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 1月5日、日本老年学会、日本老年医学会という老年研究の権威といわれる連中が、今の日本人の年寄りはまだまだ若いから、65歳を高齢者とする従来の定義に「医学的根拠はない」として、高齢者を75歳からにしたほうがいいという提言を出したことが大きな波紋を呼んでいる。

 その根拠は、現在の70代の知的機能は10年前の60代に相当する。65歳以上の通常歩行速度は男女ともに11歳若返っている。咀嚼に必要な歯の数は20本だそうだが、そこまで減る年齢は1957年には男50歳、女45歳だったが、2011年には男女ともに65歳になっている。

 そうした研究を踏まえて、特に65歳から74歳の前期高齢者は、心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていると分析し、そのような結論に達したのだというのである。

 そこで65歳から74歳までを「准高齢者」とし、75歳以上を「高齢者」とするという。

 前期高齢者、後期高齢者というのも嫌な言葉だが、准高齢者というのも虫ずが走る気がする。シルバーというのも、誰が考えたのか能のないネーミングだ。

 いっそのこと74歳までは「はなたれ小僧と小娘」、75歳からは「お迎えが近い人」とでもしたらどうか。

 『週刊ポスト』(1/27号、以下『ポスト』)で、白澤卓二・白澤抗加齢医学研究所所長が、提言が出された背景をこのように解説する。

 「今回の高齢者の定義見直しは政治的な背景を意識した提案と考えていい。今後高齢者の医療費や介護費用が増えていく一方で、支え手となる生産年齢人口は減っていく。このままでは社会・経済的に成り立たなくなるだろうから、高齢者の定義を見直すというのが学会の議論のスタートだったはず。学会は財政上の理由とは言いにくいでしょうが、そう理解していい」

 『週刊新潮』(1/19号)も、これは年金受給後ろ倒しの「大陰謀」ではないかと批判する。

 そもそも提言を出したこの会のワーキンググループが設置されたのは第二次安倍政権が発足した翌年。最初から高齢者年齢を75歳以上とするのはどうかという意見があり、何のことはない、75歳を高齢者と定義して、段階的にそこまで年金支給開始年齢を引き上げていく大義名分づくりがこの会だったようだ。

 そのための布石も着々とうってきている。

 「政府は確定拠出年金法を改正し、今年から専業主婦でも国民年金と別に自分で保険料を払う確定拠出型年金に加入できるようにした。また、同じタイミングで雇用保険の対象を拡大し、65歳以上でも職を失えば失業手当を受給できるようにしました」(年金問題に詳しい北村庄吾・社会保険労務士=『ポスト』)

 それだけではない。膨らみ続けている医療費を増やさないために、75歳未満は全員、病院の窓口負担を3割に引き上げるつもりだそうである。

 高齢者が75歳以上になると、65歳から74歳までの1752万人が「現役」と見做され、年金、医療、介護などの高齢者福祉が受けられなくなる。

 『ポスト』の計算では、標準モデル世代(元サラリーマンの夫と専業主婦の妻)の夫婦合計の年金受給額は月額約22万1279円だが、支給開始が10年延期されると、単純計算で10年分約2655万円がもらえなくなる。

 医療費は、現在70歳以上の1人当たりの国民医療費は平均年間82万円で、2割負担で計算すると自己負担額は約16万4000円だが、これが3割になると24万6000円になる。

 さらに原則65歳から給付を受けられる介護保険も、75歳までは自己負担しなければいけないとすると、『ポスト』の計算では、75歳の支給開始まで約1000万円を丸ごと自己負担しなければいけなくなるという。

 さらに自治体が行なっているバスや地下鉄乗り放題の敬老パスや、福祉タクシー利用券、水道料金の減免なども、75歳以上に引き上げられるはずだ。

 さらに75歳までは収入があれば厚生年金や、健康保険の保険料の半分を自己負担しなくてはいけない。

 最大の問題は、超優良企業や手に技術を持っている人間なら、定年以降も働く場所はあるかもしれないが、健康だけが取り柄の年寄りに、無年金を補うだけの仕事があるとは思えないことである。

