コトバJapan! 政治 の 記事一覧


 安倍晋三首相は9月に動く。2007年9月12日、安倍は体調を理由にわずか1年で政権をほっぽり出してしまった。その5年後の2012年9月26日、総裁選に再び出馬して大方の予想を裏切り、石破茂、石原伸晃(のぶてる)を破り自民党総裁に返り咲いた。

 その後、野田佳彦民主党代表(当時)が突然、解散・総選挙に打って出て自滅し、安倍は再び総理になった

 国民の多くは、運だけは強いが長くは持つまいと思っていたはずだ。だが「アベノミクス」を掲げ、自分の子飼いを日銀のトップに据えて、未曽有の金融緩和政策をとり始めた。

 見せかけだけの好景気を演出し、自分にひれ伏すポチ・メディアを周りに集め、言論支配を強めていった。

 アメリカ追随をより強め、中国への敵対姿勢を鮮明にして、国内の右派勢力の支持を集めた。

 自分の言いなりになる人間を閣僚に据えることで、悪名高い安保法制、特定秘密保護法、共謀罪などを次々強行採決し「独裁」とまでいわれる長期政権をつくりあげたのである。

 総裁の任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」とするよう党則改正させ、2020年に開催される予定の東京五輪まで総理でいられるようにした。

 安倍はこう言い放ったことがある。「自分が法律だ」と。呆れ果てるが、野党もメディアも面と向かって批判すらできなかった。

 だが、権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗するの格言通り、閣僚や議員たちの不祥事が相次いだ。なかでも「寵愛する」稲田朋美を防衛大臣に就け、その無能ぶりと危機管理能力のなさを露呈した。

 米朝の緊張が高まり、いつ朝鮮戦争が始まるかといわれていた最中なのに、稲田をなかなか降ろそうとはしなかった。

 幼児に教育勅語を暗唱させる森友学園に入れ込み、小学校設立に格別の便宜供与をした疑惑が持ち上がった。

 続いて、学生時代からの「腹心の友」である加計学園の孝太郎理事長が今治市に獣医学部を新設するにあたって、側近たちを動かし国家戦略特区指定した経緯に問題ありと、野党から激しく追及された。

 野党側が臨時国会を開いて加計学園問題を国民に説明せよと迫ったが、3か月以上逃げ回り、挙句、臨時国会冒頭に解散するという暴挙に出たのである。これが9月28日。

 加計学園問題で疚しいことがあると自ら告白したようなものである。

 野党はバラバラで、共闘を組んだとしても恐れるに足らず。自民党はいささかの目減りで済むだろうという思い上がりからだった。

 だが、安倍の胸算用を打ち砕く事態が出来した。東京都議選で「都民ファーストの会」を率いて、自民党を完膚なきまでに打ち砕いた小池百合子都知事が「希望の党」を立ち上げ、衆院選に出ると発表したのである。

 機を見るに敏な女性だ。私は、小池と安倍は似た者同士だと思う。

 安倍は、アベノミクスがうまくいかないと、集団的自衛権と言い出し、それが賞味期限切れになると女性総活躍時代だと、キャッチフレーズをころころ変える。

 それがだめだとなると、憲法九条を変えると党内で議論もせずに突然ぶち上げる。

 目先を変えれば国民は前のことを忘れてくれるというのが安倍流である。思い付きのキャッチフレーズだけを振りかざして、ここまでやってきたのだ。

 小池も同じである。日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と政党を渡り鳥して生き抜き、安倍第一次政権の時に防衛相に任命されている。

 だが、それ以上はないと見れば、舛添要一(ますぞえ・よういち)都知事問題で混乱している都知事選に目を付け、いち早く名乗りを上げた

 当選後、豊洲移転、情報公開、関東大震災の時の朝鮮人虐殺への考え方などで批判を受けると、今度は国政へと、都民や国民の関心をそらせ、希望などないのにいけしゃあしゃあと「希望の党」などと命名して、自分ファーストと代表に名乗り出る

 キャッチフレーズ好きだが、中身のないこと、今回も全く同じである。

 彼女は新党を「改革保守」と位置付ける。いったい何のことだろう。

 「改革の精神のベースにあるのが、伝統や文化や日本の心を守っていく、そんな保守の精神」と語っているが「なんのこっちゃ」である。めちゃくちゃ保守じゃないか。

 こんな曖昧な言葉で有権者が納得すると考えているのだったら、これほど馬鹿にしたことはない。

 そのうえ、都知事の座を捨てて国政に出るかもしれないという話まで出ている(9月28日時点)。言っておくが、都知事のまま選挙に関与するなら、それなりの影響力は発揮できる。だが、都知事を辞めたら、小池の評価は地に落ちる。自らの権力欲のためには都民を裏切ることも辞さない。そんな女に国政を任せられるわけはないからだ。

