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 加計(かけ)学園問題を国会閉会中に審議する「閉会中審査」が7月24、25の両日衆院と参院で行なわれた。
 支持率の急落に危機感を感じた安倍晋三首相の“独断”で決まったものだが、予想通り、加計孝太郎理事長とはゴルフや飯を食って、向こうが払ったり、こちらが払ったりしたが、獣医学部新設に関してはまったく聞いたことがないの一辺倒

 総理の強い意向だと、文科省などに圧力をかけまくった首相の側近たちは、記憶にない、記録はない、ないない尽くしで、全容解明どころか、加計学園と安倍首相との疑惑はさらに深まってしまった

 安倍の大誤算であろう。数か月後には、あの閉会中審査が安倍政権の凋落の始まりだったと記憶されることになるはずだ。

 この加計学園問題で、安倍の意向を盾に、安倍の側近たちが文科省を恫喝していたことを告発したのは前川喜平(きへい)前文科省事務次官であった。

 彼の気骨ある告発に続き、現役の文科省職員たちも、安倍側近たちの言動をメモにしていたものがあると、次々にこれら内部資料の情報を野党やメディアに流して、今治(いまばり)市に新設される獣医学部は、当初から加計学園ありきだったことが白日の下にさらされたのだ。

 だが、自民党のバカ議員の中から、「加計学園の獣医学部新設計画を巡り、内部文書が存在すると職員が内部告発して明らかにした場合、国家公務員法(守秘義務)違反に問われる可能性がある」などという声が出たのは笑止千万であった。

 あきれてものが言えないとはこのことだ。確かに公務員には仕事の中で知りえたことを漏らすと罰則がある。だが今回のケースは、文書は秘密ではないし、仮に秘密であっても告発には公益性が十分にあるから、守秘義務違反には問われないと、法律の専門家たちは見ている。

 前川前事務次官のように、資産家で、彼の妹が中曽根康弘の息子に嫁いでいるなど、後顧(こうこ)の憂(うれ)いがない人間なら、万が一守秘義務違反に問われても、堂々と安倍と戦えるであろうが、そうしたケースばかりではない。

 『週刊ポスト』(8/4号)は「あなたは『内部告発』をして本当によかったですか?」という特集を組んでいる。

 日本でもある事件をきっかけに内部告発者を守る「公益通報者保護法」が06年4月に施行されている。

 この法律ができるとき、この法案に反対する弁護士グループのシンポジウムがあり、私も呼ばれて意見を述べたことがあった。

 よく言われていることだが、これはアメリカの内部告発した公務員などを守る「ホイッスルブロワー法」をまねてつくろうとしたものだが、同法は通報者への一切の報復的人事を禁じ、通報者に対する報奨金まで規定しているのに対して、日本の場合は、事実上、内部告発者を規制するための法律になってしまっているのである。

 この法律が作られたのは、トナミ運輸岐阜営業所に勤めていた串岡弘昭氏が内部告発したことによる。彼が74年に、東海道路線連盟(東京―大阪間に路線を持つ運送会社50社)加盟社が違法な闇カルテルをやっていると、公正取引委員会と読売新聞に情報提供し、大きな問題になった。

 だが、親しくしていた名古屋支店長に、自分が情報提供者であることを話してから、彼の人生は暗転する。

 支店長は会社の上層部に報告し、人事部に呼び出された。それ以降、仕事は雑用だけになり、手取り18万円のまま据え置かれ昇給もなくなってしまった。

 「家族からも、もう辞めたらどうかといわれて悩みもしましたが、辞めるべきは自分ではないという信念があったので、いずれ裁判をやろうと決めていた。2人の子供が大学を卒業した55歳の時に、裁判を起こしました。ちょうど雪印食品の牛肉偽装問題とタイミングが重なり、その年の流行語大賞で『内部告発』がベスト10に入り、授賞式にも呼ばれました」(串岡氏)

 02年に会社側を相手取り損害賠償と謝罪を求める訴訟を起こし、05年、会社側に1356万円の支払いを命じる判決が下った。

 その後「公益通報者保護法」が施行され、告発者に対する世間の目が「裏切者」から「勇気を持った人」へと印象は変わっていったが、串岡氏は、法律の中身を見れば、事実上の「内部告発者規制法」でしかないと厳しく批判する。

