収録項目数50万、用例総数100万例に及ぶ「第二版」編集作業には、「初版」同様、多くの識者のご協力と時間を要しました。最新のデータ処理技術を駆使した改訂作業など、その編集過程を詳細に記録した「第二版・あとがき」を全文掲載します。

第二版 あとがき

「日本国語大辞典 第二版」は、この第十三巻をもって完結の運びとなった。平成十二年(二〇〇〇)の十一月末に第一巻を発刊し、第二巻からは毎月一巻ずつの刊行という強行軍ではあったが、当初の予定通りに無事出版できた喜びを、刊行中も変わらぬ御支援をいただいた読者の皆様と、関係者ともども分かち合いたい。

第一巻の凡例でも触れたように、第二版では見出し語が初版の四十五万から五十万項目に、用例が七十五万から百万例に増補され、総文字数九千万字強にのぼる情報量は初版の約一・四倍に達した。量的に増えたばかりではなく、初版以来の記述、用例についても全面的に見直した。特に、本辞典の生命とも言うべき用例については、一例一例原典に戻って再検討する労を今回も厭わなかった。確実な用例に基づいてこその意味記述であり、ことばの由来・歴史の証明であると考えたからである。

最善を尽くしたとはいえ、今、すべての作業を終えてかえりみるときに、もう少し資料を補いたかった部分、語義説明を工夫したかった部分などが目に留まらないわけではない。また、コンピュータの普及とともに見直されている漢字の扱いについては、常用漢字と表外漢字、正字と異体字の関係等まだまだ研究と整理が必要であるが、次の改訂作業の課題として引き継いでいかなければならないと考える。

ともあれ、二十世紀までの日本語の歴史を総合するとともに、現代語をも積極的に取り入れて、ここに全十三巻という形で世に送り出すことになった。次の改訂まで、日本語の実用に役立つだけではなく、日本語そのものを論ずる際の土台ができたとも言えるかと思う。
初版が完結した後、既に四半世紀が経ったが、第二版の編集作業に際しても、初版と同様、多くの時間を要し、多数の識者の御協力を仰がなければならなかった。以下、第二版が完成するまでの作業の経過とその内容を御報告する。


1 改訂の前史

(1)普及版(縮刷版)の刊行と一冊本「小学館国語大辞典」「故事俗信ことわざ大辞典」

日本大辞典刊行会は、初版二十巻本完結後、昭和五十一年(一九七六)秋に解散し、編集部を尚学図書(当時、東京都文京区後楽)に移して編集の事後処理や増刷管理にあたった。初版は、日本初の本格的な大型国語辞典として大きな反響を呼び、各方面から普及版を望む声が高まった。そこで、昭和五十四年(一九七九)から五十六年にかけて、二十巻本の内容をそのまま複写縮小して判型をA4変型からB5変型へとコンパクトサイズに変え、十巻よりなる「日本国語大辞典〔縮刷版〕」を刊行し、より多くの読者に迎え入れられた。

その後、初版をもとにさまざまな辞典が企画され、編集されることになる。まず、普及版完結と前後して、全一冊の簡約版「小学館国語大辞典」(二十五万項目、一九八一年)が刊行されたが、単に簡略にするだけではなく、語釈と用例の見直しが行なわれ、語彙も補われている。「故事俗信ことわざ大辞典」(四万六千項目、一九八二年)は、初版の項目を基礎に、新たな資料から、ことわざ、故事・俗信、ことば遊びなどを大幅に増補し、類書にない規模の辞典となった。しかも、凸版印刷の協力により、当時としては最先端のコンピュータ技術を用いて、総語彙索引の作製から組版までを行なった。

(2)辞典のデータベース化と「言泉」「現代国語例解辞典」等の派生企画

「小学館国語大辞典」は、活字組版によったが、刊行後ただちにコンピュータに入力し、のちの派生企画のデータベースとして利用することになった。まず各項目を百科分類し、それぞれ符号を付して分野別の専門検討を容易にした。これをもとに十五万語の「言泉」(一九八六年)、七万語の「現代国語例解辞典」(一九八五年)、親字約九千六百・熟語約五万の「現代漢語例解辞典」(一九九二年)等、中小の国語辞典・漢語辞典が編集された。この段階では、パソコンを利用するまでには至らなかったが、図書印刷文字情報システムと数理計画の汎用機による処理にたいへんお世話になった。これらの諸企画は、「国語大辞典」の単なる派生にとどまらず、そのつど、新たな資料と語彙の採集、用例と語釈の見直しを行なうことによって、その成果を母体の「日本国語大辞典」にも還元するという目論見のもとになされた。

(3)「日本方言大辞典」の刊行

一方、初版以来の懸案でもあった、故大岩正仲先生の遺志をついだ約二十万語の「日本方言大辞典」(全三巻、一九八九年)が、徳川宗賢先生の御指導のもと、長期にわたるカード・原稿の整理を経て完成した。これには凸版印刷のコンピュータによる作業が大いに役に立ち、索引類の作製にも威力を発揮したが、この成果が、第二版の特色の一つである方言語彙の大幅増補に貢献することになった。