 さらに私が危惧するのは、小池と安倍の思想傾向が同じだということだ。憲法改正はもちろんのこと、「靖国参拝に異論はない」と都議会でも言っているように、小池はきわめて安倍的なものを持っている人間である。

 離党する議員が増え続ける前原民進党は、現時点で、小池の党と合流し、公認は希望の党が行なうそうだ。

 前原誠司という男、小沢一郎が言っているように「論理ばかりで、政治的な知恵や物の見方が足りない」(『週刊新潮』(10/5号)。こんな「好中年」を操るのは、百戦錬磨の大年増、小池ならたやすいことであろう。

 では、希望の党・民進党連合が勝てば安倍的な政治に終止符を打てるのだろうか。

 私は疑問である。小池の後ろには小泉純一郎がついていると言われる。小泉流で言えば、今度の選挙のキャッチフレーズは「自民党をぶっ壊す!」になるはずだ。

 そうすればかなりの確率で希民連合が勝てるのではないかと、私は考える。

 だが、小池はそうは言わないだろう。もし負けたら、60~70議席にとどまったらと考えているに違いない。

 そうなれば民進党などうっちゃって自民と連立を組むということも十分に考えられる。

 小池にとっては総理の座を手に入れるためには、何でもありだ。国政は任せると言っていた盟友・若狭勝さえ、ここが勝負と見たら非情に切って捨てる。

 65歳という年齢を考えたら最後の勝負に出たに違いない。自民党がどこまで減らすかによるが、選挙後、安倍が退き、小池にその座を譲ることもあり得る。

 これに公明、維新の会などが結集すれば、巨大な保守勢力が出現し、野党など消えてなくなる

 安倍は去るが、安倍的なものは形を変え、さらに巨大になって現れてくるかもしれない。先日のドイツの選挙でも右派政党が躍進した。アメリカ、フランスなどでは確実に右派政党が力を付けてきてはいるが、共産党を除く「丸ごと右派政権」がこの国に誕生するかもしれないのだ。

 考え出すと夜も眠れない。とりあえず腐敗しきった安倍政権を倒す。その先のことは、選挙が終わってから考えようではないか。

 この連載は今回で終了です。5年間、ご愛読に感謝します。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 私のオフィスから7~8分歩くと、春には桜が美しい神田川に出る。いまも武蔵野の面影を残す関口芭蕉庵から急坂の「胸突き坂」を上がると、細川家の歴史資料や美術品等の文化財を保存している「永青文庫」があり、そのすぐ先が前川製作所の創立者・前川喜作が昭和30年に建てた男子学生寮「和敬塾」である。息を整えて今度は急坂を下る。これを2日に1回、2度やっている。少し懐に余裕のある時はリーガロイヤルホテルのティールームへ寄り、コーヒーを飲む。至福の時である。この連載を終えるにあたって、これだけは言っておきたい。人生で大事なのは「原稿より健康」ですぞ。

第1位 「プロに行くなら『高卒』vs『大卒』どっちが得か」(『週刊ポスト』9/29号)
第2位 「安室奈美恵 去り際の美学」(『週刊朝日』10/6号)/「『安室奈美恵』引退は美談か」(『週刊新潮』10/5号)/「安室奈美恵電撃引退 本誌だけが書ける全真相」(『週刊文春』10/5号)
第3位 「元SMAP稲垣・草彅・香取が船出『セット売り』で映画や舞台か」(『週刊朝日』10/6号)/「1年前から極秘準備していた『SMAPファンへの感謝』『再始動』計画!」(『女性自身』10/10号)

 第3位。元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の新しい動きが注目されている。9月22日付の朝日新聞と東京新聞の朝刊に掲載された、見開き広告がそれだ。
 空の写真に方位を示す“NEWS”と“新しい地図”の文字。広告の下には元SMAPメンバー3人の名前が書かれていた。
 また同日、ファンサイト「新しい地図」を開設し、Twitterのフォロワーは23日15時半には21万人を突破したと、『朝日』は報じている。
 新事務所『CULEN』(カレン)の代表は、SMAPの育ての親で元女性マネージャー飯島三智(いいじま・みち)であるという。

 「会社が登記されたのは昨年7月26日、解散が発表されたのが昨年8月でしたので、この流れは既定路線といえます」(ある芸能関係者)

 サイトでは「コンセプトムービー」と称する動画も配信した。世界各国の街ゆく人の後ろ姿の映像に、「逃げよう。自分を縛り付けるものから」などと、どこか意味ありげな文章が重ねられている。
 ジャニーズ事務所から逃げおおせた喜びか、それとも残ったキムタクや中居正広へのメッセージか。
 『女性自身』によると、サイトのドメインを取得した日は5月31日。3人は早く感謝の思いをファンに伝えたかったのだが、9月に事務所を退社し、一段落するまで待ち続けていたというのだ。
 これからの3人はどの道を行くのか。