 なぜなら、外部への通報を行なう場合、「まずは社内で通報し、20日以内に『調査を行なう』といった返事がない」ことなどが保護を受ける条件となる。

 つまり、会社側が時間稼ぎで「調査する」といえば、メディアへの告発はできなくなるのだ。

 しかも、この法律には罰則規定がないザル法である。あくまで民事ルールとして定められたものだから、違反した企業に刑罰や行政処分は行なえないのだ。

 こんな法が内部告発者を守れるわけはない。結局、内部通報した人間の多くは、社内でたらいまわしにされ、白い目で見られ、辞めざるを得なくなるのだ。

 さらに名誉回復するには会社側を訴え、たった一人で戦わなくてはならない。

 オリンパス社員の濱田正晴氏のケース。上司が取引先から不正に社員を引き抜こうとしていると知った濱田氏は、社のコンプライアンス担当部署に通報した。

 だが、内部通報が対象の上司らの知るところとなり、全く経験のない部署へ異動させられてしまう。

 08年に配転命令の無効と損害賠償を求めて訴訟を起こし、12年に最高裁で「配転は人事権の乱用」として220万円の賠償を会社側に命じる判決が出る。

 だがその後も、処遇は改善されず、再度会社を訴え、16年にようやく会社が解決金1100万円を支払ったが、濱田氏のサラリーマンとしての人生の大半は、会社との訴訟で明け暮れてしまった

 オリンパスはその後も、巨額な損失隠しを指摘したウッドフォード社長を逆に解任して、世の非難を浴びるが、この組織のもつ歪んだ体質は続いていたのである。

 千葉県がんセンターでは14年、過去7年間に胃や膵臓を摘出するために腹腔鏡手術を受けた患者9人(後に11人と判明)が手術後、相次いで亡くなっていたことが明らかになった。

 その4年も前に、麻酔科医の志村福子氏は、下手な執刀医によって難易度の高い腹腔鏡手術が指導医不在のまま行なわれていたことに危惧を抱いていた。

 手術にかかる時間が長く、再手術も頻繁に行なわれていた。彼女の上司の手術管理部長であった麻酔科医は、再手術の麻酔を研修中の歯科医師に担当させたこともあった。

 再手術で、患者が心肺停止になるなどのケースが起きているのに、センターでは事故調査委員会も開かれない。

 思い余って上司に上申したが、その見返りは報復だった。その後志村氏は退職に追い込まれ、告発を決意するが、県病院局とやり取りしても、厚生労働省の公益通報窓口に実名で告発メールを送付しても、窓口から返ってきたのは「公益通報にあてはまらない」というものだった。

 結局、事態が動いたのは、その3年後に、センター内部から週刊誌への告発がなされてからだった。

 警察や検察の裏金問題も、一時話題になったが、うやむやになっている。

 この問題は私も、この特集に出てくる三井環・元大阪高検公安部長など、告発者たちと対話して、間違いない事実であることを知っている。

 だが、今なお、警察や検察はこの事実を隠蔽し、告発者を逮捕するなど、理不尽な証拠隠しをして、恥じるところがない。

 仙波敏郎氏は愛知県警の裏金問題を告発するため、現役巡査部長として記者会見した。定年を迎える4年前だった。

 会見前から尾行され、上司からひっきりなしに電話が入るようになった。

 会見後、拳銃を没収され、仕事のない部署に異動させられた。異動が不当だと損害賠償請求訴訟を起こしたが、勝訴判決が出たのは、定年1年前だった。

 先に触れた三井環氏は、検察の裏金問題を告発しようとメディアに接触していたところを「微罪」で大阪地検特捜部に逮捕されてしまうのである。保釈されるまで実に拘留期間は325日に及んだ。三井氏はこう話す。

 「そういう国ですよ、日本は。一度口を開いたら、2度とその“ムラ”にはいられない。だから、ほとんどの人は矛盾を感じていても口を噤むのです」

 雪印食品の牛肉偽装事件は、同社の取引先だった西宮冷蔵の水谷洋一社長の告発で明るみに出た。

 一時はマスコミの寵児となったが、彼のところと取引していた大手が、次々に撤退していってしまった。

 03年には西宮冷蔵も休業に追い込まれる。何とかカンパを募ってやっているがどこまで続くか。

 ここにはないが、秋田書店が漫画雑誌の読者プレゼントで景品数を水増ししていた。そのことをやめるよう会社に訴えた景品担当の女性社員(28)も、「プレゼントを窃取した」などと難癖をつけられて懲戒解雇されてしまった。