(4)第二版を想定しての種々の企画

第二版につながる企画として考えられ始めたのが、「日本名言名句の辞典」(一九八八年)「中国名言名句の辞典」(一九八九年)「日本秀歌秀句の辞典」(一九九五年)、「使い方の分かる類語例解辞典」(一九九四年)「例文仏教語大辞典」(一九九七年)等の特殊辞典類、「色の手帖」(一九八六年)「文様の手帖」(一九八七年)等の手帖シリーズ、「四字熟語の読本」(一九八八年)「ことわざの読本」(一九八九年)等の読本シリーズで、第二版の用例採取は実質これらの企画から始まっていると言える。また、新語の分野では、特に氾濫するカタカナ語について新聞・雑誌を中心とした日常的な用例採取が始まり、実例を豊富に掲載した「例文で読むカタカナ語の辞典」(一九九〇年)を刊行することにもなった。ここに収められたカタカナ語は、第二版の新語としても多数収録されることになった。

(5)初版の電子データ化

図書印刷のOCR(光学的文字読み取り装置)で、初版の清刷りを読み込むという作業は、実験的意味合いもあったが、昭和六十二年(一九八七)から約一年半を要して正読率九九・八%という結果を得、初版の内容を電子データとして利用できる環境が整いつつあった。
文字情報を電子的に扱うことによって、これまで人海戦術に頼らざるを得なかった原稿やカードの並べ替え、見出し語ごとに用例カード等を台紙へ貼り込んでいた資料の統合、そして、原稿調整に際しての関連項目相互の参照チェックや用例の検索などが飛躍的に速くかつ正確になることが見込まれた。


2 改訂の準備および方針の決定

(1)第二版編集委員会の発足

第二版の編集委員は次の先生方にお願いした。

<第二版編集委員>
北原保雄・久保田淳・谷脇理史・徳川宗賢・林大・前田富祺・松井栄一・渡辺実

第二版の編集委員会が発足したのは平成二年(一九九〇)である。それに先立ち、初版の編集委員の方々にも御相談し、初版をどのように改訂していくかの検討を重ね、準備委員会を設けて、資料の再検討などを進めていた。

第二版では、初版に引き続き、林大、松井栄一両先生に委員をお願いし、全体的な作業の進め方から実際の細かい作業まで指導していただいた。さらに、北原保雄、久保田淳、谷脇理史、徳川宗賢、渡辺実の各先生に新たに編集委員をお願いし、平成四年からは前田富祺先生にも加わっていただいた。

(2)第二版の編集方針

編集委員会発足後、委員の先生方には毎月のようにお集まりいただき、何を中心に改訂していくべきか、新たな要素をどのように取り込むべきか、どれくらいの規模の改訂にすべきかなどについて検討していただいた。その結果、何よりも、初版では語釈しか示せなかった項目への用例の補充、初版よりも遡る用例の調査、初版では比較的手薄だった分野や時代の資料の追加など、用例の大幅な増補を第一の柱にすることが決められた。

また、ことばの歴史的変遷を知る手がかりとするために、出典に成立年または刊行年を示すことになった。成立年・刊行年は作品によって決めにくい種々の問題があり、その表示については慎重を要するとの声も強かったが、問題のある年代には幅を持たせるなどの工夫をして、時代的に大きな流れをつかめたほうがよいとの結論に達した。

用例がことばの時間軸にそった歴史を明らかにするのに対し、ことばの空間軸ともいうべき方言については、「日本方言大辞典」の成果を大幅に取り入れることになった。特に、類似した語形で同じ意味のものを代表見出しに集めることによって、ことばの地理的分布が一覧できるように工夫することが確認された。

語源に関する諸説については、初版の「語源説」を整理し、学問的に否定されている説は削除するなど全面改訂したほうがよいとの議論もなされた。しかし、誤りであったとしても過去にそのような説が唱えられたという事実は否定しようもなく、先人達がそれぞれのことばについて、これまでどのように考えてきたのかを出典とともに示し、諸説併存させて一覧に供するという初版の方針を引き継ぐことになった。

それとは別に、新たな知見、研究成果をもとにして、「語史」欄を設けることにしてはどうかという議論になった。しかし、個々のことばの歴史ということであれば、本辞典は古来の用例を時代順に収めており、既に語史の役割も果たしていると言える。そこで、ことばの由来、位相、用法や意味の変遷を記述するだけではなく、もう少し間口を広げて、事物起源的なものから社会的・文化的な背景に至るまでを視野に入れて解説する「語誌」欄を新設することが決められた。

初版の「古辞書」欄については、「日葡辞書」「和英語林集成(再版)」「言海」の三点を加え、平安時代から近代に至る代表的な辞書類にその見出し語があるかどうかが一目でわかるようにし、いわば、ことばの定点観測を可能にすることを目指して、コラムの名前も「辞書」欄に変更することになった。さらに、この欄を拡充して、実際にそれぞれの辞書でどのような漢字が使われているかをも示そうということになり、「表記」欄を設けることにした。ほかに、現代において、複数の漢字が使い分けられることの多い基本的な和語については、その漢字の字義と古辞書にみられる古訓を示す「同訓異字」の欄を新たに設けることになった。

発音やアクセントについては、特にアクセント史と音史を全面的に見直すことになった。また、「上代特殊仮名遣い」欄を新設し、その甲乙の区別がわかるように工夫することも決められた。