 「草彅さんはもともと演技の評価が高く、稲垣さんも悪役などで新境地を開いているので、活躍する場面は多いのでは。芸術的な才能を持つ香取さんは、そういった分野での活躍もあるのではないでしょうか」(芸能評論家の三杉武)

 ジャニーズ事務所のくびきから逃れ、独立をようやく果たした3人は新しい地図を片手にどこへ向かおうとしているのか。
 5本の矢で生きてきたから、1本1本は脆いのかもしれない。いつまでも元SMAPではないだろう。真価が問われるのはこれからである。

 第2位。安室奈美恵(40)の電撃引退が大きな話題になっている。誕生日の9月20日、公式サイトで1年後に引退することを発表した。
 『朝日』から経歴を紹介しよう。

 「沖縄出身の安室は1992年にダンスグループ『SUPER MONKEY’S』(スーパーモンキーズ)の一員としてメジャーデビューし、その後ソロになって大ブレイク。『小室サウンド』と呼ばれた小室哲哉プロデュースの音楽のブームにも乗り、ミリオンヒットシングルは5作品を数える」

 コラムニストの中森明夫はこう言う。

 「彼女の大活躍によって、沖縄から多くのスターが生まれました。同じ沖縄アクターズスクールから出たSPEEDはもちろん、仲間由紀恵さんや満島ひかりさんなどの活躍も、安室さんがいなければなかったのではないでしょうか」
 「キャンディーズが人気絶頂時に『普通の女の子に戻りたい』と言って解散し、山口百恵さんが結婚を機にすっぱりと引退した。でも安室さんは20歳で結婚して母親になりましたが、引退せず“アイドル”という枠組みから“アーティスト”へと変貌して帰ってきたんです」

 1年の休業を経て復帰しても人気は衰えなかった。
 だが、私には、安室はアイドルとしての華やかな面よりも、悲劇の女というイメージが強い。
 20歳で15歳年上のダンサーSAMとのできちゃった婚を発表した。
 子どもをもうけたその直後に悲劇が彼女を襲う。母親が再婚した夫の弟の車によって轢き殺されるのだ。

 「当時は安室の収入で、辰信・恵美子夫妻の生活も潤っていた。それを間近で見ていた弟が、逆恨みして、犯行に及んだんです。昼間、車で待ち伏せしていた弟が、道の真ん中にいた恵美子さんに猛スピードでぶつかり、さらに引き返して轢いた。弟はそのまま車で走り去り、間もなく自殺しました」(芸能ジャーナリスト・二田一比古『文春』)

 その後SAMと離婚し、NHKの紅白などにも出演を控えるようになる。
 そして、親代わりだったライジングプロ・平哲夫社長に、「奴隷契約だからやめたい。独立したい」と言い出し、14年には個人事務所を立ち上げる。
 離婚後、1人で子どもを育て、その子どもはもうすぐ20歳になるという。安室の40年の人生は順風満帆ではなかった。
 引退の理由はいろいろ囁かれているが、再婚を考えている、体の衰えが目に見えてきたなどがあるようだ。
 アイドルという仕事は決して素晴らしいものではないと、私は思う。ましてや40までアイドルを続ける苦労は並大抵ではないだろう。
 キャンディーズと同じように、普通のおばさんになりたいのではないか。
 『新潮』、『文春』はともに、10年ほど前から安室のツアーを仕切っている大物プロモーターの存在をあげている。
 安室が買った京都のマンションの近くに、そのプロモーターもマンションを買っているという。
 57歳で結婚しているそうだ。いいではないか。1年間思い切り歌い踊って、その後、第二の人生を楽しんでほしい。