 日本のような村社会では、不正を声高に指摘したり、メディアに告発したりする人間は「裏切者」、売国奴ならぬ「売社奴」となり、村から弾き出されてしまうのである。

 それは「公益通報者保護法」が、内部告発者を守るのではなく、会社を内部告発者からガードするための法律だからである。

 だが、前川前事務次官の内部告発で、あれほど一強を誇っていた安倍政権が一気に崩壊へと雪崩を打つ姿を見て、どれほど強靭な岩盤でも、一つの内部告発があれば穴を開けられることを国民が知った。文科省の現役が次々証拠の文書をメディアに流し始めたのは、間違いなく安倍政権に対する反乱である。

 これからやるべきことは「公益通報者保護法」を改正し、内部通報者の法的な保護を明記することである。そうすれば、志のある内部通報者が次々に出てくること間違いない。加計学園にも、獣医学部新設に異議を唱える教授たちが多くいると、メディアで報じられている。そうした人たちも挙って声を上げるに違いない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 案の定、安倍首相が加計学園についての「疑惑」に真摯に答えると決断して始まった衆参の閉会中審査だが、言葉だけはしおらしかったが、何一つ疑惑にはまともに答えず、かえって疑惑を上塗りする結果になってしまった。それは安倍の不徳の致すところだが、はっきりしたのは、安倍と加計孝太郎は、お互い密に連絡を取りながら特区に加計学園を入れ込むことをだいぶ前から画策していたということである。これ以上の言い訳は見苦しい。民進党の野田幹事長も辞任したのだから、安倍も自らの出処進退を決めるべきである。

第1位 「『加計に決めました』出来レース議事録」(『週刊文春』7/27号)
第2位 「豊田真由子議員の夫(49歳)が初めて語った『家庭内の真実』」(『週刊現代』8/5号)
第3位 「天才・清宮幸太郎(早稲田実業)はプロで一流になれるか」(『週刊現代』8/5号)

 第3位。早稲田実業の清宮幸太郎がものすごい勢いでホームランを量産している。日本ハムの中田翔(しょう)の87本や、西武の中村剛也(たけや)83本の高校時代のホームラン記録をはるかに超えた。
 高校通算本塁打記録となっている神港学園・山本大貴(ひろき)の107本を超えるのは間違いないから、ダントツの超高校級と言っていいだろう。
 となると、プロ入りは間違いないだろうが、一抹の心配は、高校野球は金属バット、プロは木製バットである。
 『現代』によると、そこを危惧している解説者が多くいるそうだ。通算165勝を挙げた西本聖(たかし)がこう話す。

 「金属バットの場合、人並み外れたパワーがあれば、打ち方が多少悪くても飛んでいきますからね。実際、107本の最高記録を作った選手(山本大貴。JR西日本)も、社会人に進んで伸び悩んだ。高校時代の本塁打数はプロでの活躍には直結しないと考えるべき」

 元阪神監督の岡田彰布(あきのぶ)も、清宮のフォームは、金属バット用に「最適化」されている印象があると危惧している。
 さらに、左ピッチャーに弱いこと、一塁というポジションには多くの強打者がひしめいているから、他の守備位置に回された場合、そこで慣れるのに時間がかかるなどの「不安」を指摘する声も多いようだ。
 だが、清原和博以来のいきなり3割、30本を目指せる逸材には違いない。かつてのベーブ・ルースを彷彿とさせるスタイルで、ポンポン、スタンドに放り込む姿を早く見てみたい。
 多くのプロたちの危惧をひっくり返すには、結果を出すしかない。それができる清宮だと思う。

 第2位。『現代』は、「このハゲー!」で一躍時の人になった豊田真由子議員の夫(49)を直撃インタビューしている。
 夫は7歳年上で、東大から建設省(当時)に入省し、そこから派遣されてハーバード大学大学院に留学しているとき豊田と知り合ったという。
 帰国してから間もなく結婚して、十数年になるそうだ。現在は「内閣官房企画官」の肩書。
 『現代』の直撃に「僕は公務員という立場なので今回の件についてお話しするのは適切ではない」とためらっていたが、少しずつ話し始めた。

 「妻は、今精神的にすごく大変な状況だと思うんです。僕としては、妻は妻で『身から出たサビ』のところもあるのかなと思っています。
 ただし、子供が2人いるんですけど、親の立場として子供たちだけには辛い思いをさせたくないと思っています。そういう意味では、テレビ局の方が来られて自宅のピンポンを鳴らされたりすることもあるので、まずは子供のケアをしなくてはいけないと思っています。子供がおかしくなってしまうのが、一番辛いんです……」

