(ムシンロン)
アンリ・アルヴォン 著/竹内良知、垣田宏治 訳
本書は「唯物論的無神論」で、デモクリトスからドイツ唯物論にいたる無神論の系譜をたどり、「人間主義的無神論」で、マルクス主義、ニーチェ、実存主義における無神論を省察し、現代の無神論が、閉ざされた世界においてではなく、深められた人間的経験を土台に対話を始める準備を整えていると説く。
(キリストキョウズゾウガク)
マルセル・パコ 著/松本富士男、増田治子 訳
キリスト教図像学は、キリスト教芸術作品の意味内容を探究する学問である。これらの作品は、神学、文学、精神史との関連を考慮してはじめて理解可能であり、本書はその方面の研究書として日本最初のものであり、読者は本書によって、キリスト教と西欧美術への造詣をさらに深めることができよう。
(バレエノレキシ)
マリ=フランソワーズ・クリストゥ 著/佐藤俊子 訳
ルネサンス期のバレエ発生当初から現代のバレエまで、芸術の華、バレエを文化的背景のなかで位置づけ、さらにさまざまな舞踊概念の中心において紹介した格好のバレエ小史。
(シャカイガクノホウホウ)
レイモン・ブードン 著/宮島 喬 訳
複雑な社会的現実に対応し、社会学の方法の多様化と精緻化が要求されている。デュルケム、ヴェーバー、マードックらの理論の検討と整理をふまえ、著者は定量的方法と定性的方法を軸に社会学の方法の論理を追究する。データや事例を豊富に示しつつ、社会学研究の方向づけを探る明晰な方法試論。
(シュウキョウカイカク)
リシャール・ストフエール 著/磯見辰典 訳
十六世紀ヨーロッパの精神界をふるわせた宗教改革の全貌を、単なる教義の解説ではなく、歴史的過程の中にいきいきと描いている。最新の研究成果をふまえながら、諸改革の共通点・相違点を明らかにする著者の筆は、信仰一致に対する現代的要請にこたえて、あますところがない。
(ソクラテスイゼンノテツガク)
ジャン・ブラン 著/鈴木幹也 訳
「ソクラテス以前の哲学者たちは、今日では失われてしまっている正真正銘の哲学的な伝統を形づくっていた」。ギリシア哲学の揺籃期、神の言葉の受託者たる自然学者たちの思索の跡はわれわれの感応をうつ。タレスより原子論者にいたるまでの哲学の流れを浩瀚な文献を駆使して解説する。
(フランスシホウ)
ピエール・ギロー 著/窪田般彌 訳
最新の構造言語学を基盤として書かれた本書は、フランス詩の巧妙な分析研究である。著者は、フランス語の語源を詳細に分析し、ギリシア・ラテン以来の詩の形式を踏まえつつ、ゲルマン語系や英語やラテン語の詩と比較対照しながら、フランス詩の本質を歴史的に解説する。
(アステカブンメイ)
ジャック・スーステル 著/狩野千秋 訳
メキシコの大地に広大なる勢力を誇ったアステカ族。壮麗な文化に彩られたその王国の起源から滅亡(スペイン人コルテスによる遠征)までをたどり、多くの遺跡や遺物を手がかりにしつつアステカ人の生活を伝える本書は、失われたアステカ民族をすぐれて血肉化させている。中米考古学の碩学による名著。
(フランスコテンゲキ)
アントワーヌ・アダン 著/今野一雄 訳
古典劇はフランス文学の輝かしい所産のひとつであり、今日もなお多くの人に読まれ、上演されている。本書は17世紀初頭からルイ14四世の死にいたるまでの時代の演劇生活を社会、政治、思想に密着させて解説し、コルネイユ、ラシーヌの悲劇、モリエールの喜劇の本質を鮮やかに解き明かしている。
(ゾクラテンゴ)
ジョゼフ・ヘルマン 著/新村 猛・国原吉之助 共訳
普通ラテン語と呼ばれるのは、古典ラテン語、つまり古代ローマの知識人の書き言葉であるのに対し、無学の大衆の話し言葉が俗ラテン語と呼ばれ、これが進化してフランス語、スペイン語などいわゆるロマンス諸語となった。本書はその進化の歴史をかなり高度に解説した、現在望みうる最良の入門書。