 第1位。プロか大学進学か。去就が注目されていた早稲田実業の清宮幸太郎が、高校通算本塁打111本の史上最多記録を引っ提げてプロ入りを宣言した。
 12球団すべてが指名するという、これまた史上初のドラフトになるかもしれない。
 楽しみだが、絞り切れていない体と守備への不安は、いきなり1軍で大活躍を期待するのは少し酷かもしれない。
 だが、大学進学ではなく、プロを選んだ決断には喝采を送りたい。
 昔から、高校を卒業してすぐプロ入りか、大学で4年間やってからプロ入りしたほうがいいのかという議論はあった。
 だがすでに結果は出ていると言っていいだろう。プロでメシを食う覚悟があるなら、高校から入ったほうがいい。
 立教大学を例にとろう。筆頭は長嶋茂雄だろう。本屋敷錦吾(もとやしき・きんご)(阪急)、杉浦忠(南海)は同期である。錚々たる名選手を産んでいるが、これは六大学がプロ野球より人気のあった時代が長かったためである。
 甲子園→六大学→プロ野球というコースが定着していた。大学側もいい選手を獲るため無試験で特待生として入学させたのである。
 六大学で活躍すれば、プロから引く手数多であった。長島が巨人入りした時の大騒ぎを今でも覚えている。
 だが今の六大学にそんな熱気も実力も残念ながらない。素質のある高卒選手はほとんどプロ入りしてしまうからだ。
 私の記憶では、江川卓(すぐる)がいた時の法政大学と、斎藤佑樹がいた早稲田大学が往時の熱いものを感じさせてくれたが、それも今は昔である。
 私も、江川のいる法政の試合を何度か見に行った。作新学院のエースだった江川は、ドラフトで巨人に入れなかったため、仕方なく大学進学を選んだ。
 プロでもすぐに20勝はできるといわれていた江川にとって、六大学の選手は相手ではなかった。
 塁にランナーが出るまで江川は本気で投げなかった。だが、運良くバットに当たったランナーが塁に出ると、持ち味の快速球を投げ込み、バッターはかすることさえできなかった。法政の4連覇は江川がいたから成し遂げられた。
 だが、念願の巨人のユニフォームを着た江川には、スピードとキレがやや落ちている気がした。巨人で通算9年、135勝を挙げたが、高校から入っていれば、15勝×4=60勝を加え、名投手の称号である200勝投手に手が届いたのではないか。
 もう一人の斎藤佑樹は、高校から入った田中将大(まさひろ)と比較される。田中ほど大成はしなかっただろうが、プロで体を鍛え、もっと速い球を投げられるようにフォームを改造すれば、もう少し活躍できたのではないか。
 言い方は悪いが、レベルの低い六大学で、小手先でバッターを打ち取る投球を覚えたため、4年経ったらただの人になってしまったのである。
 『週刊ポスト』(9/29号、以下『ポスト』)は、高卒、大卒、どちらが得かという特集を組んでいる。
 『プロ野球なんでもランキング』著者・広尾晃は、プロでの成功の目安を、打者では通算1000本安打、投手では100勝と設定している。
 1965年のドラフト制度導入後に入団した選手のうち、1000本安打を達成した選手は183人(外国人を除く、以下同)。
 このうち高卒は81人で、全体の44%、大卒は65人で36%。だが、大学から実業団を経て達成した選手が10人、5%いるから、そう大きな差はないそうだ。
 100勝以上した投手は70人で、高卒は27人で39%、大卒は20人で29%だが、大学→実業団選手が5人、7%だからほぼ同じ。
 1000本安打、あるいは100勝を達成する確率は、高卒で7.2%、大卒(大学→実業団を含める)が8.5%。

 「高卒は4年早くプロ生活をスタートしているにもかかわらず、通算成績でそれがアドバンテージになっているとはいい難い」(広尾)

 選手寿命はどうか。毎年NPB(日本野球機構)が算出しているプロ選手の平均引退年齢は28歳~30歳。
 そこで1987年~89年生まれの選手について、高卒10年目と大卒6年目の28歳でのプロ在籍率、つまり「28歳生存率」を調べると、打者は高卒が60%、大卒は75%と、大卒のほうが高い。
 投手についていえば、大卒の85%が現役なのに、高卒はわずか34%しかいない。高卒選手の3分の2は平均より早くユニフォームを脱いでいるというのである。
 ではずばり、どちらが稼げるのか。
 昨年のドラフトでプロ入りした高卒ルーキー34人の平均年俸は607.9万円、大卒33人の平均年俸は1074万円。初年度からベースが倍近く開いているのだ。
 では、07年ドラフトでプロ入りした選手が28歳までに稼いだ累計年俸を比較してみる。
 高卒43人の10年目までの累計年俸は、平均で1億1536万円。対して、大卒26人の6年目までの平均額は7317万円。
 高卒のほうがキャリアが長くなる分、高くなるのかもしれない。ではメジャーリーグへ行っている選手はどうか。
 これは圧倒的に高卒である。投手では41人中28人、打者では13人中10人。プロ入り後9年経たなければ海外FA権が取得できないにしても、名選手は高卒に多いこと、間違いない。清宮がんばれ!
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 これが事実なら、北朝鮮はまたやっかいな核戦力を得たことになる。

 北朝鮮メディアは、2017年9月3日、北朝鮮が開発したICBM(大陸間弾道弾)の核弾頭に搭載した「水爆」について、「電磁パルス(EMP)攻撃能力を得た」と報じた。

 EMPは「Electromagnetic Pulse」の略。EMP攻撃は、高高度(極めて高い)の上空で核爆発を起こし、放たれたガンマ線が作用して地上の電子機器などを破壊するものだ。人間や建物には直接の影響はない。しかし、電子機器が破壊されることで、大規模停電、水道、鉄道、航空機、通信・インターネット網などが停止・故障し、甚大な影響を及ぼす。復旧には場合によっては数年かかるとの指摘もある。