 その気持ち、わかる。現在、妻は入院していて、子供のケアは彼がしている。妻は家庭的で優しい母親だという。

 「妻は本当に家庭では優しい母親なんですけど、選挙命、家庭を顧みずという面もあります。ただ、今回のように秘書さんとトラブルになってしまったのは本当に申し訳ないと思っています。
 でも妻は政治に対して命を懸けてやっていたと僕は思っています」

 政治家として、相当なプレッシャーがあったのかという質問には、秘書の信じられないようなミスもあり、本人も悩んでいたという感じはあったが、こういうことになるとまでは思っていなかったそうだ。
 何度も子供を守るという言葉が出てくる。

 「今は子供たちをケアすること、それだけが僕の役目だと思っています。学校でいじめられたりすることだけにはならないようにしたい。
 騒動以降、ここ3週間くらいは子供たちにテレビも見せないようにしています。学校ではちょっと言われることはあるみたいですけど。
 でも『ママは一生懸命、仕事一筋でやってきた』ということは子供たちもわかっています。正直、今は妻のことまでケアする余裕はありません」

 言葉から察すると、やさしそうで子煩悩のいい父親のようだ。豊田議員は、子供とこの夫のことを思い出せば、あんな暴言を吐くところまではいかなかっただろうに。
 命だった政治生命も風前の灯火である。埼玉県の彼女の事務所の前を、「このハゲー!!」と叫びながら通る子供もいるという。

 第1位。国家戦略特区を担当する山本幸三が、昨年11月17日に東京青山にある日本獣医師会本部を訪ね、蔵内勇夫会長ら4人に対して、「獣医学部を新設する。加計学園に決まった」と通告していたと『文春』が報じた。大スクープである。これが文句なしの今週の第1位。
 私が読んでいる朝日新聞と東京新聞もこの話が一面トップ(いずれも7月20日付)。しかし、どちらも「獣医学部の新設方針を伝えたと記録する文書が同会にあることが分かった」(朝日)、「本紙が十九日に入手した同会作成の面会記録で分かった」(東京)と、『文春』がすっぱ抜いたとは書いていない
 いつも言うが、時系列的に見ても『文春』の校了は18日、火曜日の夕方である。『文春』の新聞広告や中吊りを手に入れ、新聞各社が動いたことは間違いないはずだ。少なくともジャーナリズムは、情報を早く取ったメディアには敬意を払うべきだと思う。
 安倍首相は、各メディアの調査で、支持率が30%を切る危険水域に入ったため、あわてて24、25の2日間、加計学園問題についての閉会中審査を開くことに応じた。
 報道によれば、官邸の強い意向があって行政が歪められたと爆弾証言した前川喜平前文科省事務次官と和泉洋人(いずみ・ひろと)首相補佐官も呼んだが、予想通り、安倍にとっては厳しいものになった。
 安倍は一貫して「加計学園に決めた過程に一点も疚しいところはない」と主張してきた。だが、国家戦略特区の責任者である山本が、こう明言していたことが立証されれば、何が何でも腹心の友がつくりたいと願っていた獣医学部を、安倍が特区に押し込むために、あらゆる手段を講じていたことが白日の下にさらされるのである。
 しかも、『文春』によれば、山本が獣医師会を訪れたのは、内閣府が獣医学部新設に関して、広く意見を募るパブリックコメントを始める前日だという。
 何のことはない、国民から広く意見を求める前に、加計学園と決まっていたのだ。茶番である。
 山本はその日、獣医師会に、今治市が土地で36億円のほか、積立金から50億円、愛媛県が25億円を負担し、残りを加計学園が負担するとまで説明していたというのである。
 その場にいた北村直人・日本獣医師政治連盟委員長は、加計学園に決まったと言われ、驚いて、「反対意見を申し上げた記憶はあります」と、『文春』に答えている。
 加計学園の動きは早かった。すでに2015年夏から教員募集を始めており、2016年11月には今治市の建設予定地でボーリング調査を開始しているのだ。
 獣医学部新設の公募が行なわれたのは今年1月。加計学園側には、うちで決まりという確実な情報があったのは間違いない。
 しかし、加計学園は、「平成26年度の決算では、(略)翌年度繰越消費支出超過額は142.6億円となっており、依然として累積の支出超過を回復するには至っておりません。(略)今後約20年に渡る借入金返済を鑑みると収支が厳しい状況であることは変わりません」。2015年6月に加計理事長が教職員組合に提出した「2015年春季要求書に対する回答書」にはこう書かれてあるという。
 黒字になっているのは今度獣医学部を新設する岡山理科大学だけで、2015年度の収支では、千葉科学大学は約4億4000万円、倉敷芸術科学大学は約6億5000万円の赤字になっている。
 当然だが、教職員の間では、圧倒的に獣医学部新設反対の声が多い。笑えるような話は受け入れる今治市にもある。