語釈については、用例を見直し、あるいは適宜補充しながら検討するが、基本語約一千については部会を設け、重点的に再検討することになった。

(3)用例採集と時代別・分野別部会

編集委員会が軌道に乗り出すと同時に、時代別・分野別にそれぞれの専門家による部会が設けられた。部会では主に、新たな用例採集のための資料選定と、実際の採集作業をしていただき、さらに、採集した用例の選択、その用例に基づく語釈の改訂、また、新用例を典拠とする新規の項目執筆が行なわれた。時代別に、中世部会、近世部会、近現代部会、分野別に、基礎語部会、漢語部会、記録部会、宗教部会、語誌部会を設けた。次に、各部会の作業内容と、作業に力を注いでくださった先生方のお名前を記しておきたい。

<中世部会>
まとめ役として北原保雄先生が担当された。中世の狂言はもとより抄物・キリシタン文献等の口語資料を中心に見直した。

稲垣泰一・犬井善壽・岩崎雅彦・大倉浩・川嶋秀之・小島幸枝・小林賢次・小林千草・坂詰力治・信太知子・坪井美樹・林義雄・吉見孝夫

<近世部会>
まとめ役として谷脇理史先生が担当された。ジャンルによって五つの分科会を設け、それぞれ用例採集・内容改訂・新項目執筆などを行なった。特に部会全体の方針として、初版の際にはテキストの整備が不十分だったジャンル・作品には力を入れた。分科会の内訳は以下の通り。

(1)近世前期の散文全般(仮名草子・評判記・思想関係その他。担当、谷脇理史先生)、(2)演劇(特に説経節・古浄瑠璃・役者評判記など。担当、井口洋先生)、(3)俳諧(担当、田中善信先生)、(4)近世漢語(白話語彙・漢詩文・読本など。担当、徳田武先生)、(5)後期戯作(草双紙・咄本・洒落本・談義本など。担当、棚橋正博先生)

井口洋・池澤一郎・市古夏生・有働裕・大沢学・金田房子・川元ひとみ・倉員正江・倉本昭・後藤多津子・佐々木亨・佐藤勝明・白数了子・竹下義人・田中善信・棚橋正博・玉城司・徳田武・中村勝則・播本真一・肥留川嘉子・広嶋進・福島理子・福田安典・藤沢峰夫・古井戸秀夫・村田裕司・森耕一

<近現代部会>
まとめ役として松井栄一先生が担当された。初版完結後も営々と採集を続けられた松井先生のカードが中心ではあるが、文学以外の、新聞・雑誌・教科書・随筆や啓蒙的な論文、ベストセラーの類などを重点的に補った。ほかに、明治初期の漢語辞書、専門用語辞書、大正から昭和初期のモダン語辞典類、戦後の文学などからも用例が採集された。

荒尾禎秀・池上秋彦・京極興一・湯浅茂雄・米川明彦

<基礎語部会>
まとめ役として渡辺実先生が担当された。特に全面的に見直す基礎語約一千を決め、それについて語釈・用例を含めて再検討し、必要に応じて用法などの解説を補った。

安部清哉・小野正弘・加藤信明・金水敏・近藤泰弘・清水康行

<漢語部会>
まとめ役として久保田淳先生が担当された。「本朝無題詩」「詩序集」など平安時代の漢詩文、願文や往来物から五山文学まで、日本漢文に特有の語彙を中心に用例を採集した。

池田尚隆・佐藤道生・日原傳・堀川貴司・本間洋一

<記録部会>
まとめ役として久保田淳先生が担当された。「鎌倉遺文」や「多聞院日記」「蔭凉軒日録」「大乗院寺社雑事記」「空華日用工夫略集」など、中世の古文書・古記録を中心に用例を採集した。

今泉淑夫・笠松宏至・勝俣鎮夫・永村真・古澤直人・本郷和人・本郷恵子・安田次郎

<宗教部会>
まとめ役として林大先生が担当された。日本の仏教書を中心に、寺社縁起や絵巻、さらには神道やキリスト教の資料にも目を配り、用例を採集した。

秋山淑子・天艸一典・石上和敬・石田瑞麿・岩城英規・川上裕司・木村清孝・佐藤真人・島薗進・末木文美士・鈴木範久・鈴木美紗子・曽根原理・高堂晃寿・長野美香・西本照真・松本美保子・蓑輪顕量

<語誌部会>
まとめ役として前田富祺先生が担当された。常設部会を設け、語誌関連論文等の資料収集から立項・原稿調整までを行なった。

(準備委員会)北原保雄・迫野虔徳・野村雅昭・松井栄一・松岡洸司・村上雅孝

(常設部会)乾善彦・岡島昭浩・佐藤貴裕・沈国威・坪井美樹・中川正美・山根木忠勝・山本真吾・米川明彦

(作業班)内田宗一・岡村真理子・小椋秀樹・郡千寿子・笹部早津子・高瀬美和・杲由美・増田有美・箕浦尚美・山上和世・米田達郎・米谷隆史

ほかに、部会を設けることはしなかったものの、方言については、徳川宗賢先生に全般についてまとめていただき、佐藤亮一先生に御指導をお願いし、塚本哲司氏に御協力いただいた。また、民俗語についても、徳川宗賢先生にまとめていただき、岩井宏實・小林亥一・早崎捷治・松崎かおりの各先生に語彙と用例の採集をお願いした。助詞・助動詞については、石神照雄・工藤浩・桑山俊彦・小松光三・重見一行・鈴木泰・古田啓・山口堯二の各先生に再検討と調整をお願いした。