 心配なのは、日本の防衛網にも影響を及ぼす可能性があることだ。日本の防衛網の基盤はレーダーなどの電子機器が基盤となっているからだ。

 EMP攻撃自体は冷戦時から米ソ両国などが開発と対策を練ってきた経緯がある。残念ながら、日本はこれまで対策を怠ってきた。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で、「万が一の事態の備えとして、国民生活への影響を最小限にするための努力が必要。必要な対策を検討していきたい」と述べた。その対策が不十分であることを認めた形だ。政府は、防衛省、経済産業省、国土交通省などが中心となってようやく対策に着手した。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 9月16日(土曜日)発売の『週刊ポスト』(9/29号、以下『ポスト』)は、巻頭に「安倍『火事場泥棒10・22解散総選挙』へ!」と報じた。

 大メディアが臨時国会冒頭解散を報じたのは17日になってからである。締め切りを考えれば、『ポスト』のこの特集はスクープと言ってもいいだろう。

 『ポスト』によれば、9月10日夜、麻生太郎は渋谷区神山町の自宅からすぐ近くの富ヶ谷にある安倍晋三の私邸を訪れたという。

 麻生を安倍のところへ走らせたのは、民進党の山尾志桜里(しおり)の不倫報道による離党であった。

 「これで麻生氏の目の色が変わった」(『ポスト』)という。

 民進党は離党者が続出してこれからもっとボロボロの状態になっていく。

 「麻生さんは絶好のチャンスと判断して『今なら勝てる』と総理に早期の解散・総選挙を強く進言したのです」(麻生氏側近)

 だが、危機管理の責任者である菅官房長官は、北朝鮮情勢が緊迫している時に解散するべきではないと反対していたという。

 11月にはトランプ米大統領が来日するといわれている。そんなタイトなスケジュールの中で解散・総選挙はするべきではない。

 そんな菅の考えを知っている麻生は、菅のいない安倍の私邸に押しかけたのである。

 安倍にも解散をためらう大きな理由があった。憲法改正をやりたいのだが、解散すれば改憲発議に必要な現有3分の1以上の勢力を失うリスクがあるからだ。

 麻生ら解散推進派が説得材料に使っていたのは、安倍の大叔父・佐藤栄作がやった「『黒い霧』解散」(66年)だという。

 自民党議員がからんだ贈収賄事件や国有地売却の不透明な取引が相次ぎ、「黒い霧」だと批判を浴びた。

 そこで佐藤首相は、綱紀粛正を発表すると、意表を突いて66年12月の国会冒頭で解散に踏み切ったのである。

 苦戦が予想されたが、自民党はほとんど議席を減らさなかった。落選中だった安倍の父・安倍晋太郎もこの選挙で返り咲いた。

 中曽根の「死んだふり解散」、小泉純一郎の「郵政解散」など、佐藤以外にも突然解散したケースはあるが、そのいずれも自民党が勝っているというデータもある。

 そうした入れ知恵に、優柔不断な安倍の心は揺れ動いた。そして、決断したらしい。

 安倍ポチ新聞といわれる産経新聞と読売新聞がともに社説でこう書いた。

 「安倍晋三首相は、北朝鮮危機の下で、衆院を解散する道を選択した」(産経、9月20日付)「安倍晋三首相が、衆院解散・総選挙に踏み切る意向を固めた。『10月10日公示-22日投開票』の日程を軸に調整している」(読売、9月19日付)

 だが、朝日新聞(9月20付)が社説で言っているように、

 「安倍首相による、安倍首相のための、大義なき解散である。(中略)
 重ねて記す。野党は6月、憲法53条に基づく正当な手続きを踏んで、臨時国会の早期召集を要求した。これを3か月以上もたなざらしにした揚げ句、やっと迎えるはずだった国会論戦の場を消し去ってしまう。
 まさに国会軽視である。そればかりか、憲法をないがしろにする行為でもある」

 自民党の中からも少なからず、大義がない、改憲のための論議が尽くされていない、北朝鮮危機がどうなるかわからないのに政治空白をつくっていいのか、などの批判の声が出て、日増しに大きくなっている。

 また、連立与党の公明党は、憲法改正、特に9条の改正には慎重な姿勢を表明しているのである。

 総選挙をやれば現有勢力から減るのは100%間違いない。

 一部報道では、安倍はトランプから、北朝鮮危機が本格化するのは来年だと聞いているから、その前にやってしまえと決断したという。

 だが、それが本当なら、国民にその根拠を明らかにすべきこと、いうまでもない。

 アメリカや日本、韓国の動きを注視している北朝鮮が、日本の政治空白の隙を突いて何かを仕掛けてくることは十分に考えられる。なぜそのような危険な「賭け」をする必要があるのだろう。

 森友・加計学園問題で下がった支持率が、内閣改造以来少し上向いているからだという、いい加減な根拠を上げる評論家もいる。

 その理由は簡単だ。国会を閉会して3か月以上、野党の国会開会要求にも応えず、逃げ回っていたからである。

 しかも加計学園問題で開かれた7月24日の閉会中審査で、大串博志(ひろし)民進党議員の質疑に対して「(加計学園のことは)申請が正式に認められた国家戦略特区の諮問会議、2017年1月20日に初めて知った」と致命的な失言をしてしまったのである。