 「今治市は、学部新設で増える税収は年間約三千万円と試算しています。つまり負担する九十六億円を全て取り返すのに三百二十年もかかる計算です。また市民一世帯あたりで計算すると、負担は十三万五千円になります。獣医師不足に対し、これだけ払うことが妥当なのでしょうか」(「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表)

 森友学園と同様、安倍との腐れ縁が明らかになり、イメージもダウンした加計学園も、崩壊していくのではないか。そんな予感がする。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 地球温暖化対策の国際ルール。2015年12月、パリで開催された国際会議(国連気候変動パリ会議=COP21)で採択された。発効は2016年11月。

 協定に基づき、参加した190を超える国・地域が、それぞれ「温室効果ガス」の排出削減などの対策を進める。協定全体の目標は、世界の気温上昇幅について、18世紀の産業革命前と比べて「2度を十分下回り、1.5度未満を目指す」というもの。21世紀後半には、温室効果ガスを、森林などの吸収で差し引きゼロにすることを提唱する。京都議定書(1997年採択)では先進国だけが削減義務を負ったが、パリ協定では参加したすべての国と地域が削減に取り組むのがポイントだ。

 地球温暖化に向けた画期的なルールである。しかし、それに水を差したのが米国・トランプ政権の脱退表明(2017年6月)だ。

 米国は世界で2番目に温室効果ガスを排出しており、せっかくの協定への打撃は大きい。

 トランプ米大統領は「(協定は米国にとって)非常に不公平だ。われわれの経済に損害を与え、労働者を挫折させ、主権を弱める」と、脱退の理由を強調している。その言い分は、まさに「アメリカ・ファースト」である。それまでのオバマ政権が、世界の温暖化対策を主導してきただけに、国際社会は、離脱表明を受け、失望感に包まれている。

 手続き的に、米国の正式離脱は早くても2020年11月である。米国の大統領選挙と重なり、トランプ政権1期目の任期切れ(2021年1月)の直前だ。それまでにまだ時間がある。日本をはじめ国際社会は、残留に向け米国を説得することが肝要だろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 加計(かけ)学園問題で、官邸からの圧力があったと爆弾証言をした前川喜平(きへい)前文科省事務次官が、「風俗店通い」をしていたと、官邸のリークであろうと思われる情報をデカデカと報じた読売新聞は、自ら安倍のポチ新聞であることを公言して世の顰蹙(ひんしゅく)を買った。

 この“マスゴミ”的所業は、末代まで読売新聞の恥として語り継がれるであろう。

 だが、ほかの大メディアも似たり寄ったりで、読売に石をぶつけることができるメディアなどないのが、日本のジャーナリズムのお粗末な実態である。

 『週刊ポスト』(7/14号、以下『ポスト』)は、元祖・安倍ポチ新聞である産経新聞が運営する神戸「正論」懇話会の講演で、安倍首相が加計学園問題について、「私の友人だから認めてくれ、という訳のわからない意向がまかり通る余地などまったくない」と潔白を主張し、反省も国民への真摯な謝罪もなかったと報じている。

 そもそも論でいえば、国家戦略特区というのは安倍首相が言い出し、その内容を決める諮問会議の議長が安倍なのだから、安倍の「意向」が働いているのは至極当たり前なのである。

 「私がすべてを勘案して加計学園に決めた。文句があるか」と言えば済む話である。疚(やま)しいところがあるから説明もできずに逃げ回っているのだ。

 安倍政権の支持率も急降下し、崩壊する危険水域といわれる30%を切るのも時間の問題であろう。

 一強と言われてきた安倍政権も追い詰められているように見えるが、そうさせないように支えているのもメディアだと『ポスト』が批判している。

 それは、安倍政権の「政府広報費」欲しさのためだというのである。

 都議選告示日から朝日、読売、毎日をはじめ全国の新聞70紙に「弾道ミサイル落下時の行動について」という黄色と赤の派手なレイアウトの政府広報が掲載された。

 政府の全国瞬時警報システム「Jアラート」でメッセージが流れたら、屋外にいる場合は「できる限り頑丈な建物や地下に避難する」、建物がなければ「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」という、子どもだましのバカバカしいことが書いてあるだけだが、これに加えて、全国の民放43局でも同じ内容のテレビCMが流れ、これに支払われた政府広報という税金は3億6000万円にもなると『ポスト』が報じている。

