(ブラジル)
ピエール・モンベーク 著/山本正三 訳
「毒蛇と熱病とインディオと革命の国」ブラジルは、かつて広大なエル・ドラドであった。だが現代のブラジルをこのようなキャッチフレーズで捉えることはできない。本書は、その自然環境と資源、国土開発、民族構成といった地理学的な側面から、最も可能性に富んだ国ブラジルの姿を浮き彫りにする。
(カールゴセイ)
アンリ・ラペール 著/染田秀藤 訳
神聖ローマ帝国皇帝カール五世の統合した十六世紀ヨーロッパは、あらゆる意味で動揺の激しい時代であった。宗教改革、農民戦争、オスマン・トルコの侵略、新大陸の征服などが相つぐ激動の世界においての皇帝理念と現実との相克、時代と人間とのさまざまな運命を本書はいきいきと描き出している。
(キリストキョウシソウ)
エルヴェ・ルソー 著/中島公子 訳
キリスト教をひとつの核とする西欧の思想を理解するうえで、さらには人類の全史を通じて輝く知性と感性のあらゆる展開を身近に把捉するうえで格好の入門書。叙述は明快であり、顧みられることの少ない中世哲学にも新たな光を投げ、西欧の思想・哲学への門戸を広々と明け放つ。
(ラテンアメリカブンガクシ)
ジャック・ジョゼ 著/高見英一、鼓 直 訳
ボルヘスやガルシア・マルケスをはじめとするラテンアメリカ文学の邦訳が盛んである。その歴史は比較的新しいが、ラテンアメリカ文学はすでに確固たる国際性を勝ち得ている。本書は、ラテンアメリカの作家・詩人たちがたどった精神の軌跡を簡潔に描き出し、現代文学への新たな展望を拓く。
(トルコシ)
ロベール・マントラン 著/小山皓一郎 訳
モンゴル高原から中央アジアを経て、現在の小アジアにいたるまでの広大な地域は、トルコ民族の歴史を跡づける舞台であり、セルジュク朝やオスマン帝国などの栄枯盛衰は興味がつきない。何世紀にもわたって東西ユーラシアを結びつけてきたトルコ民族の軌跡をたどることは、真の世界史を知るうえで欠かせない。
(イタリアオンガクシ)
ナニー・ブリッジマン 著/店村新次 訳
イタリア音楽の特質は、古くから民衆の日常生活に深く根づいているということである。本書は、今日なお残っている数々の譜稿を手がかりに、イタリア音楽の変遷を跡づける一大パノラマである。個々の音楽家の個性がいきいきと描かれ、ペトラッシ、ノーノなどの現代音楽にも鋭く言及している。
(チュウセイヨーロッパノセイカツ)
ジュヌヴィエーヴ・ドークール 著/大島 誠 訳
おもに13~14世紀のフランスを中心とするヨーロッパ中世期の人びとの生活を、衣服、食事、住居といった生活の具体的な側面に光をあてて描き、彼らがその誕生から死にいたるあいだ、物質的な貧しさと宗教的な安らぎのうちにどのような生涯を送ったかを浮き彫りにする。
(フクショクノレキシ キンセイ・キンダイヘン)
ミシェル・ボーリュウ 著/中村祐三 訳
先に刊行した「古代・中世篇」の続篇。ルネッサンス、17世紀、18世紀、19世紀におけるフランスを中心とした服飾の変遷を、農民、ブルジョワジー、軍人、宮廷人、聖職者といった社会階層に即して跡づけながら、それぞれの時代風潮との関わりを明らかにし、文化史の一側面を描き出す。図版多数。
(ヒギデンジュ エゾテリスムノセカイ)
リュック・ブノワ 著/有田忠郎 訳
エゾテリスムとは、ごく限られた人びとにのみ伝授される門外不出の教理の総体をさす。それは仏教、原始キリスト教、ヒンズー教、老荘思想、さらにはユダヤ神秘学、ヘルメス学、錬金術の中に、暗黙の象徴大系として秘められている。本書は、その一般概念と個々の歴史的形態を述べ、未知の世界を探索する。
(ヨーガ)
ポール・マッソン=ウルセル 著/渡辺重朗 訳
苦行を通じての解脱という驚くべき手段を方法とするヨーガは、仏教、ジナ教、そしてバラモン教にも採り入れられ、インド思想の根幹をなすにいたった。本書は、神秘主義や諸宗派との歴史的関係を解明し、ヨーガの本質を説く。巻末には現代の宗教哲学的な見解(ギーターの概要など)が付されている。