 『ポスト』の言うように、「シニアの雇用内容や雇用条件、年金、医療などの根本的な見直しが行なわれないまま高齢者年齢が引き上げられれば、働きたいシニアの理想と現実は乖離してしまう」(シニア雇用問題にくわしい長嶋俊三氏)はずだ。

 安倍政権の言う「1億総活躍社会」とは、ジジイもババアもカラダが動くうちは働け働け、そうしない奴は牢屋にぶち込むぞというおぞましい社会なのである。

 こうした考えは安倍だけの専売特許ではないところに、真の恐ろしさがある。将来の総理だと持ち上げられている小泉進次郎ら若手議員がまとめた「人生100年時代の社会保障へ」という提言がある。

 一見、「多様な生き方・働き方をする人たちのための社会保障を」「企業で働く方全員のための勤労者皆社会保険制度の実現」「所得の低い勤労者は社会保険料負担を免除・軽減」などの美辞麗句が並んでいる。

 だが結論は、年金支給開始年齢の引き上げの議論を直ちに開始せよというものだ。さらに恐ろしいのは、「健康ゴールド免許」をつくるというのだ。

 医療費が膨らむのは生活習慣病やがん、認知症への支出が多いからだと決めつけ、現行制度では「健康管理をしっかりやってきた方も、そうではなく生活習慣病になってしまった方も、同じ自己負担で治療が受けられる」から、自助努力をして病気にならないようにしてきた人に対して不公平だという。

 そこで健康維持に取り組んできた人が病気になったときは「自己負担を低くすることで、自助を促すインセンティブを強化する」べきだというのである。

 さらに、湿布薬やうがい薬のようなものは自己負担してもらい「公的保険の範囲を見直すべきだ」とも言っている。

 これを読んで私は、かつて障がい者や難病の患者は安楽死させろと唱えたヒットラーの「優生思想」に通じる考え方ではないかと、ゾッとした。

 『ポスト』によれば、医療が進み、人間ドックなどへ行けばその人間の「健康年齢」を測ることができるそうだ。

 そうした年1回の人間ドックを義務づけ、要注意といわれた人間にはカラダに計器を取り付け、毎日の食事から運動量を指示され、それができない人間は非国民として監獄へ放り込まれる。

 これはSFではない。安倍政権と官僚たちだけでなく、若手政治家の間でも主流になっている考え方ではないかと、私は思っている。

 医者にかかりたくてもカネがないために行けない貧困層は年々増え続けている。NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏が毎日新聞(1月14日付)で書いているように、年金収入が少ないのに、生活保護受給は恥ずかしいことだと考える高齢者は少なくない。

 70代の無年金状態の男性は、困窮していたのに「生活保護だけは嫌だ」と拒み続けていた。ようやく説得して申請書を書いたときは「ありがとう」と涙を流していたが、その後、自殺してしまったという。

 こうした現実に目を背け、貧困に喘ぐ人たちを「自己責任」と切り捨てる安倍自民党政権に、万人が安心して生きることができる社会保障制度など考えられるわけはない。

 弱者、年寄り、障がい者切り捨て政治から訣別するために、早く解散をしてくれと願うこの頃である。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 講談社のマンガ雑誌の現役編集次長が、妻殺しの疑いで逮捕されてから1週間以上が経つが、出版界の動揺は収まらない。講談社は、逮捕された人間は『進撃の巨人』の担当ではないと打ち消しに躍起だ。だが、彼が編集長(当時)のときに連載を開始したのだから、担当ではなくても深く関わったことは間違いない。罪(もし彼の疑惑が冤罪でなければだが)は憎んでも、その人間の功績は真っ当に評価してやるべきだと考える。彼は間違いなく優秀なマンガ編集者ではあったのだから。