 同じような時期に流れた「男女共同参画週間」の政府提供テレビ番組を合わせると、メディアに流れたカネは約4億円にもなるという。

 都議選の自民党支援、加計学園問題隠しであること間違いない。上智大学新聞学科の田島泰彦教授は、弾道ミサイルの政府広報は、いたずらに国民の危機を煽って不安にさせ、「外敵」の存在を強調する問題の多いやり方で、国民のナショナリズム的な感情を高め、政権が抱えている様々な疑惑から、国民の目をそらせるのが狙いではないかと批判する。

 事実、この一連の政府広報が流された後に行なわれた前川前事務次官の2回目の会見は、「なぜかワイドショーでもほとんど取り上げられることはなかった」(『ポスト』)

 さらに都議選の最中に、日本テレビ系『スッキリ!!』(26日放映)でコメンテーターの橋本五郎・安倍ポチ読売新聞特別編集委員がこう話したというのだ。

 「地方自治は二元代表制。互いにチェックし合ってほしいと住民が知事を選び、都議会議員も選ぶ。あまり知事与党ばかりになってしまうと、チェック機能がなくなってしまう恐れがある」

 一見正論風だが、読売の人間が言うと眉に唾を付けたくなる。

 テレビ局はスポンサーからの広告料が減り、新聞は発行部数が落ちて経営はどこも苦しい。政府広報は取りっぱぐれがない確実な収入源だから、メディアにとっては美味しいが、そうなれば、政権批判がやりにくくなることは当然であると、前出の田島教授は語る。

 私なりに、現在のメディアを色分けしてみるとこうなる。安倍のポチメディアは、産経新聞と読売新聞。経済紙という新聞の性格上、政権寄りにならざるを得ない日経もここに入る。

 毎日新聞が是々非々の中間で、やや反安倍寄りなのが朝日新聞と東京新聞であろう。テレビ局は、政権の管轄下にあるNHK、民放はフジテレビ、日本テレビ、テレビ東京がポチテレビ。

 中立がTBSで、朝日新聞傘下だが、このところ急激に安倍寄りに右旋回しているテレビ朝日もポチと言っていいだろう。いまのところテレビは安倍の思うがままで、真っ当な政権批判など言える局はどこもない。恥ずかしいことだが。

 政府広報予算の話に戻ろう。『ポスト』によれば、この予算は、民主党政権時代に年間約41億円(12年度)まで減らされたが、安倍政権が予算編成を手掛けた14年度は、「消費税率引き上げに国民の理解を深める」という名目で、前年から21億円増の65億円になった。

 消費税を8%に引き上げた15年度には、この消費税宣伝分を削るどころか、「政府の情報発信強化」という名目で約83億円に増額し、わずか3年で2倍にしたのである。

 その後は83億円に据え置かれているが、予算書を子細に見ると、この予算以外に、「マイナンバー制度の周知・広報」に約3億5000万円

 「原子力利用に関する適切な情報発信」に約2億5000万円などが計上され、官邸の実質的な広報予算は90億円を超えていると『ポスト』は指摘する。

 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資(やすし)は、安倍は第一次政権の時、メディアを敵に回して支持率が激的に下がったため、今回は萩生田光一(はぎうだ・こういち)官房副長官を中心に、メディア対策に力を入れてきた。広告費でメディアを抑え込むというのが安倍官邸の共通認識だという。

 覚えているだろう。消費税を8%に引き上げた時、政府広報予算が21億円も投入され、国民の9割方が反対していたにもかかわらず、新聞とテレビが挙って「増税は必要」というキャンペーンを張ったことを。

 消費税増税で景気が冷え込むと今度は、消費税率10%引き上げの1年半延期を発表し、その是非を問うというまったく大義のない解散を安倍が行なったのだ。

 その際、政府は全国の新聞70紙とテレビCMで「増税延期」の広告を流した。それによって安倍自民は大勝したのだが、メディアが安倍に加担したといって言い過ぎではないだろう。

