コトバJapan! スポーツ の 記事一覧


 2020年東京オリンピックがいよいよ近付いてきた。その前に、来年は韓国での平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを控えている。が、計画の遅れなどが報道され、どうもマイナスのニュアンスでとらえられることも多い。加えて北朝鮮情勢も厄介になってきた。2022年には北京でも冬季五輪が開催される。韓・日・中という五輪アジアリレーの先陣を切る韓国、その成否がアジア全体に及ぼす影響は大きいのだが。

 そんな平昌大会のマスコットキャラクターが、白虎の「スホラン」。白虎は現地では「守護」の象徴とされている。名前の「スホ」もその意味だ。加えて、トラを意味する「ホランイ」、開催自治体の江原道(カンウォンド)民謡「旌善(チョンソン)アリラン」から来た名前を持つ。そのデザインは、筆者の主観では、小つぶな目の癒やし系といった愛らしさがある。パラリンピックのマスコットであるツキノワグマの「バンダビ」とともに、五輪を盛り上げる……はずだった。

 古くはロス五輪の「イーグルサム」など、毎回、それなりに話題を集める五輪のマスコット。だが、今回は心なしかマスコミへの露出が少ないように思える。情報が少ないが、スホランを巡って組織内での協議が遅れ、この期に及んでも立ちゆかなくなっているらしい。ここはキャラクター活用をゴリゴリと推し進めるべきタイミングで、運営面での熱意のなさが残念といえよう。不安は大きいが、いまからの盛り上げに期待したいところだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 高校野球の応援ソング。原曲は、1990年代にヤマハが『PSR-740』などのキーボード・ユーザーのために配布していた“練習曲”であるらしい。それを、2017年・夏の甲子園出場を2年ぶりに決めた野球名門校『智弁和歌山』の吹奏楽部が、押せ押せムードが出せるようアップテンポにアレンジし、2000年の夏から野球部の試合中に演奏したのが起源とされている。

 ちなみに智弁和歌山がこの曲を使用すれば、不思議とビッグイニングが生まれるため、高校野球界では「魔曲」とも呼ばれている。まるで都市伝説レベルの具体的な根拠には欠けた“逸話”ではあるものの、たしかに智弁和歌山のブラバンが演奏するジョックロックは、せわしないテンポに加え、前乗り気味なリズムアクセント、徐々に空気が張り詰めていく管楽器の被せ方……ほか諸々、守備側からすれば「よりいっそうのピンチ感」を募らせてしまう効果があるのかもしれない。

 実際、「大逆転」のイメージを壊さないため、智弁和歌山ではこのジョックロックを「8回以降、得点圏にランナーが出た時点」で、応援団と吹奏楽部が連絡を取り合い、ここぞとばかりに出し惜しみ(?)をして、演奏を始めるのだという。つまり、こういった緻密かつ狡猾な演出も含め、野球部だけじゃなく学校が一丸となって戦っているわけである。とてもいい話ではないか。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 旭日旗は赤い日の丸に同じく放射状の赤い線でデザインされた旗。日本ではおなじみの旗である。陸上自衛隊や海上自衛隊が隊旗や艦旗として使用しているほか、朝日新聞社も社旗の意匠として用いている。しかし、隣国の韓国や中国では、これを「日本軍国主義を想起する」などとして排他的に受け止め、ときに国際問題となる。

 アジア・サッカー連盟(AFC)がJ1川崎フロンターレに対し、ホームゲーム1試合を無観客とする処分と罰金1万5000ドル(約170万円)を科した(1年間の執行猶予付き)。2017年4月25日、韓国で行なわれた水原(スウォン)戦で、川崎サポーターが、応援席で旭日旗を掲げたからだ。旭日旗は会場でAFCにより没収された。旭日旗を掲げる行為は「政治的な主張、差別的象徴」と認定されたのだ。

 しかし、日本人にとって旭日旗は「軍国主義」の象徴でも何でもない。ナチスの「ハーケンクロイツ」と同一視されるのは迷惑な話である。

 これに対し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、2017年5月8日の記者会見で、「旭日旗は、大漁旗や出産、節句の祝い旗など、日本国内で広く使われている」と反論した。今後、日本政府、日本サッカー協会は、AFCに対し直接抗議し、説明する必要がある。

 ただ、一点付け加えるとすれば、日本のサポーターは、中韓両国内でのゲームでは、旭日旗を振るのは自粛したほうがいい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作