(ゲイジュツリョウホウニュウモン)
ジャン=ピエール・クライン 著/阿部惠一郎、高江洲義英 訳
うつ病から統合失調症まで、心のストレスを克服するために! 音楽、絵画、演劇、人形劇、化粧……さまざまな表現方法で精神を解放してゆく芸術療法。アートセラピー入門の決定版。
(セイパウロ)
エティエンヌ・トロクメ 著/加藤 隆 訳
キリスト教に回心することで、「目からウロコ」が落ちたとされる伝道者――聖パウロは、世界宗教への礎を築いた。彼の苦難に満ちた足跡を辿り、「異邦人への使徒」の真の姿に迫る評伝。
(セイオウルイノセイキ)
アラン・サン=ドニ 著/福本直之 訳
十字軍遠征などの功績により列聖された、フランス国王――ルイ9世は、13世紀の平和を追求した。彼の生涯と当時の社会を紹介する。中世の理想的君主がわかる、西洋史の基礎知識。
(コウテイユスティニアヌス)
ピエール・マラヴァル 著/大月康弘 訳
かつての地中海世界を取り戻そうとした、6世紀のビザンツ皇帝――ユスティニアヌスは、西欧法体系の礎『ローマ法大全』を完成させた。その多彩な事績を示す、信頼のおける歴史書。
(プリオンビョウトハナニカ)
ピエール=マリ・ジェド 著/桃木暁子 訳
狂牛病騒動で知られるようになった、死の感染症─プリオン病は、ウイルスとも細菌とも違う病原体から発症する。しかも、その病原体は、遺伝物質をもたないにもかかわらず増殖し、高熱・放射線・超音波にも耐え、免疫の防御反応をまったく引き起こさないという! 本書は、伝達(感染)経路の研究や動物実験などから導きだされた推論をもとに、ヒトやネコにまで海綿状脳症を引き起こすプリオン蛋白質の変性のメカニズムを詳しく解説していく。くわえて、BSEがもたらした経済的・政治的影響、教訓、科学と社会のあり方の問題にまで言及している。日本における初の変異型ヤコブ病患者が確認される一方で、米国産牛肉の輸入再開にむけての協議も進められつつある昨今、冷静な判断のための時宜を得た解説書である。
(コダイローマノニチジョウセイカツ)
ピエール・グリマル 著/北野 徹 訳
ワインは海水で割って飲み、食事は臥台に寝そべって摂る。輿にのって散歩したかと思えば、共同浴場では医者のすすめに従って真面目にボール投げもする─饗宴や見世物や風呂を愛したとされる地中海帝国の住民、古代ローマ人は、どのように日常生活を楽しんでいたのか? 本書は、ローマ創建から三世紀初頭までの約千年を四期に分け、各時代の思潮を踏まえながら、彼らが享受した衣食住・冠婚葬祭など生活全般の変遷を語り、貨幣や土地所有をめぐる経済問題についても解説を加えてゆく。トガ、トゥニカ、パエヌラ、パッラ、ストラ……彼らが身につけた衣装についての記述も詳しく、着付け法の実際も本書では紹介されている。親しみやすい、古代ローマ生活史の決定版。図版多数収録。
(イタリア・オペラ)
ジル・ド・ヴァン 著/森 立子 訳
モンテヴェルディからヴェルディ、プッチーニへと受けつがれてゆく、華やかで情熱的な音楽劇─イタリア・オペラは、1600年に誕生した。そもそもはフランス国王の婚儀に際して宮廷オペラが上演されたのが始まりだが、やがてヴェネツィアに最初のオペラ劇場が開場するようになると、商業オペラも隆盛となってゆく。その背景にあったのは、請負人による出し物の定期的な注文や確実な資金調達、オペラに足繁く通い、すぐ心酔もするが、すぐに退屈する聴衆の存在だった。本書は、創作と伝播に関する独特のシステムを紹介するとともに、時代や様式を代表する作品を選んで解説してゆく。音楽的作劇法の移りかわりに力点をおいたイタリア・オペラのファン必携の入門書。
(エヌジーオートジンドウシエンカツドウ)
ギヨーム・ダンドロー 著/西海真樹、中井愛子 訳
国境なき医師団や赤十字に代表される非政府組織─NGOは、紛争地域や災害被災地におけるたのみの綱である。その活動は救急医療や救援物資の提供にとどまらない。最近の例では、スマトラ沖地震の被災地での生活再建支援やカウンセリング、北朝鮮拉致問題における仲介役など、活動は多岐にわたり、団体数も増加している。本書は、国家や国連による介入も含めた人道的行為の歴史をたどりつつ、カンボジア・ソマリア・旧ユーゴスラヴィアなどでの実情をもとに有効な支援とは何かをさぐる。いわばNGO先進国である欧米からは、成功例・失敗例をふくめて学ぶべきことは多い。今後の人道支援活動の展望をひらいてくれる解説書。
(セカイイサン)
ドミニック・オドルリ、ラファエル・スシエ、リュック・ヴィラール 著/水嶋英治 訳
いまやテレビ番組やツアー旅行でおなじみの「世界遺産」。壮大な珊瑚礁グレート・バリアリーフや謎の空中都市マチュピチュなどが、人類共通の宝として遺産登録されている。本書は、自然と文化財という異質なものを共に保護するという概念から解き明かし、保護活動の歴史や登録システム、関連条約について紹介する。登録遺産は七八八件を数えるが、その中のエルサレム旧市街やケルン大聖堂など三五件は、戦争や自然災害、開発計画によって深刻な危機にさらされている危機遺産として登録されている。巻末には「危機遺産リスト」「関連ウェブサイト」を付した。
(バビロン)
ベアトリス・アンドレ=サルヴィニ 著/斎藤かぐみ 訳
「バベルの塔」の神話を生んだ、古代メソポタミアの壮麗な都─バビロンは、多くの作家や芸術家を触発してきた。紀元前18世紀から現在のイラクの首都バグダードの南90キロに位置し、その名は「神の門」を意味する。紀元前七世紀にはネブカドネツァル二世によって「バビロンの栄華」と称される絶頂期をむかえる。本書は、世界の七不思議のひとつといわれる空中庭園などの建築物や都市計画とともに、当時の生活・宗教・宇宙観について解説してゆく。伝説と史実に彩られた聖都の全貌に迫る歴史入門書。図版多数収録。