編集委員の先生方には実際の部会をまとめていただいたほかに、語誌と再校ゲラの素読み・校閲をお願いした。かえすがえすも残念でならないのは、御担当分をすべて御覧になった直後に、徳川宗賢先生が他界されたことである。広い視野からの的確な御指導をいただいたばかりでなく、いつも温かく励ましてくださった先生を失ったことは、大きな衝撃であり、深い悲しみであった。ここに謹んで先生の御霊に完成の御報告を申し上げ、改めて御冥福をお祈りする次第である。


3 改訂作業の実際

(1)用例の入力と初版データとのマッチング処理(一九九〇~九二)

部会では、二通りの方法で用例を採集し、それぞれコンピュータに入力した。一つは、さまざまな文献から拾った用例をその書名とともに逐一カードに転記し、一枚一枚見出しを付けて底本・該当ページなども記すという従来の方法で、これはカード単位で入力した。もう一つは、集中的に採集する原典を定めてそれをコピーし、必要な語彙にマークを付けて前後の文脈に区切りを入れるだけというもので、これを原典ごとに入力した。後者はコンピュータ利用を想定した新しい方法であり、用例採集の効率化に一役買ったと言える。

新用例をすべて入力したあと、初版の見出し語と機械的に突き合わせて(マッチング処理)、さらに編集部が点検して項目の確定作業を行なった。既に見出し語にあるものはそのまま新用例の候補データとし(マッチリスト)、見出し語にないものは新項目の候補データとした(アンマッチリスト)。なお、入力作業は図書印刷に、機械処理は数理計画にお願いした。

マッチリストは、各部会に戻し、各用例について第一次の採用・不採用を決め、また、採用した用例に基づいて解説の改訂を行なった。同様にアンマッチリストについても、各部会で新項目の立項作業と原稿の執筆を行なった。ただし、現代語のアンマッチリストについては、新項目として立てるべきかどうかを松井栄一先生に検討していただき、次の方々に執筆をお願いした。また、百科語についてはそれぞれ専門の先生方にお願いした(「言泉」「例文で読むカタカナ語の辞典」の執筆者も含む)。

<新項目執筆>
青木貞茂・東昌宏・天野誠・荒木健次・飯田純・池田博・石井恒男・石井みち江・伊藤高広・今島実・梅田博之・楳林郁夫・大浦宣徳・大島勉・大滝緑・大地陸男・大谷郁子・大屋幸世・大和田守・岡田隆夫・小川益雄・小原巌・五十殿利治・柿沢寛・笠井陽子・加藤一郎・金子弘・川島優子・河野友美・小林庸浩・坂本恭章・佐藤明宏・柴崎成忠・城一夫・白石幸紀・鈴木清・須永剛司・清木毅・千石英世・曽根脩・高島鎮雄・鷹司信兼・高橋信隆・滝口悦郎・武内誠・棚橋裕己・谷口優樹・千葉潤之介・千葉優子・塚本哲司・土田滋・手島良・出原真澄・寺門臨太郎・富田正明・長尾智晴・中村聡・中谷吉孝・中山陽子・奈良毅・西谷裕子・西村容子・根本順吉・野沢裕・芳賀純・羽島聡・馬場晶子・林和一郎・林徹・日野舜也・福田泰二・藤田明雄・藤原真理・本荘康生・松浦啓一・松田安正・松村一登・松村尚志・三富明・峰岸真琴・宮岡伯人・森山朋絵・諸山正則・藪司郎・山崎泰規・湯川恭敏・吉行瑞子・李宇1

(2)初校ゲラでの作業(一九九二~九八)

(1)の結果得られたマッチリストのほかに、百科語の専門検討リスト、「言泉」、方言などについてもマッチング処理を行なって、それらの情報を、初版データの見出し語ごとに一覧できる形(二段組にして、上段を初版データにあて、下段を新データにあてた形)にして初校ゲラは出力された。これをもとに初校調整者が比較検討して第二版の原稿に仕上げていった。

<原稿調整>
秋本克子・阿久澤忠・池上秋彦・伊坂淳一・石井正彦・大島勉・大野晴男・大橋敦夫・岡崎正雄・奥野千弓・片田万津野・加藤和夫・神達輝子・木越治・小林祥次郎・小林澄子・小林隆・近藤明・近藤仁美・篠崎晃一・杉下元明・塚本哲司・津田潔・中村朱美・能松みゆき・半沢幹一・藤原浩史・松木正恵・松嶋幹夫・松村尚志・松本旬子・山根敬生・吉沢靖

なお、この間に会社の組織変更があり、一九九五年からは編集室を神保町の小学館ビルに移して作業が続けられた。

(3)再校ゲラでの作業(一九九五~九九)

(2)の作業をふまえ、語誌、古辞書の表記、同訓異字、上代特殊仮名遣い、発音注記等を新たに加えた形にして、再校調整者がさらに検討を加え、それを編集委員八名が分担して素読みと校閲を行なった。ほかに、安田尚道・林史典両先生にも御助力を仰いだ。