第1位 「『筑波大留学生失踪事件』国際手配されたチリ人を追え!」(『週刊新潮』1/19号)
第2位 「日本株爆騰、これからが本番だ」(『週刊ポスト』1/27号)/「1月20日 株価爆騰に備えよ」(『週刊現代』1/28号)
第3位 「大人気! 日本の名酒『獺祭』が変だぞ」(『週刊現代』1/28号)

 第3位。獺祭(だっさい)という日本酒は、好きで昔はよく飲んでいた。だが今はまったく口にしない。
 安倍首相の地元山口の酒だからだ。安倍が辞めるまで獺祭断ちをしている。
 『現代』によれば、安倍が自らセールスもしていることもあって売れ行きがいいので、蔵元の旭酒造は、大量生産体制を整えようと、古い蔵を壊して12階建ての工場を建設し、昔ながらの杜氏の勘に頼ることなく、近代的な醸造機材を大量投入して、新入社員でも均質な酒を造ることができるようにしているという。
 元々獺祭は古い酒ではない。山口県岩国市にある旭酒造は48年設立で、獺祭を作り始めたのは90年代初頭だそうだ。
 こうした大量生産で、獺祭の味が変わったという声が、日本酒好きの間で出ているというのだ。
 昨年末には、ボトルの中に虫が混入していることが発覚している。
 私は最近この酒を飲んでいないからわからないが、日本酒はやはり杜氏が精魂込めて作っていると思って飲みたいではないか。
 獺祭も安倍同様、深い味わいもないただの酒になっていくのではないか。まあ、日本酒は星の数ほどあるから、飲むのには困らないがね。

 第2位。『現代』まで宗旨替えした。トランプバブルで株価暴騰するとはしゃいでいる『ポスト』と『現代』の株の記事。
 『現代』が株価が上がるとする根拠は、新大統領がトランプだからというわけではなく、アメリカの景気がすこぶるよいということらしい。
 それならトランプの大統領就任日に株価の暴騰に備えることもなかろうと思うのだが。
 第一、トランプのようなセールスマン的人間が大統領になって、株が上がって嬉しいのか?
 オバマ大統領は期待通りの結果をもたらさなかったかもしれないが、理想やビジョンを熱く語ったではないか。
 一国のリーダーに必要なのは、国の理想の形を国民に説くことである。そしてそれに向かって努力する姿を見せることである。
 トランプや安倍に決定的に欠けているのは理想やビジョンである。安倍の支持率が60数%に上がったというテレビ報道があったが、いまの安倍に支持率が上がる要素などまったくないはずだ。
 トランプバブルは間違いなく徒花で終わる。引き籠もりのツイッターオタクに、国を変える力も気力もありはしない。無責任に囃し立てることは、週刊誌の役割ではないはずだ。
 案の定、トランプが「ドルが高すぎる」と呟いただけで、あっという間に円高に振れ、株は続落している。トランプの発言に一喜一憂すると、日本経済は大海原で台風に遭った小舟のように、翻弄され、沈没することになりかねない。

 第1位。フランス東部、ブザンソンにある大学に留学中だった筑波大生・黒崎愛海(なるみ)さん(21)が行方不明になって5週間以上が過ぎた
 犯人は、彼女と交際していたチリ国籍のニコラス・セペダ・コントレラス(26)だといわれているが、チリに戻ったままで身柄は確保されていない
 そこで『新潮』がニコラスの足取りを追ってチリのサンティアゴへ飛んだ。さすがである。
 自宅のあるマンションは超高級地帯にあり、この地区は「貴族」というそうだ。
 父親は大手携帯電話会社の幹部で、母親はそこから約400キロ離れた市役所で働いていたが、昨年12月に突然退職したという。そして12月30日の午前11時頃、クルマで来た父親が、マンションに隠れていたニコラスを連れて行き、両親のいる街で家族と住んでいるといわれる。
 行方不明になっている女子大生はほぼ死んでいる、ニコラスにかけられている嫌疑は単なる殺人ではなく、綿密に計画された「謀殺」である可能性が高いと、ブザンソンの捜査関係者が話している。
 また、レンタカーの位置情報などの解析から、ブザンソン近郊の「ショーの森」を移動していることが判明していて、そこを捜索しているようだが、約2万ヘクタールもあり、すでに雪が積もり始めていて難航しているという。
 ニコラスという人間は真面目で、父親も教育熱心だと、近所では評判らしい。2人の間で何があったのか。
 フランス側からチリに対して、ニコラスの身柄引き渡しを前提とした拘束は求められていないという。
 こうした事件取材ものがほとんどの週刊誌から消えてしまったが、新聞、テレビとひと味違う週刊誌の事件記事をもっと読みたいものである。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 東京都には他の道府県に類を見ない「慣例」がある。政党復活予算である。創設はなんと、東龍太郎(あずま・りょうたろう)都政(1959~67年)にまでさかのぼるとされる。