 そのうえ、腹心の友の加計孝太郎理事長とは16年中も何度もゴルフや食事をして、おごられたりおごったりしていたと「白状」したのである。

 コメンテーターの中には、加計学園問題は犯罪ではないのだから、そこまで首相を追い詰める必要はないというバカな輩がいる。

 一国の宰相が、一私大のために便宜供与したという重大な疑惑があるのだ。しかも安倍は、「森友や加計学園問題にもし、私や妻が関わっていたら辞職する」とまで言い切っているのだ。

 この問題でこれ以上追及されれば、安倍は総理の座も危うい、そう考えたに違いない。

 安倍はこの件についての「うしろめたさ」、否、「総理の犯罪」を構成する何かがあるから怯えているのだ。

 そう考えなくては、3か月以上の政治空白の末、なおも2か月近く国会を開かず、有権者への丁寧な説明もせず、ひたすら時間稼ぎする理由が全く理解できない。

 8月29日にビジネス情報誌『エルネオス』で、自由党の森ゆうこと対談した。森は、加計学園問題は贈収賄事件に発展するかもしれないと言っている。

 「森 安倍さんはもはや権力の作法というのを忘れてしまっている。権力を長期にわたって持ち続け、しかも野党が弱いという状況の中で、自制をしなければいけないというようなことを、もう忘れてしまっていますよ。
 野党をバカにして、何でも自分の思い通りになると思ったから、危機感がなく加計孝太郎さんと去年も、頻繁に会って飲み食いしていた。
 しょせん野党は追及できないだろうし、マスコミも俺の言いなりだという思い上がりがあったと思います。(中略)
 (加計学園問題では=筆者注)設計書の話が出てきて、坪単価一五〇万円という法外な値段になっていることが明らかになりました。
 資金計画を出した銀行の分析によると、あの土地は坪単価八〇万円ぐらいなんです。森友学園補助金詐欺事件(籠池理事長夫妻が逮捕)と同じように、補助金を高く取るために不正に水増ししたんじゃないかという話になってきています。

元木 加計孝太郎理事長と何度も食事やゴルフをして、奢られる時もあると答弁しましたね。

森 あれはしまったと思っているんじゃないかな。しょっちゅう奢り奢られていて、それが何の問題もないと思って答弁している。そんなことを国会で言ってはいけない話ですよ。
 それに加計さんは、複数のマスコミに対して、安倍さんには一億使ったと豪語していたそうです。そうなると贈収賄事件にまで発展する可能性があります。

元木 そうやってウソが次々にばれて、つじつま合わせに加計学園が特区に申請しているのを知ったのは1月20日だったという問題発言をしてしまった。

森 あれは命とりでしたね。それ以外にも総辞職すべき理由は山ほどあるんです。中でも稲田(朋美前防衛大臣)さんの問題は決定的でしたけど、国会閉会中で野党は追い込めなかった。

元木 加計学園問題で辞任に追い込めますか。

森 私たちは諦めない。(中略)本人もそうとう焦っていると思います。あの閉会中審査の七月二十五日の安倍総理は、完全に混乱していましたからね。
 現在、北朝鮮の脅威が増していることは確かです。だったら防衛大臣を早く代えて対応すればいいのに、加計問題や森友問題から国民の目をそらそうとしていると思われてしまいますよ」

 今度の衆院選は、安倍の森友・加計学園についての説明責任を有権者が求める選挙にしなければいけない。

 メディアは、野党の足並みがそろわない、自民党に代わる受け皿がない、したがって安倍自民は負けようがないと無責任に報じるが、私はそうは思わない。

 森友・加計学園問題もある、稲田朋美の防衛相辞任の追及もうやむや、アベノミクスも失敗と、戦争のできる国にしてしまった以外に安倍は何をしたのか。

 特に、年金、医療、介護費の引き上げで「下流老人」や「破産老人」が増えている。高齢者の怒りが爆発寸前である。

 安倍自民だけは心から嫌だ。投票する理由はそれだけでいい。

 今度の解散は「バカヤロー解散」である。だが、吉田茂の時とは真逆である。今回は安倍首相に国民から「バカヤロー」と大声を上げる選挙なのだ。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 今週は『ポスト』の政府や役人の年金謀略政策や小泉進次郎批判がさえている。この国は、政治屋やシロアリ役人どもの失敗のツケを、高齢者から搾取することで穴埋めしようと考えているに違いない。だがこれを見逃せば、これから年寄りになる若い世代にもしわ寄せがいくこと間違いない。豊かな老後など夢のまた夢。ひどい国である。

第1位 「拝啓 小泉進次郎殿『年金を正当に受け取ることは、そんなに悪いことですか?』」(『週刊ポスト』9/29号)/「この秋から『年金受給者狩り』が始まる」(『週刊ポスト』9/29号)
第2位 「次は『佳子さま』お婿さん情報の暗雲」(『週刊新潮』9/21号)
第3位 「JAL機体の3割は『中国の工場』で整備されていた」(『週刊ポスト』9/29号)

