(ヒミツケッシャ)
セルジュ・ユタン 著/小関藤一郎 訳
秘密結社といえばフリーメーソン、クラックス・クラン、カルボナリ党、マフィアなどがすぐ思い浮かぶ。本書は、こういった西欧社会における秘密結社の歴史を語った概説書であり、科学の発達した今日の社会に秘密団体はなぜ存在するのかを問い、人間の非合理性の一面に社会学的な考察を加える。
(セカイノノウギョウチリ)
ピエール・ジョルジュ 著/本岡 武、山本 修 訳
農業地理学の基礎理論を規定したうえで、世界の農業を「ヨーロッパ農業」「植民地農業」「伝統農業」「社会主義農業」の四つに分類し、各農業形態の地理的な様相を簡潔に紹介する。農業形態の地域的分化の形成過程を、自然に対する決定論ではなく可能論の立場から理論化する。
(フランスノコトワザ)
ジャック・ピノー 著/田辺貞之助 訳
ことわざとは民衆の英知がその人生経験を表白したものである。永い間につみ重なった生活の経験が機智とまじり合い、短い、それでいて鋭く、意味の深い言葉になる。本書はフランスのことわざを集め、分類し、フランス人のものの考え方、生活の智慧が集約されたことわざの意味を解説する。
(ゲンゴトシコウ)
ポール・ショシャール 著/吉倉範光 訳
言語は思考の基盤をなす。また言語は社会に規定され、思考も社会の枠からはみ出すことはできない。この「言語と思考」の根底をなす事実の総合を試みながら、本書は、言語の起源(動物の言語と小児の言葉の比較)、言語に関する大脳の構造と機構、言語の病態(精神分裂症・失語症)について解説する。
(ジュウキュウセイキフランスブンガク)
V.-L.ソーニエ 著/篠田浩一郎、渋沢孝輔 訳
著者は19世紀を「ロマン的」と名づけ、フランス文学の全体の流れのなかに、この世紀の文学の意味を明らかにする。文学的事実の細部にあくまでも拘泥しつつ、同時に社会的歴史的背景への考察に配慮する。
(ロベスピエール)
マルク・ブゥロワゾオ 著/遅塚忠躬 訳
フランス革命の立役者、最も偉大な指導者、三十歳の若さで反革命の嵐の中に倒れたロベスピエール。フランス大革命が今日、歴史的にどのような意味をもっていたかはすでに広く知られているが、本書は新しい資料によって、その生涯・思想・行動を描いたもの。非常に興味深い革命指導者の伝記である。
(シンピシュギ)
アンリ・セルーヤ 著/深谷 哲 訳
神秘主義は、神秘的な体験が中心的意義をもつ宗教的・哲学的立場であるだけに、迷走と誤解がつねにつきまとう。本書はその形態、恍惚感、精神生理などの一般的性質に加え、ユダヤ教、キリスト教、回教、ヒンズー教など、種々の人間集団における諸傾向を分析しながら実態を明らかにする、格好の書である。
(ブンタイロン コトバノスタイル)
ピエール・ギロー 著/佐藤信夫 訳
「文体」(スタイル)とは一般に文章の書き方のことであり、かつては修辞学の対象であった。だが現在修辞学は「表現の科学」ともいえる文体論に取って代わられている。日常生活から諸学問にいたるまで切実に関わってくる文体の問題を考える本書は、「ことばのスタイルブック」ともいえる書である。
(オンセイガク)
ベルティル・マルンベリ 著/大橋保夫 訳
音声学は言語学の一部門をなすものであるが、本書はこの分野の知識を最新の学問的動向を紹介しつつ、総合的・体系的に解説している。一般音声学、歴史的音声学、規範的音声学にまでふれる広範な内容を要領よくまとめ、英語、フランス語などの豊富な実例を用いた、洞察に富む解説書である。
(セイメイノリズム)
アラン・レンベール、ジャン・ガーター 共著/松岡芳隆、松岡慶子 訳
心臓の搏動、睡眠と覚醒のくり返し、冬眠、植物の開花期など、生命体にはリズムと周期性をもった現象が数多く見られる。近年さまざまな応用分野で注目を浴びているこのきわめて重要かつ不可思議な現象を、細胞生物学から医学、農学に及ぶ広範囲な知見をもとにわかりやすく解説する。