語誌については、前期常設部会の先生方に加えて、次の先生方に資料の準備や立項作業をお願いした。

釘貫亨・神戸和昭・高田祐彦・那須雅之・蜂谷清人・矢島正浩・湯浅茂雄

<語誌執筆>
藍美喜子・青木毅・青木博史・赤羽根義章・秋本鈴史・浅野敏彦・浅見徹・芦田耕一・麻生和子・足立雅代・安部清哉・阿部真弓・安部元雄・荒暁子・新井小枝子・荒尾禎秀・荒川清秀・荒木浩・李漢燮・飯間浩明・生田勝彦・池田証寿・池田幸恵・伊坂淳一・石井正彦・石坂妙子・石綿敏雄・泉紀子・泉基博・糸井通浩・伊藤さやか・伊東祐子・乾善彦・犬飼隆・伊原信一・今石元久・今西浩子・今西祐一郎・岩崎佳枝・岩松博史・岩村恵美子・上原作和・臼田昭吾・内山弘・空井伸一・宇都宮啓吾・梅崎光・梅谷繁樹・梅野きみ子・漆崎正人・漆谷広樹・江口泰生・江戸英雄・榎木久薫・遠藤邦基・遠藤仁・遠藤好英・王敏東・大木一夫・大久保順子・大鹿薫久・大谷伊都子・岡島昭浩・岡部由文・荻野千砂子・奥野陽子・奥村佳代子・小倉肇・小椋秀樹・生越直樹・小野望・小野正弘

鍵本有理・柏原卓・片岡了・加藤二郎・金坂清則・金沢裕之・金子弘・加納重文・鎌田真俊・紙宏行・神尾暢子・紙谷栄治・亀田裕見・蒲生芳郎・辛島美絵・川岸敬子・河島香織・菅野洋一・菊田紀郎・菊地悟・来田隆・北原博雄・木下哲生・木部暢子・木村雅則・木村義之・京健治・金水敏・釘貫亨・久保田孝夫・倉田邦雄・黒木祥子・黒星淑子・小池麻美・小石川正文・神戸和昭・郡千寿子・小島幸枝・小助川貞次・小谷博泰・後藤昭雄・後藤英次・小西茂章・小林賢次・小林祥次郎・小林賢章・小林隆・小林千草・小林雅宏・小針浩樹・小矢野哲夫・是澤範三・近藤明・近藤尚子・近藤泰弘・今野真二

斎藤文俊・斉藤倫明・佐伯哲夫・佐伯雅子・坂上康俊・坂詰力治・坂梨隆三・坂本清恵・坂本浩一・崎村弘文・佐倉由泰・笹川博司・佐々木浩・笹原宏之・佐島隆・佐藤晃・佐藤和之・佐藤貴裕・佐藤武義・佐藤亨・佐藤智広・佐藤宣男・佐藤稔・佐藤亮一・塩澤和子・信太知子・志立正知・篠木れい子・柴田昭二・柴田雅生・渋谷勝己・島田泰子・清水婦久子・志村文隆・下河部行輝・下野雅昭・朱京偉・沈国威・新間一美・23勝・須崎英彦・鈴木泰・鈴木丹士郎・鈴木宏子・鈴木恵・薛鳴・瀬間正之・芹澤剛・添田建治郎

高瀬正一・高田祐彦・高野繁男・高橋巌・高橋敬一・高橋亨・高橋久子・高原香苗・高山倫明・高山善行・滝川幸司・宅間弘太郎・竹浪聰・田島優・舘谷笑子・田中貴子・田中牧郎・田中雅和・田中幹子・田中ゆかり・谷口孝介・玉村禎郎・丹保健一・陳力衛・辻憲男・辻田昌三・都染直也・土屋信一・堤和博・坪井美樹・鶴橋俊宏・鄭苹・寺田智美・土居裕美子・東郷吉男・土岐留美江・友定賢治

中川正美・中嶌容子・中島和歌子・永瀬治郎・永田信也・永田高志・中村一夫・中村邦夫・中村康夫・那須雅之・南里一郎・新稲法子・新野直哉・二階堂整・西崎亨・西田隆政・西村浩子・西本香子・西山美智江・沼本克明・野林靖彦・野村倫子

橋本博幸・橋本行洋・蜂谷清人・林久美子・原卓志・原岡文子・原口裕・原田貞義・播磨桂子・東辻保和・彦坂佳宣・飛田良文・日高貢一郎・日野資純・平澤啓・平林一利・廣岡義隆・広瀬唯二・樋渡登・深沢眞二・深沢昌夫・福井淳子・福島秀晃・福島理子・福田嘉一郎・福田安典・藤井俊博・藤田あゆみ・藤田真一・藤田保幸・藤原暹・藤原浩史・古田恵美子・古田雅憲・不破浩子・北条常久・細川英雄・堀畑正臣

前田桂子・正木ゆみ・増井典夫・松浦照子・松原秀江・松本宙・松本光隆・三浦邦夫・三上悠紀夫・三木雅博・三井はるみ・三保忠夫・宮川久美・宮治弘明・宮田裕行・宗雪修三・村田菜穂子・室井努・毛利正守・望月郁子・森野崇・森野宗明・森山卓郎・森山由紀子・森脇茂秀

矢毛達之・矢島正浩・安田尚道・矢田勉・矢野準・山内啓介・山口堯二・山崎淳・山下和弘・山田健三・山根木忠勝・山本いずみ・山本真吾・山本一・山本秀人・兪鳴蒙・湯浅茂雄・柚木靖史・横田隆志・吉井健・吉海直人・吉田健二・吉田則夫・吉田比呂子・吉田光浩・吉野政治・吉見孝夫・余田弘実・米川明彦・米谷隆史・欒竹民・劉凡夫・鷲原知良・渡邊志津子・藁科勝之