 15年の安保法案国会では、この年の新聞広告は約17億円。法案審議が佳境に入った6月から9月の強行採決にかけて全国紙に重点的に掲載された。

 こうした効果は絶大で、消費税8%増税の直後、安倍内閣の支持率が57%から60%に上昇するという不可解な動きをし、安保法案の強行採決の後は、朝日新聞の調査では35%(15年9月)まで落ち込んだが、翌月には42%まで持ち直している。

 今回、森友学園、加計学園問題などで支持率を落としている安倍政権だが、『ポスト』は、この流れを変えるために、安倍が考えているのは「憲法改正特需」であろうと読む。

 憲法改正案が国会で発議され、数で勝る与党が賛成すれば、国民投票を実施する。そうなると改憲賛成派と反対派が、それぞれ国の予算を使って新聞やテレビに意見広告を出すことができる

 その金額を総選挙の政党広告予算程度とみると100億円規模になる。さらに個別の政党や民間団体が自由に意見広告を出せるから、新聞、テレビには空前の「改憲特需」となるのである。

 加計学園スキャンダルが萩生田や下村博文(しもむら・はくぶん)元文科相など、安倍の側近に広がる中、安倍は野党が要求している臨時国会の召集を拒否し、加計問題もそのうち吹き消すことができるとタカをくくり続けているのは、「政府と大メディアが政府広報と改憲の広告費というカネをつかみ取りにするという共同謀議を練っているからに他ならない」(『ポスト』)

 7月11日から悪名高い「共謀罪」が施行された。悪事をしようと考えただけで逮捕できるというとんでもない悪法だが、どうせなら逮捕第1号は、安倍首相と、彼と謀議を図っているメディアのトップたちにしてもらいたいものである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 いまさらながらだが「女は怖い」。ピンクモンスター・豊田真由子議員を超える女性は、今年は出てこないだろうと思っていたら、まだまだいました。松居一代(まつい・かずよ)と船越英一郎の離婚騒動で、松居が動画を駆使して、亭主の浮気や、バイアグラを使っても役に立たない下半身のことを暴きたて、日本中の爆笑と嘲笑を買っている。一度は愛し合った男をここまで貶(おとし)めることができるとは、女は謎? いやモンスターである。

第1位 「船越英一郎が松居一代に離婚調停<全真相>」(『週刊文春』7/13号)
第2位 「『豊田真由子代議士』のヤメ秘書匿名座談会──もっと事情が知りたい!」(『週刊新潮』7/13号)
第3位 「ビートたけし2017上半期『ヒンシュク大賞』を決定するぜっての!」(『週刊ポスト』7/21・28号)

 第3位。ビートたけし恒例の上半期「ヒンシュク大賞」だが、今回は誰の目にも豊田真由子代議士センセイが断トツだから、たけしも言うことがなくて困っただろう。

 「あまりにテレビの自主規制がひどいんで、オイラも『テレビじゃ言えない』なんて本を出したけど、豊田センセイのおかげで流れが変わったね。あれ以来、ハゲネタはタブーじゃなくなった。センセイが復活したら、国会で『ポコチン』『コーマン』を連呼してもらって、この国の『表現の自由』を死守して頂きたい!」

 ヒンシュク大賞は豊田真由子と不倫で名をはせた中川俊直センセイに決定! たけし曰く、「自民党代議士2回生は、トンデモナイ逸材揃い」だそうだ。

 第2位。今年最大のモンスターになった豊田真由子議員だが、『新潮』は、彼女の事務所を辞めたヤメ秘書たちの匿名座談会をやっている。新たな豊田センセイのお言葉はこうだ。
 「赤信号でも止まるな」「世の中、ホントにバカばっかり」「新しいタイプのおバカさんたち」「このチョギっ!」(有史以来誰も使ったことのない新しいタイプの罵り言葉だそうだ)
 国会では「弱者のために」なんて言っているが、差別意識の塊(かたまり)だとヤメ秘書は語っている。厚労省出身だから障害者施設を回ることが多く、表向きは弱者に寄り添っている風を演じるが、裏では全く違う。

 「施設で障害者が作ったお菓子なんかをもらって帰ってくると、『こんなの、中に何が入ってるか分かったもんじゃない!』とか言って、絶対に口をつけようとしませんからね。この行動が、彼女の全てを物語っています