 その概要はこうだ。

 都は例年、1月に新年度の予算原案を発表する。しかし、この中には後に、上乗せする約200億円分が含まれていない。200億円分は、都議会各会派の復活要望を受け、予算案に積み増しされ、そこで予算案は確定するのだ。東京都の一般会計予算は約7兆円。それと比べれば「200億円は少ない」との指摘がある。しかし、都議1人(都議会定員127)あたり約1億5750万円。業界団体に「でかい顔」ができる。ちなみに2016年度は、商店街活性化事業や特別養護老人ホームの経営支援事業、私立学校への補助金などが復活した。政党復活予算の狙いは、都政で都議会の存在感を業界団体に示すことにある。ひいては、都議たちの集票、選挙対策にも通じるとされる。

 政党復活予算について、小池百合子都知事が、2017年度予算編成での廃止を打ち出した。小池知事は記者団に対し、廃止の理由について「復活予算は(都議会にとって)白紙小切手で使える予算だ」と指摘、廃止することで予算編成作業の透明化を強調する。

 これに対し、都議会最大会派の都議会自民党からは、反発の声があがった。

 対抗する形で小池知事は予算編成に際し、自ら業界団体にヒアリング。しかもオープンな形で行ない、「都政の見える化」をアピールした。

 都民からすれば、政党復活予算は、見えにくい。都議会自民党側には「われわれ都議会も民意を代表している」との理屈もあるだろうが、「見える化」の小池知事の主張に理があるのではないか。

 ただ、政党復活予算の廃止は、小池都知事の天敵、都議会自民党を弱体化させるという政治的思惑があることも確かだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 『週刊ポスト』(1/1・6号)が「政界『失言・珍言大賞』を決定する!」という特集を組んでいる。

 イクメン議員として注目を集めた宮崎謙介議員だったが、ゲス不倫が発覚してあえなく憲政史上初の不倫で辞任。彼が辞職会見の時に言った言葉が「人間としての欲が勝ってしまった」だった。

 弁護士出身の丸山和也参議院議員の人種差別発言もあった。

 「米国は黒人が大統領になっている。これ奴隷ですよ」

 オバマ大統領でなかったら同盟を解除されても致し方ない暴言である。否、戦前なら戦争に発展していたかもしれない。

 当選2回ながら“失言王”とあだ名がついたのは大西英男代議士。衆院北海道5区補選の応援に入った際、神社の巫女さんから「自民党は好きじゃない」と言われたことにブチ切れ、「巫女のくせに」と思い、「私の世話を焼いた巫女さんが20歳くらいだった。口説いてやろうと思って、『補選を知っているか』と聞いたら知らないというから、夜誘って説得しようと思った」

 産婦人科医の赤枝恒雄代議士が、大学生や民間NGOが出席した「子どもの貧困対策推進議員連盟」の会合で、

 「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(過程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」