古辞書の表記、同訓異字については、林史典・湯沢質幸両先生にまとめていただいた。特に表記については、索引から逐一原典にもどり、その字形を確定するのにかなりの努力を要した。また、異体字フォントの作成にあたっては、図書印刷の方々に多大な苦労をおかけした。

<辞書・表記>
安部朋世・太田史乃・鰍沢千鶴・佐藤智広・佐野摩美・蒋垂東・高橋由美子・永田里美・奈部淑子・又平恵美子・宮武利江

上代特殊仮名遣い、発音・アクセントについては、徳川宗賢先生にまとめていただいた。

上代特殊仮名遣いについては、佐佐木隆先生に全作業をお願いした。

発音・アクセント関連では、新項目の標準アクセント・標準語音については竹内三郎先生にお願いし、秋永一枝先生にまとめていただいた。京都アクセントについては中井幸比古先生にお願いした。また、なまりは滝浦真人・大野仁美の両先生にお願いし、上野善道先生にまとめていただいた。

音史は、秋永一枝先生に再検討していただいた。

アクセント史は、アクセント史資料研究会(秋永一枝・上野和昭・坂本清恵・佐藤栄作・鈴木豊の各先生)に全面的に見直していただいた。さらに次の先生方に御協力をお願いした。

<発音・アクセント等>
白沢宏枝・白勢彩子・長沼和子・三原裕子

なお、初校・再校の過程では、初版データおよび新たに採集した用例のデータベースを社内のワークステーションに構築した。当初は電話線を介して、のちには社内のイントラネットを介して、オンラインで参照・利用できるようにし、表記・記述の統一、関連項目の調整、見出し語以外の用例の検索に大いに役立てた。

<初校・再校でのデータベース構築・管理>
大藤謙二・萩原郁夫

(4)三校、四校、五校での作業(一九九六~二〇〇一)

三校以降は、修正済みのデータをSGML化(汎用標準マーク付け)する作業に着手し、あわせてデータベースを一新し、編集部全員がイントラネットを介してデータベースにアクセスできる環境を整えた。これによって三校の作業は、再校調整の結果をブラウザで確認し再検討して、内容を大筋で固めながら分量を調整するという形で進められた。

<三校以降のデータベース設計・構築>
中村隆宏・木下紀美子

四校では、三校データに漢字テーブル処理、用例の年代処理、項目の五十音順並べ替え等の機械処理を施したうえで、四段に組んだ本組みを出力した。それをもとに、データベースなどを適宜参照しながら最後の項目調整を行ない、ページアップ作業に入って五校校了へと工程を進めた。

各工程においてはそのつど校正を加えたが、辞典の校正は、単なる赤字照合だけでは済まされない。素読みによる言葉づかいおよび事実関係のチェックや、配列、文法、表記、形式の統一等いわゆる校正以外の作業が重なる。それを克服して粘り強く協力してくださった校正の方々は次の通り。

<校正>
浅田秀子・伊藤邦光・今井かよ子・ウォンバットプレス・エッグ舎・大成敦子・奥野千弓・片山洋子・神達輝子・河本恭子・斎藤百合子・佐藤久仁子・佐藤修子・鈴木禎之・高橋和子・滝口和子・田中幸子・中西幹根・中村裕・日正社・蓮本美香・林みどり・星出美幸・牧野晶・松村あずさ・三堀和枝・恵比呂美・森田妙子・柳川恭子・山崎千恵子・山根敬生・山本倭子

さらに、採用された用例をもう一度決められたテキストに戻って校合し、語義・用法に則しているかどうか、語形が適切かどうか、ジャンルや書名・作者名などの表示方法に誤りはないかなどを判断する作業が、出典検討である。第二版で新たに採用した用例に加えて、初版からの用例の底本変更に伴う見直しなどが重なり、いちばん時間と労力を要した。また、今回は新たに各作品の成立年または刊行年を決定する作業も加わり、思いのほか日時を要した。この部分は、編集作業が今後どんなに電子化し効率的になっても、省くことのできない、辞典の質を決める重要な作業であることに変わりはない。基本的には、社内にある底本で検討するため、編集部内で作業していただいたが、編集部にない資料については、国会図書館や大学図書館などで調べたり、専門家にお願いしたりしなければならない場合もあった。そのため、必ずしも本体の調整作業と平行して行なうことができたわけではない。出典検討の実作業は、初版に引き続いて前沢豊子先生に指導していただいた。

出典検討は当初、初校で行なわれ、途中から再校に移行し、再校の作業とともに一通り終えたが、それでも間に合わなかったものが多々あり、結局校了間際まで行なわれることになった。

<出典検討>
秋山喜代子・石川真奈見・石崎建治・石田暁子・石山順子・伊藤尚枝・伊藤秀明・伊藤善隆・猪熊範子・岩山泰三・内木明子・大井田晴彦・太田史乃・大村明子・岡本亮・小川民・奥田俊博・奥村彰悟・奥山陽子・小山内墾・折橋学・柿本美知・加藤聡子・川岸絢子・神田龍之介・菊池庸介・鬼頭七美・木村義之・工藤健一・國澤美代子・小井土守敏・児島さくよ・児玉恵・小林真紀子・斎藤歩・斎藤直子・酒入陽子・坂元昌樹・佐藤敦子・佐藤浩一・佐藤美帆・佐藤もな・佐藤至子・島谷純子・清水美和・菅井かをる・鈴木芳明・須藤真紀・田中愛・谷村晃司・寺内祐子・寺島徹・寺田智美・中島穂高・中田敦子・長野伸江・中山陽子・西山輝・仁藤智子・原美和子・原陽子・藤田尚子・藤巻和宏・藤原たまき・二又淳・星野智子・前沢豊子・牧野昭仁・松下兎雪・宮谷聡美・村山のぞみ・森田朋子・安野博之・山根聡子・湯浅佳子・吉田暁子・吉見健夫・渡部圭介・渡辺紀子

