(シュウキョウシャカイガクニュウモン)
ジャン=ポール・ヴィレーム 著/林 伸一郎 訳
国際社会を理解するためには欠かせない! 宗教的行為・制度を、社会学的方法論をもちいて説明する学問が、宗教社会学である。それは、マルクスが先駆をなし、デュルケムとウェーバーによって確立された。本書は、彼らが宗教への社会学的眼差しを形成していく過程と、その後の拡大深化の過程を、代表的社会学者の業績を一つ一つ取りあげながら解説することにより、戦後のフランス宗教社会学についての、簡にして要を得た紹介となっている。また、現代を「ウルトラモダニティ」と捉える立場で、現代の宗教現象(新宗教運動、過激主義、政治や倫理との関わり、ア・ラ・カルト宗教)の解釈を概観する。
(ゲンダイチュウオウアジア イスラム、ナショナリズム、セキユシゲン)
オリヴィエ・ロワ 著/斎藤かぐみ 訳
ロシアとどうつきあっていくのだろうか? かつてスターリンは、中央アジアにおける連帯意識を効果的に打ち砕くために、新しい言語をあつらえ、文字に人為的変更を加えるという強引な言語政策を進めた。ソ連崩壊後、相次いで独立した共和国において、新たな帰属意識形成のためにとられたのは、まさにこれと同じ手法であった。本書は、中央アジアの民族の分布から書きおこし、ソ連時代の政策を経て、独立した新生諸国(ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタン、トルクメニスタン)の政治・経済を解説する。ナショナリズム、地域対立、イスラム、石油資源などの要点を押さえた明解な概説書。
(セイシンイガクノレキシ)
ジャック・オックマン 著/阿部惠一郎 訳
心の病にどのように向きあってきたのか? 精神医学という言葉は、19世紀初頭、ドイツのライルによって初めて用いられた。それから2百年、ピネル、エスキロール、グリージンガー、シャルコー、フロイト、クレペリンらが歩んできた道のりを辿る。六つの時代、すなわち先駆者たちの時代、転換期の1850年、実証主義の時代、精神病理学とショック療法の時代、病院を改革した活動家の時代、治療費を抑えつつ効果を求める経済性の時代、に分けて紹介する。躁うつ病、統合失調症など、心を病んだ人への「寄り添い」と「抑圧」の歴史が浮かびあがる。精神医学の過去と現在を簡潔に解説した入門書。
(フランスチュウセイシネンピョウ 481カラ1515年)
テレーズ・シャルマソン 著/福本直之 訳
次々と王朝が入れかわる激動の時代を展望――日本では古墳時代のさなか、フランスでは、フランク王国の初代国王クロヴィスが即位し、メロヴィング朝が幕をあけた。本書は、それに続くカロリング朝、カペー朝を経て、ヴァロワ朝のフランソワ一世の即位までをとりあげる。政治的出来事と、宗教的・文化的事項をまとめ、複雑な時代の理解を助けるために巻末には王家の系図も収録している。関連する逸話や社会背景についての訳注が随所にちりばめられた「読む」年表。
(コドモノコミュニケーションショウガイ)
ロラン・ダノン=ボワロー 著/加藤義信、井川真由美 訳
子どもと向き合うすべての人のために――はたして、子どもはどこでつまずくのか? 言語学者であり精神分析家でもある著者は、障害の分類、検査と治療方法、治療の原則など、言語発達障害に関わる問題を、独自の視点から解説する。子ども自身が自発的にことばを獲得するよう指導する一方で、自信を失わせないように留意するという原則に貫かれた本書は、障害の有無にかかわらず、子どもと向きあうすべての人に対する示唆に富んでいる。
(クレオパトラ)
クリスティアン=ジョルジュ・シュエンツェル 著/北野 徹 訳
古いところではエリザベス・テイラー、新しいところではモニカ・ベルッチが演ずるクレオパトラは美しいが、実際はそうでもなかったというのは、近年かなり知られてきている。本書は、ローマの有力者を次々と手玉にとった魅惑の女王クレオパトラの実像にせまる。芸術家たちに着想を与えた伝説の紹介とともに、歴史的事実としての人物像を、パピルス文書や古銭、碑文などの考古学資料から解明する。用語解説、年表、系図、地図などの関連資料も充実。
(ラグビー シンカスルセカイノプレースタイル)
ダニエル・ブティエ 著/井川 浩 訳
ラグビーワールドカップ・フランス大会が開幕した。日本は2015年の開催地招致に名乗りをあげており、成績がその成否に影響する大事な大会である。ラグビーは、勇気と連帯と自己犠牲のスポーツであり、フランスにおける「ラガーマンとして生きる」という言葉に見られるようにひとつのライフスタイルを形づくる。本書は、その歴史とともにプレースタイルや戦略、試合中の選手の心理などの分析を紹介し、ラグビーの持つ豊かさと美しさをあきらかにする。
(キョウイクノレキシ)
ジャン・ヴィアル 著/高村昌憲 訳
少子化の時代をむかえ、ますます教育の質が問われている。本書は、古代から現代にわたって世界中の様々な地域における教育の歴史を紹介する。インドで始まった「相互教育」、フランスの「職業教育」など、教育の方法や制度が学校の使命と社会の必要性に応えて質的に進歩した事例をもとに、これからの教育を考えるヒントを見出すための一冊。学校関係者をはじめ、教育に携わる人びとや保護者にとって必読の書。
(ジプシー)
ニコル・マルティネス 著/水谷 驍、左地亮子 訳
タロット占いやジプシーダンスなどの神秘的イメージとともに、インド起源の放浪民族と捉えられてきたジプシー(ロマ)。解明されつつある実像を、歴史、生活、伝統などから紹介する。
もともと「エジプト人」が訛って「ジプシー」という呼称が生まれた。彼らは、神秘的なイメージとともに、ながらくインド起源の放浪民族であると捉えられてきた。本書は、ジプシーは少数民族ではなく、ヨーロッパ社会が生みだした社会的孤立集団であるという視座に立ち、歴史、生活、社会的位置づけなどを紹介する。新しい展開を遂げたジプシー研究に基づき、いままでの固定観念を見直す解説書。
(セカイサイダイデジタルエイゾウアーカイブイナ)
エマニュエル・オーグ 著/西 兼志 訳
INA(フランス国立視聴覚研究所)が進める先端的かつ壮大な事業を紹介。先端的資産管理の全貌――2006年4月、INA(フランス国立視聴覚研究所)が一躍注目を集めた。約10万番組、1万時間に及ぶ放送番組がインターネット上で自由に閲覧できるようになったのである。通常一か月あたりのアクセスが35万件のこのサイトに、開始直後の半日で300万件のアクセスが殺到した。この「万人に開かれたアーカイブ」実現までの道のりと今後の展望を、INAの現所長が解説する。世界中で2億時間分に及ぶ映像・音声資料が消失の危機に瀕していると警告されている今、アーカイブのあり方や公共性というものを問う、放送・映像関係者必読の一冊。