けたが、それを打ち砕いて類稀な歴史を築いてきた。その民族通史が簡潔に紹介されており、隣国の人々についての正しい理解を深める礎となる一冊である。
(エンゲキノレキシ)
アラン・ヴィアラ 著/高橋信良 訳
演劇史・西洋史入門書の決定版――ソポクレス、セネカから説きおこし、ベケットを経てコルテスまでの西洋演劇の流れを、フランスを中心に紹介。さらに演劇というスペクタクルが、ダンス・ドラマやパフォーミング・アーツなどのさまざまな可能性をもつものに変貌をとげたさまを解説する。各時代ごとの特色を独立したかたちで紹介するのではなく、社会の変遷と結びつけて演劇をひとつの流れとしてとらえ、不条理劇は無意味から生まれたものと明言した、画期的な西洋演劇史のガイド・ブック。
(20セイキフランスショウセツ)
ドミニク・ラバテ 著/三ッ堀広一郎 訳
ル・クレジオ、マンシェット、ペレック、キニャール、エシュノーズ、トゥーサン……いろいろな味わいの樹果を楽しめる現代フランス小説の森。その森に分け入るときに頼りになる地図が本書である。個々の作品の出自と背景、作品どうしの相互関係について知ることによって、読書がもたらす愉悦は倍増する。未邦訳の作品も紹介され、作家たちが小説という形式に込めた思考や、小説というジャンルの特異性と変容があきらかになる。
(フランス・レジスタンスシ)
ジャン=フランソワ・ミュラシオル 著/福本直之 訳
第二次大戦時のフランスで、ナチスによる支配とその傀儡ヴィシー政権に抗する英雄的な闘いを展開した人びとの活動の全貌を解説。機構・運動体・地下組織・出版物の充実した一覧付き。プロフィール: ジャン=フランソワ・ミュラシオル Jean-François Muracciole モンペリエ第三大学の現代史教授。専門はレジスタンス関係史。
(テロリズム レキシ・ルイケイ・タイサクホウ)
ジャン=フランソワ・ゲイロー/ダヴィド・セナ 共著/私市正年 訳
テロリズムは、つねに変化している。その歴史をたどり、定義づけを試み、類型化することによってテロリズムの正体を見極めるとともに、フランスを中心とした欧米のテロ対策法を紹介。プロフィール: ジャン=フランソワ・ゲイロー Jean-François Gayraud 1964年生まれ。パリ第二大学で法学博士号を取得、その後、国立高等警察研究所(1988〜90年)、警察機動部(1990〜2007年)を経て、現在は国立高等治安研究所所長参与。専門はテロ、犯罪学。プロフィール: ダヴィド・セナ David Sénat パリ政治学院で学び、刑法・犯罪学の学位(DEA)を取得。現在はフランスの司法官で、2006年から防衛大臣の法律顧問も務める。
(スピノザニュウモン)
ピエール=フランソワ・モロー 著/松田克進、樋口善郎 訳
生涯・著作・思想――ヘーゲルをして、スピノザ主義でないものはいかなる哲学でもない、とまで言わしめたスピノザの生涯と著作、思想、そしてスピノザ主義の受容の歴史を解説。さらに、スピノザの蔵書目録やテクストに見られる引用から、彼の語学力や教養の範囲を探るとともに、テクスト中の具体的事例を整理することによって、人物・場所についての歴史的出来事が不可欠な題材となっていることを示す。彼は、人間本性を認識するために哲学者たちの体系よりもむしろ文学や歴史に信頼をおいていたのである。
(ヘレニズムブンメイ チチュウカイトシノレキシトブンカ)
ポール・プティ/アンドレ・ラロンド 共著/北野 徹 訳
西洋史の基礎知識――アレクサンドロス大王の死からローマによる征服の完了までのヘレニズム時代は、古典期ギリシアとローマ帝国の狭間の過渡期として扱われてきた。これに対して著者は、独創的な文明を築きあげた時代としてとりあげ、この文明をギリシアやローマとの関連で論ずるのではなく、独自の文明として評価するよう迫る。政治・経済・社会の解説にくわえて、アレクサンドレイア、ペルガモン、デロス、ロドスなど、都市ごとに歴史や文化を紹介することにより、時代を活写する。プロフィール: ポール・プティ Paul Petit(1914〜1981)長いあいだグルノーブル大学で教鞭をとったローマ史の重鎮。専門はローマ帝政末期の政治家・修辞学者リバニウスの研究。リバニウスのテクストの校訂・注釈本のほか、『リバニウスと四世紀アンティオキアの市民生活』『リバニウスの作品に登場する役人』などの専門書を上梓。プロフィール: 補訂:アンドレ・ラロンド André Laronde(1940〜) パリ第四大学(ソルボンヌ)教授。リビアのギリシア=ローマ遺跡研究に関するフランスの第一人者。著書に『キュレネとヘレニズム時代のリビア』『絵葉書を通じてのリビア』などがある。
(ゲンガクシジュウソウ)
シルヴェット・ミリヨ 著/山本 省 訳
その進化と発展、そして……室内楽曲の最も純粋な音楽形式である弦楽四重奏は、楽器の多彩な音色にも演奏家の技巧にも頼りきれず、作曲家にとってその力量を試されるシビアなものである。本書は、その起源から説き起こし、ボッケリーニ、ハイドン、モーツァルトなどの作品を検討したあと、ベートーヴェンの四重奏曲群の分析にとくに紙幅を割く。さらにバルトーク、シェーンベルク、ショスタコーヴィチらの四重奏曲を豊富な譜例とともに解説する。弦楽四重奏の音楽活動における位置づけを示した、クラシック音楽愛好家必読の一冊。プロフィール: シルヴェット・ミリヨ Sylvette Milliot パリ音楽院でチェロを学んだあと、音楽学の道に進み、音楽学の国家博士を取得。弦楽器の音楽とその製作に関するフランスを代表する研究者であり、フランス国立科学研究センター(CNRS)における音楽学部門の所長を務めた。