 丸山、大西、赤枝も70代である。安倍が掲げる「女性活躍社会」など頭の中にない古いアホ議員たちである。

 熊本・大分地震が起きた後、片山虎之助おおさか維新の会(当時)共同代表がトンデモ発言。

 「終盤国会になってから熊本・大分の地震が起こりまして、これがずっと長引いていますね。ダブルになるのかならないのか、消費税を上げるのか上げないのか、全部絡んでくるんですね。大変タイミングのいい地震」

 都知事選では、小池百合子候補が「崖から飛び降りる覚悟」をして立候補した。

 対抗馬の増田寛也候補の応援に行った石原慎太郎元都知事が小池候補に対して「厚化粧の女に任せるわけにはいかない」と発言し、一気に小池支持者を増やしてしまった。

 中でも私は、失言の“国家遺産”ともいうべき麻生太郎副総理のこの発言が許せない。

 「90歳になって老後が心配とかいってる人がテレビに出ていた。いつまで生きてるつもりだよ」

 政治家失格というより人間失格である。

 現役時代に「サメの脳みそ」といわれた森喜朗元首相の暴言は枚挙に暇がないが、昨年も口を開けば暴言・迷言だらけである。

 新国立競技場に聖火台が忘れられていた問題で批判を浴びると、

 「日本スポーツ振興センターという少し頭のおかしな連中が、聖火台を忘れた設計図を作った」

と発言。自分の頭のおかしさを忘れて他人を批判するのが、サメの脳みそといわれる由縁である。

 業者から現金をもらったことがバレて辞任に追い込まれた甘利明前経済再生相が辞任会見で漏らしたひと言。

 「政治家の事務所はいい人だけと付き合っているだけでは選挙に落ちてしまう」

 本音すぎて、いい人なのだろうが政治家には向いていないのがよくわかる。

 山本有二農水相の「この間冗談をいったら、閣僚をクビになりそうになった」。萩生田光一(はぎうだ・こういち)官房副長官が、野党の国会対応を「田舎のプロレス」と揶揄。

 安倍首相の奥さん昭恵が小池都知事との対談で「『日本を取り戻す』ことは『大麻を取り戻す』こと」というのもベスト10ぐらいには入るだろう。

 『ポスト』はベストワンを選んでいないから、私が独断で2016年の「暴言大賞」を決定してみたい。

 まずは、政治家ではないが間違いなくワーストワンになるのはこれだ!

 沖縄県・東村高江で強行している米軍ヘリパッド建設をめぐって、大阪府警の機動隊員が反対派市民に「ボケ、土人が」「黙れ、コラ、シナ人」と、呆れ果てた差別発言をした。

 これは安倍首相が沖縄に謝罪し、即刻ヘリパッド建設を中止するほどの「大問題発言」だと、私は思う。

 安倍首相も失言・暴言の宝庫である。

 彼は、過去にも「税金というのは国民から吸い上げたものでありまして」「憲法上は原子爆弾(の保有)だって問題ではないですからね」、自衛隊というべきところを「我が軍」と言ってしまったりと呆れた発言には事欠かない。

 一昨年も「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」と国会で答弁して顰蹙を買ったが、私が安倍首相のワーストワンに挙げるのは、この発言。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案を審議する衆院特別委員会で、「我が党においては(1955年の)結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と言ったことである。

 以前も、五輪招致のプレゼンで「福島第一原発の汚染水はコントロールされている」とウソをつき、日本以外のメディアに袋だたきにあったが、この御仁、自分の発言のおかしさに気がついていないのであろう。

 森元首相とどっこいどっこい、質の悪さでは森を凌駕するのではないか。

 ついでに日本人は忘れっぽいから21世紀最悪の首相の暴言も紹介しておこう。

 小泉純一郎が首相時代に吐いたウルトラ暴言は、これから日本が100年続くとしても、これを超えるものは現れないと思う。ギネスに載せたらいい。

 衆院予算委員会で民主党(当時)の菅直人の質問。小泉首相が選挙で「国債発行額を三十兆円以内に抑える」と公約したのを守れなかったことを問われて、

 「その程度の公約なんか守らなくても大したことではない」

と、言い放ったのである。

 私は国会中継を見ていて、開いた口がふさがらなかった。一国の首相が選挙で公約したことを、守らなくてもたいしたことはないと公言することなど、あってはならないことである。

