(インドノテツガク)
ジャン・ブリエ・フレッシネ 著/渡辺重朗 訳
無限に多様な要素を含み、7000年にもおよぶ悠久の流れのうちに展開してきた、世界思想の重要な一環――インド哲学を語る本書は、相異なる種族や民族を含む世界の多様性と、たえず統一しようとする特異性とを社会的観点から眺め渡し、さらにインド哲学史全体をひとつの動的なるものとしてとらえようとする。
(バイシュンノシャカイガク)
J=G・マンシニ 著/寿里 茂 訳
従来、社会科学の視点から売春という問題を扱い、分析した文献は、必ずしも数多いとはいえない。本書は豊富な資料を背景に、世界各国における売春ならびに売春組織の実態を明らかにし、人間社会におけるこの古くてかつ新しい問題の本質を説く。
(ヨーロッパチュウセイノテツガク)
エドワール・ジョノー 著/二宮 敬 訳
ルネサンスの輝かしい知も、中世期の成熟なしには理解できない。デカルトの哲学も、その根を深く中世スコラ哲学におろしている。そうした近代哲学への予備知識としてだけでなく、中世哲学はそれ自体の独創的な面白さをもっている。9世紀から14世紀にいたる思想の流れを編年的に解説した好著。
(ゲンシキリストキョウ)
マルセル・シモン 著/久米 博 訳
イエス伝研究で名高いゴーゲルのいわゆる「新たな信仰対象の創造」をもって生まれたキリスト教が、旧約聖書の遺産を継承しつつ、いかにしてユダヤ教に対し独自の宗教として自立したか、また、普遍主義的精神をもって異教世界に伝道しつつ、どのようにして民族宗教の枠を超えたかを歴史学的に追究する。
(シェイクスピアトエリザベズチョウエンゲキ)
J.アクセルラ、M.ウィレム 共著/小津次郎、武井ナヲエ 訳
シェイクスピアが現われる直前の英国劇の状況、当時の劇場や俳優の様子、悲劇・喜劇などのジャンルの分析をはじめ、マーロー、キッドなどの先駆的作家、チャプマン、ジョンソン、ウェブスターなどシェイクスピアと同時代の作家、そしてシェイクスピアの生涯と作品を検討する。鑑賞と批評に好個の解説書。
(ゲンショウガク)
J=F・リオタール 著/高橋允昭 訳
ハイデガーの『存在と時間』、サルトルの「存在と無」――60年代を代表するこの二つの哲学作品は、ともに現象学から出発し、それぞれ独自の次元に存在論を展開させたものである。本書は現象学の入門書であると同時に、心理学、社会学との関係から歴史の諸問題にまで現象学を展開させ、論述する。
(ハナノレキシ)
L.ギヨー、P.ジバシエ 共著/串田孫一 訳
昔から人間は花と深い関係を持ち続けて来た。揺籠から墓場まで、人間の祭典や喪の、悲喜さまざまの出来事に花は付きものとなっている。本書は喧噪にみちた現在の生活において、人間の心を慰め、楽しませてくれる花、その花の中でもとりわけ美しく珍重されている花の歴史をさまざまな角度から語っている。
(カイゾク)
ユベール・デシャン 著/田辺貞之助 訳
海賊(パイラット)の語源はギリシア語の「試みる」という動詞である。「海上で一攫千金を試みる」意である。国家権力の障壁をふみにじって掠奪をほしいままにする海の男たちの歴史は長い。ヴァイキングから海賊ドレーク、キッド、さらに中国の海賊にいたるまで、世界の海を股にかけた強者の歴史。
(セイカンケイノレキシ)
アンドレ・モラリ=ダニノス 著/篠沢秀夫 訳
政治も戦争も金銭も、秘められたエロスに仕える道具にすぎない――著者はこれまで性がいかに強力に歴史を導いてきたかを説き、人間活動の規範であった神話と宗教のうちに、さらには伝説や民話という劇的な枠組のなかにも、いかに性的なものが反映されているかを明らかにしている。
(エジプトノカミガミ)
フランソワ・ドマ 著/大島清次 訳
ある民族の神々を知ろうとするとき、物的証拠だけでは充分でない。さいわい古代エジプトには碑銘や多くの文字記録が残されている。本書は、これらの文献を通して、次第に膨張していく古代エジプトの汎神論を分類し、地方の神々の性質を可能なかぎり明らかにし、司祭たちの神の認識までも論述する。