(特に漢籍について)
井沢明肖・宇野文夫・梅田雅子・大立智砂子・大森信徳・金スンオグ・児島弘一郎・後藤淳一・椎崎かおり・趙文惜・道三亜左子

用例を採録するにあたって、使用する底本の決定や、各作品の表示方法、ジャンル・年代・作者名・小題など細部の取り決めは、用例を採取した各部会の先生方にお願いしたが、個々のジャンル・作品については、それぞれ専門の方々の御協力を仰いだ。

<出典表示等>
池上0夫・石井謙治・石塚晴通・大津雄一・岡田袈裟男・越智信也・小野恭晴・川口節子・小林祥次郎・近藤好和・沢井耐三・品川隆重・白根孝胤・鈴木勝忠・高橋由記・田中浩司・松村尚志・三田明広・吉野雪子

政治・経済・社会・歴史・文学・法律・金融・生物・医学・化学・物理等のいわゆる百科語についての専門検討も、各工程で個別に行なわれた。特にここ十数年の変化は激しく、同一項目について何度も伺うということも稀ではなかった。本来、専門分野別に紹介すべきところではあるが、複数の分野にわたり御協力を仰ぐことが多かったので、お名前だけを掲げさせていただく(「言泉」「例文で読むカタカナ語の辞典」で検討していただいた先生方も含む)。

<専門検討>
赤沼和男・安居院猛・浅井潤子・浅野徹・東澄子・阿部泰久・淡路剛久・粟屋憲太郎・飯塚宗夫・池田芙美・石井とめ子・石田穣一・石原直弥・磯貝文男・市毛勲・伊藤邦雄・伊藤悟・岩井憲幸・岩下武彦・岩淵達治・上杉啓・上見幸司・内井乃生・浦田暎三・江森一郎・大場秀章・大浜治子・岡田芳朗・岡本真実・小川雅美・奥田史郎・尾上陽介・オフィスクルー

角田公正・柏木聞吉・金井新二・兼築信行・川口晶・城戸崎愛・木村明生・木村凌二・楠目禎・工藤隆一・久保克己・久保田修・黒住耐二・玄黄社・河本真介・小島晋治・駒井智幸

斎藤明子・斎藤靖二・相良匡俊・佐藤秀明・佐藤康邦・設楽薫・正田陽一・白石和己・白川知多・新川健三郎・末柄豊・菅岡正志・鈴村興太郎・春原亘・瀬川昌久・関口直甫・関野陽一・千石正一

竹中明夫・谷本宗生・月本昭男・筒井紘一・津野熊総一郎・寺町康昌・電気通信情報協会

中川裕・仲佐雅子・長崎暢子・中島峰広・永田仁・永野征男・長野憲義・中丸宣明・並木頼寿・丹伊田敏・新妻昭夫・西江雅之・仁藤敦史・日本靴総合研究会・日本野鳥の会・糠沢和夫・野沢裕・野中麗子

長谷部満彦・波多野完治・八尾師誠・馬場章・原田國男・春名宏昭・菱沼透・姫野昌子・平賀明彦・福島康記・福部信敏・藤原鎮雄・藤原祺多夫・星山晋也・細井勉・翻訳情報センター

前原透・町田和彦・松井和治・松井孝爾・松崎昭夫・松沢正二・丸田頼一・三浦基裕・南潤模・宮崎芳夫・三村徹郎・村木新次郎・室城秀之・望月賢二・本村凌二

矢島泉・安富佐織・矢野貫一・矢野環・山口修・山口和夫・山崎友子・山下信一郎・山野愛子・山本二郎・山本信・山本透・山本宏・吉田夏彦・吉武成美・吉増克実・依藤醇・龍福義友・鷲谷いづみ・渡辺良・渡辺正男

なお、五十音それぞれの扉のページに掲載した仮名字体表については、初版に引き続き中田祝夫先生の御指導を得た。

<図版>
本文解説を補うための図版については、初版に負うところ大である が、加えて今回新たに須貝稔氏に植物の図版を、平沢茂太郎・古沢博司の両氏に動物の図版を、大多和鏡三氏に昆虫の図版を作製していただいた。

石井謙治・石津博典・井上千賀子・井上宏・遠藤武・大多和鏡三・川田清実・河野貞治・下地一丸・須貝稔・長沼雅彦・中村義雄・平沢茂太郎・古沢博司

<装幀・レイアウト>
装幀は菊地信義氏、本文および別冊付録のレイアウトは栗原靖子氏にお願いした。

以上、第二版にさまざまな形で御協力いただいた諸家の御厚情に対して、改めて感謝の意を表する次第である。

また、企画当初から常に最新の技術を駆使して複雑きわまる諸々のデータを処理していただいた株式会社数理計画と図書文字情報システム株式会社の皆様、そして、初版に引き続き組版・製版・印刷に御尽力いただいた図書印刷株式会社の皆様の労苦に、深甚の謝意を表したい。