 これで小泉辞任は避けられないと思ったが、この国のメディアは取り上げはしたが、辞任まで追い込むことはしなかった。あの頃からメディアの凋落は始まったと思っている。

 日本には言論の自由がないと海外メディアにいわれるのは、日本のトップがウソをついても、致命的な暴言を吐いても、言論機関がとことん追及しないからである。

 かくして言論は年々軽くなり、トップはますますその場その場でいい加減なウソをつくことに慣れきってしまう。はて、2017年はどうなるのだろう。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 この世に女と男がいなくならない限り、不倫という“文化”はなくなることはないのだろう。
 昨年も各界の有名人たちの不倫が話題になったが、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)のケースのように離婚までいってしまったものもある。
 2017年も『文春』の裏切り愛、ゲス不倫報道で幕を開けた。昔の女性誌編集長に聞いた話だが、取材費が潤沢だった時代には、都内の主だったホテルの従業員にカネを掴ませ、有名人の不倫カップルが来たら知らせてくれるよう頼んでいたという。今はどうなっているのだろう。

第1位 「嵐・松本潤 裏切りの“4年恋人”」(『週刊文春』1/5・12号)
第2位 「安田美沙子 デザイナー夫の『ゲス不倫』撮った」(『週刊文春』1/5・12号)
第3位 「香川照之『離婚』」(『週刊文春』12/29号)

 第3位。『文春』に、昨年12月、21年の結婚生活を解消したと発表した俳優・香川照之(てるゆき)のことが載っている。
 『文春』によると、香川は息子を歌舞伎役者にしたいために母親・浜木綿子(はま・ゆうこ)と離婚した三代目市川猿之助に急接近していった。
 11年からは脳梗塞で介護が必要になった猿之助と独断で同居をはじめたが、仕事でいない香川が面倒を見られるわけはなく、妻が向き合うようになった。
 また、妻のほうは息子を歌舞伎役者にするのは、「息子の将来を決めて自由を奪ってしまう」ことになるとして、望んではいなかったという。
 そんなこんながあって、ついに離婚ということになったというのだが、2ページという短さもあって、よくわからない記事である。
 香川という俳優は東大出で、時には神ってる演技をするが、私の好きなタイプの俳優ではない。
 離婚というのは2人にしかわからないものだが、こういう人間と一緒にいるのはさぞ大変だっただろうなと、私はやや奥さんに同情的である。

 第2位。タレントの安田美沙子(34)の夫(37)のケースは正真正銘の「ゲス不倫」
 安田は現在妊娠5か月で、予定日は5月だそうだ。それなのにファッションデザイナーの夫は、都内の病院に勤務する北川景子似の27歳スレンダー美女と食事をした後、新宿歌舞伎町のシティホテルへ入り、出てくるところを『文春』砲にバッチリ撮られてしまったのだ。
 それにこの夫氏、結婚していることはもちろん、フルネームもきちんと名乗っていなかったそうなのだ。
 『文春』の直撃に、夫氏は最初はとぼけていたが、写真を見せられると観念したのか、「出来心というか……。妻には直接話すので時間を下さい」と、認めたのである。
 その話し合いが持たれたのは12月21日の深夜を過ぎた頃だった。
 その後、事務所を通じて安田からコメントが寄せられたという。

 「この度は、私たち夫婦のことでお騒がせして申し訳ありません。夫から事情を聞き、こっぴどくお灸をすえました。反省しているようなので、今回ばかりは許したいと思っています」