 ここまでバラされたら、彼女が次の選挙で当選することはあり得ないだろうが、ちょっぴり寂しい気がするのはなぜだろう。

 第1位。松居一代(60)とは私が『現代』編集長の頃だから、20年ぐらい前に会ったことがある。そのときは、彼女の子どもがひどいアトピーで、アトピーを治すためにいろいろの病院を回り、あらゆる本を漁って研究していると、熱く語っていた。
 私の子どももアトピーがひどく、その後、いろいろアドバイスをしてもらったと記憶している。
 離婚した後で、船越英一郎(56)と再婚する前だったが、思い込みが激しく、こうと思ったら何が何でも突き進んでいくタイプで、こういう女性と結婚した男は大変だろうなと思った。
 船越のことはほとんど知らないが、父親の船越英二は好きな俳優だった。日本のマストロヤンニといわれた美男俳優だったが、1959(昭和34)年、大岡昇平原作、市川崑監督の『野火』に主演して、極限状況の敗残兵を演じ映画賞を総なめにした。
 親父に比べて息子は線が細い気がする。そうした男は松居のような気の強い女に魅かれがちだが、この結婚は当初から波乱含みだったと『文春』が報じている。

 「船越家は由緒ある家柄で、英一郎は三十四代目の当主。父で昭和の名優だった英二さんは、跡継ぎとしてひとり息子の英一郎に大きな期待をかけていたこともあり、バツイチで子連れの松居との結婚には猛反対。英一郎の両親は結婚式に参列せず、英二さんは〇七年に亡くなるまで一度も松居と会うことはなかったのです」(船越家の知人)

 松居によれば、船越が両親に松居と結婚したいと言うと、父親は日本刀を抜いて「親を捨てて女を取るのか」と言ったそうだ。だが、親に勘当されても愛を貫くという生きかたもある。
 2001年に結婚して“円満”そうに見えたが、2011年ごろ、船越が自宅から徒歩1分のところに「支度部屋」を購入した頃から、2人の間に波風が立ち始める。
 そして15年に、船越側から離婚の意思を伝え、彼女側は拒否したため完全な別居状態が始まったという。
 船越が離婚を望んだ最大の理由は、松居の「執拗なDV」だそうだ。船越と他の女性とのメール履歴を見つけた松居は、携帯電話を沸騰した鍋に入れて破壊。さらには「離婚する」と言って暴れ出し、ハンガーで船越の頭を殴りつけ、台所から持ち出してきた包丁を船越に向けたそうだ。
 椎間板ヘルニアを患って入院していた船越に馬乗りになって、「さっさと電話をよこせ」と怒鳴り、胸ぐらを掴んでベッドに叩きつけた。
 船越が知り合いの女性と他愛のないメールを送っていたのを松居が発見して激昂し、船越の頭を10回以上殴りつけたなどなど、すさまじいDVがあったと、船越の知人が話している。
 07年、船越の父・英二が亡くなった時、松居は船越に「やっとくたばったか、クソじじい。罰が当たったんだ、ざまぁみろ」と言った。
 松居は自著の出版記念会で、亡くなった川島なお美と船越が付き合っていたことを暴露し、非難された時も、松居は「死んだ女がどうなろうと自分には関係がない。本が売れればいいのよ」と言い放ったという。
 松居という女性はバカではないから、彼女にも言い分がある。船越が糖尿病を発症したとき、おカネより健康が大事だから治療を受けるよう言ったが、健康食品のCMが決まったばかりだったから頑として受けなかった。
 糖尿病があるから、船越とは10年近くセックスレスだが、私は船越を愛していたから、手をつないで寝るだけで幸せだった。糖尿病の合併症で2度顔面麻痺を起こし、激ヤセしたのが心配だったという。
 浮気されるより船越の身体が心配だった。しかし船越はバイアグラを大量に飲んで不倫していた。それも松居の親友と。
 松居は2人が密会をしているところを突き止め、そして彼女はこう決めたという。

 「私は絶対に船越英一郎を許さないと。彼は私をとんでもない悪妻に仕立て上げて、自分を被害者のようにして離婚しようとしている。(中略)絶対に嘘をつかないというのが私の信念です。だから今回、きちんと(『文春』に=筆者注)お話ししたのです」

 両者の言い分は真っ二つ。松居は自分のブログで動画を配信し、船越の不実を詰り自殺すると語ったりしている。
 松居は中途半端な妥協はしないだろう。船越には同情しないが、怖いだろうなこういうカミさんを敵に回したら。結婚は人生の墓場とはよく言ったものである。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