<数理計画>
岡出昌己・川村浩康・宗像善吉・村岡正康・室田明彦

<図書文字情報システム>
秋山明生・太田典江・大宮淳・高山知子・竹田文雄・中村建治・永吉和恵・西脇友美・牧野伸浩・山本信一

<図書印刷>
赤根文隆・圷哲生・梅津幸一・斉藤伸哉・竜野幸信・西平宏・服部武郎・宮本崇・安田次良(開発)

大塚久利・小沼高義・勝岡勉・小林正明・芹沢重美・武嶋茂・田中啓三・土屋博司・鶴田眞人・羽田文昭・日吉求己・吉岡徹也・(沼津工場)

新井啓一郎・稲川好昭・岡沢宏和・鶴巻義一郎・山崎盛邦・米沢隆(営業)


4 次なる改訂へ向けて

辞典は完成と同時に次の仕事が始まる。

第二版はここに完結し、二〇〇一年までの日本語の戸籍簿として歴史にしっかりと刻まれた。新世紀の日本語の土台が整ったとも言えるかと思う。しかし、この変化の激しい時代に、情報は日々更新される。実際、用例についても、採集作業は最後まで続けられていたし、これは途切れることなく継続していくべき仕事であると考える。

昨今、大型の百科事典を書籍版で発行することはかなり難しくなっている。事物や事柄の変化が激しいのもさることながら、電子化による速やかな改訂とその利便性が求められるようになったためと思われる。国語辞典でも、新語・流行語辞典の類はこのような手法にかない、電子版で毎年改訂などということも考えられないわけではない。

しかし、いわゆる国語は、十年や二十年でそう容易に変化するものではない。むしろ、古来の語彙や用法で未解明の部分が多く、その研究のために膨大な時間を要する類のものである。いわば国語の温故知新的な側面をいかに充実させていくかが、いよいよ重要になってくることもまた明らかであろう。

編集作業自体は、パソコンや電子ネットワークの発達で、従来の手法を大幅に革新すべき段階に至っていることは事実である。たとえば、ネットワークを利用したより広範な読者との連絡や、執筆者や専門家との連携、また、用例採集の効率化と随時更新される用例データベースの構築などは、技術的には、もはや不可能ではない。第二版ではカードを主体とした作業と、電子化による作業とが半々であったが、いずれ情報処理的な部分については、全工程を電子化するための方法も現実のものとなるように思われる。

ただし、出典検討の作業がそうであるように、実際の文献にあたるという仕事は他の工程が電子化されても必ず残る部分であり、いわんや、ことばを採集し、多数の用例から意味・用法を抽出してそれを記述するという作業は、ペンとキーボードの違いを越えてあくまでも人間の為すべき部分として残る。これは、非効率的な作業とも言えるが、考えてみれば、辞書編集者の仕事の苦しみと喜びの大半がこれらの作業にあるということも忘れてはならない重要な事実である。要は、辞書編集作業のどの部分を電子化によって効率化し、どの部分を人間の力の注ぎ所とするかを見極めることが大切であろう。

第三版がどのような媒体で実現するかは全く予想がつかない。しかし、いかなる媒体によるにせよ、大型の国語辞典の性質が、ある時期までの国語の集大成であり、その後数十年のことばのパラダイムを提供することにあるとすれば、書籍版と同じように時間をかけた語彙と用例の採集、電子化をふまえた、より正確で体系的な語義・用法の説明、さらに従来にも増して地道かつ綿密な検証作業等が求められることに変わりはない。

いずれにしても、辞典は読者によって育まれる。この第二版も多くの読者の御教示や御声援に支えられてこそ実現できたと言える。心から感謝申し上げるとともに、変わらぬ御叱正・御支援をお願いする次第である。第二版が初版にも増して日本語のもっとも信頼できる辞書として活用されることを、そして、「国民の辞書」として、「日本国語大辞典」が何版にもわたって引き継がれていくことを願わずにはいられない。

平成十三年十二月 小学館・国語辞典編集部


『日本国語大辞典 第二版』担当

編集
板倉俊・伊藤都美子・大島史洋・香川佳子・笠原啓子・香藤裕紀・金川浩・神永曉・楠元順子・小早川康・小林尚代・斉藤豊・佐藤憲正・佐藤宏・佐怒賀正美・宍戸すみ子・鈴木由紀夫・田中純・鶴岡朱美・長尾純子・並木孝・西山春夫・藤波誠治・松中健一・松村加寿江・村井康司・森田康夫

制作
市村浩一・久保哲郎・広岡克己・前川憲郎・松田勝洋・宮下雅之・横山肇

宣伝
岩渕博・浦城朋子・小島則夫・下河原哲夫

営業
秋山豊・荒井正雄・市川洋一・大住哲也

(小学館PS)赤羽淳市・新井保宏・荒巻秀海・石井伸二・井上高広・伊端永人・今井勇喜・内元宏彰・小川宗也・折笠裕一郎・加藤醇司・加藤達美・釜田好則・上島治之・上村克行・苅和誠二・北尾健・小泉明允・小林真二・小林光弘・小平英彦・今野拓也・須賀一夫・竹内章・田崎富男・対馬安宏・寺西洋・西川雅司・西田晃人・野口修嗣・羽野敏隆・浜田浩・比嘉恭子・福井雄治・古屋英世・堀内輝義・本坊誠・牧浦貴雄・水柿巧・水野親男・山本博行・山脇督史・渡邉孝一郎・渡辺光昭

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