 中村芝翫(しかん)の浮気の際の妻・三田寛子もそうだったが、女は強い。母親はさらに強いと思う。

 第1位。昨年はベッキーのゲス不倫で幕を開けた『文春』「怒濤のスクープ」連弾が大きな話題を呼んだが、今年はSMAP解散後のジャニーズ事務所を背負う人気グループ・嵐の松本潤(33)の「裏切り愛」である。
 裏切りというのは、松本には交際中で結婚間近といわれる女優・井上真央(29)がいるからだ。
 『文春』によれば、2人はドラマ『花より男子』(TBS系)で共演してから付き合いが始まり、すでに10年以上になるという。
 だが、ジャニーズ事務所は色恋については本人の自覚に任せているそうだが、常に幹部からは「バレないようにしなさい」と言われているそうだ。
 それに、恋愛はいいが結婚となると、人気に影響が出るので難色を示すそうである。
 井上との逢瀬も、もっぱら松本の自宅か信頼できる友人宅でしか会わないそうだ。
 そのため、ほとんど2人のツーショットは撮られていないという。それに井上がヒロインを演じたNHKの朝ドラ『おひさま』以来、紅白の司会や映画『八月の蝉』で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞するなど、仕事に忙殺されているため、会うのもままならないそうだ。
 そんな松本の心の隙間に入り込み、毎週逢瀬を重ねている恋人との決定的瞬間を『文春』が捉えたのである。
 12月18日、ナゴヤドームでコンサートを終えた嵐のメンバーは、JALの最終便で羽田空港に到着した。
 各々ワンボックスカーに乗り込み家路につく。松本も厳重なセキュリティで守られているマンションへ帰宅。
 そこへポニーテールに髪を結ったスレンダー美女が現れたのは、19日の午前4時を回っていたという。
 美女は慣れた手つきでインターホンを押し、松本の部屋へ入っていった。
 『文春』は12月に3度、彼女が松本の部屋を訪れるのを確認しているという。
 彼女は葵つかさ(26)。10年にAVデビューしてこれまでに100本近い作品に出演し、深夜のバラエティ番組にも出演する人気女優だそうだ。
 出会いは、4年前の中村勘三郎のお通夜の席で共通の知人から紹介されたことからだった。
 その後松本から彼女にメールを送り、13年の1月中旬に「薄暗い雰囲気の隠れ家のようなマンションの一室」(『文春』)で会ったという。
 ほかの人間もいたそうだが、散会した後2人きりで過ごしたという。その日以来、毎週のように松本は彼女を自宅に呼び入れるようになった。
 葵は松本が井上と付き合っていることを最初は知らなかったそうだ。
 一度松本に、井上とのことを尋ねたら、それには答えず松本は「それ以上、彼女のことを言ったら殺すよ」と突き放すように言ったという。
 だが、叶わぬ恋に身を焦がし続けた葵は、一度、松本と話し合い、別れることにした。
 別れから3か月後、松本から突然会いたいと言ってきたそうだ。その時松本は彼女にこう言ったという。

 「なんでオレこんなに会いたくなっちゃうんだろう」

 再び葵が松本のマンションを訪れるようになる。
 こうした取材でいつも不思議に思うのは、当事者を直撃するのはわかるが、恋人といわれる井上真央にも話を聞いていることである。
 夫婦ならわかるが、まだ結婚するかどうかもわからない井上にインタビューするのはちと酷ではないのか。
 当然、井上は「ごめんなさい」と笑顔で言うだけだ。葵は、記者の問いかけには答えず、逃げるようにその場を立ち去ったそうだ。
 松本は? 葵つかささんをご存知ですねと聞く記者に、

 「いえ、わかんないです」「その人がわかんないんで」

 と、要領を得ない返答をして、お決まりの「事務所を通してくれ」と言って去って行く。
 『文春』は、井上という恋人がいながら葵とも付き合うのは「二股ではないか」と言いたいのだろうが、若くて人気絶頂のアイドルに、そうした“倫理”を求めるのは無理がある。
 葵も彼氏に彼女がいることは承知で付き合っているのだから、この三角関係がこれからどう進展していくのか、そっちのほうが気にはなるがね。
   

   

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