(ジツゾンシュギ)
ポール・フールキエ 著/矢内原伊作、田島節夫 訳
合理主義的な観念論に叛旗を翻すように、二十世紀という危機の時代における人間の自覚の先鋭な表われとして登場し、主体的な自己を認識し、回復させるために起こった実存主義の思潮の流れを、サルトルとメルロ=ポンティの行動を中心にすえ、西欧思想の伝統に深く根ざす苦悩の意味を平易に解き明かす。
(マルクスシュギ)
アンリ・ルフェーヴル 著/竹内良知 訳
弁証法的唯物論を固定したドグマから解放し、自己の実践を支える「生きた方法論」としてマルクス主義をとらえる著者が、その哲学的・思弁的な概説をはるかに超えて現実的な諸問題を綿密に検証し、具体的領域において展開しつつ、真のマルクス主義の方法論を高度な理論的水準にまで高めた、格好の書。
(エイブンガクシ)
ルネ・ラルー 著/吉田健一 訳
「黎明期からルネサンスまで、エリザベス時代、古典文学者と清教徒、18世紀の葛藤、浪漫主義、ヴィクトリア時代、現代」の七章に本文を分け、英文学の発展の歴史と特質とをきわめて要領よく概観している。また、各時代の文学傾向を鋭く捉え、主要な文学者と作品を簡明に批評し、英文学全体を鳥瞰する。
(シ)
ポール・ショシャール 著/江上不二夫、三浦義彰 訳
生を理解するには死を知らねばならないが、死を科学的に扱った著書はきわめて少ない。本書は第一部で、生体の構成と機能面から死を生理学的に解き、第二部で、高等生物に起こる死の諸段階、事故死、自然死を考察、ついで生命に対する哲学的概念について概観する。死についての多面的で実証的な啓蒙書。
(ルネサンス)
ポール・フォール 著/赤井 彰 訳
ルネサンス期に開花したさまざまな文化を環境と時代のなかに据え、その経済上・精神上・技術上の事実に明晰な解明を与えた入門書。まず、この時期の経済的、社会的なものを分析し、さらに技術の進歩を究明し、その上で、1500年を境にそれ以前と以後の美術の特徴について語り、この時代の姿を描き上げる。
(オンガクノケイシキ)
アンドレ・オデール 著/吉田秀和 訳
一部の前衛音楽を除けば、あらゆる楽曲の根底には音楽の基本的なフォルム、すなわち「形式」が巧みに配置されている。本書は、中世以来もっとも多用されてきた形式を選びだし、具体例を示しながらその歴史的変遷をたどることで、従来あいまいだった個々の概念規定を明確に浮かび上がらせている。
(ナポレオン)
アンリ・カルヴェ 著/井上幸治 訳
フランス革命史の実証的な研究で知られる著者が、これまでの成果をもとに、独自の文献調査を加えて著した興味深いナポレオン伝。本書は、ドイツ軍占領下に執筆され、ナポレオンの支配の成立と没落の過程を検討することで、歴史的にナチス占領に対する解放の希望を確かめたものとして、高い評価を得ている。
(オンガクノレキシ)
ベルナール・シャンピニュール 著/吉田秀和 訳
音楽はひとつの芸術として独自の普遍性を有するとともに、それを創りだした歴史的環境によって濃くいろどられている。本書は、中世・ルネサンス期を経て近代ヨーロッパ音楽が形づくられる過程を、各時代の芸術・文学・宗教・政治・趣味などと関連づけながら論述する。
(セカイテツガクシ)
ピエール・デュカセ 著/串田孫一・渡辺 秀 共訳
「哲学の起源」「ギリシャ哲学」「中世のルネサンス」「近代哲学」「現代の思想」の五章からなる。多くの哲学の流れを歴史に対する正しい関心と知識とによってこの小冊子の中にきわめて多くの思想を、公平に、明晰に扱った、一般人のための好個の哲学入門書であると言えよう。
(ビセイブツ)
アンドレ・ボワヴァン 著/江上不二夫、板橋美智子 訳
微生物のからだはあらゆる生物のなかで最も小さいが、それはこの自然界で最も大きな役割を演じている。この微生物の興味深い形態と生理を「細菌とは何か、その生態」「非病源性細菌の重要性」「病源性細菌に対する防禦法」「ウイルスと生命の最も単純な形態」などのテーマで平易に概説する。