 第3位。このところ航空機の「間一髪」、事故寸前という事態が多いようである。
 ひとつは今月5日のJAL機エンジン火災事故であった。午前11時過ぎに羽田空港を離陸したJAL6便が、2つある主翼エンジンの1つから出火し、約1時間後羽田に緊急着陸したのだ。
 エンジン内部では、タービンにある222枚もの羽が破損していた。
 国土交通省の担当記者がこう振り返る。

 「国土交通省は翌日、《発動機の破損に準じる事態》として重大インシデントに認定しました。つまりは乗員・乗客248人とともに『墜落の危機にあった』といっているに等しい」

 『ポスト』は、そうした深刻な「整備不良」は、中国の下請け企業に任せているからではないかと危惧している。

 「とりわけ日本や米国の航空会社からの需要を取り込んで急速に規模を拡大してきたのが、中国福建省に本社を置く『TAECO社』とシンガポールの『SASCO社』という2社の整備専門会社(MRO企業)だ」

 ここでは1年に一度行なわれる「C整備」と呼ばれる比較的軽度なメンテナンスと、もうひとつは約5年に一度行なう「M整備」は「飛行機の人間ドック」と呼ばれ、点検・整備は広範囲に及ぶという。

 「日本航空乗員組合」の『乗員速報』(06年10月8日号)には、機体トラブルが続いたことを問題視、後の『乗員速報』では、07年だけで実に10件もの『TAECO社』がらみの不具合が発生したことが大きく取り上げられているそうである。
 海外MRO企業への委託はANAでも同様に行なわれており、やはり整備ミスが発生している。
 09年にANAで起きたトラブルは、国土交通省から異例の厳重注意が下った。同社保有の3機で、非常用酸素マスクの一部が落下しない状態のまま、2600回も飛行していたことが発覚したのである。
 整備を担当したのはシンガポールの『SASCO社』。
 海外MRO企業への整備委託が3割程度(16年は約5割)ある。
 それに気がかりなのは、工場の整備資格を認定している国交省が「整備は各社が責任を持って行なうもの」というスタンスでいることだと『ポスト』は指摘している。

 「個別の機材の整備履歴を当局が把握する仕組みにはなっていません。したがって、海外の整備に伴うトラブル事例がどれだけあるかといわれても、そのような記録は持ち合わせていないのです」(航空事業安全室)

 これで空の安全を守れるのか? そう言いたくなるのはもっともだろう。

 第2位。「佳子さまお婿さん情報」と言うから、新潮砲が大スクープかと思って読んだら、話の中心はそこではなかった。
 以前から流れているが、先日短期留学でイギリスへ旅立った佳子さんの「恋人」は、富士急行・堀内光一郎代表取締役、妻は堀内詔子(のりこ)自民党代議士の息子・堀内基光ではないかといわれている。
 申し分ない家柄で、基光も中学時代まで学習院にいて、高校から慶應に転じ、法学部を卒業後みずほ銀行に入行している。
 基光は学習院時代に眞子さんと同級生で、その縁で佳子さんと知り合ったのではないかと言われているようだ。
 だが、2人が交際しているという話が出たため、「基光くんの両親が当時の(林信秀)頭取に相談し、行員が1200人もいて東南アジアのハブ的な存在であるシンガポール支店へ異動させることになったと聞きました」(慶應の関係者)
 表向きは、みずほに入った慶應の同級生と交際中ということになっているという。
 だが、『新潮』の問いかけに、母親の詔子代議士は「いや、あの~。私はないと、思って……ないです」
 父親の光一郎社長も「私が知っているかぎり佳子さまには一度もお目にかかったことはないし、本人もそのように言っています」と、なにやら密会がばれた芸能人か、政治家の答弁のようである。
 話はここから変わる。富士急行が山梨県から借りている広大な山中湖畔の土地が、原野として借りているため法外に安いが、別荘地として再評価すべきだと住民監査請求が出されている話になる。
 もしそれが認められると、莫大な借地代になり、富士急行の屋台骨を揺るがしかねない。そうなると2人の交際に暗雲が立ち込めるという、風が吹けば桶屋が儲かる式の記事作りである。
 アイドルをしのぐ人気のある佳子さんだから、致し方ないのかもしれないが。

