(マニキョウ)
ミシェル・タルデュー 著/大貫 隆、中野千恵美 訳
イスラム世界に断食月をもたらした、二元論的宗教――3世紀のペルシアで生まれたマニ教は、厳粛な倫理と儀礼により律されていた。開祖マニが唱道した教えを、聖典をもとに解説する。
【編集者よりひとこと】“文明の衝突”が叫ばれる時代において、多くのキリスト教徒にとっていまだ「異端」の代名詞的存在と目されているマニ教を知ることは、大いに意義あることと思われます。本書では、地中海世界からシルクロードの果てまで、マニ教伝播の足跡を告げる古代史料を、博覧強記で鳴るコレージュ・ド・フランス教授が快刀乱麻に整理し、マニ教が包まれてきた謎のヴェールを次々はがしてくれます。ゾロアスター教とキリスト教と仏教が秘教的に融合した世界観を読み解く、価値ある1冊です。
(ハクブツカンガクヘノショウタイ)
リュック・ブノワ 著/水嶋英治 訳
博物館の歴史について具体的に語りながら、博物館学の基礎を、初心者にもわかりやすく紹介! フランスの名誉学芸員による記念碑的名著。
【編集者よりひとこと】さすが、“フランスの名誉学芸員”。博物館の世界を共通概念を用いることで博物館学体系化の礎を築いた人物だけあって、著書は、美術館や博物館の成り立ちと、そこで行なわれる仕事を、面白いエピソードを織りまぜながら、解説してゆきます。巻末には、日本版オリジナルの付録として「欧米の主要な博物館・美術館案内」を付しました。学芸員(を志望する人)には必読の入門書。ミュージアムの楽しみ方を、教えてくれます。
(チュウセイイタリアカイガ)
フランソワーズ・ルロワ 著/池上公平、原 章二 訳
中世イタリア美術史に名を残す巨匠たちの作品を正しく鑑賞するために! 中世のイタリア絵画における技法と図像の進歩について、わかりやすく解説する。キリスト教図像学入門。
【編集者よりひとこと】ジョットを筆頭にして、ドゥッチョやマーゾ、シモーネ・マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟……中世イタリアの美術史については、名だたる巨匠たちがいるにもかかわらず、これまで充分な紹介が行なわれてきませんでした。著者は、フレスコ画や多翼祭壇画などの解説を通じて、キリスト教絵画やイスラム美術が混じり合った(地中海で育まれた)「ルネサンス以前」の、多彩で豊かな“知られざるイタリア美術の世界”へと読者を誘ってくれます。
(ゲイジュツテツガクニュウモン)
ジャン・ラコスト 著/阿部成樹 訳
カント、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガー、メルロ=ポンティ……「美の技術」をめぐる真理の探究者達。彼らの思考の軌跡を辿り、芸術を哲学するためのアイデアを紹介する、美学入門書。
【編集者よりひとこと】芸術哲学史上において重要な論者たちを年代に沿って取り上げ、要所要所には引用をはさみ込みながら、芸術哲学の歩みと基本的な論点を紹介しています。通読して芸術哲学のアウトラインを追うもよし、まずは自らの関心に訴える章に直接取りかかって読むもよし。「芸術を哲学するためのヒント」が詰まっています。
(ニジュッセイキノケンチク)
ジェラール・モニエ 著/森島 勇 訳
ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエから、ポスト・モダン派まで、世界各地の建築家たちが推し進めてきた「デザイン」に見る百年の歴史!
(パリノレキシ)
イヴァン・コンボー 著/小林 茂 訳
世界で最も完璧な町――パリの市民の政治動向は、いかに「町づくり」に反映されていたか? 都市空間の変遷と各時代の表情とを、手際よく展望。あなたの旅行を豊かにするための一冊。
(コドモノエノシンリガクニュウモン)
フィリップ・ワロン 著/加藤義信、井川真由美 訳
子どもの絵を「読む」ために! コンピュータ科学などの研究成果をも踏まえ、多様な具体例をひきつつ、発達心理学の観点からアプローチ。カラー図版収録。
【「日本語版への序」より】「日本の子どもの絵を検討してみることにしましょう。特徴のある線が細部にしばしば描かれています。たとえば、目。実際の目よりもずっと大きく、漫画やアニメの影響を受けています。全体的にデッサンの輪郭は正確で、絵をとても描き慣れていることがわかります。まだ子どもゆえに欠陥はあるものの、まるで大人の絵を再現したかのようです。〔……〕一番大切なのは、何も考えず、ただ、子どもからのメッセージに耳をすますことです。子どもは私たちに、自分が何者かを語りかけているのです」
(フランスブンガクノレキシ)
ルネ・バリバール 著/矢野正俊 訳
『ストラスブールの誓約』から、ラブレーを経て、ベケットやイヨネスコの作品まで……数々の名作が書かれてきた背景を、明快に語る。着眼点が面白い、画期的なフランス文学史入門。
(インディヘニスモ ラテンアメリカセンジュウミンヨウゴウンドウノレキシ)
アンリ・ファーヴル 著/染田秀藤 訳
中南米大陸の歴史を貫くインディヘニスモ。植民地時代の原始信仰が西欧の思潮に“もまれる”さまを概説し、そこから生まれた文学・芸術・政策の紹介を通して、グローバル化時代を展望。
(アルジェリアキンゲンダイシ)
シャルル=ロベール・アージュロン 著/私市正年、中島節子 訳
地中海をはさんで南仏に臨む、北アフリカの広大な共和国――アルジェリアの歴史を、フランスによる植民地支配との関わりから詳細に解説。巻末には「地図・年表・索引」を付した。