 第1位。安倍首相は、自分の森友・加計学園問題を追及されるのが余程イヤだと見える。
 それが臨時国会冒頭解散をする理由だと、有権者の大半が見抜いているため、安倍の思うとおりに選挙結果が出るとは到底思えない。
 だがもっとけしからんのは、『ポスト』が毎号追及している高齢者搾取の汚いやり方である。
 こうした追及が他誌でも始まれば、高齢者の圧倒的多数が反安倍晋三で結集するはずだ。『ポスト』がんばれ!
 『ポスト』によれば、宮沢洋一・自民党税制調査会長は新聞各社のインタビューに、「高額な年金をもらっている人に今と同じ控除をする必要があるか」(日経新聞、9月8日付)という暴言を吐いたというのである。
 最大の問題は、ここでいう「高額な年金をもらっている」とは誰のことかということであり、年金の少ない高齢者からも、控除を縮小してしまえというのだからとんでもないことである。
 『ポスト』によると、年金月額15万円、年間180万円の65歳以上の高齢者の場合、公的年金等控除が廃止されれば、所得税・住民税が合わせて年間18万円もの増税になるという。
 そのうえ、国民健康保険料や介護保険料も月に数千円アップする。これまでは年金収入が約200万円までなら実質非課税だったのにである。
 こんな政権がこのまま続けば、高齢者は死に絶える。
 日弁連の調査(14年)によると、自己破産者に占める70歳以上の割合は05年の3.05%から急増し、全体の8.63%を占めるまでに至っている。
 みずほ中央法律事務所の代表・三平聡史弁護士がこう言う。

 「70代の高齢者から“自己破産を申請しようと悩んでいる”という相談が数多く寄せられています。自己破産の全相談件数の1割は70代という印象です。“定年後に収入が激減したのに現役時代と同じ生活レベルを維持しようとして年金も貯蓄も使い果たしてしまった”という相談が非常に多い」

 今年6月時点で164万519の生活保護世帯のうち、65歳以上の世帯はその過半数を占め、過去最多を更新したという。
 日本総合研究所の星貴子・調査部副主任研究員が今年5月に発表した論文は、収入が生活保護水準を下回ったり、預貯金を切り崩しても生活保護水準が維持できない「生活困窮高齢者世帯」は、その予備軍も合わせて2020年には531万世帯に、2035年には562万世帯に上ると予測している。
 これは実に高齢者世帯全体の27.8%に及ぶ数字である。この数字は、高齢者は年金をもらい過ぎだという政府の主張と大きな乖離があると経済ジャーナリストの荻原博子が言う。
 まさに「国家的犯罪」である。
 そうした事実を知ってか知らずか、小泉進次郎という議員は、年金を返上して、子育てや若いやつらの起業資金に充てようと主張している。
 これに『ポスト』が噛みついた。
 年金だけではない。安倍政権になって後期高齢者医療制度の窓口負担や医療費が上がり、一定額を超えた場合に患者の負担が軽減される「高額療養費制度」の限度額が引き上げられ、介護保険料もどんどん引き上げられているのだ。

 「新しい『高齢社会対策大綱』には、高齢者が老後のために守ってきた退職金や貯金など虎の子の個人金融資産1000兆円を、若い世代の『起業資金』に使わせようという仕組み作りまで検討されている。
 どこまで高齢者のカネをあてにするのか」(『ポスト』)

 そこで『ポスト』は小泉進次郎あてに手紙を書く。

 「拝啓 小泉進次郎殿
 改めて、やはり親子だな、と思いました。
 『年金はこの先、100年安心だ』と断言した貴殿の父上、小泉純一郎・総理が、年金法大改正を実行したのは2004年のことです。その時の約束はこういうものでした。
〈年金保険料は2017年まで毎年上げ続ける。支給額はカットする。その代わり、100年安心の制度にする〉
 約束通りなら私たち国民にとって今年は、ようやく保険料アップの時代が終わり、額は減ったにせよ、安心して年金を受け取れる『元年』になるはずでした。
 ところが、今度は息子の進次郎殿がいきなり、『年金を返上してもらおう』と言い出したのですから、心の底から驚きました──」

 年金を自主的に返上する仕組みなどどこにあるのか? 『ポスト』がそこで調べてみると、日本年金機構のホームページから、「老齢・障害・遺族給付支給停止申出書」という書類がダウンロードできることがわかる。これが《年金返上届》だという。

 「進次郎殿、驚きました。
 全くといっていいほど存在を知られていない、この年金返上制度の創設が決まったのは、04年の年金大改正の時でした(施行は07年)。父親が総理の時にひっそりと仕組みを作っておいて、10年以上経ってから息子が、“せっかく仕組みがあるのだから、活用しよう”と言い出したわけですね──。

 進次郎殿
 働く高齢者には、収入が多くなると自動的に年金をカットされる『在職支給停止』の制度があります。いってみれば、今でも強制的に年金を“返上”させられているのです。毎年、125万人から総額約1兆円が召し上げられています。
 70歳以上への『在職支給停止』の適用が決まったのは、お父上による04年の年金法大改正の時のことです。
 親子して、どれだけ国民から年金を奪うつもりなのでしょうか──。   敬具」

 『ポスト』万歳である。今のように世の中が悪くなったのは小泉純一郎時代からであり、それをもっと悪くしたのが安倍晋三である。
 このことだけはしっかり頭の中に叩きこんでおこうではないか!
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